エイプリルフールに乗ってついカッとなりました。反省はしていません。
続くかどうかは未定
……
う……
うう…
なんだ……?
酷く…眩暈がする……
立ちくらみか…?
…………
そもそもここはどこだ…?
全体的に青くて……車内……?
「ようこそ我がベルベットルームへ」
突然声をかけられた。
同時に眩暈のような感覚がなくなり、あらためて自分が居る場所が確認できる。
鼻
まず目に入ったのはそれ。
いや、異様に鼻の長い老人か。どっちにしろ目覚めてまず最初に見るものにしてはヘビィすぎるだろ。
「一体どんな嘘をついたんだ?」
「私はピノキオではありませんぞ」
なるほど、自分を偽ってるからか。
☆ ★ ☆
重厚な音楽が流れる異様な車内。
しかしそれが変と思えないのは、それ以上におかしな奴らが目の前にいるからだろう。
一人は先ほど言葉を交わした、鼻がキツツキのように長い老人。
もう一人は全身を青色でコーディネートしたブロンドヘアーの女性。
イゴールとマーガレット
確か、そんな名前だったはず。
二人とも某有名ゲームのキャラクターだ。
なのでこれは夢だと即座に判断した。
まさかこんな夢見るとは…あれか、夜遅くまで理想のネコショウグンの作…いや配合に熱を入れすぎたのが原因か。ゲーマーの
つーか途中で止めた記憶がない。寝落ちか?
まあいいや。しかしリアルで見るとホント長いなー、鼻。
「お客様。主の鼻を掴まないで下さい」
ああいかん、つい好奇心が暴走した。
マーガレットに注意されてすぐに手を離す。普通に本物だったな…鼻。
「お客様、主の鼻を掴んだ手でソファを擦らないで下さい」
さりげなくやったのに気づかれた。だけじゃなく先ほどよりも強く注意された。
気のせいか殺気を…プレッシャーみたいのが吹き上げてるのが見える。
主に無礼を働いたときよりも怒るって正直どうよ。
「(かさっ)ん?」
なにか踏んづけた。
見ると床に、B5?ノートほどの大きさの紙が一枚落ちている。
なにか書いてあるな、なになに…
『どろぼう猫』
優しい瞳
あたたかな笑顔
柔らかな手のひら
色々なものをもって、
あなたは私の前に現れた。
今日は誰を惑わせるの?
私の心を奪った 罪深い
……………ポエム?
なんだろう、この気持ち。まるで完全硬派だと思っていた先輩がメイド喫茶に入り浸り、めいいっぱい楽しんでいるのを知ってしまったかのような―――実際そんな知り合いはいないんだが―――そんな後味の悪さが。
本当になんだこれ。
そもそもこのゲームにこんなイベントあったっけ?
「わーーーー!?」
急に持っていた紙が消える。
「なんなのなんなのなんなんですかー!」
こっちの台詞じゃい。なんなんだいきなり。
視線を動かすと、今まで三人(?)しかいなかった車内に見たことのない人間が。泡を食ったような表情でこちらを睨みつけてきてる。
いや、ホント誰?
ギャルっぽい服装で黒のショートヘアー。ちょっと知り合いに心当たりはない。
こんなキャラゲームにいたか?
「人の書いたもの勝手に読まないでよ…!ってまだ持ってるし!?」
「ん、ああ うっかり」
取られた瞬間に奪い返してしまった。
しかも俺の手の中にある紙は二枚。
スリにやられたときの癖がつい出ちまったな…自分で自分が恐ろしい。
「バカキライサイテーどろぼう猫!返してよ!!」
「見られて恥ずかしいものなら床に落とすなよ…不用心だぞ。自分の物はきちんと管理しとけ」
「はあ?私のじゃないし!」
人の書いたものっつったジャン
「それと、ミーアキャットは猫じゃなくてアライグマだぞ」
「知らないし!どろぼう猫!!」
だから猫じゃないつーに。それとも俺のこと?
「マリー、お客様の前ですよ。もう少し―――」
「うるさいうるさいうるさいうるさいっ!」
マーガレットの窘めの言葉を即座に切り捨て、俺から紙を奪い取る。おめーが一番だよ。
知り合いに当てはめるなら水琴が近いな、面倒なとことかそっくりだ。都合悪くなるとすぐ怒鳴るし。
マリーは紙を肩掛けのカバンにしまいこんで、荒々しく車内のソファーに座り込む。
カバンをイゴールの鼻に引っかけて。
「…………」
「まったく…!それで、今日はなにしに来たの?」
「え?」
何しに?いやそれより、部屋の主が物言いたげに睨んでるけどいいの?
……あ、いいんですか。ならいいです。もうなにも言いません。
しかし何しにか…寧ろ俺が訊きたいんだが。いったいなにを目的にしているんだろうか。
「あー…とりあえずあれだ。ペルソナ全書を見せてくれ」
「かしこまりました。どうぞ」
「って手渡しかよ!」
当然のように差し出されて思わず叫んだ。
ベルベットルームに来る理由として、すぐに思いつくものを挙げてみたんだが…なんか想像と違う。
もっとこう…なんかさあ!頭の中に浮かんでくるとか、ホログラム使ったみたいな演出をイメージしてたんだが。
仮にも人の心の強さ?を具現化したもの記録してんのにいいのかこれ。
釈然としないが、本を受け取って近くに腰掛ける。
…中身もそこらの図鑑とあまり変わらねぇ
ペルソナの姿絵と名前は当然だが、その他にステータス、持ちスキル、説明、以上。
ゲームと全く同じ…いや、確か向こうは動いたよな。じゃあこれ完全静止画なぶん劣ってんじゃん。もはや詐欺だよ。
☆ ★ ☆
「お客様」
アンニュイな気持ちになりながらも、しばらく全書を読んでいると突然声をかけられた。
なんだいきなり。
無表情で見つめてくるマーガレット。なんとなく妙な居心地の悪さを感じつつ、本を読む手を止めて向き直る。
なんだろう、なぜか今から叱られそうな雰囲気だ。なにか気に障ったことしたっけ?
「おめでとうございます。お客様の築いたコミュニティの達成率が、50%を超えました」
「はい?」
「つきましては私めから、ささやかながらお祝いの品を用意させていただきました。…本当におめでとうございます」
「おめでとうございます」「…おめでとう」
あー…あー、あったなそういや、そんなイベント。でも言うの遅くない?
これって部屋に入ってすぐに渡されるんじゃなかったっけ。マリーがいたからか?
「どうぞお受け取りください」
「まあくれるってんなら貰うけど…」それにしても渡す理由がなんかおかしい。
だいたい50%達成ってなんだよ、100%になったらそれ以降友達とかできなくなるのか?
まあ別にいいんだけどさ。所詮夢だし。それよりプレゼントっていったい―――
>主人公は おもわず肩に力が入る組長の金属釘バット を手に入れた!
名前ーーーーーーーー!!!!
「ぅをぉい!なんだその見るからにアブねー物品!?」
禍々しいオーラ纏ってんぞ!!
「どうぞお受け取りください」
「ちょっ、ま、やめろ近づけんな!?」
ヒイィ!手に触れた!呪われたりしねえだろなコレ!?
見てるだけでかなりの恐怖感がまとわりつく。
怖いよこれホント、始めて見たときのジェイソンのチェーンソーに匹敵する怖さだよ。
しかしそんな俺の怯えを歯牙にも掛けず、グイグイと押し付けてくるマーガレット。本当にプレゼントなんだろうなそれ。
本当はいらなかったが、一度触ってしまったこともあり、むこうも諦めそうにないため、折れることにした。
うわぁ…マジで金属バットだよ…木製のに金粉でカラーリングとかそういう小細工一切無しだ。どうやって釘撃ち込んだんだろう。
長さは一般のものと同じで百数cmほど。先端からヘッド(ボールが当たる部分)まで釘が乱雑に生えている。
肩に担ぐのを前提に設計されてる気がする。なんかサイレントヒルのモールみたい。
> おもわず肩に力が入る組長の金属釘バット
・グリップが手に吸いつくように馴染み、自然と力が入るバット。対人使用厳禁。
注意されなくても使わねーよ。
・全体から湧き上がる異様さもさることながら、所々錆びたり凹んでいるのが少し気になる。
少しじゃねえよむっちゃくちゃ気になるよ。あきらかに人に言えない使われかたしてんじゃねーか。
この錆びの色…もしかして血か?どうしようすごい犯罪臭がする。
さっきからイゴールがそわそわと落ち着かない様子なのはもしかして…!
「大切にしてくださいね、おもわず肩に力が入る組長の金属釘バット」
「なげーよ。もうこれからはエスカリボルグでいいだろ」もしくは撲殺丸
てなに小粋な愛称つけてんだよ俺。長く持ち歩く気かっ。
大切にする気なんてねーし、したくもない。とっとと売っぱらおう。
しかしこんなもん持ち込んだらそれだけで通報されるんじゃ…刃物持ち歩くのとどっちが危険かな。
……ん?
> エスカリボルグ(仮)
・攻撃力:427
・命中率:95
70%の確率でクリティカルヒットが出る。
クリティカルヒットが出た際、高確率で他の敵を恐怖状態にする。
…………やっぱり、売るのやめよう…かな?
いやしかし、こなの常備してたら在らぬ誤解を招きそうだ。なんかヤバイオーラが出てるし。
RPGの主人公とかってどこにあんな大量の武器類隠し持ってるんだろう。
「ねえ」
そもそもこれ見た目がまずヤバイよ。
せめて釘だけでも抜いておくか、多少攻撃力下がってもいいから。
「ねえっ」
…ダメだ。システムメッセージが出て拒否された。
『それを抜いてしまうなんてとんでもない』ってまた、ベタだねー
「ねえってば!」
「んっだようっせえな!!」
今取り込み中だろうが!
バットから眼を離し顔を上げると、マリーがこっちを見ていた。いやまあ、車内の三人とも俺を見てるんだけど。
その中でもマリーだけが若干、ムッとしている。
自分の主張が通らないと不機嫌になるところも水琴にそっくりだ。
「なんだよ」
「…用事はすんだ?」
用もなにもなにしに来たのかがまずわからんのだが。
実際にそう言う訳にもいかないので、無言で頷くだけに留める。
「ふーん…じゃあ、外に出たいから連れてってよ。近場じゃないとこ」
「へ?」
高校に上がって早二年。
(名前を知ってる異性から)初めてのデートのお誘いは、呆気ないほどあっさりしていた。
4/1に合わせようと急いだ結果、ネタばらしをせずに投稿してしまいました。申し訳ありません。
主人公はナツル。舞台はペルソナ4のベルベットルームという設定です。
ナツルの知識は無印のP4の分しかないため、マリーの存在及びゴールデンで追加となったイベント類はまったく知らない。という設定です。
作者自体Gから入ったのでなにが追加されてるのかよくは知らないんですけどね(おい)まあその辺はあれそれということで(超曖昧)
以下、ネタばらし
エスカリボルグ
撲殺天使ドクロちゃん。最近の天使ってほとんどバイオレンスですよねー
撲殺丸
ペルソナ3の武器。分類では鈍器らしいです
それを抜いてしまうなんてとんでもない
ドラクエのメッセージ。それをすててしまうなんてとんでもない
おもわず肩に力が入る組長の金属釘バット
色々組み合わせてるのでバラしたもので解説します
肩に力バット…マザー2における主人公最強武器。その代わり命中率がざる
組長のバット…龍が如く4の武器。耐久性に難あり
釘バット…実はファイナルファンタジーⅦ。マテリアがつけられない…!
金属バット…あえてひぐらしのなく頃に。にーにー!
こんなとこですかね