俺の見た目は一般生徒に近いからこっちの聖石矢魔の自販機来ても特に言われないな。
こっちの自販機はオレンジーノの缶タイプが売っているんだよな。
ペットボトルタイプとは同じのはずだが炭酸が強い気がする。
「古市君、久しぶり。てゆーか俺の事憶えてる?」
缶の蓋を開けてると後から声がかかる。
「お前……三木……?」
「本当に久しぶりだね。一人かい?男鹿も一緒だと思ったのに………残念……」
「おー三木か!久しぶり!!そっかーお前この学校だったのか。雰囲気違うから最初分かんなかったよ。硬中以来だな」
三木の肩に手を置く。
しかし、三木は手をはねのける。
「君たちの方は相変わらずのようだね。どこへ行っても噂が絶えない。校舎を壊したんだって?」
「いや、俺は壊してない。あいつといるだけで俺までA級戦犯扱いだ」
「2人はいつもつるんでたもんね。古市君の成績なら普通にうちの高校でも受かったろうに」
「いや、受かったよ。けどね、無くなったんだよ」
「ああ……なんとなく分かったよ」
「……お前……変わったな。昔はおどおどしてたと思ったけど……モテるだろ?」
「全然」
「いーやモテるね。まあ、しかし……知ってるやつがいて助かったよ。正直この学校のアウェー感ハンパなくてさ」
「まあ、不良アレルギーだからね。うちは」
「いや、俺は石矢魔通ってただけであって不良じゃねーって」
「そうだね、でも忠告しとくよ。
この学校の秩序を任されている連中だ。彼等のターゲットは完全に君たちになっている。どっちが強いとかそういう事じゃないんだ。戦った時点で君たちの負けだ。それを教えておきたくてね。男鹿にも伝えてくれ」
帰ろうとする三木に俺は声をかける。
「三木、それは自分の方が男鹿より強いって言いたいのか?」
三木は足を止める。
「なんだ……知ってたのか。それで君はまだ男鹿なんかが強いと思ってるのかい」
先ほどの三木とは打って変わって冷徹な目をこちらに向けてくる。
そんな三木に俺は。
「いや、勝てんじゃないか」
「え?」
「1回は絶対勝てると思うよ」
「1回はって事は2回目があったら僕は勝てないってことかな」
「あいつ負けず嫌いだからな。でも今のあいつなら三木は勝てるよ。けど……」
「けど?」
「……いや、何でもない。六騎聖の事は男鹿に伝えとくよ。じゃあな三木、俺用事あるから」
俺は三木と別れる。
けどの後は別に言わなくていいことだ。
俺は小走りで中庭の方に向かっていく。
そこには頭から血を流している城山先輩がいた。
頭上からはバーベルが降ってきている。
チッ、クズどもが。
ルビ!ライト!力を貸せ!
『『主様の仰せのままに!!』』
ギリギリで俺は城山先輩の背後に移動し、バーベルを空中で受け止める。
「あっははははって……あれ?」
笑っていたがバーベルが空中で止まり驚いている。
俺は空中に浮かせているバーベルを下に下ろす。
「城山先輩何やってんすか?」
「む?古市か……これはケジメというやつだ。邪魔は無用だ」
こんな事されているのに……本当に男前だな城山先輩は。
「それだったら俺も石矢魔なんすからこれでチャラになったんじゃないすか?それより神崎先輩がヨーグルッチ買って来いって。ここは俺に任せて行った方がいいですよ」
当然嘘だ。
でも買っていっても怒られないだろう。
「む!そうかそれは済まない。古市、ここは任せた」
城山先輩は走って行ってしまった。
「アンタも俺を殴れっていうのかよ」
笑いながら聖石矢魔の奴ら、3人が話して来た。
「大丈夫だ。そんな脳筋みたいな事は俺も言わないよ」
「お!じゃあ金でもくれんのかよ」
「いや、そんなものじゃない。もっと素敵な………」
俺は左手を3人に手を向ける。
「素敵な夢を見せてあげよう。目が覚めたら生まれ変われるさ」
「へ?」
「なるほど、有難う。六騎聖の情報助かるよ。それから、今後は真面目に生きるんだよ」
俺は3人を見送った。
さてと、神崎先輩と城山先輩には悪いけど戦争は起こさないとならないからね。
そろそろ城山先輩が教室で倒れてる頃だろう。
神崎先輩を見た時に意識を飛ばすように設定しておいたはずだからね。
『エメラ、頑張りました(*´▽`*)』
俺も騒ぎに乗じて三木の教室に向かうか。
教室には城山先輩にダンベルぶつけた奴はまだ帰ってないし、まあ大丈夫だろ。
向かうか……それにしても。
六騎聖のメンバー変わっていたのは想像ついていたけど、あの子になってるとは。
運命は少しずつ変わり始めている……ということかな?