「魔界に帰る?誰が?」
俺は男鹿の家に呼び出され、いつもの様にゲームをプレイしている。
ゲーム好きな癖に男鹿は割と弱いから同じくゲーム好きの俺が手伝っている。
「医者だよ、医者。いただろ、あの小っこいのとテキトーなヤツ。ベル坊も回復してやる事もねーからな。そろそろ魔界に帰るんだとよ」
「ふーん、
「………さむっ。何あんた、今の。ジョーク?もう一回言ってみてよほれっ。あたし達魔界に帰るんだー」
「ほんまかい。おらっ、言ったぞ。だからさっさと帰れよ」
俺は適当に返事を返す。
「うむ、そのつもりなのだがアランドロンが捕まらんのだ。」
適当なデザインのフォルカス先生が答える。
「一緒に住んでる君なら何か知っていると思ってな」
「えっ?俺の家に住んでるんすか、あのオッサン。俺は見た事無いッスけど」
「そうか……困ったの」
「だったら師匠!今日はやめにしましょうよ」
「ばかもんっ!魔界にも患者はわんさかいるんだぞ」
「呼んでみればよいではないか」
そこにヒルダさんが扉を開け入って来る。
「アランドロンを呼び出す通信機を使っておるのだがさっきから通じん。しかし奴は次元転送悪魔。恐らく近しい者が呼べば飛んでくると思うぞ」
「へぇーじゃあ、アランドローン」
………………
しかし何も起こらなかった。
「来ませんね」
「お兄ちゃん!ちょっといい?」
「あ、ほのか!その前にお兄ちゃんも一ついいか?あの時家に出た変質者のオッサン。あれって結局どーなったんだっけ」
「え……ああ、あのオッサンなら家の物置に住んでるよ。どーなったか知らないけどね」
アランドロン……物置に住んでるんだ………
「ちょっと呼んできてくれないか?」
「嫌よ!あのアランドロンとかいうオッサン気持「およびですかな?」!?きゃー!!!」
ベットの下からオッサンがニュっと出てきた。
凄い鳥肌立った。
普通に気色悪い。
ていうかほのかが近しい者って男に近しいなら(それもそれで気持ち悪いが)まだしも女はアウトだぞ。
あと、手出したら本気で殺す。
「いや、失敬失敬。家族と連絡とってたもので……」
「だから
という訳で……ここは男鹿がベル坊を拾った川原。
妹の件は宿題を教える事だったので夜に回させて貰った。
別れの挨拶は割愛。
「じゃあ、さよーならー」
アランドロンが開き、フォルカスとラミアが入っていく。
俺達は手を振る。
「じゃーな。……そういえば男鹿、ベル坊どうした?」
「ん?……ベル坊?」
ベル坊は転送を始めているラミアの足に引っ付いていた。
ベル坊が魔界に行く、男鹿死亡の図式が成り立つ。
「どこ行こうとしてんだぁっ!!」
俺と男鹿はベル坊を引っ張る。
しかし、ベル坊は全く離さない。
ベル坊こういう時はどこに力があるんだ?っていう位凄いパワーを放つ。
抵抗むなしく俺達はアランドロンにのみ込まれてしまった。
「いてて、どこだ?ここ」
こんな事言わなくても分かっているんだけどね。
ここでまたもや謎テレパシーでほんまかいっていってフラグを回収するんだろ。
俺はあたりを見渡した。
「は?」
そこに男鹿たちの姿はなく、魔界で飛ばされるはずのヴラドの魔境の様な鬱蒼と草木が茂ったジャングルの様な場所でもない。
そこは遺跡の様な場所だった。
そして俺はそこにある檻の中に入っていた。
「ここは……もしかして……」
「あなたは誰ですか!いきなり、目の前に現れて……」
俺は声のした後ろを振り返る。
そこには手に枷を嵌められた一人の女性が座っていた。
原作の流れでは男鹿と一緒にヴラドの魔境につき、アランドロンが再起不能となったためにその娘であるアンジェリカを探すという話だった。
「これは失礼しました。そして一つ聞きたいのですが、あなたの名前はアンジェリカさんでよろしいでしょうか?」
「はい、そうですけど……」
「ほ……」
「ほ?」
「…………ほんまかい」