本日は自由行動。
明日の夕方には石矢魔に帰る。
今日中にお土産を買わなければならない。
知り合いがどっと増えたからな。
どこから聞きつけたのかメールがいっぱいだ。
というかメールアドレスもいつ手に入れたんだか……
とりあえず午前中は美ら海水族館だ。
ツッコミの仕事は夏目先輩に任せて俺も羽を伸ばすか。
自由行動と言ったがみんな結局どこに行くか決めておらず、美ら海水族館にフルメンバーがいた。
そしてクイーンと男鹿とヒルダ3人が並んで歩いている。
まるで両手に花だが、トライアングルの修羅場なんだよな。
寧々さんとオータム、パー澤さんは草陰に隠れて観察している。
寧々さんは純粋に男鹿との恋愛を応援しているが、他はこのドギマギしている光景が可愛いのでずっと見ていたいタチ悪い人達だ。
なので、
「せっかく沖縄に来たんですからどっか回りませんか?」
「「「うわっ!!」」」
後ろに回りこみ、話しかける。
「……って古市じゃない」
「邪魔すんなー今ウチらはこの光景が見たくてなー」
「言っちゃなんだが、結局進展しないと思うぞ。デバガメしないで普通に……」
「あ!ラブコメ番長!」
「こんのっ……色ボケ野郎がっ!!!」
男鹿が殴られ、吹き飛ばされる。
吹き飛ばされるっていったってちょっとだ。
東条先輩の時みたいに有り得ないくらいではない。
「てめーどーゆーつもりだ!!こんなキレーな姉ちゃん侍らせやがって!?どっちが本命だ!!どっちが好きだって聞いてんだよ!!!」
いきなりド核心を……
何も分からない、弁解もしないヒルダさんと恥ずかしさと焦りで顔が真っ赤のクイーン邦枝。
さすがラブコメ番長。
下手したら全てを崩壊させるパンドラの箱を躊躇無く、開け放った。
3人はワクワクしているが、ラブコメ番長がいるとおり、この場はラブコメだ。
その答えが聞き出せる可能性の方が少ない。
男鹿は呟こうとしたが、
「ダメーーーーーっ!!!!」
そこら辺にあったサトウキビでクイーンに百華乱れ桜を決められ、先程殴られた時より吹っ飛ぶ。
男鹿は何故?と考えているだろうがそれはお前のせいだからな。
「やっぱこうなったか……」
「でも、このドギマギが……」
「うんうん」
「アンタたち……」
その後はイルカショーでのベル坊を挟んだ修羅場と喧嘩未遂があったくらいで何事も無かった。
その後国際通りに場所を写し、お土産めぐりとなった。
「あれ、パー澤さん」
「あ、フルチン。どうしたんすか?迷子スっか?」
「いや、普通に1人でおみや巡りですけども。そっちは迷子でしょ」
「だ、大丈夫ッスよ!こんな時こそケータイっス……って神崎先輩の番号知らねぇ!!」
「いや、ふつーにさっきの仲間にしろよ」
神崎先輩の姪っ子、二葉ちゃんに冷静に言われる。
「おお!それっす!流石神崎先輩の姪っ子!」
「お前……パー子だろ」
こんな、小さい子にもパー子呼ばわりとは。
そんな俺たちにチンピラが近づいてくる。
「どーも、チンピラですよー」
「お前らにはアイツらの餌になってもらうぜ」
「ゲッ」
ズカズカと近づいてくるチンピラと2人の間に入る。
「あ?なんだてめー。こっちは小さい子いればいいんだよ。お前みたいな金魚のフンヤローここで凹ませて……」
口を掴む。
「ギャーギャーやかましいんだよ」
そのまま万力のように締め上げる。
ついには痛みで気絶する。
手を離すと落下し、倒れる。
「こ、こいつっ!!」
「1人なら行けるだろ潰せれっ!?」
喋らせないで殴る。
顔に残ると面倒だから腹に。
数はいるから面倒だな。
国際通りは人が多いから、通報されると面倒だ。
「お前らさっさと帰れ」
「ここまで来て帰れるか!!」
「そうか。じゃあ、1発ずつ殴るから動かないでくれよ。早目に終わらせたいから」
「誰がテメェの言うことなんか!?」
チンピラ達は動けなくなる。
まるで身体が痺れ、麻痺しているかのように。
「あんがとさん。じゃあ行くぞ」
「てめぇ、何しやがった?」
「答える義務は無い」
全員沈めて、路地裏に捨ててくる。
「お待たせしました。あと神崎先輩の番号は俺知ってるのでここで待ちますか。パー澤さんは電話お願いします」
「フルチンつえー!」
「お前なかなか強いな!!舎弟にしてやる!」
「フルチン呼びしないでください。下ネタっぽい響きが嫌いなんです。二葉ちゃんが真似したらどうするんですか?」
「フルチン、肩車しろ」
「言ってる傍から……呼び方訂正したらします。訂正しなかったら先輩の家に届いてるプリンが次から届かなくなります」
「あれお前が作ってんのか!!スゲーな!お前は舎弟3号に格上げな!!えーと……」
「古市です」
「じゃあ、肩車しろ!古市!」
「はいはい…」