けんぷファーt!   作:nick

102 / 103
平成最後の正月。せっかくなのでUPしてみました。設定はP5。

タイトルはなんとなく。新年だけに初夢!


正月記念SS  カムパネルラが見た夢は

某月某日、季節は夏。午前6時。

 

ゲリラ豪雨と晴天を繰り返す連日の猛暑も、この時間帯なら幾ばくかは涼しく…は感じないな。早朝からクッソ暑いわ。

 

最寄りの駅から勤め先である店まで歩いて来たが、蝉の鳴き声はうるさいわ日差しはキツイわ道路の照り返しは眩しいわで不快度数はすでにマックスだ。電車もめっちゃ混んでたし。

 

 

今すぐ冷房の効いた自室で眠りたい。来たばっかだけど。

 

 

シャツを掴んで扇ぎ、胸元に風を送り込みながらポケットから鍵を取り出してドアの鍵穴に突っ込む。

そのまま捻って解錠。チリンチリンと軽やかな音を立てるドアを開けて中へと入る。

 

「あっつ…」

むあっとした室内の空気に思わず言葉がこぼれる。

 

なんだこれ…室温が30度近くあるじゃねーか!屋根裏部屋に住んでる奴は大丈夫か?

 

 

カバンを置く前にリモコンを操作して冷房を入れる。

すぐに動作音が響き、備え付けのクーラーから冷風が流れ出した。

 

「ふぅ…生きかえる…」

 

暫しの間心地よい空気を堪能する。

その後カウンターの内側に入り、持っていたカバンを邪魔にならない場所に置いて、代わりにエプロンを取った。

 

エプロンを身に付けながら素早く室内を動き回る。

店内の掃除・備品のチェックに補充・料理の仕込み・店先のゴミ取りetc…開店までの時間は長いようで短い。いくら裏路地の寂れた喫茶店だからって、客が全く無いわけじゃないので準備に手は抜けない。毎朝大変だ。

 

 

俺アルバイトなのになんでこんな本気でやってんだろ。しかも一人で。

 

 

本来の持ち主である人間は別の場所の店を切り盛りしているので半ば店長(マスター)状態。

 

トラウマ克服のために軽い気持ちで面接受けたのに、こんな事になるとは思いもしなかった。どうしてこうなった…

 

「っと、もうこんな時間か」

 

色々やってたらあっと言う間に開店の時間が迫っていた。

 

急いで入り口の札を ”close” から ”open” にする。

 

こんなことしなくても、やって来る客の第一号は決まってるんだけどな。

 

 

――ガチャカランカラン

 

 

「おっはー。私、出・勤!」

 

しばらくしない内にヘッドホンと眼鏡を装着した、前髪ぱっつんのストレート茶髪少女が入店してきた。

 

佐倉双葉。

 

この喫茶店・ルブランの本来の持ち主の一人娘であり、毎日来るお客様第一号だ。

一度でいいから全く知らない赤の他人の前で今の口上やらかさないかなといつも思ってる。

 

 

「おはよういらっしゃい」

「おー、ジョバンニ。今日もキチンといるな。感心だぞ」

ウンウンと偉そうに頷きながら、双葉がカウンター席に座る。

 

俺が先に来てなかったら店の前で待ちぼうけ食らってるだろお前。

 

 

「……おはようございます」

 

今度は上階から学生服にカバンを背負った男が降りてきた。

 

「おうジョーカー。おはよう」

「お…おう……おはよう」

 

寝癖だかくせ毛だかわからん髪型の眼鏡ボーイに、やや緊張した様子で挨拶を返す少女。

お互い知り合いだろうに。なんでぎこちなさが出るんだこいつ。

 

 

「お前寝るときエアコン使ってるか?店内むし暑かったぞ」

「上は扇風機で大丈夫なんですよ」

 

本当か?とてもそうは思えないけど…

 

「ぜんぜん大丈夫じゃねーよ!暑くて死ぬとこだったぞ!」

 

男が背負っているカバンから顔を出していた黒猫――名前はモルガナ――が抗議の声を上げる。

 

図らずも証言が取れたな。

 

「…オーナーには言っといてやるから、熱帯夜には冷房入れとけ」

「いえでも迷惑は――」

「『高校生の少年熱中症で死亡』なんてニュースになる方が迷惑だ。ほら、弁当。そろそろ時間だろ」

 

話しながらカウンターの上に置いてあった、布に包まれた箱を押し付ける。

 

「あ…ありがとうございます。…すいません、いつも」

「そう思うなら食生活見直せ」

 

聞けば朝食は無し。転校して来たばかりのときは、昼は菓子パン一つかカップ麺のみという信じられん食生活をしてたらしい。それで次の日から弁当を渡すのが新しい俺の日課になった。

 

別に俺の知らないとこで、栄養失調で倒れようとどうでもいいんだが…一応オーナーの惣治郎さんにも気に留めといてくれって言われてるからな。あぁめんどくさい。

 

毎回面倒と思いながらバイトが休みの日でも気づいたら弁当を作ってしまっている俺。

…ホントどうしてこうなった。

 

 

「じゃぁ、…行ってきます」

「おう。行ってらっしゃい」

「いってらー」

 

カバンの中のモルガナと共にドアから出ていくくせ毛男子を、双葉と一緒に見送る。

 

今更だが猫を学校へ連れ込んでいいのだろうか?

 

「身体の心配に手作りのお弁当…ジョバンニは立派にジョーカーの親代わりを勤めてるんだな!」

「なんだいきなり」ジョーカーとか痛いあだ名のガキを持った覚えはねぇよ。

 

「おかーさーん、お腹へったー」

「親って母親の方?」

前髪ぱっつんな子供を持った覚えもないんだけど?

 

……まあいいや。

 

「朝食はなにをご希望ですかなお嬢さん?」

 

カウンター越しに軽い口調で尋ねる。

 

だいたい予想できる…いやできてしまっている(・・・・・・)ので、顔に出ない程度に苦々しく思いながら。

 

 

「カレー。大盛りっ」

「…………」

 

予想通りだった。

 

 

「お客さん、ウチは喫茶店ですぜ?もっとそれらしいもの注文しません?オムレツとか」今なら会心の一品ができる気がする。

「やだ。カレー。今すぐ」

「双葉ちゃん昨日もカレーだったでしょう。ダメよそんな劇物毎日食べちゃ、もっと栄養のバランス整ったもの食べなきゃ大きくなれないわよ?」

「おかーさんのカレーが食べたいよう」

 

おかーさんヤメロ。

 

 

俺がこれだけ渋るのにはもちろん理由がある。なにを隠そう、俺のトラウマとはカレーなのである。

 

馬鹿みたいな嘘みたいな冗談みたいな話だが、俺はカレーの事を見るだけで冷や汗が吹き出してくるのだ。食うなんて考えるだけで鳥肌が立つ。

 

日常生活に支障が出るレベルだがこれでもマシになったもんだ。昔は名前を聞くだけで全身硬直したからな。

スクランブル交差点でテレビCM見た時は死ぬかと思った。

 

 

「と言うわけで勘弁してくださいお願いします」

「やーだー、カレーがいーいー!」

 

カウンターに突っ伏しながらダダこね出しやがった。

 

「私はこんなにもカレーを所望してるのに、ジョバンニがいじわるするー!そーじろーに言いつけてやる!!」

「分かった分かった、分かったからやめろ」黙ってたらホントにやりかねん。

 

『長いこと引きこもっていて、ろくに会話をしたことがない娘が初めて店に来てくれた』とこの前心底嬉しそうに(小一時間ほど)語られたからな。冗談でも嫌がらせしたとか報告された日にはなにをされるか分かったもんじゃない。

 

 

仕方なく気合いを入れて厨房へ向かう。

 

まずは深皿に白米を盛り…コンロの上に置いてある寸胴鍋と対峙する。

 

ヤバイ。もう緊張してきた。蓋も開けてないのに。

 

落ち着け…落ち着けよ俺……ゲロを吐きそうなくらい緊張しなくったっていいじゃあないか。

あの頃とは違うんだあの時とは…鍋の中身がいきなり叫んだりするわけがない。気楽にいこうぜ?

 

 

――ロォォォォド

 

 

「ひぃっ!?」

 

蓋に手をかけた途端、この世のものとは思えない声が響いた。

 

きっ聞こえたっ、今たしかに聞こえた!悪魔が生んだ凶悪な凶器の唸り声が!

 

()けるように後ずさり、たたらを踏む。

同時に襲ってきた恐怖に身体が震える。

 

『ロォォォォド』

 

――また聞こえてきた!

…ただし鍋からではなく店の方から。

 

『ロォォォォド』

「…………なにしてんだ?」

「んー?音声確認」

 

双葉がカウンターの上に開いたノートパソコンでなにやら作業をしていた。

 

「今やる必要はあるのか?」

「なんとなく」

悪びれた様子もなくしれっとした返事。

 

 

本気でビビっただろうが。皿落とすとこだったぞ。

オーナーの娘じゃなかったら全力で殴り飛ばしてるところだ。

 

 

 

     ☆     ★     ☆

 

 

 

午後5時。

 

テレビを見たり本を読んだり、たまに双葉の相手をしたり来店してきた客の対応したり。

他にも色々(掃除や新しい料理考えたり)していたらあっという間にこんな時間になっていた。

 

時が経つのって早いわー。

 

 

「…ちょっと、外出てくる」

「ん、行ってらっしゃい」

 

双葉がカウンター席から立ち上がり、外に通じるドアへ向かう。

そろそろ高校に行ってる奴らが帰ってくるだろうから、その出迎えだろう。うるさくなるな。

 

本来ならバイトで来てる俺もそろそろ(あが)る時間なんだが…明日の仕込みとかしたいので、もう少し店に残ることにする。帰ってもやる事ないし。

 

一応オーナーの許可は貰っているから問題はない。…時間内分の給料しか出さないぞって言われてるけど。

とどのつまりサービス残業である。

 

とんだブラック企業だ。まあ夕方以降は全く客来なし、基本暇だからいいんだけどね。

 

 

いつもだいたい、七時前くらいに惣治郎さんが店に来るので、そのタイミングで帰宅している。

 

惣治郎さん(オーナー)が来る理由?カレー作るためじゃない?俺は作れないからな。

 

もっとも、最近は双葉が入り浸ってるから…残っていてくれるとありがたい、みたいなことをこの前遠回しに言われた。

代わりに経費で買った食材で晩飯作ってることを許してやる。って言葉も添えて。バレてたのねー。

 

自宅に戻ってから飯作るのめんどくさくてさー…いつもルブラン(ここ)で簡単に済ませたんだよね。

 

しかししばらくして一人増え二人増え、たまに三・四人がまとめて居座り流れで晩飯を食うようになった。

毎回献立考える分めんどくささが倍増した気がする。

 

どうしてこうなった…

 

 

――ガチャカランカラン。

 

 

「たっだいまー!」

「ゥイースっ」

「お邪魔しまーす」

 

あれこれ悩んでいると、双葉を先頭に金髪のヤンキーっぽいのと同じく金髪ツインテールのギャルっぽいのが来店してきた。

そしてその後ろを、今朝屋根裏部屋から登校した人物が歩いてくる。

 

「ジョバンニさん。…ただいま、戻りました」

「おう、お帰り。相変わらずの面子だな」

 

金髪コンビを眺めてなんとなしに呟く。

 

…ほぼ毎日顔合わせるんだよな。

 

「なんですかいきなり。…もしかして今日、来たらマズかったりしました?」

ツインテールの女の方が話しかけてくる。

 

「いや、そういう訳じゃない。ないんだが…」

なんだかなぁ。

 

ぶっちゃけ高校生が喫茶店で何時間も駄弁るってどうなの?

 

俺がこいつらくらいの歳の頃は…自宅でゴロゴロしてたな。

あんま変わんねえってか、友達と一緒に行動してる分こいつらの方がマシだったわ。

 

「あー、あれだ。ジョーカー俺ちょっと外行ってくるから店番頼むわ」

 

謎の気まずさに襲われながら、タイミングよく屋根裏部屋(うえ)から降りてきたくせっ毛メガネの少年(+黒猫)に話しかける。

 

「買い出しですか?」

「そんなとこだな。この時間なら客は来ないと思うけど、不安なら店閉めといていいぞ」

 

基本的に夜は皆無だからなここ。人通りが。

表から外れた場所にある上に喫茶店だから田舎のプラモ屋並みに店内はガラガラだ。

 

「俺らいるんすけど」

(ゼニ)落としてから言いなエセヤンキー」

 

エプロンをカウンター下に押し込んで外に出る。

 

サービス(無料)で出される最初の一品で何時間も居座る奴は客とは言わんよね。

 

 

 

     ☆     ★     ☆

 

 

 

ガチャカランカラン。

 

スーパーで必要な物を買い込み、再びルブランのドアを開く。

今日も夕方のタイムセールで安く買えたぜ。無駄な物も買った気がするけど。

 

いつも通り経費で落とそう。

 

「ジョバンニさん。お帰りなさい」

「おぅ」

 

カウンター越しにエプロン付けたジョーカーが戻ってきた俺にいち早く気づいた。

こいつ俺より店員具合が様になってねーか?気のせいかな…なんかムカつく。

 

 

「ジョバンニー?あ、本当だ」

「おつかれさまでーす」

「おつかれっス」

「む、店主殿のお帰りか」

「お邪魔してます。ジョバンニさん」

 

 

テーブル席からも複数の挨拶が飛んでくる。

 

出ていくときよりも人数増えてるな。黒髪ショートボブの女子に色白細身の男。

両方顔見知りだけど。

初めからいなかったから今日は来ないのかと思ってたよ。

 

「来てたんだな」

「ええ。少し、学校でやることがあったので遅れました」

「俺もです」

「ふうん」

 

まぁどうでもいいけど。

 

購入品で膨らんだ袋を厨房脇のテーブルに置いて、再びエプロンを着けカウンター前に戻る。

 

「店番ありがとよ。友達のとこ戻っていいぞ」

「あ、はい」

 

話しかけられたジョーカーがいそいそとエプロンを外しにかかる。

 

「……」

「? なんですかジョバンニさん、そんなに見つめて」

「いや…猫しか話し相手がいなかったのに、変わったなと思って」

 

一人しかいない筈なのに部屋(うえ)から喋り声がするから気になってこっそり覗いてみれば、飼ってる猫と楽しそうに会話しているこいつの姿を目撃したとき。

 

冗談抜きに将来が心配になった。

 

 

「よかったな…」

「ちょっ、やめてくださいよ!モルガナと喋ってたのは――」

「『猫と喋ってた』とかいうセリフ普通は出ないぞ」

「おい!ワガハイはネコじゃねーぞ!」

 

フシャー!と毛を逆立てて怒られても…モフモフしていい?

 

「えっと…!そ、そうだっ、こないだのアレ!とても助かりました、ありがとうございますっ」

「こないだのアレ?」

 

露骨に分かりやすい話題変換をされた。

もう少しからかってもよかったけど、流石に大人気ないから素直に乗ってやろう。

 

「ほらあれですよ。1週間くらい前に俺にくれた物」

「ああアレか」

うん。言われて思い出した。

 

 

思い出したのはいいけど、俺の記憶が正しければこいつにプレゼントした(あげた)のは確か、メリケンサック的なものじゃなかったか?

 

 

昔の荷物整理してたら出てきたとかなんとかで知り合いから送られてきたんだが、正直扱いに困ったからジョーカーに渡したんだよな。

 

その時は突き返されると思ってたんだが、予想に反して『俺のことよく分かってるんですね』って嬉しそうに受け取られた。

ゴメン、まっったくわかんねーや。

 

 

「お前が使ってるのか?」

「いえ、仲間に使ってもらってます」

 

そう言ってテーブル席の一団を見る。

 

仲間…ああ、あのエセヤンキーが喧嘩とかに使ってるのか。

対人戦に便利そうな追加効果も付いてるしな。

 

「あれってジョバンニさんの物だったんですか?いつも助かってます」

 

ショートボブが読んでいた文庫本を閉じて、丁寧に感謝を伝えてくる。

 

 

お前が使っとるんかい。

 

 

お前が使っとるんかい。予想外の人選だ、ちょっと理解が追いつかない。

 

何に使ってんの?一体何に使ってんの!?

いっいやっ、きっとダンベル代わりにでも使ってるに違いない。結構重いからなアレ。

 

「たまに相手からの物理攻撃を反射してくれて、何度もピンチを救われました」

 

正しく使用されてる上効果まで把握されてんじゃねーか。相手ってだれ!?

 

 

……きっと、エクササイズとかにでも使ってるんだろう。うん、きっとそうだ。

なんか怖いからこれ以上踏みこむのはやめとこう。

 

 

 

     ☆     ★     ☆

 

 

 

ジョーカー(たち)が帰ってきてからだいたい一時間ほど経った。

 

店内には奴ら以外は誰もいない。

新たに客が入ってくる気配もない。もう店閉めちゃおっかな。

 

「そういえば今日ってなんの集まりなんだ?」

 

入り口にかけてある看板を”close”へとひっくり返すと、背後から双葉達の会話が聞こえてきた。

 

「んん…?とくになんかあるってわけじゃねー…よな?」

「そうね、改心は結果待ちだし…」

「なんとなく集まったって感じ?」

「なんとなく…うん。なんか、いいな…そういうの」

 

何気ない会話。

しかし確かにそこには繋がりが見て取れて、確かな信頼が感じられる。

 

そんな『仲間』は俺にもいる。まぁ…すぐに会いに行けるほど近くにはいないけどな。

少し寂しさを覚えるのは、きっとそのせいだろう。

 

「オマエらそんな悠長すぎるぞ!ワガハイは早く真の姿に戻りたいんだ、次のメメントス探索に向けて作戦会議だ!」

「ちょっ、モルガナ!?」

 

ちょっといい雰囲気になっていたのに、気に入らなかったのか黒猫が何やら荒ぶっております。

その口をジョーカーが慌てて塞ぐ。何がしたいんだお前。

 

 

「(ねえちょっと気になったのだけど、ジョバンニさんって私たちのしてること知ってるの?)」

「(えっ?…さぁ……どうだっけ、知ってんじゃねーの?)」

「(俺は聞いたことがないな。杏は?)」

「(いや…話した覚えはない…かな?)」

「(オイじゃあもしかしてヤバイんじゃないか!?)」

「(うん…かなり突っ込んだ会話してたよね、今まで)」

 

 

テーブル席でひそひそとささやく声がする。

 

なんだ、みんなして内緒話か?前から気づいてたけど俺は仲間はずれだな?お兄ちゃん悲しいです。嘘だけど。

 

メメントスだかメントスだか知らねえしどうでもいいが、そろそろこいつら帰んねえかな。もういい感じに外が暗くなってきたぞ。

 

「ていうかもう帰れよお前ら。何も頼まずにダラダラ居座りやがって、ただでさえ邪魔なのに用がないならなおさら邪魔だ」

「ひ…酷い言い草…」

「歯に衣着せぬとはこの事だな」

 

黙れや。昨日も何をするでもなく貸し切り状態で堪能し続けてただろう。そのせいで後片付けが今朝になったんだ。

人がいると掃除しづらいんだよ。

 

ジョーカーと双葉?奴らは人であって人じゃねえ。邪魔をするなら一緒に片付ける(※屋根裏に無理やり押し込む)。

 

「つーわけでほら、さっさと帰れ帰れ。俺もいい加減晩飯食って帰りたいんだよ」

「む、ならば俺もご相伴に――」

「失せろ」甘えんなひょろ長。

 

 

その後、ぐちぐちと文句を言うガキどもをなんとか追い出したのは、オーナーが来る三十分前だった。

 

これが、最近の俺の日常。おそらくは明日も似たような一日を送るだろう。

このバイト向いてないのかなと時々思う。

 

 

 

 

 

 

 

「晩飯作るけどなにかリクエストはあるか?」

「カレー食べたい!」

「よし、オムレツだな」

 

野菜(きーざ)もっと。

 

 




◆???
 一人称の主。純喫茶ルブランでアルバイト店員として働いていて、『ジョバンニ』の名で呼ばれている大学生。
 青色をしている髪を肩口まで適当にストレートに伸ばしていてカレーに深いトラウマを持っているちょっと口は悪いがお節介焼き若干天然男子。正体は一体…?

◆ジョーカー
 作品『ペルソナ5』の主人公。とある事情でルブランの屋根裏部屋で暮らしている。
 ジョバンニに昼の弁当や夕食の世話をしてもらっている。その事については申し訳なく思ってはいるが、同時に嬉しいとも思っている。
 本名は雨宮蓮。ジョバンニからはジョーカーと呼ばれている。

◆モルガナ(モナ)
 ジョーカーと同じく屋根裏部屋に住んでいる黒猫。本人(?)は猫である事を否定している。
 人語を解するが普通の人間には聞こえない。ジョバンニにはなぜか理解ができているが、当人はどこかにカメラやマイクが付いてて別の場所にいる中の人が喋っていると思っている。
 ジョバンニからは猫と呼ばれている。(名前で呼んでやれ)

◆坂本竜司
 ジョーカーと同じ学園に通うお調子者な熱血漢。金髪。
 大人に不信感を持っているがジョバンニの事はあまり毛嫌いしていない。
 ジョバンニからはエセヤンキーと呼ばれている。

◆高巻杏
 ジョーカーのクラスメイト。アメリカ系クォーター少女。
 ジョバンニとはあまり接点はないが、真面目だが冗談が分かるとっつきやすい人だと思っている。
 ジョバンニからはツインテールやギャルなどと呼ばれている。(決まった呼び方なし)

◆喜多川祐介
 ジョーカー達とは別の美術科の学校に通う男子高校生。芸術肌、天然。
 工作を行い、自分の大切な絵を店に飾って置いてくれるジョバンニに好意的感情を持っている。たまに食事を奢ってくれるからというのもあるが。
 ジョバンニからはひょろ長と呼ばれている。

◆新島真
 ジョーカー達が通う学園の生徒会長。品行方正生真面目天然系高校三年女子。
 見た目も性格も性別もまるで違うが、ジョバンニとの会話は何故か姉と接しているような感覚を覚えてたまに困惑する。
 ジョバンニからはおかっぱと呼ばれている。

◆佐倉双葉
 ルブランの持ち主・佐倉惣治郎の義理の娘。学校には通っておらず、一日の殆どを店で過ごしている。
 親よりも長く同じ時間を共有しているジョバンニの事をトラウマ(カレー)でイジるのが最近の楽しみ。近所のお兄さんみたいな親しみと好意を持っている。
 ジョバンニからは双葉と普通に呼ばれている。
 実は仲間はずれにされてるような気がして若干不満。


P5の設定で惣治郎はルブランの前に別の場所で経営していた喫茶店は繁盛していたらしいが、とある事情から現在の場所に移転したってなってる。
しかしこっちの設定では2つ店を持っていて繁盛してる店は惣治郎、ルブランはジョバンニが店主として切り盛りしてるって感じです。

穴がある気がしないでもないけど、こまけえ事は気にしない。
グダグダなnickの作品を今年もヨロシク!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。