今回は日常(?)回です
今日もいつも通りの1日が始まる。
まずは朝。俺はほぼ毎日夢を見る。
そして、大抵夢の内容を1日くらいは覚えている。
さて、今日の夢は?
――けん……さ
――…んと!………
――……けん、……
――ケントサマー
とてつもない悪夢だった。
とはいえ、これは1週間に1回程度の割合で見ている悪夢なのでもう慣れてしまった。
以前は、2、3日に1回の頻度で見ていて、その度に悲鳴を上げて飛び起き、フェイト達に心配をかけてしまった。
心配だから一緒に寝よう、とまで言い出したからな、フェイトが。
その時は面白半分でアリシアがノリノリで一緒に寝ると言い出し、プレシアまで巻き込んで4人で寝ていたころもあったなぁ。
不思議とナカジマ家や八神家では見ず、テスタロッサ家でのみ見るんだよね、なぜか。
「……なれってほんとこわい」
目覚ましが鳴る前に起きて、完全に目が醒めたのでちょっと外を走ってこよう。
もう初夏なので、外は明るい。
毎朝とまでは行かないけど、早朝ジョギングは日課になってきている。
「あ、健人。おはよう」
「健人、おはよぅ。朝からジョギング? 元気だねぇ」
ジョギングから戻ると、既にフェイトとアリシアも起きていた。
アリシアは朝に弱いのでまだ眠たそうだ。
「アリシアもやるか? すぐ目が醒めるぞ」
「健人がおぶってくれるならやる~。あ、それいいねぇ。背中でもいいし、お姫様だっこでも…… 「ねえさん?」 フェ、フェイト? 目が怖いよ!? ジョ、ジョウダンダヨー?」
漫才始めたテスタロッサ姉妹はほっといて、朝食の支度をする。
と言ってもプレシアが作ってくれていたカレーを温めて、ジョギング前に炊いたご飯と食べるだけだけど。
プレシアは、リインフォース・ツヴァイの手伝いでアルフと一緒に研究所に泊まり込みする事が多い。
ここ1週間は研究所に泊まり込んでいて、通信越しでしか会話していない。
それでも、夜中や昼間にできる限り俺達の食事はちゃんと作ってくれて、今日も朝起きたら冷蔵庫にカレーと昼食の弁当がが置かれていた。
こういう所はクイントさんと同じく、お母さんだよなぁ。
そして、プレシア特製カレーを食べながら優雅な朝食タイム。
確かにカレーは美味しいけど、優雅かどうかは別だな。
「あーあ、いいなぁ。フェイト達のクラスは今日から水泳の授業なんでしょ? 私のクラス来週なんだよね」
「ねぇ、姉さん。今日、入れ替わらない? 水泳の授業だけでいいから、ね?」
「フェイト、諦めなよ。人間誰にも不得意な事はあるんだから」
「そんなぁ~」
フェイトとアリシアとの入れ替わりは今では教師の間でも要注意事項になっている。
それでもアリシア主導で入れ替わりをして楽しんでいるが、フェイトが入れ替わりをしたがるのは珍しい。
更に困り果てて、はては絶望まで浮かべるフェイトもまた珍しい。
体操着を忘れてなのは達に借りようとしたけど、サイズが違いすぎて絶望するアリシアはこんな顔だな。
で、そのアリシアはフェイトが何を思って急に入れ替わりを言い出したのか分かっているので、ニヤニヤ顔で断る。
どうしてフェイトはこんなに水泳の授業を嫌がるのかと言うと、答えは単純。
フェイトはカナヅチだった。
俺、フェイト、アリシアは各々事情は違えど、今まで泳ぎはしたことがなかった。
そこで水泳の授業が始まる前に泳いでみようと、先週プールに行った。
アリシアは最初こそうまく進めなかったが、すぐに泳げるようになった。
だが、フェイトは全く泳げるようにはなれず、溺れかけた。
フェイトは水中での訓練はしたことあるが、ただ単に泳ぐなんてしたことがなかった。
溺れかけた事で水が怖くなったわけではないが、フェイトは水泳が苦手になってしまった。
えっ? 俺の水泳の腕? すぐに分かるさ……
朝食を終えて、少し早めに家を出る。
途中、なのはやはやて達と合流して登校。
美少女だらけで登校は、最初すこーーーしだけ緊張したけど、スカさんやナカジマ家でのアレコレに比べたらどうってことはなくすぐに慣れた。
まだ小学生だからか周りも特に羨ましがったり妬んだりと言った感じじゃないしね。
「おはよう、草薙。今日も朝から随分と見せつけてくれるよなぁ!」
訂正。1名だけいましたよ、嫉妬の塊。
「おはよう、矛宮。今日も朝から随分と尖がってるなぁ」
「俺の名前は楯宮だ! ほこじゃねーよたてだよ! 雑なボケするんじゃねぇーよ!」
「せやで健人君。こういう時は、ボケる前に逆にもっと見せつけるんや……えいっ!」
「やぁっ!」
なぜかはやてが右手に、アリシアが左手に抱き着いてきた。
急な事だったので若干バランス崩しそうにはなったけど、どうにか踏ん張った。
小さいアリシアはともかく、はやてはうまく足も絡ませてきてる。
「おい、こらお前ら……」
「ほら、フェイトも早く乗っかって!」
アリシア、妹を巻き込むな。
「えっ? でもどこに?」
「背中が空いとるよ、フェイトちゃん」
はやて、たきつけるな!
「そうだね、えいっ!」
「ちょっ、待てフェイト。流石にこれは……」
フェイトが後ろから抱き着いてきた。
なんでフェイトもそれに乗っかるかな!?
なのは達も止めて……っていねぇ!?
「なのはちゃん達なら先に行くからごゆっくり、と言うとったで?」
あ、逃げられた。
「むむっ、なんのこれしきー!」
3人共、足を俺に絡ませて来てて重心がドンと来てる。
それでも、結構鍛えてるから重くはないけど、バランスがとりにくい。
あれ? 楯宮が静かなだな。
てっきりこの状況で嫉妬心を倍加させてるかと思ったが、なんか呆れ顔になってる?
「なんだよ、楯宮。羨ましいなら代ろうか?」
「いや、羨ましいと言うか、なんだろうな。修行してるようにしか見えなくてあまり羨ましく感じない」
右手にはやて、左手にアリシア、おまけにフェイトを背負って踏ん張っている姿は、そりゃ修行にしか見えないよな。
身長が大きくなったからできた事だけど、はやてとアリシアが足を身体に挟み込むようにしている。
しかも、今日は弁当箱持ってるから歩きにくいにもほどがある。
見た目的にもすごい絵面になってそう。
「えっ? これって訓練の一環じゃないの?」
フェイト、天然装ってワザととしか思えないんだが?
「せっかくやからこのまま教室へゴー!」
「あ、いいね。それ!」
「なんでだよ!」
結局そのままの格好で学校へ行き、生徒と先生から数奇な目半分生暖かな目半分で迎えられたのであった。
そして、今日の授業が始まった。
国語の教科書に載っている物語を読む授業や、理科の実験は面白いけど算数は若干退屈だ。
とは言え、問題を解く事よりも授業を受ける事が楽しいので全く問題はない。
逆に社会は、結構忘れていることが多い。
地図記号とかなんて使う事なかったから忘れまくってた。
「では、草薙君。この地図記号の意味はなんでしょうか?」
「はい。その記号の意味は……アンブレラ社です」
「違います! そんな物騒な会社が町に溢れているわけないでしょ!」
うん、ホント結構忘れてるなコレ。
昼食の時間。
学校生活で一番憧れていたのは給食。
なので、この時間が一番のお楽しみ……になるはずだったのだけど。
私立聖祥大学付属小学校は、給食ではなく弁当だと聞いて軽いショックだった。
教室や屋上やら色々な場所でみんなが弁当を広げている。
俺達も大人数なので、邪魔にならないよう踊り場の一角をレジャーシートを広げて陣取っている。
なのは達は弁当を持ってきてはいないが、これはクイントさんがみんなで食べてと大きい重箱に色々詰めてくれたので、これをみんなで食べるからだ。
プレシアも対抗心燃やして同じ重箱にフェイトとアリシアの好物中心に詰めて作った弁当もある。
最初俺の弁当はプレシアが作ってくれていたのだけど、今ではクイントさんが作ってわざわざテスタロッサ家に朝転送してくれている。
クイントさんが手作り弁当を俺に持たせたい。とプレシアに相談したら作ってくれたとの事。
スカさんが悪目立ちしすぎてるけど、プレシアも結構な天才なんだよね。
「じゃじゃーん。今日は、私のリクエストで茄子の浅漬けと南瓜の甘露煮。それと筑前煮、デザートに抹茶プリン!」
「おぉ~……って、アリシア。確かにおいしそうだけど……」
「地味と言うか、好みがおばちゃん通り越しておばあさんっぽいぞ。飲み物麦茶だし」
アリシアが和食を好きになって、プレシアがはやてや桃子さん達に和食を教わったのでかなりうまい。
「むぅーでも、フェイトよりはマシでしょ」
「まぁ、それは確かにそうよね。こんなお弁当あたしも見た事ないわ」
アリサが呆れ顔になるのも無理はない。
フェイト用にプレシアが作ったのは、ミニピザにナンにピロシキ……という国際色豊かすぎるラインナップ。
研究所に籠るほど忙しいのに、どこにこんなに沢山作る暇があったのか。
「へへっ、みんなも食べてね」
「もちろん! いただきまーっす!」
こうしてにぎやかに昼食の時間は過ぎていく。
料理上手なはやても絶賛するほどに上手いのだけれど、問題は子供7人に対して大人7人分はありそうなこの量を昼休み中に食べきれるか、だな。
朝、はやて達よりも両手に持った弁当の方が重いと思ったくらいだし。
午後の授業
午後は、待ちに待ったプールの授業だ。
小学校の水泳ならスクール水着で統一されてると思ったが、この学校は水着は各自自由だ。
みんな水着に着替えてテンションが高い。
カナヅチのフェイトだけは、若干テンションが沈んでいる。
どうやら、沈んでいるのはカナヅチだからだけではないようだ。
「……た、食べ過ぎちゃった」
フェイトは少し膨らんだお腹を手で隠しながら苦笑いを浮かべた。
アリシアも今頃お腹を抑えて苦しんでるだろうな。
あんな小さい身体でよく食べたもんだ。
「そりゃあれだけ食べたらねぇ。健人の食べっぷりにつられたんじゃない?」
「にゃはは、健人君もすごく沢山食べたもんね」
そりゃ、クイントさんにプレシアの弁当だもん。なのは達の分まで食べないようにはしたけど、沢山食べなきゃ損だ。
まぁ、なのは達から見たら桁違いに見えるんだろうけど、任務だけではなく普段から動きまくる俺にとっては普通だ。
だからクイントさんも沢山作ってくれたんだろうし。
「大丈夫? 胃薬いる?」
なんで胃薬を常備してるんだ、すずか。
「ところで、健人君。私らの水着、どうや? 似合っとるやろ?」
はやてが水着を見せつけるようにポーズをとりながら言うと、すずかとアリサはハッとした表情を浮かべ、恥ずかしそうに隠れた。
うん、そうだよね。これが普通だよね。
「見ろ、はやて。これが普通の女の子の反応だぞ」
「そして、あれが普通の男の子の反応や」
はやてが指差した先には楯宮含め、数人の男子が顔を赤くしてチラチラなのは達を見ている。
最近の小学4年生は進んでるなーこんなもんかな?
『そうやねー健人さんは私らみたいなお子様には興味ないもんねークイントさんやメガーヌさん達の方がええよねー?』
『わざわざ念話で拗ねるなよ。てかなんであの2人が出て来るんだよ』
クイントさんは色々な意味でヤバイ。
『それとも、ナンバーズのお姉さん達?』
『……ノーコメント』
アレは触れない方がいい。
「で、健人君どうかな? 水着、似合ってる?」
「おう、なのはらしいカラーリングで似合ってるぞ」
「ホント? へへっ、嬉しいなぁ」
なのはは本当に嬉しそうだ……てかこのやりとり、この前みんなで水着買いに行った時にしたばっかなんだけど。
俺があまりみんなに反応しないのも、既にどんな水着がじーっくりたーっぷり見させてもらったからなんだよね。
「健人、私はどうかな?」
少しは回復したのかフェイトも水着の感想を聞いてくる。
ちなみに、この流れもこの前やったばっか。
なので、俺も同じ返答をしよう。
ただし、ここは人がいるから念話で。
『ソニックフォームとあまり変わらない』
『えぇ~!?』
だって、フェイトが気に入って買った水着は、まんまソニックフォームなんだから仕方ない。
速さを上げるためとはいえ、あの生地の薄さはどうかと思う。
将来、癖になって痴女にならないかとプレシアの悩みの種になってるし。
「さー皆さん。まずは準備運動からですよ」
「「「はーい!」」」
そして、始まる水泳の授業。
最初は、水の中を歩く事から始まり、ビート版でのバタ足練習をした。
「ブクブクブク……」
「フェイトちゃーん!?」
フェイトは案の定、プールに入ってすぐにビート版抱えたまま溺れてるし、ある意味器用だな。
ま、俺も人の事言えないか。
ブクブク……
「あら? 草薙君はどこかしら?」
「せんせー、草薙ならプールの底を泳いでいます」
「えぇー!?」
そう、俺は泳げるけど、なぜかすぐに沈んでしまう。
クロールや平泳ぎはすぐにできるようになったけど、息継ぎがうまくできない。
息継ぎするたびに沈んでいく。
溺れているわけじゃないんだけどねぇ。
見れば他にも変な泳ぎ方してる子がいるな。
「きょ、今日はこの辺にして、後は自由に泳いでみましょう」
流石に先生も面食らったようで、残りの時間は自由時間となった。
「フェイトちゃん、全身に力入れすぎかな。もう少しリラックスしよう?」
「よ、よろしくお願いします……」
フェイトは、すずかに泳ぎ方を教わっている。
意外にも俺達の中で一番泳ぎがうまいのがすずかで、はやてが2番目に上手だ。
で、俺の方はと言うと。
「ふっふっふっ。泳ぎなら、泳ぎならば俺の独壇場だ! さぁ、勝負だ草薙!」
いつものように楯宮に勝負を挑まれていた。
楯宮は泳ぎがうまいからいつもより自信があるようだ。
でも、なーんか勘違いしてる気がする。
周りも周りで俺達の勝負に興味があるようで、1コース分空けている。
先生は、フェイトや他に泳げない子達へ教えていて、すずかとはやてが手伝っている。
はやても何気に水泳得意なんだよな。
ま、やるしかないか。
「それじゃ、位置について、よーいドン!」
アリサの掛け声と共に俺と楯宮は一斉に泳ぎ始めた。
案の定、俺は泳げば泳ぐほど沈んでいく、ブクブク。
そして、少ししてから25メートル先のプールの対岸へと楯宮が着いた。
「よっしゃ! 草薙に勝ったぞー!」
「いや、俺もうここ着いてるぞ」
「くっ、草薙!? お前泳げないはずなのにいつの間に!? 何かズルでもしたのか!?」
あっ、やっぱり勘違いしてたか。
「友樹、あなた勘違いしてるわよ」
「えっ? ぼくの何が勘違いなんだバニングス?」
「健人は、泳げないわけじゃないわ。ただ、息継ぎが下手で沈んじゃうだけ。泳ぐ速さだけならすずか程じゃないけど速いのよ?」
「なんだよそれ!」
そう。俺は泳ぎの速さだけなら結構速い。
すずかやはやて程じゃないけど、3番目くらいって所だ。
「健人君って潜水艦みたいだよね」
「沈んだまま25メートル泳ぎ切る肺活量ってどんだけよ」
泳げないよりはマシだ。
うん、息継ぎを諦めて息を止めながら素早く動く方向に持っていったのが功を奏したんだな。
「目指せ、潜水100メートル」
「馬鹿な目標立てるんじゃないわよ。しっかり泳げるようになりなさい!」
アリサに突っ込まれてしまった。
俺もすずやかはやてに泳ぎ教わるかな。
「なら、私と一緒に泳ごうよ。私もそれほどうまくないけど、だから一緒にうまくなろう?」
「あたしもはやてやアリシアよりも速く泳げるようになりたいし。3人でうまくなるわよ」
なのはとアリサ、泳げる事は泳げるけど、フェイトよりはマシってレベルなんだよね。
アリサは、この前水泳初心者のアリシアに負けたのが悔しいらしい。
「な、なら俺が指導を……」
「「あ、結構です」」
「そんなー!?」
楯宮が何か言いかけたけど、即座に俺とアリサでシャットダウン。
なのはは苦笑いを浮かべているけど、特にフォローはしない。
楯宮って、頭悪くはないけど人に物を教えるのド下手すぎるんだよな。
前になのはが国語教わろうとしたら、全く参考にならなかったらしい。
そして、放課後。
「みんな、まったねー」
「ばいばーい!」
みんなそれぞれの家へと帰って行く。
帰宅後、誰かの家に遊びに行ったり、俺やなのは達は管理局の任務があったりする。
けど、今日は各々家の用事があったりで各自解散となった。
俺も買い物してから帰るつもりだ。
プレシアの残してくれたカレーはまだあるけど、少し物足りないのでカツや野菜を買う予定だ。
これでも人様に出せるようには料理もうまくなったし。
と言っても、今日俺が作る予定なのはサラダ程度だけど。
「さてと、俺は夕食の買い物して帰るから、2人共先に帰ってていいぞ」
「なら私も一緒に行くよ。姉さんは先に帰っててね」
「ガーン。さらりと健人と2人だけになろうとナチュラルに邪魔もの扱いされたー?」
「ふふっ、冗談だよ。健人、私達も一緒にでいいでしょ?」
「ん、別に構わないぜ」
フェイトってホント強かになったなぁ。
「おやおや~? 朝だけでなく放課後も両手に華で健人さん、口元がにやけてますよぉ?」
「そのセリフは10年早い。せめてプレシア程度にまで大きくなってから言え」
「むっ、これでも大きくなってるんですよーだ!」
「健人って、お母さんの事が好きなの?」
「ちっがーう!? そういう意味じゃないし。ショックを受けるなよフェイト!」
なんか最近俺かなりの年上趣味に見られ始めてる気がする……クイントさんやメガーヌさんならまだいいか。
「大丈夫だよ、フェイト。健人はお母さんみたいなおばさ…」
「あら、アリシア。誰がおばさんなのかしら?」
商店街へ向かって歩いていたら、いつの間にかプレシアが背後に立っていた。
フェイトは嬉しそうな顔で振り向いたけど、アリシアは冷や汗をかきながら固まっている。
「イ、イヤダナーオカアサマ。オカアサマミタイナオトナノオネエサマハ、ケントニハマダハヤイッテイオウトシタンダヨ」
「あら、そうだったの。ならいいわ。健人、買い物なら済ませたから、大丈夫よ。連絡しようと思ったらあなた達が見えたのよ」
「了解。でも、向こうは大丈夫なの? 3、4日は忙しいって言ってたのに」
アルフの姿が見えないのが何か嫌な予感がする。
「大丈夫よ。アルフが私の分まで頑張るから今日は家に帰りなよ。って言ってくれたのよ。ご主人想いのいい使い魔ね」
「そうなんだ。今度、アルフにありがとうって言わないとね」
絶対に嘘だ。と、俺のアリシアの声が一致した。
恐らく、娘と一緒にご飯食べれないのが耐えられなくなったからアルフに押し付けて無理やり帰って来たんだろう。
哀れ、アルフ。
「2人共。どうかしたかしら?」
「「イエイエナンデモアリマセンヨー」」
なんだかんだでフェイトもアリシアも嬉しそうだな。
その後、腕を振るい過ぎたプレシアの夕食に、フェイトやアリシアはまたもやお腹を丸くした。
「でも、俺も今日は食い過ぎたなぁ……」
風呂に入りながら大きくなったお腹をさすりながら湯舟に身を沈める。
ナカジマ家にいると、風呂に入ろうとスバルとギンガを連れて、クイントさんがほぼ毎日来たっけ。
で、スカさん家にいた頃はドゥーエが入ろうとしてトーレに止められて、セインが悪戯しようとしてディエチやチンクに撃退されてたっけ。
慣れるとああいう賑やかなのもいいけど、こう1人でのんびり風呂に入るのもいいもんだ。
ここじゃ流石に乱入はないだろうし。
宿題も終えたし、あとは寝るだけ。
これで俺の極々平凡な一日が終わる。
「健人? 一緒に……」
……まさか、ね?
続く
健人の平凡な学校生活でしたー
管理局の仕事がない日は大抵こんな毎日です(笑)
この小説独自設定として、泳ぎが一番うまいのはすずか、同じくらい上手なのがはやてです。