輝け!イチ・ニ・サンシャイン‼   作:N応P

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第16話  気になった彼女の正体は

 

 

 私は本当に運が悪い。

 運動会はいつも雨が降り、遠足に行けば台風が直撃。

 卒業写真など写真を撮るときはいつもインフルエンザ、写真を撮られても私だけ後ろ姿や頭のお団子しか撮られた記憶がない。

 このような事を人間たちは言う。

 

 

 不幸、だと。

 

 

 だから私は気がついた。

 小さい頃にずら丸に『わたしはほんとうはてんしなの。いつか、はねがはえていつかてんにかえるだ!』なんて言ったことがある。

 今思えば恥ずかしいことを言ってた。いくら小さい頃の出来事だからと言っても自分のことを天使とか、そうよ私は天使。

 そして天から追放され堕天使になった。

 

 だから運が悪い。

 

 これは宿命、運命なの。

 

 少しも後悔したこなんて、いやあの時あそこを通っていればテレビに写ることができた。

 他にも一人前だったら福引きで特賞を引くことができたのに。

 私って本当に不運ね。

 今もほら、彼が知らない人と食事をしてる。

 別に彼が誰と食事しようが関係ない。

 なのになんで私は隠れてるのよ!

 

 

「それで、できたの?」

「なにが」

「好きな、ひ・と」

「……っ」

 

 な、なんだって⁉

 

「その顔を見るなりまだなんだ」

 

 よかった。

 な、なんで私がこんなにドキドキしているのよ。

 

「そうだよ。好きになるってこともあの時に無くしたんだから」

「そっか、急がなくてもいいんじゃない」

 

 あの時?あの時とはどういうことなのかな。

 私が知らない彼がいる。

 彼女が知っている彼がいる。

 

「だって誠ちゃんに好きな人ができたら、あたし困るもん」

 

 

 ガタっン

 

 

「え、なに?」

「さあーなんだろうね」

 

 つっー、驚きのあまりに机に足をぶつけてしまった。

 あの女なんてことを言うのよ。

 好きな人ができたらあたしが困る、なによどう言うことよ。

 

「そう言う冗談はやめろって言ったよな」

「なによ、冗談ではないわよ」

「なにを言っているんだか」

 

 なんなのあの2人の空間。

 まるで、まるでリア充の空間!

 

「さて、お昼は済ませたからどうする」

「そうだねー」

「ないなら家に行くぞ」

 

 

 ガタっンガタッン

 

 

「おい、さっきからなんだ」

「うーん、なんだろうね。そうだそうだ今からカラオケに行かない?」

「カラオケか、最近行ってないな」

「それじゃ決定!」

 

 まさか二人っきりで密室のカラオケに行くなんて。

 どれだけギルティ―なの。

 

「それにしても2人でカラオケなんて中学以来か?」

「そうだね。あの時は2人で遅い時間まで騒いだよね」

「本当だよ、あの時は高校の受験前だったのに」

「まあその受験してすぐまた違う高校に通ったけどね」

「その繰り返しを何度おこなってきたか」

「それで友達も彼女もいないんだよね」

「そうだよ、悪いか」

「悪いかと言われても、あえて言うなら親御さんの仕事のせいだよね」

「けど、二年になってからは沼津で一人暮らしを許してくれたからな」

「良かったねこれで安心して二人で過ごせるね」

「本当だよな、安心して過ごせないな」

 

 なんだろう二人の会話に私はついていくことができない。

 二人の会話を、二人を見ていると心がざわつく。

 

 

 心が苦しい。

 

 

 もう見てられない。帰ろう。

 

 

 

 

「あれ、善子?」

 

 

「ヨハネよ!」

 

 

「うん。善子だなどうした一人で」

「しまった、いつもの反射で反応しちゃった!」

「よかったら一緒にカラオケに行かないか?」

「一緒に、いいの?」

 私は目線を隣にいる女性に向ける。

「いいよ。一緒に楽しみたいから」

「そ、そうですか……」

 いいの、この二人の時間に私が入っていいの。

「さて、カラオケに行くか。そう言えば善子の歌を聞くの初めてかもな」

「そんなわけないでしょ。小学校の校歌とか音楽の授業で聴いたことあるでしょ」

「そうだっけ?まあ今から聴けるから楽しみだ」

「まったくあなたって人は……」

 本当に覚えてないのかしら。

 何度かあなたの隣ので歌を歌ったのに。今でも覚えているのに、あなたは忘れているの。

「ねえ、カラオケで何歌う?」

 か、カラオケで何を歌うかですって!?

 どうしようなにを歌えばいいのかしら。

「そうだなー、俺はやっぱりアニソンだな」

「あたしはいつもの歌かな」

「いつもってアイドルの歌だろ」

「だって歌っていて楽しくなるんだもん」

「善子はなにを歌う?」

「え、歌。ヨハネは堕天使だから地上の歌がわからないわ」

「つまり、今の人気の歌がわからないと」

「そ、そんなわけないでしょ!」

「心配するな大丈夫だ、俺も昔のアニソンを歌うから」

「う、うん……」

 

 まったく私の事をわかってくれる。今も昔も変わらないのね。

 

「ねえねえ、ヨハネってなに?この子の名前は善子ではないの?」

「うーん、こいつは何ていうかまあ、理解してくれ」

「うん。理解できた、この子は善子ちゃんでいわゆる中二病と呼ばれる痛い子だね」

「ぐはっ!」

「しっかりしろ善子!」

 なんだろうこれまで言われ続けてきたけどこの人から言われるとすごく心に刺さる。

 

「なんだかんだ話しをしていたらカラオケに着いたな」

 沼津駅南口、ビル五階のカラオケ店。やはりここはよく一人で歌いに来る場所だ。

 まさかここに来るとは思ってなかった。

 どうしよう今日は土曜日だからバイトさんかな。

「いらしゃいませ、三名ですか?」

「はい。えーと設備は――」

 彼女が話しを進める。

「手慣れているのね」

「あえて言うなら遊び慣れてるとも言うな」

「それってどうなのよ」

「まああの人だからしかたない」

「そう、なの……」

 それほどあの人をすべて理解しているみたいだ。

 私はあなたをそんなに理解できていないのね。

 また胸に痛みが……。

「さあ二人とも部屋の準備ができたから行こう」

「ってなんで俺にすべて荷物を預ける」

「ちょっとヨハネちゃんを借りるね」

「え、私!」

 なんで私が借りられるの!

 それより彼女と二人きりは少し、だいぶ辛い。

 

 チラッ

 

「はあー、わかったよ。早く来てくれよ」

 あー、だよね。わかってくれるわけないよねー。

 諦めるか、渋々彼女についていく。

 

 

 

 

 

「ふー、一人で歌うのも悪くはないな」

 

 ガチャ

 

「やっと来てくれた……か」

 彼は部屋に入るなり驚いた顔をして固まっていた。

 仕方ない。これは彼女の仕業なんだ。

「なんで、なんでそんな……」

「服装をしているか?」

「そうだよ、なんでそんな服装しているんだよ。どこから借りてきた!」

「えー、ここのカラオケ店で借りることできたよ」

「善子もなんで一緒に仮装してんだ」

「え、そのー少し興味があって、なんの仮装かわかる?」

「善子は魔女だな、背中に羽根が生えているけど」

「堕天使をした魔女だよ」

「それって魔女なのか、初めてしったよ」

「それじゃ私はなにかわかる?」

「なんだそのふわふわした耳は」

「えーわからないの。ふわふわでもふもふだよ」

「猫?いや化け猫か」

「犬だよ!犬!」

「そうですか、区別がわからない」

「もーう、あたしは怒った歌いまくるぞーイエーイ!」

「「そうですか」」

 

 それから彼女の独占ステージだった。

 私たちが歌ったのはほんの数曲を歌った位。

 それでも楽しかった。

 こんな大勢で楽しく歌って、騒いだのは初めてかもしれない。

 それよりも先ほど聞いた話しに私は驚いている。

 

 

 

 

 

『ねえ、善子ちゃん?』

 

『は、はい!』

 

『善子ちゃんは誠ちゃんのことが好きなの?』

 

『は、はいーー!?』

 

『やっぱりそうなんだ』

 

『あ、その……』

 

『さらにあたしは誠ちゃんの彼女』

 

『うっー』

 

『っと思っているでしょ。ざーねん、あたしは誠ちゃんのお姉さんなんだよね』

 

『え、えーー!?お姉さん!?』

 

『ふふふっ、面白い。そうあたしは誠ちゃんのお姉さんなのです。名前は沢田 聖来(さわだ せいら)よろしくね』

 

『よろしくお願いします』

 

『けどこれは言っとくね。あたしは誠ちゃんのこと本当に好きだから』

 

『好き、それはLOVEですか』

 

『そうだよ誠ちゃんLOVE。誰にも負けないけど皆楽しく仲良くしようね』

 

 

 

 

 彼女じゃなくお姉さん。

 これまで私の苦労は何だったんだろう?疲れた。

 それでも彼が知らない女性となにか楽しそうにしていると心が痛む。

 あの痛みはなにかわからないけど、すごく大切な気がする。

 

「あ、そうだ善子」

「なに」

「その仮装の魔女可愛いな。俺は好きだぞ」

「え、そう。ありがとうあなたもリトルデーモンになってみる」

「それは結構。今度のハロウィンに期待してくれ」

「そうするわ」

 

 彼に褒められると今度は心が温かくなって不思議な気分に。

 今度のハロウィンは魔女の他もいいかも。

 

 

 

 




長らくお待たせしました、宿題と並行して行うのは少し無理でした。少し少し書いてましてやっとできました。
今回は前回の続きです。誠と一緒にいた謎の女性が実はお姉さんでした。このお姉さんはまだ少し謎があるような気がしますね。

果南姉がセンター選挙一位になりましたね。ツイッターでは果南センターにし隊などで皆さんの応援もあり果南姉は一位になっておめでとう!
善子は二位でしたね。あと少しだった今度は一位を目指そう!
そうでしたそうでした、今日はハロウィンなのでツイッターで善子が着そうなハロウィンの服装を集ったところ魔女が多かったので今回カラオケ店でよく貸衣装があるのでそこにハロウィンをいれてみました。
次回のハロウィンの話しではAqoursの皆がどのような衣装で仮装するのでしょうか?楽しみにしていていてください。

それではこの辺で沼津のカラオケで楽しく歌ってきますのでまた、お会いしましょう。

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