けんぷファーt!   作:nick

66 / 103
長い間放置してすみません。就活が大変で…
気分転換に書いてみました。

〜前回のあらすじ〜

ログアウト不可のデスゲームに強制的に参加させられたナツルと紅音(変身後)。彼らは始まりの街・ワイナにてギルドで登録をし、晴れて冒険者となった。

〜〜


第58話 Pride

 

「ついでだからなんか依頼でも受けていくか」

 

受付嬢の説明を終えて、仲間(+1)に話しかける。

周りのモブも声をかけたそうにこちらを見ている…だが断る。

 

「他になんかしたいことあるか?」

「あたしは風呂に入りたい」

 

間髪入れずに返答がきた。

紅音…

 

「お前街に入ってからそればっかだな。もう少し現状を楽しめよ」しずかちゃんか。

「うるせえバカ。散々我慢してたんだ、我儘言うな」

 

どっちが我儘だ。

入街の申請もギルドの登録も、必須だから先にやったんだろうが。寄り道はガシャポンと屋台ぐらいだぞ。

 

「瀬能、私も玲を休ませたい」

「まだ固まってんのかよ…」

 

話が難しくて処理落ちした()の手から、アイスが溶けかけて滴り落ちそうだったので取り上げる……びくともしなかった。

仕方ないのでアイスの部分だけを噛り付いて処分しよう。うーんデリシャス!

 

 

両サイド顔面殴られた。

 

 

「なんでゴボッ!」

「変態が死ねっ!!」

 

さらに紅音に追い打ち食らった。痛し。

ちなみに殴ったもう片方は善くん。間接キスくらい多目に見ろよ。

 

「ぐッ……金策もしなきゃいけねえんだがな…そもそも宿って空いてるのか?」

 

ゲーム始まって早三日(もしかしたら四日目)。この世界(VR)内の人間だって利用者はいるだろうし、部屋埋まってんじゃねえの?

 

「……難しいですね。行ってみないと分からないとしか…」

 

使えねーなこのダメ袋が。

 

「あー…じゃあこうしよう。二手に分かれて片方は宿を取りに行く、もう片方はこのまま依頼を受ける。どうだ?」

 

これなら休む所を確保した後、またここに戻ってくるとか二度手間を踏まずにすむ。我ながらいいアイディアだ。

なんでこんな仕事を受ける事に執着してるのかさっぱり分からんがな。

 

「二手にって、組み合わせはどうするんですか?」

「宿探しはお前ら全員で行っていいぞ。依頼は俺一人で受ける」

 

なんかもうメンドイからそれでいいや。

街中でならそんな大規模戦闘とか、デカいイベントは起こらないだろうし。

 

「君一人で大丈夫なのか?」

「大丈夫だ…問題ない」

「エルシャ◯イ!?」

 

あなたイーノックでしょ?ねえ、どうしてずっと黙ってるの?

 

 

「だっ、ダメだよそんなの!」

 

 

ナン…! じゃなかった。指針が決まってさあ行動しようとしたら、玲ちゃんがいきなり大声を上げる。

 

「玲ちゃん…?どしたのさいきなり」

「ナツルくん一人だけで行動するなんて…危ないよ!」

「大袈裟な…街中で出来るもんしかないだろ」まだFランクだから。

 

 

「いきなり薄くて丸いパンに足元をすくわれてトマトとチーズに捕まって熱々のオーブンに監禁されちゃうかもしれないんだよ!?」

「街中で んなピザみたいな目に合わされてたまるか」

どんな事態想定してんだこの子は。

 

玲ちゃんにとって俺ってサラミかなんかなの?

 

 

 

     ☆     ★     ☆

 

 

 

ワイナ中心部、大通り。

 

あの後話し合った結果、俺と玲ちゃん(と従魔のルナ)、善くん・紅音・袋でグループに分かれてクエスト消化と宿探しを行うことにした。

 

パーティー組んでるから離れていても居場所が分かるみたいなので、宿が見つかったら向こうから連絡してもらう手はずになってる。

紅音はしないだろうからきっと善くんから来るだろうな。

 

そんなわけで、三人並んで移動中。

 

「はいルナ、あーん」

クルルルルッ!

 

隣には頭を並べて歩いているダチョウ(っぽいなにか)似の大型鳥類に、楽しそうにたこ焼きをあげる少女の姿が。

 

食うもんなくなったらまた暴走しそうだからやめてほしーなー。

 

「さて、宿が決まる前にいくつか終わらせとかないとな」

 

クエストは複数をいっぺんに受けるとか出来ないみたいだから、その前に連絡来そうだけどね。

でもきっと、クエスト達成するより先に宿が見つかったら「役立たず」とかヤジが飛んでくるだろな。赤い狂犬から。

 

それはそれはとてもとても腹が立つから、なんとしても完了させようと思う。マジで。

 

「じゃ早速、今回の依頼について発表したいと思いますっ」

「おーっ!」

クルルルルルルルッ!

 

玲ちゃんがパチパチと拍手を送ってくれる。うん、ノリのいい子は好きさ。

 

これが紅音だったら、ギルド出てしばらく歩いてるのに早速はねーだろとか。今さらだろ遅いだろと暴力(ツッコミ)が飛んでくること間違いなしだ。

…おかしいな?ちょっと物足りないとか思ってる自分がいる。

 

「内容はこちら。えーっと…『猫をどうにかしてください』」

「おーっ!猫さん!」

 

受注した際に渡された依頼書を読み上げると、嬉しそうな合いの手が上がる。

 

うむ、いい返事だ。

 

「玲ちゃん猫好き?」

「うん!可愛いから好き!」

 

儂もじゃ、儂もじゃみんな。

 

「犬も好き!可愛いから!」

「君とは相入れそうにないや」

 

浮気者が!




■大丈夫だ…問題ない
 直後に袋くんがネタバレしてるけど、エルシャダイです。
 イーノックは主人公。ナン…はナンナで、物語のヒロイン?

■儂もじゃ、儂もじゃみんな
 バキ。地下トーナメント編で御老公が観客に言った台詞。
 最近のバキはバッサバッサと人が死ぬけどいいのかな。


玲ちゃんがアホな子になってる…あんまり間違ってないとも思うけど、性格把握のためにペルソナQをやり直した方がいいかな。
…作者がただ単にやりたいだけだけどね!


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。