まさか8,000字超えるとは思わなかった。
前回のあらすじ
紅音が仲間にしてほしそうな目でこちらを見ている。どうしますか?
勧誘
ラビッシュ
モンスターボールをぶつける
→やきはらえ!
「おいこら、なんだその選択肢は」
なんで人の思考に勝手にダメだしできるんだ?雫といいこいつといい…謎だ。
「人が散々弱らしてからまぜろなんてハゲタカみてぇな奴の扱いはこれで十分だ」
「撃たれてえみてえだなてめえ。あとなんで三番目を選んだ」
モンスターが目尻をよりいっそう吊り上げて撃鉄を引く。
やれやれ…、これだから最近の十代は困る。なんかあるとすぐキレるんだから。
俺みたいにもっとおおらかに生きろよ。
「気分だよ。つーかお前、来るの遅くねえか?騒ぎが起きてから結構経つのに今ごろ登場とか…なにしてたんだよ」
「さっきまで風呂に入ってた。急いで来てやったんだぞ」
そのわりには服装とかきっちり整いすぎてません?
逃げる客が多すぎて来るのに手間取ったとかならまだ分かるが、普通にお湯を堪能してたんじゃなかろうか。
まさか騒ぎが男湯からするから俺が原因と考えて、「ならいいや」とゆっくりしていたとか…
もしそうなら考えものだな。信頼されてると取るか軽く思われてると取るか。
でもよく見ると少し髪が濡れてるようだ。可能性は半々ってとこかな。
ふむ…しかし…
「なんか色っぽいなお前」
「な!?なっ、なに馬鹿言ってんだてめえは!」
「やらないか?」
「あたしにそんな趣味はねえ!!」
そういや今女だったな。まあその気はなかったけど。
男だったらどんな返事が返ってきただろう。
「てりゃあぁ!」
水琴が刀を手に襲い掛かってくる。
奇襲ならもっと静かにやれよ。
いや、最後に見た時よりこっち側に近い。にじり寄って来てはいたみたいだ。なら最後まで隠密しろって話だ。
性格的に無理か。
とりあえず正拳突きに構え、右手に炎を集中させて打つ。
「火拳!」
「きゃっ!」
炎は勢いよく水琴に飛んでったが、刀で防がれた。
それでも勢いは殺せず、いくらか後退する。加減したとはいえ無傷でいられると若干ショックだな。あのキャラお気に入りだから。
…なんで死んじゃったんだろう。
「ナツル、ボサッとすんな!!」
紅音が銃を乱射しながら怒鳴る。
見ると、水琴は襲いくる弾丸を刀で弾いていた。雷電みてーだな。
「軌道が見えて尚且つ、スピードと度胸がなきゃできねえ芸当だな」
「感心してねえでお前も手伝え!」
そもそも俺一人で十分なんだが。
「あの野郎…、捕まえて裸にひん剥いて一週間学校の廊下に放置してやる。それか調教だ、『わん』とか『きゃん』しか喋れねえようにする」
俺どっちかっつーと猫派なんだけど。
「…絶対イヤよ、そんなの」
こちらの会話を聞いてた水琴が話に割り込んできた。
「あたしマゾじゃないもん。あんたがすれば」
「やなこった。あたしだってマゾじゃねえ」
「そうゆうのは男のナツルにしなさいよ、泣いて喜ぶだろうから」
オイコラテメエ、いきなりなに言い出す。
「あー、やっぱりそうか。あいつ殴られんの好きそうだかんな」
「…そうよ!絶対変態なんだから。きっとなんど殴っても『まだだ!まだ終わっちゃいない』って向かっていくタイプよ!」
女二人が当人を前に、M男について論議している。
赤い方はなぞ楽しそうににやにやしながら。金髪の方は若干、頬を引きつらせながらもあることないことを見てきたように口から垂れ流していく。
どちらも残り一人が俯いて肩を震わしてるのに気付いてない。
そのうち水琴が俺に向かい。
「あんた、男瀬能のこと好きなら冷たくあたったほうがいいわよ。そうすれば「もう黙れ」…?」
「おとなしく聞いてりゃ言いたい放題好き勝手……」
「ナツル…?」異変に気付いたのか紅音も少しずつ距離を取る。
ズズ…ズズズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッ!!!
「きゃっ!」「なっ、なんだ!?」
突如床が揺れ、二人が大きくバランスを崩す。
地震だ。
こんなタイミングで…とかは考えない。
だって原因俺だもん。
「念心流・
揺れはますます酷くなっていき、壁にもビシビシと亀裂が入っていく。
「ちょっ、なに?なにが起きてるの!?」
「大炎戒」
混乱する奴らを無視して、
その大きさはさっきのバーニングクリメイションとは比べものにならないほどにデカい。
まるでこの俺の怒りがそのまま力になったかのようだ。
「ちょ……嘘でしょ!?」
「お…おい……ナツル?」
怯えた様子で見つめてくる二人を、軽く微笑んで見つめ返す。
逃げ場なんて、ないよ?
途端に二人共、今だに激しく揺れる浴場内で、歩くどころか立つのも難しいのに必死に逃げようとし出す。
もう遅い、脱出不可能よ
「
シュッ
必殺の一撃を放とうとしたが、いきなりなにかが飛んでくる。
「うおっ!」
慌てて飛んで避けた。
今のはなんか…見覚えのある形状をしていたぞ。
「…派手にやったわね」
脱衣所へと繋がる扉から、髪の内側がプラチナブロンドで、手に鎖つきの短剣を持った雫が現れた。
「緊急地震速報に避難警報が出てるわよ。なにをどうやったらこんなことができるのか説明してほしいわ」
ああ、さっきからあちこちでム"ーム"ー変な音してんなとは思ってたが、携帯電話からしてたのか。
避難した客の置き忘れ品や、紅音達の所持してる物からしてたんだろう。俺のはすぐ充電切れで沈黙するからな。いい加減買い替えようかな。
「ちなみに震度は4よ」
残念、5はいかなかったか。
「今の揺れ、おめえが起こしてたのかよ…ホントに人間か?」
「失敬な。どっからどう見ても人類だろうが」
少なくとも設定上は。
「でりゃああっ!!」
話し合ってる隙をついて、水琴が攻撃を仕掛けてくる。
戦力に大きな差があるのを見せつけられたのにまだ向かってくるとか、その心意気は評価するが。
迷わず振り下ろされた刀を片手で無刀取る。
おかしな日本語だよね、無刀取るって。
「なっ…!くっ、この…離しなさいよバカっ!!」
武器を掴まれ、必死に取り返そうと力を込めながらも悪態をつく水琴。
なんかムカついたので掴んでる方の手に力を込めて……バキンと折ってみる。
「に"ゃ"ーーーー!!?」
奇声が上がったが、無視してそのまま指をずらし、バキボキと容赦無く折っていく。
最後には某アヌビス神みたいに柄だけになった。
もはや刀としての体制を保ってないなコレ。
「ちょっ…あんたホントに人間!?範馬の遺伝子でも持ってんじゃないの!?」
そうなると俺バキってことになるけど。ポジション的に
沖縄で道場経営をしてる祖父は合ってるかもしれんが、はたして完全文科系な父親(身長169cm、体重62kg)に地上最強という大役が務まるだろうか。
ムリだな。
「そこのあんた!腕輪は…赤、味方ね!ちょうどいいわ。お願い手を貸して!」
水琴は慌てて雫に走り寄る。
監視の対象に助けを請うとかどんだけ…いや、コイツ知らないんだったっけ。
敵に囲まれて大ピンチ。突如現れた新手も味方とは言い難い存在って、救いがまるでないな
「悪いけど、そうもいかないのよね」
「へ?」
雫の台詞に疑問の声が上がると同時に、その後頭部に短剣の柄が振り下ろされる。
不意打ちな上にケンプファーの力。
当然、水琴はあっさりと気絶した。
スパ経営者、まったくの無関係なのに被害甚大。龍が如くの竜宮城みたいな末路に…
「都心なのに活火山みたいな現象がおきた」とニュースになったとかなんとか。
以下、どうでもいいネタばらし
ラビッシュ
アークザラット2の魔法(技?)。敵モンスターを仲間にすることができる。
絶対に仲間にしたいモンスターがいて、必死にレベル上げたのはいい思い出です(まさかイベント途中で覚えるとは思わなかった…)
やきはらえ!
風の谷のナントカさんで使われた台詞。ナツルは巨神兵ではなくコノハナサクヤにやらせようと思ってたようです。(二択目のはどこから出すつもりだったんだろう)
火拳
ワンピース。エース…
雷電
メタルギアソリッド2の主人公。マシンガンの弾をどうやって刀で…
逃げ場なんて、ないよ?
サイレン2のキャッチコピー。あのゲーム救いがない上怖すぎる。
もう遅い、脱出不可能よ
ジョジョのDIO様の台詞。無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
大炎戒・炎帝
不発に終わったけどこれもワンピース。エース…!
つーかそれなりに大きな島一個分の炎を町で打つってなに考えてんだこの主人公(ナツル)。
某アヌビス神
これもジョジョ。第三部の最後ら辺に出現します。
範馬、バキ
そのまんま。ナツルのじーちゃんは昔回想に出てきましたね。姿形の描写はないけど。
祖父はトリコの一龍会長のような外見です。父は…考えてないけどとりあえず文科系もやしっ子みたいってことで
・念心流・家鳴
両方の足で交互に、細かく震脚を行い地面を振動させる技。
自力で震度4の地震起こせるって普通に危険だよね、とは作者も思いました。
しかも、他者に気付かれないように足を上げず踵のみで行ってます。
もうこいつオーガやアンチェインみたく常時衛星で監視したほうが絶対いいと思う。
ちなみに家鳴は室内限定で、野外でやると技名は地鳴。
水琴「じゃ、神社でやったら?」
ナツル「稲荷」
ホンマかいな
次回、五章終了です。