ViVidかと思ったら無印でした……   作:カガヤ

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お待たせしました!
北海道はやーっと暑さが落ち着いてきました。
先週後半は寒いほどでしたし…


第44話「ヒーローの裏設定は知らないほうがいい」

ヒーローショーが終わり、ティアナに変な事を吹き込んだ事とか色々話があったのでスカさん達を探した。

だけど、彼らは今日の日給をもらうととっとと撤収したらしい。

ちっ、逃げられたか。

ちなみにクイントさんもスカさん達ナンバーズに何か用があったようで、悔しがっていた。

 

「色々聞きたいことがあったのに」

「ま、まぁ、別に悪いことをしてるわけじゃないんですし」

「それに、この前リンディ提督やクロノ執務官が事情聴取したんだから、一先ずはいいだろ」

 

ナンバーズは今の所、要注意集団ではあるが、犯罪者集団という認識は管理局ではされていない。

本局としては面目を潰されるだけで、厄介な集団とは思われているようだけど、地上本部側は好意的に捉えている。

マテリアルズ事件で殺生丸、もといスカさんが事情聴取受けたのは、地上本部にも伝えられている。

で、その報告を聞いたレジアス中将が、何やら意味深な笑みを浮かべていたから、オーリスさんにぶっ飛ばされたそうだ。

何を企んでいるのやら。

 

「そっちじゃないわよ。以前、健人君がお世話になってた時の話を聞きたかったなーって」

「なるほど……って俺?」

 

なんで俺の事をいまさら?

 

「ほら、ナンバーズってみんな綺麗な子ばかりだから、だれか健人君に手を出して……はい、何でもありません。だからそんな睨まないで健人君?」

 

全く、ギンガやティアナの前で何を言い出すんだこの人は。

 

「手を出すって、ナンバーズってロケットパンチができるの!?」

「うーん、ゴムみたいに伸びるんじゃないのかな?」

 

スバル、ギンガ、お前達はそのまま純真な心のまま育ってくれ。

 

「えっ、健人さんって、手籠めにされたの?」

「されてない! いや、待った。ちょっと待った。ティアナ、今なんて言ったのかな?」

 

出来れば聞き間違えであってほしいなぁ。

 

「? 手籠め?」

 

途端にクイントさんとゲンヤさんからの厳しい視線を向けられるティーダ。

ティーダはティーダで、冷や汗ダラダラだ。

 

「ティアナちゃん、その言葉一体どこで知ったのかな?」

「この前、お兄ちゃんの部屋で見た漫画に……むぐぐっ!?」

 

あ、ティーダがティアナを超高速で向こうの茂みに連れ去った。

すごく速いなー。トーレのライドインパルスよりもずっと速かったぞ。

 

「?? ティーダさんの漫画ってそんなに面白いのかな?」

「頼むから2人はぜーーったいに興味を示さないように、ほんとにお願いします!」

 

まだこの2人には早すぎる……って、ティアナも早すぎる!

 

「まぁ、ティーダもお年頃、だからな」

「そうよね。あなただって未だに隠し持ってるくらいだものね」

「あぁ……って、まさかクローゼットの隠し扉開けたのか!?」

「ほほう。やっぱり持ってたのね、あ・な・た?♪」

「ギクッ!? い、いや、健人に今後必要になるだろうからと思ってな……」

「健人君をダシに使ってるんじゃないわよ!!」

 

夫婦漫才やってる2人はほっとこう。

 

「ティアが読んだ漫画、今度ティーダさんに見せてもらおっか」

「うん! 読みたい読みたい!」

 

今はこの2人の関心をどうにかしないと、穢れてしまう!

 

 

 

それから何事もなかったかのように昼食を食べて、食べ歩きを再開した。

自分で言っておいてなんだけど、昼食後に食べ歩き再開って……

 

「ここから先は各次元世界の専門店ばかりなのね」

 

と言っても各世界毎に店があるわけじゃなく、居酒屋のような個室がいくつもあり各部屋にあるメニューから選んでウェイトレスさんが運んでくるシステムのようだ。

店内がすごく広く、個室も数多くあるのでウェイトレスさんも徒歩ではなくウェイクボードみたいなデバイスに乗っている。

あのボードどっかで見た記憶あるけど、気にしないでおこう。

あと、ウェイトレスさんの服装が統一されてないのも気にしないでおこう。

俺たちが案内されたのは、和食レストラン風の造りの個室だ。

 

「へぇ、メニューも全部空間モニター形式なのね。さすが、進んでるわ」

「ほう。料理名だけじゃなく、どこの世界の料理で、どういった味なのかアレルギー情報まであるのか」

「しかも各料理は量の種類豊富ですね。10人前とかありますよ。クイントさんにはピッタリですね」

「あらほんとね~……ティーダ君? どういう意味かなぁ?」

 

クイントさん達が驚嘆しっぱなしだけど、確かにここのメニューは子供でも分かるように見やすい。

見やすいけど、メニューそのものの種類が多すぎて選ぶのに困るな。

一応、肉メインとか魚メインとか麺類とか細かく分類されてるけど、ゲテモノ系ってなんだ。

あと、胃薬とかすぐ空腹になる薬とか、怪しいものまであった。

 

「うーん、どれがいいかなぁ。お姉ちゃん決まった?」

「私もまだ決まらないよ。ティアはどう?」

「……昼食食べたばかりなのに、よく食べれるよね、健人さんも」

 

驚き半分呆れ半分のティアナはデザート系をせめるようだ。

なんだかんだ言ってティアナも結構頼んでいるんだけどな。

 

メニューを睨む事しばらく、ようやくみんなの頼むものが決まった。

クイントさんもギンガ達も、ここでは量より数で攻めるようで、少量の料理を沢山頼んでいた。

少量といっても、ゲンヤさんやティーダから見れば十分に大盛らしい。

俺から見ても少量だと思うんだけどな。

 

「さって、料理が来るまで……「料理お持ちしました!」……早すぎじゃない?」

 

料理を頼んでから2、3分で到着した。

いくらなんでも早すぎるだろ。

あれ? 今のウェイトレスさんの声、聞き覚えあるぞ?

 

「お待たせしました~♪ こちら、ご注文いただき……っ!?」

 

ウェイトレスさんは個室のドアを開けて、すぐに閉めた。

 

「えっ、何? なんで今ドア閉じたのかしら?」

「さぁ……」

 

俺の座ってる位置からは顔まではよく見えなかったけど、声はスバルに似ていたな。

それから、2秒ほどたって、またドアが開いた。

 

「お待たせしました、ご主人様♪ ちょっと誤ってドアを閉めちゃいました♪」

 

入ってきたウェイトレスさんの姿を見て、俺たちは固まった。

両手と頭に起用に料理の乗ったトレイをもって現れたのは、キツネっぽい獣耳をして青い着物を着た女性だった。

というか、クアットロだった。

 

「お、おう。早い、な。ところで、さっきと服装変わってないかい?」

「あ、これですか? 可愛らしいお子様やかっこいい殿方もいることですし、サービスですわ♪」

「わぁ、お姉さん、綺麗! それにかっこいい!」

 

まだ固まる俺たちをよそに、ギンガ達は目をキラキラさせて玉藻、もとい玉ットロを見ている。

 

「あれ? お姉さん、スバルと声が似てる?」

「わお! そこのお嬢ちゃん、スバルちゃんというのでしょうか? 確かに私と声が似ていますわね。これはまさに運命 (Fate)! ということで、そこの僕? 記念に、モフります?」

 

なんか自分でも何を言っているのかわかってないのだろう。

玉ットロは混乱している。

と、そこへ音もなく玉ットロの後ろにもう1人ウェイトレスさんが現れて、玉ットロに拳骨を落とした。

 

「うきゅっ!?」

「はい、そこお客様を誘惑しない! お客様、うちのウェイトレスが大変失礼いたしました。どうぞごゆっくりお楽しみください」

 

ウェイトレス姿のウーノが、玉ットロの首根っこを捕まえて個室から出て行った。

 

「い、今の一体何だったのかしら? 健人、お知り合いの方、じゃないわよね?」

「ううん、シラナイヒトダヨ? ソレヨリ、リョウリタベヨ?」

「「「………」」」

「あれ? お兄ちゃん、目に光ないよ?」

 

それからもウェイトレスさんが料理を運んできてくれた。

でも、玉ットロではなくハウマッチとあだ名が付きそうな服装したチンクだった。

ここはコスプレレストランなのか?

チンクが運んできた料理の説明をしているとき、少しだけ念話で話ができた。

 

『すまないな。ショー以外でもここでバイトしているのだ』

『あっ、そうなんだ……』

 

なんでも今まで研究資金を出していてくれたが、評判が最悪だったスポンサーとの縁を切った。

研究資金はそれまでの貯金や、ほかにも収入源があるので何とかなるが、ナンバーズ活動の少しでも足しにするために最近は色々とアルバイトをこなしているのだとか。

ボランティア活動もタダではできないから、仕方なく、だそうだ。

 

『ちなみにクアットロは、穴が入ったら入りたいとブツブツ言って使い物にならないので厨房に籠っている』

『一応、羞恥心はあったんだ』

 

「それでは、お客様。もう少しで当店自慢のショーが始まりますのでお楽しみください」

「ショー? またヒーローショーか?」

 

思わず呟いた俺の言葉に、苦笑いを浮かべてハウマッチンクが床下を指さした。

すると、今までただの木の板だった床や天井が、ガラス張りへと変わった。

中には凄く太いチューブが通っており、中には水が通っているようで様々な色の光に照らされて幻想的な雰囲気が出ている。

チューブは普段は壁などに隠れていて見えないようになっているようだ。

周りをみるとチューブは、レストラン中に走っており、さながらウォータースライダーだ。

 

「わっ、何何!?」

「確か隣が水族館だけど、ここと床下が繋がってたのね。ほら、魚が流れてきたわよ」

 

青や赤、黄や緑などに照らされた水流の中を、これまた色鮮やかな魚たちが次々と泳いできた。

 

「毎日1時間に1回、隣の水族館にいる熱帯魚たちがここのチューブを通るんです。どうですか? 魚達をもっと見たくなったら、後ほど水族館にもぜひ、足を運んでください」

「うん、行きます! 絶対行きます! ねっ!? お兄ちゃん!」

「ははっ、ティアナは水族館行ったことなかったもんな」

 

なかなか商売上手なサービスだな。

 

「あ、イルカさんだ!」

「あれ、だれか一緒にいるよ? 人魚さん!?」

 

最後に泳いできたのは、地球と似た姿をしているが、体が七色に輝くイルカだ。

それと、一緒に人魚が泳いできた。

人魚はお客達に笑顔で手を振りながら泳いできた。

俺たちの所も通り、ギンガやティアたちに笑顔で手を振っていたが、俺の姿を見ると笑顔のまま固まってしまった。

それは、人魚の姿をした、セインだった。

セインは笑顔で手を振ったまま、イルカの背に乗って流されていった。

 

『チンク、セインに俺がここにいるって教えなかったの?』

『ふっ、そのほうが楽しいだろう?』

 

クアットロやチンクがスカさんやドゥーエの悪影響受けてるー!?

 

 

 

続く

 




さて、まだまだナカジマ姉妹ティアナ編は続きますよー

と言いつつ、ナンバーズがかかわるとそっちがメインになってきてますが(爆)

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