銀色の契約者   作:飛翔するシカバネ

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三十二将 友人とバレーボール 練習編

悪魔の力を使わない事をお願いしてきた俺は教室に帰ってきた。

 

すると教室には制服を着たヒルダさんがいた。

 

まあ、教室入る前から中学生みたいなノリが聞こえてたからなんとなく想像ついてたけどね。

 

「どうしたんすかこれ?」

 

昨日まで丸刈りの先輩が座っていたはずの席に座っているヒルダさんに話しかける。

ちなみに丸刈りの先輩は後ろの方に座っている。

 

「少々思うところがあってな。今の私は男鹿の従妹で名門私立からの転入生という設定になっている。それに私だけではない。アランドロンも来ておるぞ」

 

一応理由を聞いたがはぐらかして教えてくれないのでとりあえず頷いておく。

 

 

 

 

次の日

 

 

「みんな!学園祭の競技が決まったわよ!」

 

烈怒帝瑠のメンバーが廊下を走って教室に入ってくる。

 

「競技は……バレーボールです!!」

 

やっぱり、バレーボールか。

予想通りという原作通りというか。

人数的にピッタリだしな。

 

というか謎テレパシーのお陰かこの空間に宇宙が出来ている。

ハレー彗星やらブラックホールやらビックバンやら。

意味分からん。

 

そして何故か謹慎処分の筈の邦枝先輩がいる。

今日も佐渡原先生は腹痛で休みだし、謹慎がバレないって素晴らしいよね!

 

 

放課後。

 

 

やはりというか当然というべきか。

退学組は俺と男鹿、そして邦枝先輩だけだった。

 

「とりあえず練習だけしましょうか。男鹿、お前攻撃とか練習したいだろ。トスしてやるからアタックしてみろよ」

 

いないものはしょうがないので男鹿とペアで練習を始める。

俺がトスしたのを男鹿が気持ちよくアタックする。

それを俺がレシーブしてまた男鹿がアタックする。

その繰り返しだ。

 

その間に女の子達が会話をしてる。

おっと悪寒が。

怖いね、触れないように淡々と練習を続けますか。

 

 

 

 

 

 

その晩

 

明日の朝ごはんの下準備をしていたはずだ。

 

目の前には軍曹と書かれた服を着たキャタピラ兎が目の前で稼働している。

 

俺の今の姿は制服にエプロンをしている。

その上から拘束具をつけている。

 

周りには同じように拘束具をつけられた先輩方と黒焦げた男鹿がいる。

 

全員そろうとヒルダさんが出てくる。

 

 

皆、抗議を上げるが文字通り一蹴される。

 

 

というかこれってやる気の無い人たちをやる気にさせるための集まりだから、そこそこやる気のある俺はいらないんじゃないかな?

まあ、俺だけいないのもどうかと思うからいいけどね。

 

いいんだけどね……何で挑発の映像のアテレコ、俺のは無いの?

俺呼んだ意味無いじゃん。

 

アテレコだから言われてないのは分かるけど、本当に忘れられてそうでムカついてきた。

 

 

そして次の日

 

 

案の定挑発に乗せられた人たちの練習がスタートする。

 

リベロを決めたり、

MK5を瞬殺したり、

姫川先輩のリーゼントを下ろしてイケメンの姫川、通称イケ川を召喚したりした。

 

その騒動中に俺と男鹿は休憩を兼ねて外に出る。

 

 

「古市……言ってもいいか?俺、何してんの?」

 

「何ってバレーボールの練習だろ。退学をかけた真剣勝負という名の何かだろ。どうせお前のことだ、喧嘩出来ないから嫌だってだけだろ」

 

「よく分かってるな、古市。そうだ、俺はあのチビをぶっ飛ばしてーだけなんだよ。退学なんてどうでもいい。俺は喧嘩がしたい」

 

「でも、退学になったら流石に美咲さんにデンプシーロールを叩き込まれるだろ」

 

その言葉に一瞬硬直する男鹿。

 

因みにデンプシーロールとは上半身を8の字を横にした起動で振り続け、身体が戻ってくる反動でパンチの連打を叩き込むパンチの事だ!

 

 

ズパァッン!!!

 

そこに響く破裂音。

 

振り向くとそこには古びた道場のような物が見えた。

中を見ると三木が柔道着を着て鍛錬している。

 

三木の前には破壊されたサンドバッグ。

道場内には同じように破壊されたサンドバッグが散乱している。

 

 

結局手合わせという感じで男鹿と三木は戦うことになった。

 

漫画ならここから回想編に行くのだが生憎そんな事はやらない。

俺はあの時の事を覚えているし、それを今更三木に伝えるつもりも無い。

それが勘違い基い、逆恨みだとしてもだ。

それを伝えればこんな事をする意味も何も無くなるが、あの時起こったことをもう少し深く調べなかった三木も甘いし、伝えたら奈良に行っても仕返しする可能性を考慮した俺たちがいう訳にもいかなかった。

 

何より男鹿は伝える気は微塵もない。

なのにそれを俺が伝えるのも変な話だ。

 

しかし、諫冬ちゃんのことは誰か教えてください。

幾ら考えても思い出せないのです。

 

ちゃん付けで呼ぶのが悪いのかな?

諫冬さんのがいいかな?

 

なぜか、寒気がしたのでちゃん付けにします。

 

 

 

戦いは三木の方が優勢だった。

努力を続け、技を磨いて、ただ一つ男鹿より強くなる事を願い鍛錬し続けた。

頑張っただろう。

 

まあ、ツンデレだな。

男鹿より強くなって背中を預ける存在になりたい。

一途でその為に努力を惜しまない。

男鹿みたいなタイプにツンデレは仲が進展する事は滅多に無いだろうがな。

 

俺も男鹿の隣で戦い、あいつを1人にしないという願いがある。

だから否定はしないが、それが正しいとは言わない。

いや、正しいだろう。

しかし、正しいだけでは男鹿の横には立てない。

 

だからこそ、俺は……原作ではあんなもの(ティッシュ)に手を伸ばしたのだろ。

そして俺も()()に手を出している。

 

どんなに努力して技を身につけようがそれを凌駕するアレを。

チートだなんだ言われても構わない。

 

とまあ、色々と考えていたら戦いも終局だ。

 

三木が奥義を決める。

それをモロに食らった男鹿は意識はあるものの立ち上がる事が出来なかった。

誰がどう見ても火を見るより明らか。

 

 

三木の勝ちだ。

 

 

 

 

 

体操服のままだったので着替えて、先輩達に謝って帰宅した。

 

夕暮れの中の川原を歩く。

 

 

川原の横にたこ焼き屋を見つける。

そこには見知った人物がたこ焼きを売っていた。

男鹿は店の前に向かっていった。

 

「らっしゃい」

 

「てめえ、いくつバイトしてんだよ」

 

「こいつは珍しい客が来たもんだな。何にするよ?」

 

「………喧嘩、しようぜ」

 

「ああ?………そいつは高ぇぞ?」

 

バイトの鬼、東条先輩だった。

 

「俺はたこ焼き2箱ください」

 

とりあえず俺はたこ焼きを買った。

 

 


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