ViVidかと思ったら無印でした……   作:カガヤ

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久々にバトルが書きたくなりました(笑)


第50話「全・力・全・壊」

ある日、クロノから訓練用の無人世界へと呼ばれた俺達。

そこで衝撃的な言葉が聞かされた。

 

『今日はみんなに、ちょっと殺し合いをして貰う』

 

「「「ええぇ~~!?」」」

 

「いや、言ってない! 言ってない! 健人、無駄にうまく僕の声真似して嘘つかないでくれないか!? しかも、なんで君たちまで真に受けるんだい!?」

 

まぁ、反応したのは俺とはやてと、なぜかフェイトもだけどね。

なのは達は苦笑いを浮かべているだけだし。

 

「そこは、ほら、お約束?」

「せやなぁ。健人君の声真似がうまかったから、つい?」

「クロノ……私達、殺し合いなんて出来ないよ……」

 

フェイトは、今にも泣きそうな目をしている。

ありゃ、冗談抜きで本気に捉えてしまったか。

 

「毎回毎回、僕で遊ばないでくれないか!? フェイト、なんで君は本気にするんだ。嘘だよ、嘘」

「そっか、良かったぁ。ダメだよクロノ、エイプリルフールはもうとっくに終わったよ? それに、今の嘘はいくら何でも酷過ぎるよ……」

「だーかーらー! さっきのは僕じゃないと言っただろう!? 健人、君のおかげで僕が悪者扱いなんだが!?」

「いつもの事じゃん♪」

「悠久なる凍土 凍てつく棺のうちにて……」

 

クロノの目からハイライトが消えてデュランダルを構えだしたが、エイミィによって止められた。

 

「はーい、そこまで。話が進まないからクロノ君抑えて抑えて。健人君もあんまりクロノ君で遊んじゃダメだよ? 遊ぶのは私の仕事なんだから」

「うん、ごめんなさい、エイミィさん」

「よろしい」

「よろしい、じゃないだろう! そこは謝るのは僕にだろう!?」

「あ、クロノ、ごめん、次は声真似もっとうまくするよ」

「そこじゃない! 僕が言いたいのはそこじゃない!」

 

クロノの頭が爆発しそうなのに、ここまでにしておこう。

 

「むっ、やっと終わったか。それで、我らは一体何をすればいいのだろうか? 任務か?」

 

さっきまでなのは達と歓談してたリインが代表するように聞くと、クロノはさっきまでのハイテンションとは打って変わってぐったりと項垂れながら今日のやることを説明しだした。

 

「はぁ~……今日は君達に模擬戦をやってもらう」

「なんだ。さっき言った事とあまり変わらないんだ」

 

もう突っ込む気も無くなったのか、クロノはこちらを一睨みするだけで話をつづけた。

 

「レイジングハートとバルディッシュ、それに、はやての新しいユニゾンデバイスのためのデータ収集が1番の目的」

 

レイジングハートとバルディッシュは闇の書の一件でベルカ式カートリッジシステム入れた。

あの時は緊急だったから急いだけど、ミッドチルダ式のデバイスにベルカ式システムを入れるのには、本来何度も調整が必要なのだそうだ。

で、その調整を今までずっと行ってきて、やっと終わったからその試運転の為だ。

それと、リインフォースがはやてとユニゾンできなくなり、代わりのユニゾンデバイスを作る為にはやての戦闘データを収集するのも目的の1つ。

 

「それから今は、健人の戦闘データがあまりなくてな。それの収集も目的の1つだ。徹底的にやってくれて構わない。勿論魔力ダメージのみだ」

「あれ? 俺のデータは地上本部にあるのもらってるんじゃないの?」

 

地上本部と本局の関係は、昔ほどギスギスじゃなくなったから結構風通し良くなったとゼスト隊長言ってたけどな。

 

「直に収集したデータも必要なんだ。それに、これからはなのは達との連携も前より必要になってくるからな。色々なデータが必要なんだ」

「言われてみれば、なのは達と模擬戦はあまりしたことないし。連携も闇の書の一件だけだった気がする」

 

フェイトやシグナムからはよく誘われるけど、少しだけやってあとは理由付けて断ってたな。

なのはやはやてとはした事すらなかったかも。

一緒に戦ったのだってなかった。

マテリアルズの時は …ケントサマー ………考えるだけで危険だからやめておこう。

で、地球で過ごす事になって、クロノ達の任務も手伝う事も増えていくだろうし、連携確認はいいかもな。

 

と思っていたのだが……

 

「これは流石にどうなんだろうな!?」

「何がだ? いいバランスだろう?」

 

俺 VS なのは、フェイト、はやて

 

どこが良いバランスなんだ?

なんで連携するのに俺が3人と戦う羽目になってるんだ?

 

「クロノ君、流石に私達3人で健人君1人なのはちょっと……」

「健人は、ゼスト隊長達とも互角に戦えるようになったと聞いているからな。これくらいは普通だろう? それに勝つのが目的ではなく、あくまでデータ収集が目的だ」

 

なのは達も困惑しているが、当のクロノはしれっとした顔をして答えた。

 

「さっき遊んだ事、根に持ってる?」

「………さ、始めようか」

「流石クロノ。背だけじゃなく器も小さい!」

「よしっ、僕も混ざろう。ついでにシグナム達もだ」

「キャークロノサン、サイテー!!」

「うがーっ!」

「はいはーい、それじゃみんな、ケガにだけは気を付けてねー」

 

デュランダルを振り回すクロノの首根っこを摑まえながら、エイミィが開始の合図を告げた。

 

「はぁ、しょうがない。やります、かっ!」

「速い!」

 

合図と共に、両足に魔力を込めてフル稼働させる。

先手必勝、まずは支援攻撃タイプで接近戦に弱いはやてを狙う。

が、はやても一瞬で防御壁を作り、俺の一撃を防いだ。

 

「わわっと、真っ先に私の所に来てくれるなんて嬉しいわぁ」

「相手の方が数が多い時は、不意をついて狙いやすい相手から倒して数を減らす。ゼスト隊長達から教わった事だよ」

 

伊達にこの数か月、鍛えられてきたわけじゃないんでね。

 

「そっかぁ。でも、強うなったのは健人君だけやないで?」

「っ!?」

 

気が付けば、すぐ横にフェイトのザンパーが見えた。

はやて、自分を囮にして俺を引き付けたのか。

 

「食らうかぁ!」

 

はやての防壁を蹴った反動で宙返りをして、フェイトの一撃を交わした。

 

「アクセルシューター、シュート!」

 

けど、かわした先にはなのはのアクセルシューター。

流石、なのは達はフォーメーションもばっちりだ。

でも、まだこの程度では落ちない。

 

「うおぉ~! マッハボンバー!」

 

俺の右腕から放たれたいくつもの火球が、シューターを打ち砕き、なのはへと迫る。

なのはは、一瞬驚いた表情を浮かべたが、すぐにその場を飛びのき回避した。

マッハボンバーは速度と威力は優れているけど、誘導弾じゃないんだよな。

 

「よそ見禁物や。クラウソラス!」

<ハーケンスラッシュ>

 

はやての魔力弾と共に、フェイトの斬撃が後ろから来るのが分かった。

 

「トルネード、クラッシュ!」

「きゃっ?」

 

振り向きざまに回転蹴りを放ち、斬撃共々魔力弾をかき消す。

斬撃を弾かれたフェイトが体勢を崩した。追撃のチャンス!

 

「グレンマグナム!」

「くっ」

 

体勢を崩したままフェイトは障壁を張って防御した。

だけど、咄嗟に張った障壁なんて、紙同然にもろい。

 

――パキーン

 

障壁はすぐに破られ、フェイトはそのままはやての所へと吹き飛ばされた。

別にこの攻撃でフェイトを倒せるとは思っていない。

とどめの一撃を構えた所で強い魔力を感じた。

 

「フェイトちゃん!」

<A.C.Sスタンバイ!>

 

なのはがしようとしている事に気付き、反転してなのはの元へと一直線に飛ぶ。

 

「は、速いよ健人君!?」

「なのは達3人相手に油断も手加減も出来ないだろ!」

 

なのはのエクセリオンバスターA.C.Sに対抗するには、こっちも新技を出すしかない。

高速飛行しながら両手の手甲が開き、魔力をチャージする。

右手と左手、それぞれに集まった魔力が逆回転をしながら渦を巻く。

対するなのはは、A.C.Sを展開して俺へと向かってくる。

 

「エクセリオンバスターA.C.S、ドライブ!」

「スパイラル・ドラグーン!」

 

この魔法は両手に逆回転の渦を作り、それを合体させて相手に突撃する魔法。

ちなみに元ネタは、獣王激烈掌。

 

「はあぁ~!」

「だあぁ~!」

 

螺旋状の魔力の塊が巨大な龍となって、なのはの光の矢と真っ向からぶつかった。

 

――ドドーンッ!

 

 

 

「やりすぎよ!」

「「「「はい、ごめんなさい」」」」

 

あの後、フェイトやはやても交えてのドンパチは続き、最後にはトリプルブレイカーとシャインナックルブレイカーとの大激突とまでなった。

で、次元震までは行かなかったが、無人世界が滅茶苦茶になり、リンディとプレシアが飛んできて模擬戦は強制終了となった。

 

「二人とも、いくらデータ収集が目的とはいえ、もっと早く止めなきゃダメじゃない!」

「すみませんでした。リンディ艦長」

「すぐ、終わると思ってたんですけど……」

 

俺やなのは達はプレシアから、クロノとエイミィはリンディからしっかりと怒られた。

徹底的にやっていいとクロノがお墨付きを与えたからだからか、俺達への説教は割とすぐ終わった。

 

「ここが無人世界で良かったわ。あなた達4人だけでここまで滅茶苦茶に出来るなんて、本来なら第一級危険人物としてマークされるわよ」

 

プレシアが呆れるのも無理はない。流石に、島が消し飛んじゃったからなぁ。

魔力ダメージで島が消し飛ぶってどんだけーってシグナム達も呆れてたな。

 

「健人君、すっごく強くなったね」

「うん、特に魔法の発動がかなり速かったよ」

 

なのは達がさっきから褒めまくりだけど、体中が痒くなってきた。

 

「ゼスト隊長達に鍛えられたからね。それにシェルブリットの性能のおかげだよ」

「それやそれ。シェルブリットもカートリッジシステムがないのに、あの大出力を速攻で出せるやなんて、一体どうなっとるん?」

 

なのは達が一番驚いたのは、俺の魔法の発動の早さだという。

そういえば、なのは達の前で戦ったの闇の書の一件の時だけだったな。

 

「へんた、ドクターブライドがカートリッジシステムなんて邪道だ。もっと別のシステムを導入した方が俺に合ってる! って言ってたんだよな」

 

俺の魔力量は異常に高く、質もいいのでカートリッジシステムで底上げするよりも、魔力を効率よく素早く発動させる機構にした方がいいとスカさんは言っていた。

だからシェルブリットには、管理局のデバイスにはない独自のシステムが組み込まれている。

具体的にどういうシステムなのか、詳しい事は分からないと言ったら、マニュアル運転とオートマ運転の違いだと説明されて、ますますわからなくなった。

最初のうちは、カートリッジシステムがいいと思ってたんだけど、実際使ってみるとこのシステムの良さが分かって、すぐにスカさんにお礼を言った。

調子にのったスカさんが、「このシステムをスカリーシステムと名付けよう」と言ったらウーノにぶっ飛ばされてたけど。

 

「よくそれで管理局が納得したな」

 

リインフォースが不思議そうな顔をするけど、なんの不思議な事はない。

地上本部でもその事でかなりシェルブリットを調べようとしたけど、スカさんやウーノ達が組み込んだセキュリティーの高さに解析を断念した。

それでも一部の研究者達は、ムキになって俺ごと分解してでも調べると言い出したが、レジアス中将に左遷させられた。

ついでに左遷先でもめげずに俺を拉致ってでも、と意気込んでいたら次々と不幸な目にあってるのは、運が悪かっただけと思いたい。

全身タイツのボディコンお姉さんに襲われたとか言ってたのは、気のせいだと結論付けられたしね。

 

「最終的に変態が作った変態デバイスだから仕方ない。って結論になって、シェルブリットや俺の素質については深く突っ込む人がいなくなった」

「「「……納得」」」

 

なのは達も、変態丸姿だったけどスカさんとは面識あるから、色々と察したようだ。

 

<褒められてるのか貶されてるのかさっぱりわかんねぇ……>

<大丈夫です。マスターたちはあなたの事をちゃんと褒めていますよ>

<私達も、あなたは素晴らしいデバイスだと思っていますよ>

<ありがとよ。レイジングハート、バルディッシュ>

 

こっちはこっちでデバイス同士の絆が深くなったようで何より。

 

「さてと、データ収集はもう十分だろうから帰ろうか」

「そうだね。姉さんとアルフ、お腹空かせて待ってるね」

 

アリシアは、最初見学したいと言っていたけど、宿題で出された作文がまだ終わってないからとアルフの監視付きで留守番だ。

 

「ちゃんと宿題終わってるかな。今季アニメの一押しとその一押し理由を書く、ってテーマの作文」

「……アリシアちゃんのクラスにならんで良かったわぁ」

 

と、帰り支度をしている俺達の所へ、神妙な顔つきのクロノがやってきた。

あれ? リンディ艦長のお説教がそれほどきつかったのかな?

 

「みんな、1つ伝えて置かないといけないことがある……」

「うん、聞きたくない」

 

ものすっごーく嫌な予感しかしない。

と、さっさと帰ろうとしていた俺達に構わずクロノは話し続けた。

 

「さっきの模擬戦がすごすぎて観測器が壊れて、データが全て飛んでしまったんだ。だから、模擬戦をもう一度やってもらいたいのだが……」

「「「「……(コクン)」」」」

 

さらりと何でもない事のように話すクロノ。

対して無言で頷きあい、デバイスを構える俺達。

 

「ま、待ちたまえ! なんでデバイスを構えているんだ君達!? 今すぐにとは言わないし、相手は僕じゃ……」

 

 

諸々のデータは無事収集することができました。

 

 

続く




お待たせしました!
なのは達との初模擬戦です。
ラッキースケベは今回残念ながらありませんでした(笑)

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