ViVidかと思ったら無印でした……   作:カガヤ

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お待たせしました!
ネタが浮かびすぎてどう並ばせようか悩みました…


第67話「あの手この手どの手?」

数日前

 

ある日俺は、シェルブリットの修理を依頼する為にスカさんの秘密アジト(俺が訪れた最初のアジトから28か所目)を訪れた。

スカさんは留守だったが、ウーノとクアットロがいたので問題はない。

 

「最近、シェルブリットの調子がおかしいだけど」

「あら、どんな風におかしいの?」

「機能的には問題ないんだけど、実際に聞いてもらった方が早いね、シェルブリット?」

 

<はっ。お呼びでしょうか、お館様!>

 

「「……えっ?」」

 

そりゃ今までカズマだったシェルブリットの口調が、真田幸村に変わってたら2人の目が点になるのも無理はないよな。

 

「あの、健人君? これは一体どういう事なの?」

「問題はこれだけじゃないんだ、シェルブリット?」

 

シェルブリットを軽く叩いてから再度呼び掛けた。

 

<やめてよね。本気で喧嘩したら、クロノが僕に敵うはずないだろ?>

 

今度はキラ・ヤマトになってしまった。

ますますウーノとクアットロの目が丸くなった。

 

「数日前からこんな感じでコロコロキャラが変わっててさ。機能的には何も不具合が起きてないんだけど、管理局で調べても原因不明だし」

「なるほど。状況は分かったわ。調べてみるから少し借りるわね」

「じゃあせっかくだから健人君の身体も調べてみましょうか。ドクターがいないうちにね」

 

スカさんなら隙あらば俺に超人血清打ったり、悪魔の実食べさせようとしたり、仮面ライダーにしようとしたりと、人体実験したがるんだよな。

内容については深くつっこまない、つっこみたくない。

で、俺とシェルブリットが精密検査を受けた結果、意外な原因が分かった。

 

「俺の魔力が上がったいせいでシェルブリットにも影響が出た?」

「そうね。シェルブリットは基礎フレームから全てをあの当時の健人君に合わせて作成したでしょ。その後、健人君の成長に合わせて細かい調整もしてきたけど、それだけじゃ限界が来たのよ」

 

普通のデバイスではこんな事は起きないけど、シェルブリットは魔力が極めて高い俺用に作られた特注品だからこうなるのか。

 

「それじゃ、今回は結構時間かかりそうだから、この予備のデバイスを使ってね。一応性能はシェルブリットと同じくらいだから問題ないはずよ」

 

と、クアットロはシェルブリットと同じ形をしたデバイスを渡してくれたけど、用意いいな。

 

「実はね、ドクターがいつかこうなるんじゃないかって予備機を作ってたのよ。で、こんな事もあろうかと! って自慢げに健人君に渡したかったみたい」

 

スカさんならあり得る話。

けど、肝心の俺に渡す場面で外出中だとは、そこもスカさんらしいな。

 

「というわけで、シェルブリットの改良が済んだら連絡するわね。あ、そうだ。ついでだし何か改良してほしい所あるかしら?」

「それならちょうどよかった。実はこういう装備付けれないかと思って……」

 

少し前から考えていた装備について2人に説明した。

それを聞いたウーノもクアットロもノリノリで快諾してくれた。

 

「最後にお願いだけど、くれぐれもスカさんの暴走に気をつけてね」

「そうね。シェルブリットの改造なんてドクターが暴走しないはずないものね」

 

本当ならスカさんに内緒でお願いしたい事だけど、ちょっとした調整ならともかく本格的な改造はスカさんがいないと出来ないそうだ。

つくづく厄介な天才だ。

 

 

と、ここまでが数日前の出来事。

その間、特に予備機で問題なかったけど、応答がレイジングハート達みたく機械的になっててちょっと寂しかった。

 

「「「「こんにちわー」」」」

「いらっしゃい健人君。随分と賑やかね」

 

出迎えてくれたのはウーノだ、様子がおかしいけど。

俺だけ来ると思ってたのになのは、ギンガ、アリシア、ノーヴェ、それにクイントさんと言う大人数で来ればそうなるのか。

最初スカさんのアジトに行くと言ったらほぼ全員が行きたいと言い出した。

流石に全員で行くのは多すぎるというクイントさんの提案で、俺以外でじゃんけんをしてメンバーを選んだ。

そして、このメンバーで訪問する事になったのだが、もう何もつっこまない。

みんなして親戚の家かレジャー施設行く感覚で、ひと月に数回スカさんのアジトに行ってるし。

しかも、毎回アジトは場所が代わり設備や内装もコロコロ変えてるから、アジトに行くたびにスバル達が大喜びしていた。

 

「早速だけど新しいシェルブリットの説明をするわね。その間、他の皆さんはどうしようかしら。今日はトーレ達全員出かけているのよね」

「私、兄さんの新しいデバイスみたい!」

「わたしも、みたいです」

 

ギンガとノーヴェ、それにスバルはクイントさんが使っているのと同じ型をした訓練デバイスを持っている。

だから、似たような形をしたシェルブリットに興味津々で、じゃんけんに勝った時もすごく嬉しそうだったな。

その代わり、負けたスバルが泣きそうだったから帰ったら滅茶苦茶遊んであげないと……

 

「なのはとアリシアはどうする? 外で待ってる?」

「なんで私達だけ外に出てなきゃいけないのよ? 一緒に行くわ。ね? なのは?」

「うん。私も新しいシェルブリットにちょっと興味あるから」

 

なのはは、なぜかシェルブリットと話をするの楽しそうなんだよな。

やっぱ中の人の影響かな。

で、そのおかげでレイジングハートがたまに拗ねて俺が愚痴を聞いている。

なんでやねん。

 

「じゃ早速案内してもらいましょうか、新しいシェルブリットの性能早く試しましょ」

 

そして、何気にこの中で一番付いてくる気満々だったのは、実はクイントさんだったりする。

クイントさんって意外と中二病な所あるから新しいデバイスやアジトが気になってしまうのは、まぁ、仕方ない。

 

「健人、何か失礼な事考えてない?」

「いーや、何も考えてないよ?」

 

俺達はウーノの案内でアジトの奥へと進んだ。

アジトと言っても内装的にはどっかのホテルみたいなんだよな。

 

「ところでウーノさん、一つ気になる事があるんだけど?」

「どうしたのかしら健人君?」

「なんで、さっきから俺と視線を合わせようとしないの?」

 

そう。アジトに来てからウーノは、ずっと俺と視線を合わせようとしない。

 

「そ、そそそんな事あるわけないでしょ。変な事言うわね健人君は」

「ウーノさん、顔を健人に向けても視線は明後日の方向いてるわよ」

「どうせドクターがまた何かやらかっしちゃったんじゃないの?」

 

クイントさんとアリシアにジト目でツッコミを入れられ、ため息をつきながら渋々ウーノは俺の方を向いた。

 

「ごめんなさいね、健人君。気付いた時には手遅れだったの」

 

そう言ってウーノはひと際大きな扉を開けた。

 

「「「うわぁ~」」」

 

扉の向こうの光景を目にした俺達はそろって声をあげた。

しかし、その言葉に込められた感情は、驚愕や呆れなどまさに三者三様だった。

それと言うのも開けられた扉の向こうには、沢山の腕がずらりと並べられていたからだ。

 

「ナニコレ?」

「……ドクターが作った腕型デバイスよ」

 

腕の形をしたアームドデバイスなのは見れば分かる。

が、置いてある数が異様だった。

しかも、どれもこれもどっかのロボットアニメとかで見た事ありそうな腕ばっかりだった。

 

「100個は確実にあるわね」

「本当はもっとあったのよ。戦闘用じゃないのも含めてね」

 

頭を抱えながらウーノが語った経緯はこうだ。

数日前にスカさんはウーノからシェルブリットの現状を知り、最初は普通に改造するだけだった。

しかし、俺からの改造の提案を聞いて、それならばもっと改造しよう、いや、もっとすごい物を作って驚かせよう、とこっそり暴走が始まったそうだ。

ウーノやクアットロが気付いた時には既に手遅れ。

そうして、出来上がったのが数百個にも渡る腕型アームドデバイスの山。

 

「僅か数日でこんなに作ったのかよ」

「ドクター、アレでも天才なのよね。馬鹿だけど」

「馬鹿と天才は紙一重って教科書にのってたよお母さん!」

「ギンガ、もっと別な事覚えてね、頼むから」

 

予想以上におバカな顛末に頭が痛くなってきた。

 

「こんなに大量に作って大丈夫なの? その、性能や耐久性とか」

 

デバイスも大量量産すれば、品質が悪くなりがちになる。

 

「そこは大丈夫よ。ベースは前言ったシェルブリットの予備機を使ったから、どれもテスト済で耐用年数も管理局の基準値を上回っているわ。一応全部健人君用だけど、他の人でも着けれるようにはしてあるから、せっかくだからクイントさんもどう?」

「どれどれ。あ、ホントだわ。私でも使えるのね」

 

クイントさんが一つ試しに装着してみたが、俺と腕のサイズ違うのにピッタリとフィットした。

 

「お母さんいいなぁ。ウーノさん、私も着けてみていいですか?」

「私も私も!」

 

ギンガもノーヴェも目をキラキラさせている。

2人にはこれが宝の山に見えているようだ。

 

「なのはちゃんとアリシアちゃんもどうかしら? 魔力がほとんどいらないタイプもあるからアリシアちゃんでも使えるのもあるわよ?」

「え、遠慮します……」

「私も、レイジングハートがありますので……」

 

2人共若干、どころではなくドン引きして俺達からちょっと離れた所にいる。

アリシアは魔力がほぼないからデバイスに憧れていたけど、流石にこんなわけわからんデバイスは付けたくないか。

 

「これなんかどうかしら、ヴィルキスとアーキバスって名前なのだけど」

「「あ、アハハハ……」」

 

そう言ってウーノが持ってきたのは、ロボットの腕のような白いデバイスと赤いデバイスだ。

うん。あっちはほっとこう。

 

「兄さん、これどう? 似合う?」

 

ギンガが腕に嵌めているのは、クイントさんが使うデバイスに似てるけど、先端の手の部分がドリルになるデバイスだ。

どういう構造したら手がドリルになるんだよ。

てか、ギンガには、絶対に使ったらダメな気がする。

 

「うん。似合ってないから別なのにしようか?」

「う~ん、これが一番しっくりきたのに」

「じゃあ、これはこれは!?」

 

ノーヴェが付けたのは、銃口に変形する青い筒のような腕、どこからどう見てもロックバスターだ。

 

「違うわ。それはエックスバスターよ」

「なんで両方作ったんですか」

 

元ネタは知っているけど違うが分からないアリシアがゲンナリしながらツッコミを入れた。

よく見ると、ロックマンエグゼのロックバスターやロックマンダッシュのロックバスターとか色々置いてあった。

もうこれ実益より趣味に走ってるじゃん。

 

「ウーノさん、あっちに沢山並んでる黒い腕って何が違うんですか?」

 

なのはが指差した方には微妙に色合いや形状の違う黒い腕が沢山並んでいた。

 

「あれはまさか、ロケットパンチ?」

 

にしても種類多いな。

ロックバスターと同じく沢山作ったようだ。

 

「流石ね健人君。左から普通のロケットパンチ、強化版ロケットパンチ、真版のロケットパンチ、アトミックパンチ、ターボスマッシャーパンチよ。もちろんアイアンカッターやドリルプレッシャーパンチ、ビックバンパンチにも変形するわよ」

「違いが分からないわよ!」

 

てか、ビックバンパンチって正確にはロケットパンチから変形しないから。

 

「あら、見る人が見れば違いは一目瞭然よ? ターボスマッシャーパンチなんて形状が明らかに違うでしょ?」

「心底どうでもいいわよ」

 

アリシアのツッコミにもウーノは動じない。

 

「ちなみに、あっちにはブロウクンマグナムもあるわよ。しかも、ジェネシック仕様よ」

「いや、要らないから」

 

俺勇者オーじゃないし、技を放つたびに喉痛めたくないし。

確かに腕を飛ばせるのは魅力的だけど、俺が欲しいのはそういうのじゃない。

 

「で、なんでこういうのまであるのかな?」

 

俺が目に付いたのが、他の機械的なデバイスと違って明らかに生物っぽい手、鬼の手だ。

 

「それは花子さんに頼まれて作ってみたらしいわ。幽霊とかお化けに対して有効で触れるだけで大ダメージよ。どうかしら?」

「幽霊やお化けを攻撃する事なんて多分……ないと思います。と言うかなんで花子さんが自分を攻撃する手を欲しがるの!?」

 

ちなみにこれを見た花子さんは大喜びでさっそく身に付けようとしたが、鬼の手の効果で危うく消滅しかけたらしい

そりゃお化け特攻なのにお化けが装備したらそうなる。

 

「そういえばウーノさん。こんなに沢山作って資金大丈夫なの?」

 

クイントさんがそう聞くと、ギクリッ! と音が聞こえてきそうな程ウーノが反応した。

そして、クイントさんに泣きついてきた。

 

「実は、かなりヤバイのよぉ~! ドクターったら材料費とか全く考えずに作りまくっちゃって大赤字なのよ! このままじゃ破産だわ!」

 

破産って、ナンバーズって企業だっけ?

 

「それで、健人だけじゃなくうちの娘達にもデバイスを売りつけようとした、とか?」

「それは少し違うわね。あなた達に売るつもりはないわ。ただ、有用性を知って欲しかったのよ。で、それを管理局に売り込む足場にしたかったの」

 

実は、スカさん達が外出しているのは、営業の為らしい。

ここに残っているのは戦闘用がほとんどだが、他にも調理器具に変形するタイプや、建築用工具になるタイプなどあるのでそれを色々な業種の企業に売り込みに行っている。

 

「というわけで、管理局の方で使ってみないかしら? 健人君やあなたの紹介って事で割安にするわよ?」

「ウーノさん、OLみたいね……まぁ、分かったわ。ゼスト隊長やリンディ提督に伝えておくわね」

 

後日、腕型デバイスは、どうにか管理局を始め色々な企業に売れていき、ナンバーズは破産を免れた。

 

「さてと、色々と面白いデバイスばかりで非常に魅力的だったけど、まさかこの中から俺のシェルブリットの新フレームを選べって言わないよね?」

「い、言わない言わないから、目のハイライト消さないで健人君、コワイコワイ!」

 

流石にこんなイロモノデバイスを相棒にしたくはない。

ちょーっとは興味あるけどね、ロックバスターとか。

 

「暴走する前にドクターを調きょ、折檻してちゃんと健人君の依頼にも沿った新型を用意したわ」

 

今何を言いかけた? と言うか言い直した意味ないよね?

兎も角、ウーノが持ってきてくれたシェルブリットの待機形態である腕時計を装着して、わざとらしく左手を掲げる!

 

「よしっ、久しぶりのシェルブリット、セットアップ!」

<おっし、任せろマスター!>

 

ちゃんと修理されているか不安だったが、シェルブリットはいつも通りの反応をしてくれた。

 

「うわぁ、お兄ちゃんかっこいい!」

「うんうん。よく似合ってるわよ、健人」

「ありがとう、ノーヴェ、クイントさん。シェルブリット、久しぶり。新しい姿はどうだ?」

<へへっ、久しぶりぶりだな、マスター。最高に気分がいいぜ!>

 

新しいシェルブリットのバリアジャケットは、見た目とほぼ同じだけど細部は、少し変わっている。

両手足に噴射口と緑色の宝石が付いている、これはGストーン?

 

「ウーノさん、コレは何?」

「そこが今回の改造の鍵の1つよ。ここに健人君の余剰魔力を溜めこむ事が出来るの。これで負荷がかなり激減するし、魔力が切れそうになったらここから魔力を補給できるようにもなるわ」

「あ、それは便利かも」

 

実際に魔力切れになった事はないけどね。

 

「健人君からの要望があった改造もしてあるわ」

「おっ、なら早速。シェルブリット!」

<了解!>

 

―カチャッ

 

両手首の装甲が開いて中から銃口が現れた。

 

「「おぉ~!!」」

 

俺がお願いしたシェルブリットの改造、それは連射型の魔力銃の追加だ。

俺は、基本高機動接近型魔導師だ。

使える魔法は接近戦や移動しながら殴るものが多い。

中・遠距離にはマッハボンバーがあるけど、あれは威力は高いけど連射出来ないし出すのに少し溜めが必要だ。

だからガンダムNT1の腕部ガトリングみたく、即座に撃てる隠し武器みたいなものが欲しかった。

 

「威力も連射も結構自由に調整できるから、早速試してみるかしら?」

「兄さん、やってみせて!」

「私も見たいみたい!」

 

ギンガとノーヴェは新型シェルブリットを起動した時から目を輝かせているが、銃口を出した時は全身が輝くくらいに興奮していた。

こういうのって男の子が好きそうなものだと思うんだけどな。

 

「あの2人間違いなく健人の悪影響を受けているわね」

「ねぇねぇ、健人。試射終わったら私にも使わせてくれないかしら!?」

「訂正、クイントさんの悪影響もあったわ」

「あははっ、私もちょっと興味あるなぁ」

「なのはもかい!」

 

さっきからアリシアが失礼な事言っているけど、気にしない気にしない。

俺達は施設内の射撃場へと案内された。

ここは射撃や砲撃用の固定式・移動式のターゲットが多くある。

まずは小手調べとして、そこまで速く動かない空中浮遊型のターゲットを出してもらう事にした。

 

「じゃ、行くわよ!」

 

ウーノの合図と共に、赤い色をした丸いターゲットが複数現れた。

初めてなので右手だけを向けて精密射撃で落とす事にした。

 

「……そこだ!」

 

―ビュッ!

 

シェルブリットから黒い魔力弾が放たれターゲットを黒に染めた……黒?

と、同時に銃口からほのかに香ばしい匂いがした。

 

「なぁ、シェルブリット。ひょっとして今放たれたのって……」

<……醤油だ>

「やっぱり、なんでだよ!!」

 

なんでシェルブリットから醤油が出て来るんだよ!

 

念の為もう一度撃ってみた。

 

―ドビュ!

 

今度は血のように赤い魔力弾が放たれターゲットを赤く染めた。

うん、赤は俺の魔力光だけど何か色合いが違う。

 

<今放たれたのは、ケチャップだ>

「だと思ったよ!」

「落ち着いて健人君。もう一度今度は左腕でやってみたらどうかな?」

 

なのはに言われ、渋々左腕で試してみる。

今度放たれたのは魔力弾、とはとても言えないナニカが……

 

―パッ!

 

白い粉のようなものが放たれた。

 

<塩だな>

「ウーノサーン? コレハドウイウコトカナ?」

「い、いいまドクターに連絡するから、ちょ、ちょっと待ってて!」

 

ウーノも動揺しているようだ。

って事は元凶はやはりドクターか。

 

「いや、今の健人が怖かったからでしょ。白目むき出しで睨むんじゃないわよ。ギンガとノーヴェも怖がるでしょ!」

「兄さん、おもしろーい♪」

「なんで喜んでるのよ!」

 

やっぱりアリシアが来てくれて良かった。ツッコミが任せられる。

と、ドクターと通信が繋がったようだ。

 

『やぁ、健人君に皆さん。君たちが来るというのに留守にしててすまないね。新しいシェルブリットは気に入ってくれたかな』

「ドクター? 新しいシェルブリットから醤油やケチャップが出るんだけど、どういう事かな? かな?」

『えっ? いや、まさか、あの時の……』

 

ドクターは狼狽しながらブツブツと独り言をしている。

 

「この動揺の仕方は、わざとじゃなかったみたいね。てっきりドクターのいつもお茶目かと思ったわ」

「軽く言うけどクイントさん、そのお茶目で毎回被害食らうの大抵俺なんだけど」

 

おかげで管理局内で俺はドクターの避雷針扱いされてるの知ってるんだぞ。

 

『いやぁ~すまない健人君。この前ちょっと軽食食べようと目玉焼き作ったら醤油が切れていてね。こんな時手ごろに醤油が手に入れば君も喜ぶだろうと思ったんだよ。いやぁ、あの時は二徹していた後だから頭がぼーっとしていてね、アハハハッ!』

「あはは、じゃないでしょ! なんで醤油だけじゃなくケチャップまで出てるのよ!」

 

アリシア、ツッコミ所はそこじゃない。

 

『醤油が出て来るだけじゃ他の調味料が必要な時に困る、と、当時の僕は思ったらしいね。だから色々な調味料が出る用にしたんだよ。これで健人君の魔力がある限り一般的な調味料だが、シェルブリットから出せるよ』

「えっ!? これって魔力変換素質だったの!? こんな魔力変換素質を生み出すデバイス技術はかなり貴重よ?」

<い、いらない機能だぜ…>

 

シェルブリットは、魔力変換素質【調味料】を手に入れた!

 

――ゴマダレ~♪(某ゲームBGM)

 

『あ、ごまだれを出せるようにはしていなかった! 急いで改造を……ギャーーッ!?』

『ハァ~イ、バカな事言ってないで急いで戻ってシェルブリットを元に戻しましょうね、ドクター♪ ではでは、すぐに戻るので待っててね、健人君』

「うん、ありがとうクアットロ、心底スカっとした」

 

その後、ボロボロになったスカさんを引きずりながらクアットロ達が戻ってきて、無事にシェルブリットはちゃんと俺が要望したようなただの魔力弾が出せる仕様に再改造された。

 

なお、シェルブリットを改造する際、スカさんが衝動的に産みだした魔力変換素質【調味料】が使えるようになるデバイス技術は、ウーノが特許に出した。

更には、そのデバイスを売りに出した所、大ヒットとなり特許と合わせて大儲けとなった。

これでロケットパンチ型デバイスを数百個作った赤字をなんとか埋める事が出来たとウーノが言っていた。

ちゃっかりしてるなぁ。

 

 

続く

 

 




昔は徹夜も出来たんだけど、今は無理(笑)

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