ViVidかと思ったら無印でした……   作:カガヤ

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大変お待たせ致しました!


第59話「うついべんとしゅうりょう」

モニターに映し出された血まみれのゼスト隊長。

普通、ここは驚く所なのだろうけど、俺もクイントさんもメガーヌさんもそこまで驚いてはいない。

だって、スカさんが関わってるんだもん。

スカさんが関わるイベントはシリアスの欠片もない絶対ろくでもない理由なのだと、3人とも分かっている。

それにゼスト隊長の血って、よく見ると鼻血に見えるんだよねぇ。

 

『あ、あれ? 皆さんどうしたんですか!?』

 

俺達の反応があまりにも淡白だったので、ティーダがさっきまでとは別の意味で焦りだした。

そうだよね。ティーダってドゥーエとイチャイチャしてる割に、スカさんイベントに関わるの初めてだもんねー?

テントの時のドゥーエとの邂逅はカウント外って事で。

 

「ティーダ君、一体隊長に何があったの?」

 

クイントさんは、シリアスな声と裏腹にノーヴェを3人も肩車して、1人を左手で抱きかかえて、もう1人を右手にぶら下げているというなんとも器用な事をしているため、シリアスにはなってない。

 

『ってよく見たら、そっちもどんな状況なんですか!?』

「こっちの事は気にしないで、割とどうにかなってるから」

「ク、クイント。私結構余裕ないんだけど!?」

 

メガーヌさんは、さっきから自分の髪の毛を弄ったりしているノーヴェの相手に四苦八苦してる。

俺? さっきからノーヴェ達の手を引いてピーターパンの如く空を飛んで遊んでいる。

あーでも、これやるなら名前的にウェンディが良かったなぁ。

 

『説明は私がします。ティーダ君はゼスト隊長の看護を、はいこれ使ってね』

 

モニターの向こうでドゥーエがティーダに箱ティッシュを渡した……ってやっぱ鼻血かい!

 

『えっと、どこから説明したらいいのかしら。まずはこの子達の説明からかしらね』

 

ドゥーエがまず説明したのは沢山現れたノーヴェの事だった。

けれども、ドゥーエ曰くノーヴェはスカさん達が最近保護した子と聞いていたが、こんなに沢山増えた原因は分からないとの事。

で、ゼスト隊長の鼻血が出た原因なのだが、これはどんな反応していいか困った。

 

「ノーヴェに食べさせられた麻婆豆腐が辛くて鼻血が出た、ですか」

『そう、ね。簡単に言えば、というかそうとしか言いようがないわね』

 

ゼスト隊長達はキッチンらしき場所に辿りついた。

そこにはクアットロとチンクがノーヴェ達と一緒に料理を作っていた。

で、ノーヴェが作ったという麻婆豆腐をゼスト隊長が食べたら、それが思った以上の超激辛で鼻血を出して倒れた、と言うのだ。

色々とツッコミ所満載だが、情けないというか呆れたというか、原因を聞いてモヤモヤする俺の尻目にクイントさんとメガーヌさんはなぜか納得した顔をしていた。

ちなみにドゥーエはクアットロとチンクに説明を聞こうとしたが、ゼスト隊長の鼻血でそれどころではなかったそうだ。

 

「ゼスト隊長、辛い物と子供には弱いからねぇ」

 

弱いの意味が若干違う気がする。

 

「多分、一度は渋ったけど、この子達が哀しそうな顔をして無理やりかきこんだのね」

『2人とも正解よ。私とティーダ君は辛いの大好きだから大丈夫だったけどね。ちなみにチンクはゼスト隊長の治療のために医務室の準備をしていて、クアットロはあなた達の方に向かったわ、あら?』

 

その時だった。突然天井の電気がつき辺りが明るくなった。

そして、目の前の壁から青い髪が生えてきた。

ディープダイバーで潜っていたセインだ。

 

「ふぅ~やれやれやっと元にもどっ…えっ!? なんでお前がいるんだ!?」

 

セインは、いつものナンバーズスーツではなく、思いっきり部屋着なのはなんだか新鮮だ。

 

「あらセインちゃん。こんにちは、可愛い服着てるわね」

「あ、クイントさん、メガーヌさん。どうも……ってだから、なんでここにいるんですか!?」

 

俺だけかと思ったらクイントさん達もいて、慌てて礼儀正しく挨拶するセインがちょっとかわいかった。

 

『セイン、あなたドクターから聞いてないの? 私達、ドクターにSOSされてここに来たのよ?』

「ドゥ、二乃姉まで!? そういえば、ドクターが何か言ってたっけ」

 

セインがモニター越しのドゥーエを見て、本名を言いそうになるも慌てて言い直したけど、今更なんだよな。

だって、二乃は偽名で本名がドゥーエってみんなにバレてるし。

なんかもう最近スカさん周りの緩さが拍車をかけてきて、スカさん達の隠し事ってほぼない。

唯一の隠し事が、ドクターブライト=スカリエッティって事くらい。

いや、それすらバレてそうだな。

 

ちなみにナンバーズが戦闘機人って事はバレている。

と言うか自分達で名乗ってるしな……

でも、ドクターブライトが別の研究所で生み出されたウーノ達を救出して、その恩があって親子関係になっている、というストーリーを披露しているので問題はない。

いや、色々問題ありすぎてそれでいいのか時空管理局!!

 

『ところで、この状況の説明が欲しいのだけど? あとなんでさっきまで電気が落ちていたのかもね。チンクとクアットロに説明聞く前にこうなっちゃったから』

 

ドゥーエは肩車しているノーヴェと、ぐったりしているゼスト隊長をツンツンしているノーヴェ達をモニターに映してジト目でセインに問いかけた。

 

「あ~それは、ドクターに聞いた方が……」

『はぁ、やっぱりドクターのせいなのね』

 

盛大にため息をついたけど、俺達は最初からこれはスカさんのせいって思ってたからまたも特に驚きなし。

 

「ともかく、ドクターに会わせてくれないかしら? SOSは大方この子達の事でしょうけど、ほっとくわけにもいかないしね」

『そうね。セイン、あなたが案内して。私はゼスト隊長の看病してから行くわ。医務室が近くにあるしね』

「それがいいわね。ティーダ君、念のため護衛よろしくね」

『了解しました。3人共気を付けて』

 

そうしてティーダ達と通信を終えた所にクアットロがやってきて、2人の案内で沢山のノーヴェ達を連れて移動した。

 

 

案内されて着いた部屋は、入口こそ普通だったが、中は体育館並みに広かった。

壁には熊さんやウサギさんが描かれていたり、天井には太陽や虹が描かれていたりといった、幼稚園の一室みたいな所だった。

その中で沢山のノーヴェがディエチと踊ったり、トーレと鬼ごっこしたりと、まるで幼稚園の様だった。

で、肝心のスカさんは部屋の隅っこの診療台みたいな所でうつ伏せで横になっており、ウーノが険しい顔でマッサージをしていた。

うーん、なんだこれ。

 

「やぁ~健人君、それにクイントさんにメガーヌさんもいらっしゃい……お見苦しい所をみせているが、ゆっくりしていくと、いぃ~……」

 

顔だけは無駄にキリっとしているが、ウーノが湿布を貼ると途端に顔が蕩けだしてなんともしまらない

 

「ドクター色々と聞きたい事とぶん殴りたい事あるけど、まずは、あの子達何?」

 

よく見ると、沢山のノーヴェの中に他のちびっ子が混ざっている。

あれは……まさか、セッテにオットーにウェンディ、ディート!?

ノーヴェもだけど、なんでみんな幼女になってるんだ!?

確か、ノーヴェ含めてもっと大人な姿だったはずなのに。

これじゃますますINNOCENTっぽいじゃん。

そう無言でセイン達に目で訴えると、揃って視線はドクターへと向けられた。

 

「さて、どこから説明したらいいかな」

 

スカさんは、相変わらず顔だけキリっとしている背中が湿布だらけのしまらない体勢で説明を始めた。

 

「戦闘機人であるノーヴェ達を保護したが、みなまだ幼い子供たちでね。秘密基地を転々としながら活動している私達ではうまく子育ては出来ないのだよ。だから、クイントさん達に相談しようと思っていたのだが……」

 

と、ここで露骨に視線をそらすスカさん。

 

「ノーヴェが最近押収したロストロギアを事故で弄ってしまってね。その結果、見ての通りさ」

 

うーん、一見筋は通っているけど、多分スカさん嘘をついてる。

クイントさんもメガーヌさんも怪しい目でスカさん見てるし。

 

「とドクターは言ってるけど、実際どうなの?」

「ドクターがノーヴェに玩具として与えたのが実は無限増殖するロストロギアだった、というのが真相よ」

「ウーノ!? そこは内緒にしてくれる約束じゃなかったのかい!?」

「知りません。大体ドクターがちゃんと回収したロストロギアを整理整頓していればこんな事にはならなかったんです!」

 

実はスカさん達は、悪の組織を壊滅させる傍らロストロギアを回収して管理局に売っているのだ。

ホント、ナンバーズが何でも屋になってきている。

 

「ちなみにこれがノーヴェが間違えて起動しちゃったロストロギアです。厳重に封印処理してますから安全ですわ」

 

そう言ってクアットロが持ってきたのは、見た目はまんまカレ〇ドステッキなブツ。

なるほど、確かに見た目だけならノーヴェくらいの年頃の女の子なら喜びそうな玩具だ。

 

「で、ノーヴェはいつになったら元に戻るの?」

「恐らく、明日までは元に戻らないと思う。そこで、君達にお願いがある。ノーヴェ達の、遊び相手になってくれないかな?」

 

スカさんやチンクたちが遊び相手になってはいたが、何せこの人数。

すぐにスカさんがギックリ腰で戦線離脱となり、さらにはTVゲームなど様々な玩具で電気を使いすぎて電源が落ちてしまうという事態になってしまった。

それを聞いて俺達は一斉に盛大にため息を吐いた。

くだらない事だと思っていたけど、まさかここまでとは。

 

「ねぇ、お兄ちゃん、お姉ちゃん、あそぼ?」

「あそぼうあそぼう!」

「遊んで、くれますか?」

 

幼いノーヴェ達がいっせいに上目遣い攻撃を繰り出してきた。

 

「「「( ゚∀゚)・∵. グハッ!!」」」

 

超クリティカルヒット、大ダメージだ。

特に恥ずかしそうにしながらも俺に話しかけてきた七緒、いや、セッテが衝撃的な可愛さだった。

 

「ま、まぁ、子供に罪はないからね。うん、お姉ちゃんと沢山遊びましょうか!」

 

俺達の中でも一番超ドストライクに決まったのは、意外にもメガーヌさんだったようだ。

顔を真っ赤にしながら、頬が緩みっぱなしだ。

 

「メガーヌ、お姉ちゃんって言われて喜んでるのね」

「ち、違うわよ!」

 

あ、なるほど。お姉ちゃんって言われて嬉しかったのか。

普段俺もギンガ達も名前で呼んでるんだけど、今度お姉ちゃんって呼んでみよう。

ちなみにクイントさんも少し頬が緩んでいるけど、俺やメガーヌさん程じゃない。

 

「ははっ、やはり健人君達に救援を求めて正解だったようだな」

 

そこへ、ゼスト隊長の治療を終えたドゥーエ達が戻ってきた。

チンクから事情を聞いたようで、ゼスト隊長もティーダも何とも言えない表情を浮かべている。

 

「和んでいるところ申し訳ありませんが、ドクター。事情はチンクから全て聞きましたよ?」

 

中でもドゥーエはノーヴェ達がロストロギアの影響でこうなったと聞いて、怒り心頭だ。

 

「なんで私には何の連絡もなしにノーヴェをこんなにして、健人君達にまた迷惑をかけるような事になってるんですか!?」

「い、いや、ドゥーエ。これは、だね。ウ、ウーノ!?」

 

普段の100倍怒りMAXなドゥーエに思わずウーノに助けを求めたスカさんだったが。

 

「ドゥーエ、あのお仕置き部屋を使って、イロイロと置いてあるから。それと腰へのダメージはなるべく避けてね。さっきまで私やトーレ達が痛めつけたばかりだから。」

「了解、ウーノお姉様♪ さて、ドクター。あちらでゆっくりOHANASHIしましょうか?♪」

「待ちたまえ! あの部屋だけはかんべ……」

 

――バタンッ

 

ドゥーエに引きずられるように、完全防音のお仕置き部屋へと連行されたスカさん。

哀れとも思わないが心の中で、ドゥーエにグッジョブと言っておこう。

スカさんのギックリ腰ってノーヴェ達が原因じゃなかったんかい。

 

そんなスカさんの惨劇(?)をスルーして、俺達は外で待機していた他の局員たちも呼んでノーヴェのロストロギア効果が切れるまで沢山遊んだ。

 

「子供との遊び方が上手ねティーダ君。やっぱり妹さんがいると違うわね、お兄ちゃん?」

「そういうドゥーエさんだって、立派なお姉さんしているじゃないですか」

「ふふっ、チンク達もいずれ、あなたの義妹になるのよねぇ、感慨深いわぁ」

「ぶふっ!? い、いきなり何を言い出すんですか!?」

 

もうあのバカップルの事はみんなスルーする事にしている。

でないと体中から砂糖が出そうだ。

と、思っていたら。

 

「ふふっ、子供っていいわねぇ。そう思いませんか、ゼスト隊長?♪」

「ま、まぁ、そうだな」

 

いつの間にかゼスト隊長とメガーヌさんもバカップルになっていた。

一体いつ2人がそんな関係になっているのかと驚いたが、クイントさんや他のモブさん達は気にしていないようだ。

 

「そっか、健人は知らなかったわよね。隊長とメガーヌの関係って結構前からだったけど、健人に悪影響を与えないようにあなたがいる時は自粛してたのよね。でも、ティーダ君とドゥーエさんがああでしょ? 自粛はやめたようね」

 

どうやら結構前からあんな関係らしい。

それにしても、メガーヌさんが意味深に下っ腹をやさしくなでているような気がするが?

 

「あ、やっぱり健人も気づいたかしら? ゼスト隊長は気付いていないようだから、まだ内緒ね?」

「はーい!」

 

 

その後、無事1人に戻ったノーヴェとウェンディ・ディード・オットーの今後をどうするかを、ゲンヤさんやレジアス中将も交えて話し合った。

結果、俺とクイントさんにとてもなついているノーヴェ・ウェンディ・セッテはナカジマ家の養女となった。

ギンガとスバルは姉妹が増えてとても喜んでいたな。

クイントさんはオットーとディードも預かろうとしたが、流石にそれはゲンヤさんとゼスト隊長に止められた。

そこにたまたま話を聞いたリンディさんの仲介で、オットーとディードは聖王教会に預けられることになった。

元々オットーとディードは、管理局に入っているドゥーエと同様に聖王教会に入り込ませる予定だったそうで、スカさんの思惑通りになったというわけだ。

なんかVivid時代を先取りしてINNOCENT世界を取り込んだような家族構成になっているな。

そういえば、今更過ぎるけどセインだけじゃなくドゥーエ達ってVividに出てきてないと思ったけど、どこにいたんだろ。

ま、細かい事は気にする必要ないか。

ここはVividでもINNOCENTでもないんだし。

 

ちなみに、ノーヴェやウェンディ達が俺が前ポットで見た時よりも幼い理由は、スカさんが調整ミスして装置が故障してこうなったらしい。

そんなお茶目をしでかしてお仕置き部屋から解放されたスカさんを慰める為、シェルブリットを装着して全力全壊のマッサージをしてあげた。

途中、クイントさんやメガーヌさん達も加わりスカさんは白目を向いて泡を吹くほど喜んでくれた。

 

 

続く




よっしゃー!やっと何とかかけたー!

モチベーション低下やら色々ありましたが、どうにか形に出来ました。
そして、ノーヴェ・ナカジマ、ウェンディ・ナカジマ、そして、まさかのセッテ・ナカジマ爆誕!
ディードとオットーも含めてスバルと同い年か1つほど下のイメージです。

次回は季節外れのネタをやります!
ハロウィンやりたいんですけど、ネタが全く浮かばないのでスルーです……

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