ViVidかと思ったら無印でした……   作:カガヤ

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お待たせしました!
浮かんじゃったネタは使わないともったいないよね!


第42話「二度ある事は、何度もいらない」

お化け屋敷でギンガに思いっきりぶん殴られ、一撃必倒のクイントさんの教えはしっかりとギンガに受け継がれていると実感した俺。

あの後、騒ぎを聞いて駆けつけてきたお化けの恰好した係員さん達を見て、恐怖が臨界突破して卒倒したギンガ。

結局、係員さんに助けられた俺とギンガ。

目が覚めるとギンガが涙を流しながら謝りっぱなしだった。

で、それを宥めていると二日目が終了してしまった。

 

 

そして、三日目。

ホテルの朝食バイキングで今日の予定が発表された。

 

「さぁ、今日はグルメランドめぐりよ!」

「「「わーい!」」」

 

乗ってない乗り物やアトラクションはまだまだあるけど、クイントさんの鶴の一声で今日は食道楽となった。

流石は 【次元世界最大級のアミューズメント都市誕生!】 と謳い文句にあげてるだけはあるこのレジャーランド、レストラン街も半端なく広い。

ミッドだけじゃなく、様々な次元世界のデザート専門店やドリンク専門店、はたまた駄菓子専門店など多種多様な名店をそろえている。

レストラン街だけで1日時間をつぶせるらしい。

昨日俺が散々な目にあったから今日は休憩を挟んで、というクイントさんとゲンヤさんの気遣いだ。

 

「しかし、よく食べるね。ギンガちゃんもスバルちゃんも」

「あぁ、クイントの娘だからな。もっとも、一番食べるのはクイントだけどな」

 

テーブルいっぱいに積まれた皿の山を見て苦笑いを浮かべるティーダとゲンヤさん。

山と積まれたこの皿の料理の数々、俺も結構食べたけどほとんどはクイントさん、ギンガ、スバルの三人が食べた結果だ。

まぁ、俺やゲンヤさんはもう慣れっこで、ティーダとティアナも少しは慣れた風景だ。

1日目の昼食でクイントさんが用意した弁当の山。

そして、夕食でのバイキングで、2人は初めてナカジマ家女性陣の食欲のすごさを体験して目が点になっていて面白い顔をしていたな。

 

「こ、こんなに食べたばっかりなのに、大丈夫?」

「うん、これくらい朝飯前だよ、ティアナちゃん」

 

これだけ食べて今日一日食べまくる気満々なギンガとスバルに、ティアナは一昨日同様目を丸くして驚いていた。

 

「いや、正確には朝飯後だけどね。だけど、食道楽かぁ」

「あはは、健人君も楽しみにしているね」

「健人も育ちざかりの男の子だからな。ギンガとスバルばかり目立つが、こいつも結構食うんだぜ?」

「だって、ミッドや他の世界の料理もたくさん食べれるんだよ。楽しみに決まってるでしょ!」

「そういえば、健人君は地球生まれだったね」

 

よくこっちのみんなに忘れられがちだけど、俺は地球出身だ。

正確には別世界の地球生まれだけど、それでも地球人。

ミッドという全くの別世界での料理には興味津々となるのは当たり前。

ただでさえ生前は食事制限で点滴だけの時もあったくらい。

それがこっちに来ては食欲モリモリ。

加えて、アースラの料理もクイントさんの手料理も未知の味でおいしかった。

まぁ……スカさん所では、最初は固形食とかそういう系ばかりで少し萎えたけどね。

ともかく、そういうわけでひそかにレストラン街も非常に楽しみにしていたのだ。

 

「さーみんな、沢山食べまくるわよー!」

「「「おおーー!」」」

 

と、意気込んでレストラン街をズンズンと突き進む大食いガールズ+俺。

朝食を済ませたばかりなので、まずはデザート系を攻めることにした。

 

「わっ、このたこ焼き大きい!」

「タコさんも大きい! けど、すごく食べやすい!」

「量より質なんだなこのたこ焼きは」

 

通常の2、3倍はあろうかという巨大タコ焼き。

というか、デザートからといいつつ最初から結構重いんだけど!?

 

「牛乳ソフト、すごく甘い!」

「けど、しつこくないな。これなら俺でも食べれそうだ」

「ランド内にある牧場から毎朝新鮮な牛乳取って、それを使ってるのがウリの1つみたいですね」

 

甘いものはそこまで好きじゃないゲンヤさんも大満足の牛乳ソフト。

 

「す、すっぱっい!」

「あはは、ギンガ達にはまだ早かったな。健人は大丈夫か?」

「すっぱいけど、このせんべいにつけて食べると美味しい。ティアナもどう?」

「う、うん……すっぱい! けど、おいしいかも」

「この麩菓子食べても食べてもキリがない」

「あら、なら私が半分食べるわよ、ティーダ君」

 

駄菓子屋巡りで色々な駄菓子を食い漁った。

この店は生前、テレビで見たことがある昔ながらの駄菓子屋をイメージして作られて……

 

「って、さっきから地球の食べ物ばっか!?」

「あら、そういえばそうね」

 

このエリアに入ってから片っ端から食べまくって行ったのだが、どれもこれも地球の食べ物ばかりだ。

とは言え、生前あまり普通の食事をしてなかった俺にとっては、例え地球の食べ物でも新鮮だ。

こっちの地球にいた頃はあまり外食せず、はやてとかプレシアさんとかの手料理ばっかだったしな。

 

「どうやらこのランドのオーナーの先祖が地球出身らしくて、それでレストラン街に地球展みたいな感じで作ってるみたいですよ」

「へぇ、あなたと同じね」

「あぁ、なんだか親近感がわくな」

 

ここのオーナーはゲンヤさんと同じく、先祖が地球出身者なのか。

だから、レストラン街の入口に地球関係の店を固めたってわけか。

 

「奥に行けば、他の次元世界のお店も結構あるみたいですよ。けど、地球出身の健人君には物足りないかな?」

「そんな事ないですよ。なんだか懐かしいですし」

 

実際は食べた事ないものばかりだから嬉しいんだけどね。

 

「でも、私もギンガ達も地球の料理はほどほどに食べているし。せっかくだから奥に行きましょうか。ティーダ君とティアナちゃんもいいかな?」

 

クイントさんの手料理はミッド系が多いけど、それと同じく地球の料理も多い。

はやてや、なのはの母、桃子さんと知り合って教えてもらっているそうだ。

 

「えぇ、僕も構いませんよ。ティアナはどうだい?」

「も、もう無理。少し休む……」

 

ティアナのお腹は少し膨らんでいるように見える。

ギンガとスバルに付き合って、結構な量を食べてたもんな。

 

「ティアちゃん、あまり食べないんだね。私はまだまだ食べれるよ」

「私も!」

「嘘っ!?」

「ティアナ、あの2人のペースに合わせてたらお腹壊すよ?」

 

俺はまだまだいけるけどね。

しばらく進むと、広場に出た。

ここは、ドリンクやお菓子系のお店がぐるっと広場を囲んだフードコートみたいになっている。

そして、広場の奥には巨大なステージがあり、スタッフが何かの準備をしていた。

 

「ん? どうやらもうすぐショーが始まるみたいよ」

「あら、ヒーローショーかしら。せっかくだし、休憩がてら見ていきましょうか」

「ティーダ、悪いけど子供達見ててくれや。俺とクイントは飲み物買ってくる」

「わかりました」

 

結構混んでいるけど、ちょうどステージ間近のテーブルが空いていたので俺達はそこに座った。

ここならステージ見やすい、というか近いくらいだ。

あれ? 何か、嫌な予感がしてきたぞ。

 

「ヒーロー♪ ヒーロー♪」

「スバルってヒーローもの好きだよね」

「前に銀行で本物のヒーローさん達に助けられて、それからハマっちゃったんだって」

 

それ、ナンバーズの事だよな。ヒーローじゃなくてヒロインだし、プ◎キュア?

そこへ飲み物とスナックを乗せたトレーを持って、クイントさんとゲンヤさんが戻ってきた。

 

「はい、お待たせ。おかわりはしてもいいけど、他の料理食べれなくなっても知らないわよ……って遅かったわね」

 

クイントさんがトレーを置いた次の瞬間には、トレーの上にあったスナックは綺麗さっぱりなくなっていた。

 

「「ごちそう様!」」

「いや、速すぎでしょ!?」

「あはは。まぁ、こっちはこっちで食べるとしようか」

 

俺とティーダはゲンヤさんが持ってきてくれたトレーのスナックを食べつつ、ショーが始まるのを待った。

 

『それでは、これより特別ショー。機人戦隊ナンバーズ VS リリカルショッカー を始めます』

 

――ワーッ!パチパチ!!

 

アナウンスと共にあちこちから歓声と拍手が巻き起こった。

周りを見渡せばいつの間にか、立ち見も含めたギャラリーが大勢集まっていた。

どうやら、このショーは大人気のようだ……ナンバーズ!?

 

「まさか、あいつら……」

「? どうしたのお兄ちゃん? はじまるよ?」

「あ、うん。なんでもないなんでもない」

 

思わず叫びそうになった俺だったが、どうにかこらえた。

クイントさんやティーダも怪訝な顔をしている。

そりゃそうだよね。

 

――新暦X年、ミッドはブレイカーの炎に包まれた。

 

どっかで聞いたことあるようなナレーションが流れると、ステージ一面に黒い霧が立ち込めた。

 

――わずかに生き残った人類は、新たな居住世界を求め旅立った。

 

――そして、新たな惑星フリーザへと降り立った人類はそこで一から文明をやり直した。

 

――だが、その惑星フリーザをわが物とすべく、宇宙からリリカルショッカーと名乗る異星人が攻めてきた。

 

……どこからツッコミすればいいか、わからないや。

 

「わはははっ、我らはリリカルショッカー! 素直にこの星を渡せ!」

 

ステージ上で逃げ回る人々の上空に巨大な宇宙船が現れ、そこから無駄に凝ったディティールのエイリアンが降り立った。

宇宙船はもちろん映像だ。しかし、エイリアンのスーツといい、まるで映画のようだ。まさに魔法技術の無駄遣いだな。

 

「くっ、せっかく見つけたこの星を渡すものか!」

「そうか、ならば仕方ない。おい、1人子供を人質にしろ!」

「イィー!」

 

これまた無駄に凝った戦闘服を着た戦闘員らしき人がステージから降りて、客席を見渡した。

どうやら人質役を探しているようだ。

 

「はいはいはーい! 人質! 人質になります!」

 

と、ここで元気よくスバルが手を挙げた。

 

「う、うむ、活きのいい娘だな。よしっ、連れてこい!」

「イィー!」

「やったー♪」

 

満面の笑みで人質になっていくスバル。

これには流石にナカジマ夫婦とティーダは苦笑いを浮かべている。

ギンガは若干羨ましそうに見ていて、ティアナは呆れ気味だ。

その時だった。

 

――まてーい!

 

広場に響くほどの大音量で誰かの叫びが響き渡った。

 

「むっ、誰だ!?」

 

――むっ、誰だ!? と聞かれたら(どうみてもクアットロ)

 

――答えてあげるが世の情け(ウーノなお姉さん)

 

あ、この口上はやっぱり……

 

――天が呼ぶ、地が呼ぶ(ドゥーエにしか見えない)

 

――おばあちゃんが言っていた(セイン)

 

…………

 

――さぁ、お前の罪を数えろ!(やけっぱちなチンク)

 

――私達、参上!(諦めきったディエチ)

 

――機人戦隊ナンバーズ!(一番声がでかいトーレ)

 

――このナンバーズ印が目に入らぬか!(いつの間にか印籠作った殺生丸)

 

――ババーン!

 

ナンバーズが名乗りを上げると同時に花火が上がり、観客達のテンションは最高潮になっていた。

逆にクイントさん、ゲンヤさん、ティーダの3人は真っ白になって固まっていた。

 

「お、お兄ちゃん!? いきなり地面に倒れこんでどうしたの!?」

「あれ? 兄さん達もどうしたの?」

「……この展開、ちょっと前に見たばっか」

 

あぁ……なぜか知らないけど、胃が痛い。

 

 

 

続く




ナンバーズ、作者も想定外で早くも再登場(笑)
早くほかのナンバーズも出したいんですけど、それはもうちょっと後で。

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