そして本編の前に記しておきたい事が一つ。
感想などでよく承ったご意見で戦闘シーンの要望が多く見られます。これに関しては作者も自覚していると同時に、未熟な私の不手際でそういった部分よりも登場人物たちの人物像や状況の描写に傾いてしまった結果です。ご不満を感じつつなお読んでくださる皆様、本当に申し訳ございません。
なお、ご意見を賜った時点で「もうフライングで戦闘シーンのある話から上げちゃうか?」とも思いましたかどうにも後味が悪く、現在の朱羅篇を一段落させて、戦闘シーンが主(になる予定)な話を進めたいと思いました。
なのでこの朱羅篇Ⅲに加え、次回の朱羅篇Ⅳまではご辛抱ください。その次の話として主人公である統真達の場面に戻って彼らの戦い振りを描いてみせたいと思います。
前書きで長々と失礼致しました。それではどうぞ。
天に広がる蒼穹、大地の黄土に生茂る草木の緑――視界に入るそれらの景色を、ソルレイアは独り眺めている。
遠い地平線までを一望できるそこはセレスタルブルクの最上階に設けられた屋外庭園の一角、その普段は使われない階段で更に上に登って辿り着ける場所だった。
幼少の頃に見つけてからというもの、ソルレイアが城で気に入っている数少ない場所だ。彼女の以外の人間は見回りの者を除けば殆ど足を運ぶ者はいないという事実がその場所を余計に気に入らせていた。
単に一人でいられるというのもある。
誤解が無いよう記すが、ソルレイアは別に孤独を好んでいる訳ではない。ただ彼女の周囲の人間、それこそ両親を始めとする者達の、親しみというか馴れ馴れしさが苦手なだけだ。
(まったく、馬鹿馬鹿しい国風だ)
これまで
聞けば歴代最強と名高い曾祖伯母、即ち聖竜姫セレスティアの献身がそれに拍車を掛けたらしいが、こちらにして見ればいい迷惑だった。
衛兵や侍従のように職務を通して接する手合いならば別段に問題はなく、ニュートラルに対応すれば済む。
しかし如何せん、この国の人間は『国民は家族』という風潮が百年単位で染み込んでいる所為で、中には実に馴れ馴れしく接してくる人間もいるのだ。皇族との触れ合いが長く無遠慮な
なので、当時は人除けも兼ねてここで少なからずの時間を過ごしていたものだ。
……もっとも、今の彼女にはそれ以外にもいくつか理由があったりする。
その一つは――
「――ハァ……」
彼女がその整った唇に加えた小さく白い棒状の物体。その先端は彼女自前の魔力で生み出した火で炙られ、息を吸い込めば先端からの灰化が早められた。
それを一度指の間に挟むようにして口から話すと、長めの息と共に口から紫煙を吐き出した。
ソルレイアが口にしたものとは、即ち煙草である。
言うまでも無くソルレイアは年齢的には未成年者以外の何者でもない。そんな彼女が喫煙行為に及ぶのは歴とした違法である。法整備が整えられている今のご時勢、皇女だからとて例外ではない。バレなければ何とやら、という理屈はさておいて。
そんな彼女だが、しかし現在進行形で何ら違法行為には及んでいない。理由は彼女が特例として既に元服を果たしているからだ。
命を戦闘の危険に晒す伐刀者の特権が、成人以前の段階での飲酒・喫煙・性交をも認めているのだ。勿論、それがもたらす
(……質がいいな。ユンカーには礼を言っておくとしよう)
口にした煙草の質が期待以上に上質であったためか、そんな感想を自然と抱いた。
ソルレイアは所謂ヘビースモーカーだ。場所も状況も弁えてはいるが、軍基地の自室など個人としての自由が許される環境でなら基本的に煙草を口にするし、自前の煙草も常備している。
最初に吸ったのは元服して直ぐ。正直、ソルレイアは喫煙に対して特に強い興味があった。いつが始まりかは覚えていないが、誰かのものであったのだろう副流煙が不思議と馴染んだ感覚は今も記憶している。
そして法的に喫煙を許された彼女は、それと同時に煙草を嗜むようになった。最初こそ咽たものの、それでも煙草の味には何故か安らぎのようなものを感じた。
そんなものだから、軍内部でのソルレイアへの贈り物というのは大体が煙草であったりする。
今彼女が味わっているものも、部下の一人が彼女に送った品だった。
手に持った煙草を一瞥すると再び口に咥えようとし――
「――で、いつまでそこにいるつもりだ貴様は」
「む、何だ。もうバレたのか」
「貴様の気配など分からんわけがあるか」
自身がいる場所へと続く階段の方へ向けてそう語れば、ソルレイアとは違う誰かがそれに応じた。
カツ、カツ、と階段を上ってくる音がいくつかした後、ソルレイアが振り向けば――そこには彼女自身がいた。
「相変わらずここが好きなんだな、ソルレイア」
「馬鹿共と顔を会わせずに済むからな。それもたった今台無しになったが」
――勿論、ソルレイア・ヴァーミリオンが二人いる、などという事はない。
彼女と限りなく似通った顔立ちの少女がそこにいただけのことだった。
そもそも、ドッペルゲンガーが如く瓜二つという訳でもないのだ。
結い上げた、所謂ポニーテールであるソルレイアの赤い髪に対し、対する少女のそれは母親のアストレアと同じ艶やかなピーチブロンドで、ストレートに腰辺りまで伸ばされている。
双眸の色彩こそは同じルビーレッドだが、切れ長なソルレイアに対して少女のそれは十分に柔和なもので、穏やかな気質を顕していた。
「まったく。もう少し半身の妹を慮って欲しいな、姉上?」
「そうか、ならその妹が起きたまま寝言をほざいているようなので、とりあえず灸の一つでも据えてやろうか、ルナアイズ」
「遠慮しておくよ。ステラのようにできる自信は無いからな」
ルナアイズ・ヴァーミリオン――それが彼女の名前だ。
その名が示す通り彼女もまたヴァーミリオンの皇族であり、ソルレイアとは双子の妹として生まれと育ちを同じくしている存在だった。
そういう意味では、彼女が冗談交じりに口にした『半身』という表現も間違いではないだろう。
「それで何の用だ」
「家族に会うのに理由が必要か――などと言っても納得しないか」
「燃やされたいのであれば構わんぞ」
そう答えればギロリと睨んでくる
普通ならここで大抵の人間は竦み上がるのだが、平然と流せるのは双子としての慣れか、彼女自身の胆力か。
「どうせ父上や母上と気まずい別れ方をしてきたんだろう? 不器用な姉へのフォローという奴だ」
「なら
「まあそう言うな。久しぶりに話したいというのもあるしな」
「……フン」
食い下がる
ルナアイズもそれを了承の意味で捉え、姉の隣へと並ぶ。
「……フゥ」
「言っても無駄だとは分かっているが、父上が見たらまた卒倒するぞ?」
隣の存在など気に留めず喫煙を堪能するソルレイアに、ルナアイズが語りかける。
実際、ルナアイズの言葉は正しい。
ソルレイアの喫煙は別に隠し事でも何でもなく、本人も疚しいところなど無いので吸っても構わない場所でなら吸っている。
そうなると父親のシリウスの耳にも当然届く訳で、最愛の娘が齢10代前半にして
これに対しソルレイアはにべもなく拒否、するとシリウスは『ヴァーミリオン皇国の禁煙化』まで企てようとしたのだが、速攻でバレてしまい、娘による
結局この騒動は、ソルレイアがちゃんと場を弁えて喫煙している事、そして摂取した分の煙草の悪性物質は彼女の魔力が全て体内で燃やしているという事実によって収まり、ソルレイアの喫煙は改めて認められた。
――しかしそんな妹の言葉に、「くだらん」と言わんばかりに鼻を鳴らす。
「私が持つ権利を行使しているまでだ。それに吸う場所は弁えている。誰彼にどうこう言われる筋合いは無い」
「あの父上がそれで納得しているとも思えないけどなあ…………なあ、
「
「いや同い年だろうに」
「私は
「うわ、ずるい」
しれっと言うソルレイアに、ルナアイズが苦笑する。
普段の冷厳としたソルレイアしか知らない者が見れば目を見開く光景だが、彼女の生家であるこの皇宮ではそうでもない一場面だった。
双子として生まれと育ちを最も多く共にしている故か、常に周囲と壁を作って接しているソルレイアもルナアイズという存在にだけは、その壁を幾分かは薄くしているきらいがあるらしかった。
「――ステラの件だったろう? 今日の会議」
ちょうど会話が途切れようとしたところで、ルナアイズが新しい話題を持ち出す。
持ち出された話題にソルレイアはスゥッと目を細め、ルナアイズを横目で見据えた。
「相変わらず
「状況で推察しただけさ。それで? 大方『
「そんなところだ」
まるで見ていたかのように的確に言い当ててくるルナアイズに淡々と応えてから、再びソルレイアの口から紫煙が吐き出される。
そんな姉の様子に、「やれやれ」と言わんばかりにルナアイズが肩を竦めた。
「正直に言えばいいだろう。ステラの為にやっている事だ、って」
「くだらんことをほざくな。鍛えてやると言った以上は徹底しているだけだ」
「まったく……そんなだからいつまでも父上達に心配されるんだろうに」
そんなルナアイズの苦言に、しかし隣に立つ姉は「フン……」と憮然とした反応を示すのみで否とも応とも答えはしない。
けれどもルナアイズにとってそんな返しは想定済みのものであったらしく、「仕方がないな」と言った風に苦笑を深くする。
妹のその意味深な反応を目敏く察してギロリと睨みつけるソルレイアだが、そんなものはとうに既知のものとして慣れ切っているルナアイズは、どこ吹く風と言った様子で平然と流した。
「魔力を持たない私には分かりようも無いことだが……お前以上の魔力を持つステラには、それだけ『暴走』の危険性もあるんだろう?
それこそ、お前の時以上に」
「……」
そう尋ねる妹の問いに姉は沈黙で返す。
それが肯定と同義である事をルナアイズは知っている。
伐刀者にとって、魔力は『あって当たり前』という表現も過言ではない存在ではある。
しかし最初からそうであるのかとなると、これはまた必ずしもそうではない。
その最たる例の一つが、『過剰な魔力を生まれ持ってしまった幼い伐刀者の魔力暴走』である。
異能に目覚めるまで眠っていた魔力の、唐突な覚醒。大抵の場合は身体に違和感を覚えたり、酷くとも体調を崩すといった程度のものだが、稀に特出した魔力を持った存在が幼少の内に覚醒を果たした場合、非力な肉体と精神が不相応の魔力を制御できず暴走させるという事態を引き起こしてしまう。
――そしてその事は、彼女たち姉妹こそが良く知っていた。
何故なら、他ならない当事者とその身内なのだから。
まだ幼い時分。ソルレイアは魔力の暴走こそ起こさなかったものの、特出した魔力に目覚めた反動により酷い高熱にうなされ、一週間は寝たきりで過ごす羽目になった。
当時、親馬鹿のシリウスは勿論のこと、初めて授かった我が子である為かあるいはまだ若かった故か、普段落ち着いているアストレアまでもが激しく狼狽してしまい、更には国中の動揺にまで発展した事は、姉妹共に記憶に残っている。
「一週間後になるとお前の容態も安定して一段落したが、あんなのはもう御免だな」
「……だから私の肩を持つと?」
そう問い質してくるソルレイアに、ルナアイズは答えは口にせず微笑とも苦笑ともつかない曖昧な笑みを浮かべる。
ステラの件では、将来に備える姉も今を憂う両親も、どちらも正しいと言うのがルナアイズの見解だ。
ソルレイアの場合は純粋に家族を思い遣っての行動という訳ではなくまたステラに請われてのものではあるが 、幼い彼女が魔力の暴走により傷つく可能性を防ごうという思惑も念頭に入れているのは確かだ。
対して、シリウス達もその辺りは考えとしては理解できているのだろうが、親の心情としてはそれだけで受け入れられるものでもないことは、身内として想像に難くない。と言うより、伐刀者云々を込めても5歳児の末っ子が姉に扱かれるのをただ黙認しろというのがおかしいのだろうが。
まあ、それもソルレイアが父達と壁を作らず理解をし合っていればもう少し話は違ったのかも知れないが、今となってはどうしようもない事だろう。改善される見込みも、残念ながら目処すら立っていない有様なのだから。
――閑話休題。
そしてそうした双方の認識と言い分を鑑みた上で、ルナアイズはソルレイアの行動を取り敢えずは肯定している。
「肩を持つ、という訳ではないんだが、まあ、少なくともステラの件に関してはお前の方が上手くやれるんじゃないかと思っただけだよ。
それに、そもそもはステラが自分から言い出した事だ。なら本人が続ける限りはやらせた方がいいと思ったのさ。
……まあ例え本人が言い出さなかったとしても、最低限の事くらいは叩き込んでいただろう?」
「……フン」
言葉こそ問い掛けているが実際には断定しているルナアイズに、ソルレイアは不機嫌そうに鼻を鳴らすとそのまま押し黙った。
それが肯定の意であることが、双子の感と経験でルナアイズには分かった。
――健常なる魂は健常なる肉体に宿る。
そんな文句に
平均の20倍以上という大魔力、そんな埒外の代物を宿す身だからこそ知っている。生半可な肉体と精神では、膨大な力に呑まれ自滅するしかないという可能性を。
誰にも知られず、また自身で知れないようにしていたことではあるが、ソルレイアとて何の困難もなく己の魔力を制御できた訳ではない。
魔力に目覚めた当時。肉体は元より精神もまた今より未熟であったが故に、ソルレイアは己の内に宿る劫火の如き魔力に苛まれている。
それを幾日にも渡り、睡眠すら排してその力と向き合ったことで、今に至る道筋の始まりを拓いているのだ。
だからこそ、ソルレイア・ヴァーミリオンもまたステラ・ヴァーミリオンにそれを課した。
もし、ステラが何も申し出ていなかったならば。あるいは只人としての生き方を望んだならば、ソルレイアとてそれに口出しする意図など毛頭無かった。精々が、生まれ持ってしまった力の最低限の扱い方を指導する程度だったろう。
あるいはシリウスもアストレアも、それをこそ望んでいるのかも知れないが。
すると、そんな姉の横顔を見ながら、ルナアイズはニヤリと悪戯っぽい笑みを浮かべては言葉を続ける。
「それに、
「黙れ愚妹が。どうにも貴様の物言いに不快な
「くくっ、さて何のことやら? 私は麗しい姉妹仲の発展に手を貸しているだけだぞ?」
そんな妹に興醒めしてか矛を収め、ソルレイアは「フン……」と一回鼻を鳴らしては遠い地平線の方へと視線を向けた。
「まあ、ステラの件ではそれだけだよ、私が言えることは」
「……」
そう締め括るルナアイズに、ソルレイアは無言で応じた。
そんな己が半身の横顔を、ルナアイズはなんとなしに観察する。
不機嫌そうに煙草を吸いながら遠い彼方を眺めるその顔を、ルナアイズは自分のそれと同じだと思えたことは一度も無い。
生物学的観点から照らし合わせれば一卵生の双子である彼女達は、瓜二つとまでは行かずとも全体的に顔の造形や骨格が近似しているはずだ。実際、双方共にまだ幼かった時分は髪の色などを除けば見分けがつかないと、双子にはありがちな持て囃され方をされていたらしい。当時のアルバムを開いて見れば、成程とも頷ける。
だが、今となってそんな感想を口にする人間はいないだろう。少なくともルナアイズ自身が、自身の容姿を意識するようになった頃にはそう思うようになっていた。
髪の色やヘアスタイル、表情や目つき――そうした瑣末な要素ではなく、もっと根本的で根源的な『何か』が自分とは違えていて、それが形として認識できてしまっているような差異。
その『何か』が実在するのか、するとしたらどういうものなのかは分からない。
……ただ。
きっとそれは、ソルレイア・ヴァーミリオンという人間を成り立たせる重要な何かなのだろうと、そう直感することはできた。
――そして恐らく、それこそが彼女と
――ところで。
ソルレイアとルナアイズの違いが瞭然としている大きな要素が、もう一つ存在する。
それは――――
「…………………………」
「……何だ。人の体をジロジロと――おい、貴様どこを見比べている」
自分と姉、そしてもう一度自分という順に、身体の『ある部分』を交互に見て、ルナアイズは顔を引き攣らせ硬直した。
敢えて直接的表現を避け、擬音を用いるなら両者の違いはこう表せられるだろう。
――ぺターン。
――バイーン!
と。
「…………理不尽だ」
「は?」
心から絞り出されたような切実な声で、ルナアイズはそう呟く。
それを間近で聞いていたソルレイアは、しかし言葉の意味を理解できず、怪訝そうに眉を吊り上げるのが精一杯だった。
理不尽、不条理、不平等、不公平――今のルナアイズの心境と、彼女自身からして見た状況を表す概念は、正しくそれら。
自分達は双子である。それはまあ、髪の色とかに始まって色々違いは出来ているし自分で「同じだと思ったことはない」とか述べたばかりだが、しかし遺伝学的・生物学的には紛うこと無き双子なのだ。
容姿だって顔の作り自体はほぼ同じである事は検証で判明しているし、背丈もほぼ同じなのだ。
――だと言うのに。
だと言うのに、である。
一体何故、如何な
――というか
(い、いや大丈夫だ落ち着けルナアイズ。アレだ、コイツの成長がおかしいんだ。まだ14歳だぞ? 育ち盛りなんだぞ? きっと私はこれからなんだ、もしくは成長が遅れて来るだけなんだ。
……しかしやはり……いやいや、大丈夫ったら大丈夫だ! きっと……そう、魔力の有無だ! それが成長時期を早めているに違いない! 一説では実はあれは魔力タンクを兼ねているとか言うし!)
「……おい、ルナアイズ。聞こえているのか?」
動揺のあまり、本人にとっては切実だが実際には不毛でしかない思考の坩堝に陥るルナアイズ。その様子を訝しんだソルレイアが声を掛けるが、声は耳に届いていても意識には届かない。
(確かに母上はあんな容姿だが私もソルレイアも普通に成長したじゃないか! まして双子だぞ? 私だけこのままだなんてそんなことがあるものかそんなこと私が認めない断じて認めない神の法だろうと私は認めないというかそんな
私の発育はこれからなんだぁっ‼︎!――あ」
「……………………」
否定しようとも湧き上がる悲惨な
そのことに気づいて口を手で塞いだ時には、しかし後の祭りでしかなかった。
――そして。
「……何を真剣に考え込んでいるかと思えば、くだらん」
「――あ"?」
空気を読まないソルレイアの発言が、事態を更に拗らせる事となった。
呆れたという様子を隠さずソルレイアは続ける。
「
動きは妨げる、肩は凝る、極めつけは勝手に大きくなることだ。おかげで何度服を新調する羽目になったか。
まったく。これならやはりあの時、切除でもしておくべきだった――」
――ブッツン。
ソルレイアのそのセリフを耳にした瞬間、ルナアイズの脳内にそんな音が鳴り響いた。
勿論それは彼女の心理状況が生み出した
コイツ、一体今何と言った?
――動きを妨げる?
――肩が凝る?
――勝手に大きくなる?
――あまつさえ、邪魔だからそれを切除?
この瞬間ルナアイズは、一国の皇族という恵まれた環境に育ったはずの彼女には本来無縁であるはずの感情を知った。
それは即ち――
特出した魔力に目覚めた姉に対し自分は全くの非伐刀者と判明した時にすら湧かなかった負の感情が、今この瞬間は沸々と溢れ返っていた。
何というか、今なら富を独占する貴族達に反逆かました革命家達の気持ちが分かりそうだ。
「フ、フフフ……フフフハハハ……!……フフ、流石は赫焔の戦姫、言うことが違うなあ……」
「…………」
戦姫とまで呼ばれる姉をもあしらっていた悠然さはどこへやら。肩を震わせながら不気味な笑い声を上げるルナアイズ。
そんな妹も唐突な異変に、流石にソルレイアも怪訝な表情を浮かべて身構えてしまう。
すると、
「ああところで姉上」
「……何だ――」
尋常には程遠い様子を見せていたルナアイズが、実に朗らかな笑顔を浮かべる。ただし目は全く笑っていない。
そんな妹を警戒しつつ応じたソルレイアだが、次の瞬間――
「最近は愛しの『至高の君』とは会えているのかな?」
「なぁっ⁉︎」
――その冷厳とした顔を崩落させる事となった。
「な、なっ……!」
――恐らく、今この瞬間のソルレイアの顔を他の人間が見たらば、先ず彼女を偽物ではないかと疑うだろう。
目は見開かれて真紅の瞳は動揺で揺さぶられ、煙草を加えていた口は絶句により大きく開いている。
頰は見る見るという程度ではなく一気に紅潮して赤く染まっていた。
「ハッハッハッ、何をそう動揺しているんだソルレイア。他愛の無い姉妹でのガールズトークという奴だよ姉上」
「ル、ルナアイズ貴様……!」
そんな、普段は決して見せないであろう反応を顕にした姉に、ルナアイズはどこかわざとらしいと言うか白々しい口振りで語り掛ける。
なお、やはり目は笑っていない。というか心成しかその細められた瞳は、さながら光が差し込まない闇黒の如き暗さに染まっているようの見える。
そしてそんな妹の発言にソルレイアはこの上ない程に狼狽え、動揺のあまり言葉すらまともに紡げずにいた。
――端的に状況を説明するなら、これはルナアイズのソルレイアに対する仕返しだ。
本来なら人の秘密を持ち出すような事など決してしない高潔な精神の持ち主でありルナアイズだが、今回この場においては理性よりも怒りが上回っており、歯止めというものは働いていない。
そしてルナアイズが口にするソルレイアの秘密とは、とどのつまり――
「いやしかし、誰も想像すらしないだろうなあ。まさか赫焔の戦姫と恐れられる我が姉ソルレイア・ヴァーミリオンの初恋の相手が『夢の中の人物』だなどと――しかもそれで未だに恋患っているなんて、いやいや、まるで少女漫画の主人公みたいな乙女ぶりじゃないか!」
実にわざとらしく、これ見よがしに言ってのけるルナアイズ。どう見ても確信犯である。
そして、話題の当人であるソルレイアはと言うと――
「ッ~~~~~~~~‼︎‼︎」
――有り体に言って、爆発していた。
羞恥と憤怒、爆心となった二つの感情により顔は先程まで以上の紅へと達し、ともすれば彼女の真紅の髪にすら色が近づいているように思えてしまう。
全身には小刻みな震えが起きている。寒さや怯えといった普遍的な要因によるものなどではなく、限度を超過した怒りによるものであることは状況からして明白である。
早い話が、『ソルレイア様激おこプンプン丸』である。
――そんなソルレイアの反応で分かる通り、ルナアイズが語った事は全て偽り無い事実だった。
既に言及した、ソルレイアの伐刀者としての覚醒とそれに伴う病臥。それに際し、ルナアイズは家族として双子の妹として、容態が安定した頃に一人姉の寝所を訪ねた。
その時は誰も付き添わず姉妹だけとなり、そしてそれはルナアイズが姉の決定的瞬間を目の当たりにする無二の機会となった。
「その時のお前の、あの表情と言ったら! 私が覚えている限り、あの時だけだぞ? お前があんな愛らしい顔を見せたのは。
寝言では『我が君』と何度も何度も。しかも数年後になんとなく思い出して聞いてみれば、それだけで顔を真っ赤にする。
いやはや、我が姉ながら実に乙女な――」
「――黙れ」
(……あ、マズい。やり過ぎた)
――朝調子に乗って饒舌に喋っていたルナアイズだが、そこでようやく目の前にいる姉の変化に気づき、自身がやり過ぎた事に気づいた。
しかし既に時遅し。
掲げられた右手には何もかもを燃やし尽くすかのような炎が灯されており、全身からは熱を伴う魔力が溢れ出ている。
――もう一度言おう。激おこである。
「……なあ姉上」
「何だ愚妹」
「一応聞くんだが、可愛い妹のおふざけということで穏便に済ませる、という選択肢は?」
「安心しろ、穏便に済ませてやる――殺傷沙汰にしないのでな」
(あ、駄目だこれ)
怒りに引き攣った不自然な笑みと細められた双眸が、もはやとりつく島の無い状況であることをルナアイズに悟らせた。
というか、先程までは感情に任せてすっかり忘れてしまっていたが、以前この話題を持ち出した時も顔を真っ赤にした姉に炎で追い回されていた。
が、どの道後の祭りである。
そう悟り、フッと締観の笑いを浮かべたルナアイズは自身に制裁を下さんとする姉と向き合い、せめてもと最後の一言を口にした。
「――もっとそういう表情も見せた方が可愛いげがあると思うぞ? ソラ姉♪」
「ッ~~~~!!」
ブツッと何かがキレる音をルナアイズが耳にしたのは、怒り羞じらう姉の掌が迫る直前であった。
――それから程なくして、突然響き渡った絶叫を聞きつけた衛兵が皇宮の屋上へ駆けつけてみれば、黒焦げ気味になって倒れてい第二皇女を見つけたとか。
――なお。
「あ、ソラ姉おかえりー……って、どうしたのソラ姉?顔真っk」
「やかましいいつまで休んでいる気だちゃっちゃと動かんか馬鹿娘がぁぁぁぁ――――――!!!!」
「うわひゃあぁぁぁぁ~~~~!?!?!?」
そのとばっちりを受けた末の第三皇女が、まだ紅潮した顔を戻せないままの長姉に炎で追い回されたのは余談である。
† † †
「はあ…………」
気重な静寂に包まれた室内にシリウスのその溜息が零れたのは、既に吐いた息の回数が十に達しようという頃だった。
「パパ~? そんなに溜息ばっかり吐いていると幸運が逃げちゃいますよ~? 日本の諺にもあるでしょー?」
「溜息くらい吐きたくなるわい。はあ……いつからああなってしまったのかのぉ……」
そう憂鬱げに口にするのは、つい先程まではこの場にいたソルレイアの事に他ならない。
そんなシリウスの呟きに、妻であり母であるアストレアはというと。
「んー……いつからと聞かれたら、『最初から』としか答えられないかなぁ」
苦笑気味にアストレアが口にした言葉は巫山戲たものでも何でもなく、母親である彼女からして見た客観的事実。
我が身で産み育てた子だが、正直なところシリウスよりも愛情と手塩を掛けた自負のあるアストレアからして、ソルレイアという娘は手間の懸からない、憚らず言えば育て甲斐の無い子供であったと憶えている。
流石に赤ん坊の時などは、人生で初めての子供でありルナアイズとの双子ということもあって相応に苦労したのだが、それも幼児と呼べる段階になるとそうでもなくなってしまった。
一つの事を教えれば連鎖するかのように他のことも学び、そしてアストレア達がどうこう教えなくとも大抵の事は一人で見聞きして覚えてしまう。
それを世間では天才だの神童だのと呼び囃したものだが、親としては寂しいやら不甲斐ないやらと思わずにはいられない程には、ヴァーミリオン夫妻は目出度い人間ではなかった。
事実、その結果として今の打ち解け合えない親子関係が出来上がってしまったのだから、当事者としては笑い話にもならない。
「ルナちゃんも大人びた子だけど、あれはソルレイアちゃんの影響でしょうしねぇ。
うーん、こうなるとソルレイアちゃん大好きっ娘なステラちゃんなんかは――」
「――ぃぃぃぃいやぁぁぁぁ~~~~!!!」
妻の言葉で
そんな有り様を見て、アストレアは「あらまあ」と苦笑を浮かべる。
「え、縁起でもないこと言わんどくれママ!」
「もーパパったら。冗談よ、冗談♪」
「洒落になっとらんぞぅ!?……はあ~……」
再び、何度目になるか分からない溜息を溢して、シリウスは消沈とする。
そんな夫を宥めながらアストレアが再び思い浮かべるのもやはり、手は懸からなくとも他の娘達より気を懸けずにはいられない長女の事だ。
何故ああいう風になったのか――そんな疑問を抱いているのは、アストレアとて同じだ。
「……うん。私だってもう何度も考えた事だもの、パパの気持ちは良く分かるわ」
「…………」
「でもね? それでも今は見守ってあげたいって思っているの」
そう告げるアストレアの顔は、あるいは慈母と称すべき穏やかさと優しさが表れている。
「あの子が何を見ていて何を思っているのかは、私にも分からないわ」
言ってから、「親として情けないことこの上無いけどね」と哀切を含んだ言葉を冗談めかして挟み、
「けれど、あの子はあの子なりに、自分がすべきだと思った事をしているんだと思うの。……親としては、まだ子供なんだから『すべき事』じゃなくて『したい事』に熱中して欲しいのだけど」
性格も価値観も、あまりにもかけ離れている親子。険悪でこそなくそれなりに触れ合えるものの、決して分かり合えているとは言えない関係――その目には見えない垣根を、親の愛情や血の繋がりだけで軽々と乗り越えられると宣う程、アストレア達は傲慢ではない。
だから――
「だから、今は見守っていてあげたいの。あの子が見ているものや、考えて感じていることを私なりに理解して、ちゃんと分かち合いたい――って」
そう語るアストレアの顔に浮かぶのは、母親としての慈しみに満ちた表情で、その言葉が真実本心である証左だろうか。
長く連れ添っている夫のシリウスには一目でそれが理解でき、彼は吐き出しかけていた溜息を腹の底へと飲み込んだ。
「……『あの時』も同じことを言っとったな、ママは」
「フフッ、そうだったわねー」
そう思い浮かべるのは2年前、元服を果たしたソルレイアが軍への入隊を告げた際の事
。
入隊の可否を巡って勃発しかけた父と娘の伐刀者対決は、母の執り成しで未遂に済んでいる。
「それで言いくるめられて、結局認めるしかなかった訳じゃが」
「だってー、そうしていなかったらパパのヴェリー・ウェルダンが出来上がっちゃいそうだったんだもの。ソルレイアちゃん割と本気だったし。
パパの事は世界の誰よりも愛してますけど、焼いて食べちゃうなんて猟奇的なことは考えませんよ~?」
「……………………」
朗らかな笑顔で言う妻に、しかしシリウスは返す反応を詰まらせ、顔を引き攣らせる。
相思相愛なヴァーミリオン夫妻だが――あるいはだからこそか、アストレアの嫉妬は凄まじい。ほんの少し他の異性との距離が近くなるだけで妻の琴線に触れてしまい、割と本気で命の危機を覚えた記憶がこれまで一つや二つではないシリウスであった。
流石に三児の親にまでなっている今では、そうした妻の
しかし迫られる方からしてみれば、慣れようが内実がどうであろうが恐いものは恐いのだ。
試しに想像してみる。
天地神明父祖に誓ってあり得ない事態だが、万に一つ、何かの手違いで浮気と断じられた
そんな己を、瞳光を無くし見開かれた双眸で見据えながら、狂気の笑みを浮かべては追いたてる
そして伐刀者であるはずの自分は、しかしその追跡から逃れきれずやがて追い詰められ、遂には彼女の手に握られた凶器で……――
――パパァ~? 私と一つになりましょう♥
「……パパ?」
「ひっ。何でもないですハイ」
――と、思わず脳内で繰り広げてしまった恐ろしい妄想は、しかし現実からの呼び掛けにより中断された。
……それでもシリウスが現実の方の妻に妄想の中でのあの狂い病んだ笑みを幻視してしまったのは、現実も割と大差無いものであるからだろうか。
ついでに、にっこりと浮かべられた愛らしい微笑みがひどく恐ろしいものに感じるのも気のせいだろう。
……そういうことにしておかなければ、また新たに命の危機を身に憶える破目になるぞと、10年以上の
――閑話休題。
「……まあ確かに、今は見守るしかないけえのぉ……」
そう語るシリウスは、しかし口にした言葉ほどに潔い様相でもない。
するとそんな夫の意図を察し、アストレアは再び苦笑を浮かべるしかなかった。
「ソルレイアちゃん、大活躍してるものねぇ」
「むぅ…………」
そうアストレアが言い表せば、渋い顔をしていたシリウスはいよいよ苦々しさをふんだんに含んだ顔になる。
シリウスは今でもソルレイアの軍属には反対している。かつての妻の執り成し―と、「このままだとソルレイアちゃん、絶縁して国を飛び出ちゃうかも?」というアストレアの
何もシリウスが軍人嫌いということではない。ただ単に、愛する娘には鉄火場になど身を置いて欲しくないという、親としてのごく当たり前な
ましてや、規定に則って元服しているのならまだしも、12歳という身空から娘の社会的自立が認められてしまったのだから、普通どころか子煩悩を年中抱えた重度な親バカであるシリウスは堪ったものではない。
――なので娘の身を案じる
というより、それがシリウスから提示した入隊の条件に他ならない。
第一皇女としてなら下剋上上等とばかりに情け容赦も遠慮もないソルレイアだが、ヴァーミリオンの軍人としては最高指令者である皇帝シリウスに対し忠実な配下に徹している。
道理の無い無茶苦茶な命令でも言い渡そうものならクーデターくらいは引き起こすかも知れないが、そこは流石にシリウスも一統治者として最低限の良識は備えており、またストッパーである妻の働きによりそんな事態には及んでおらず、結果、こと親子ではなく主君と臣下としての関係では凡そ順当だ。
なので、歴とした所以に基づいて辞任を命じればソルレイアはそれに従うだろう。
――もっとも、それはできていればの話だが。
「この前もクラウスさんに伺ったら「私が引退しても問題は無いようです」なんて言われちゃうし、シグナードもソルレイアちゃんにぞっこんだし。ダンも「いよいよ剣術でも追い抜かれそうです」って苦笑してましたよ?」
名前が出た順に、それぞれがソルレイアの所属する基地の司令官にソルレイアの教導を担当していた軍の上級将校、皇室の剣術指南役で、何れもが少なくない影響力を持っている人物達だった。
「えぇい、どいつもこいつもほだされおってからに……!」
「パパも本当はちょっと嬉しいくせにー」
「喜んでなんかいーまーせーんー!!」
――というのは簡単な話で、ソルレイアは現在進行形で非常に優秀な軍人としての成果を出し続けており、シリウスらがどうこうできる口実が無いのである。
伐刀者としての単独戦闘や指揮官としての部隊運用と教導、軍内における体制の強化・改善など、僅か2年の間でソルレイアが皇国軍で成した功績は数多ある。
元々欧州でも規模こそ小さなものの精鋭と評されているヴァーミリオン皇国軍が、その2年で更に錬度と評価を高めている事。それが、全てではなくともソルレイアの影響によるところが大きいことは自ずと察せられた。
――とどのつまりが、今のところシリウスにはソルレイアを軍から遠ざける正当な理由が無いのだ。
それどころか、一個人としては厳格に過ぎるソルレイアという性格も、軍という環境に置いてはプラスに働いてしまう辺り、シリウスとしては甚だ認めたくないことながら、ソルレイアという人間にとって最適の職場だったらしい。
おまけに言えば入隊した当初など、ただでさえ皇族への忠誠心が平均で高いヴァーミリオンの軍人達が、その第一皇女と職務寝食をほぼ共にするとなってテンションがそれまで以上に上昇、しかも若者の軍への志願率が劇的に高騰してしまうなど、笑うにも笑えない有り様だった。
まあもっとも、あまりに厳格なソルレイアの教導に彼女を慕って集った兵士達がしかし9割以上脱落してしまい、程なくして元に近い状態へ戻ったのではあるが。
「というか、理由があっても下手に辞めさせちゃったりしたら暴動起きるんじゃないかなぁ」
「……あぁ~っ!! 何なんじゃこの国!みんな皇族好きすぎじゃろ!?」
「それ、パパが言いますー?」
しれっとアストレアの口にした光景。その有り様があまりにも容易く想像できてしまい、頭を抱えてシリウスは悲鳴を上げる。そしてそんな彼に向けられる周囲の侍従達の視線に含まれていたのは、呆れか憐れみのいずれかであった。
――皇帝の威厳? いざという時に発揮できれば問題ないのではなかろうか。
――まあ何にしても。
とどのつまりが、シリウス・ヴァーミリオンに打てる手は今のところ無い訳で。
「そういう訳だから、今は静かに見守ってあげましょう?
きっと大丈夫。だって、私とあなたの子供だもの」
朗らかな笑みと共にトドメ代わりにとそう言われれば、妻にも娘達にも弱い夫が取れる行動など、一つしかなく。
「……はあ」
遂に十回目を迎える溜息を、口にするばかりだった。
――とある愚かな賢者は、こう語ったそうだ。
人間には何時だろうと時間など無い。
だのにすべき事を先送りにして、そして後悔するのだ――と。
彼らがそうなるかどうかは、これから程なくして判る事。
――まあ、
今回の内容は大まかに、オリジナルキャラのソルレイアと原作キャラであるルナアイズの絡み、そしてソルレイアに対するヴァーミリオン夫妻の心持の描写の二つが主題です。
ある程度書いてから「親でも無い奴が親の心境なんか書けんの?」と思って悩んだ挙句にこのザマですOTL
■ルナアイズ
▼原作でおなじみのルナ姉さん。ソルレイアが少佐殿なので自然とこちらはリザさん。同じモチーフを持つ瑞輝が『Dies本編のリザ』であるのに対し、こちらは『エレオノーレの友人』だった黎明期のリザです。なので孤高な彼女とも一応は遠慮なく触れ合える。
▼実のところ作者は最新刊を買わずにこの話を書いているので、この物語で描かれるルナアイズさんは今のところは原作10巻で初登場した彼女の言動に作者のオリジナリティを加えた半オリジナルキャラとなっています。
え、なんで買わないかって? 昼飯代と共に全部石になったからだよ(目逸
▼原作での設定は確認していませんが、この物語では非伐刀者です。これは確定。ソルレイアという存在を考案した時点から、その双子であるルナアイズには魔力を持たないただの人間としての視点を持ってもらうことにしていましたので。
▼多分現時点では、ただ一人ソルレイアと本当に対等に触れ合える存在です。もちろん魔力とかそういうものではなく、精神的な意味で。
なので、ソルレイアも無意識の内にルナアイズには緩んだというか彼女なりの砕けた振る舞いを見せます。ちゃんと描けているのかしらん;
▼オリジナル部分でのモチーフはリザさんですが、うん、まあ……原作でもここでも書(描)いた通り、ナイです。はい。
……姉より優れた妹などおらぬぅ!!!(ヲイ
■しすたーずとーく・いん・ヴぁーみりおん
リスペクト元だと真逆なのにn(発火
ルナ姉がステラばりのプロポーションだったら多分ソラ姐も忠実にリスペクトされていt(燃焼
■夫妻の語らい
▼書いてから「これなくてもよかったかなぁ」と思った内容; そもそも一巻分しか人物像把握していないくせに何故色々喋らせようとするのか(自責
▼彼らのパートで語りたかったのは、主に前回の話でも描いた親子の溝とそれに対し苦悩する両親……だったのですが、何やらぐだぐだな感じに; あとソルレイアの背景語りも多くしすぎてくどくなってしまった;
▼最初は姉妹に相対するようにシリアス100%で行こうかとも思いましたが、原作のアレな夫妻がそれを許さなかった(ヲイ ダカラワタシハワルクナイ。
■最後の
▼一体どこのウザニートなんだ……
▼台詞の引用は小説版メタルギアソリッド4から。『賢しい愚者』と『愚かな賢者』のどちらにすべきか割りと悩んだりとかはそれこそどうでもいいこと。
という訳で今回は4ヶ月ぶりの更新となりました。申し訳ない限りです。
さて、前書きでも書き記しましたが、然るべき要望である戦闘シーンは後一話、朱羅篇の一旦の幕引きの後に描こうと思います。もちろん統真達主人公サイドの方で。
というかバトルものが原作なのに何で今までまともなバトルが一つも無いのかと、今更に自分に呆れています OTL
次回の更新も全くの未定ですが、どうぞ今後もよろしくお願いいたします。それでは。