ViVidかと思ったら無印でした……   作:カガヤ

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大変お待たせしました。
軽くスランプ入ってました……


第39話「ティアナ参上!……えっ?」

「……知ってる天井だ」

 

目に映るのは、ナカジマ家にある俺の部屋の天井。

マテリアルズの事件もようやく終わり、俺は昨日久々にナカジマ家に帰ってきた。

ゲンヤさんは息子が帰ってきたと暖かく出迎えてくれて、クイントさんが腕を振るった料理を堪能した。

ギンガとスバルはというと、帰ってきて玄関を開けた途端に、猪突猛進タックル+涙目攻撃をしてきて俺は一発KOされた。

うん、マテリアルズの精神攻撃に比べたらこんなの甘いシュークリームだ(?)

もう布団に侵入される心配しなくて済むもんな!

さて、まだ外は薄暗いし、二度寝するかなぁ……

 

――ムニッ♪

 

「ぁん♪」

 

ムニッ? あん? なにこの感覚、というか何このデジャヴ。

何気なく手を伸ばしただけなんだけど……ねぇ?

冷や汗を流しながら横を向くと。

 

「おはようございます、健人さん」

 

そこには満面の笑みを浮かべたシュテル。

 

「おっはーけんちゃん!」

 

反対側に同じくレヴィ。

 

「むっ、早起きだな、健人よ」

 

胸元からひょっこり顔を出したディアーチェ。

てかお前は猫か!

 

「ってあれ? 1人足りない? てか、なんか枕が妙に柔らかいような?」

 

ペタペタと枕を触ってみると、滑々で柔らかい。

しかもほんのり暖かい、まるで人肌のような……ってこれHUTOMOMO!?

嫌な予感がビンビンだが、恐る恐る顔を上に向けると……

 

「あ、やっと気付きましたか、健人様♪」

 

俺に膝枕をしているユーリ……

 

「さぁ、健人様~」

「私達と」

「一緒に」

「眠りましょう?」

 

いいぃぃ~~~やあぁ~~~~~!!!!

 

 

――ガバッ!

 

ベッドから飛び起き、枕元のシェルブリットを掴み、瞬時に武装。

この間、わずか1秒。

 

「ハァ、ハァ、ハァ、よっしゃこいやぁ!! あ、あれ? 誰もいない?」

 

辺りを見渡したが、部屋の中には誰もいない。

過呼吸寸前の息を整えて、ゆっくりと深呼吸をすると頭がスーッと覚めてきた。

あーこれはつまり。

 

「ひょっとして、夢? だ、だよなー。まさかいるわけないよなーアハハハハッ」

<ふわぁ~朝っぱらから騒がしいなマスター。武装までしてどうしたんだよ>

「いやぁ、おはようシェルブリット。なんでもないぞなんでも! ちょっと朝の点検をしただけだよーあははは」

<………>

 

顔はないけど、今シェルブリットが白い目で俺を見ているな、多分。

が、そんな事は気のせいだと思い込み、着替えて1階に下りる。

というのも、さっきのは夢だとしても、あいつらの事だからちゃっかりとリビングで寛いでいても驚かない。

いや、無理。驚きます。

 

「……よしっ、誰もいないな」

「誰か探してるの?」

「うひゃあぁ~!?」

 

突然背後から声をかけられて、咄嗟に裏拳した。

だけど、その裏拳はあっさりと受け止められてしまった。

 

「うわっと。おぉ、朝から元気ねぇ」

「あ……クイントさん?」

「うん。おはよう、健人君」

「おはよう、ございます。はぁ~……ごめんなさい」

 

俺の拳を受け止めたまま、ニコッと笑うクイントさんを見て、急に体から力が抜けた。

 

「私は大丈夫だけど。健人君こそ大丈夫? 汗びっしょりじゃない。ひとまず、お風呂入ってきたら?」

「ちょっと、変な夢を見ちゃって。もう大丈夫ですけど、風呂行ってきますね」

「ふふっ、一緒に入る?」

「い、いいってきまーっす!」

 

なんつう爆弾発言するかなこの人妻は!?

あ、いや。何度か一緒に風呂入った事、あるけどね。

おかしいなぁ。1人お風呂でゆったりした事、全然ないぞ?

むしろ風呂で疲れる事多い気が??

 

 

 

特にトラブルもなく風呂はゆっくりと入る事が出来た。

風呂から上がるとゲンヤさんやギンガ達も起きていて、朝から風呂に入ってた俺を不思議そうな顔をしていた。

 

「健人君、ここ最近地球で色々あったものねぇ。疲れやストレスが溜まっているのよ」

「あー俺も顛末はリンディ提督から話を聞いたが、災難だったな」

 

マテリアルズ事件で何があったか、詳しい顛末は2人共リンディさんから聞いていて、ここに帰ってきてからよく慰めてくれた。

簡単に言えば女難だったのだけど、その女難は子供が味わうレベルを遥かに超えているんだよね。

事件が解決してから改めて何があったか頭で整理したら、なんか軽くトラウマになっちゃったし。

 

「お兄ちゃん大丈夫?」

「元気だして?」

「うん、ありがとうな、ギンガ、スバル」

 

ギンガとスバルも事情は知らずとも、疲れ切った俺を見て幼い彼女達なりに元気づけようとしてくれている。

あぁ~、ホント癒されるなぁ。

 

「そんな健人君のストレスを発散させる為、今日から一週間、みんなでお出かけします」

「「わーい!」」

「えっ、1週間もおでかけ? どこに行くの?」

「そういえば、健人君昨日は帰ってきて食事したらすぐに寝ちゃったわね。今日はティーダ君とティアナちゃんと最近オープンしたレジャーランドに行くのよ」

「えっ? ティーダ君に、ティアナちゃん?」

 

クイントさんの口から思わぬ人名が出てきた。

ティーダとは以前に会った事あるし、ティアナは生前から好きなキャラの1人でよく知ってるけど、クイントさんが知っているとは思わなかった。

なんでも、俺が地球に行っている間に、メガーヌの仲介でナカジマ家の面々は2人と知り合い、ギンガとスバルはティアナと友達になったのだそうだ。

 

「リンディ提督がレジアス中将に言ったのよ。今回の事件解決に健人君が大いに貢献してくれたって。で、かなり無理もさせたから大いに労ってあげてってね」

「で、俺もクイントもお前さんが戻ってくるタイミングで1週間ほど休暇を与えられてな。ついでにレジャーランドの招待券とかホテルの優待券とかをもらったってわけだ。ついでにティーダと妹さんもな」

「ティアちゃんと一緒にお出かけ~♪」

 

うーん、確か原作ではギンガとスバル、それとティアナはStsで知り合うんじゃなかったっけ?

ま、細かい事はいっか。

ギンガとスバルに友達が出来たのは良い事だ。

それに俺もティアナに会ってみたかったし。

……なんだろう。ものすごーく嫌な予感がするけど。

 

 

とんとん拍子で話が進み、いつの間にか俺の一週間分の荷造りが済んでいて、気が付けばレジャーランドについていた。

ティーダとティアナはここで待ち合わせする事になっている。

やってきたのは、今年オープンしたばかりでVRやらその他、最先端技術をふんだんに使ったアトラクションが多い。

そればかりか、動物と触れ合える場所や映画館に水族館などなど超大型複合施設となっているらしい。

最初は1週間って長すぎだろと思っていたけど、実際に来てみてその広さにびっくりだ。

ここなら下手すれば1週間でも遊びつくせないかもしれない。

 

「うわぁ~……ひろーい、でかーい」

「どうだ健人、すごいだろ?」

「うん! こんな所で1週間もなんて、すごく楽しみ!」

 

こういう所に家族と来るのは、生前じゃ夢だったからなぁ。

結局叶わなかった夢だけど、今はこうして家族同然のナカジマ家と一緒に来られてまさに夢のようだ。

 

「えっと、ティーダ君達はもう来てるはずだけど。あ、いたわ。2人共~! こっちこっち!」

 

クイントさんが手を振った方から、ティーダともう1人、オレンジ髪のスバル並に幼い少女がやってくるのが見えた。

まぁ、ギンガも幼いけど。

 

「クイントさん、ゲンヤさん、おはようございます。妹と今日から1週間お世話になります!」

「おぅ。まぁ、そんな肩肘張らずに気楽にしろよ」

「そうそう。せっかくの休暇なんだから。みんなで思いっきりリラックスして楽しみましょ」

「はい! ギンガちゃん、スバルちゃん、おはよう」

「「おはようございます!」」

 

既に何度も会っているせいか、若干人見知りなスバルも元気よくティーダに挨拶した。

 

「健人君もおはよう。それと、久しぶりだね」

「はい、お久しぶりです。で……妹さん、は?」

「えっ? あ、あれ~? ティア?」

 

ティアナはティーダと一緒にこっちに歩いてきたが、俺の姿を見ると猛ダッシュで近くの木に隠れてしまった。

スバルに初めて会った時と同じかなーと思ったが、どうやら様子が変だ。

木陰に隠れながらもちらちらこっちを見ている。

頭だけ隠して下半身を隠していない。

まるでチョッパーだ。

 

「ティアー! そんなところでどうしたんだ? 健人君に会えるの楽しみにしてたろう?」

「俺に会うのを楽しみに?」

 

それはそれで嬉しい事だけど、はて?

素直に喜んではいけないと黄色信号が出ているぞ?

 

「ティ~ア? どうしたの?」

「こっちこっちー!」

 

ティーダが呼んでもティアナは動かず、こちらをちらちら見ているだけだ。

すぐに、ギンガとスバルが半ば強引にティアナを引きずって連れてきた。

いや、そこまで強引にしなくてもよくない?

 

「えっ、と……その」

 

俺の眼前に連れ出されたティアナは、オドオドとしているが、スバルみたく人見知りとかじゃなくただ緊張しているように見える。

それにしても、このティアナ。幼い。いや、当たり前だけど。

イノセントのティアナをちょっとだけ小さくした感じだ。

 

「はじめまして。俺は草薙健人。よろしくね」

「あ、はい! よ、よろし……く」

「ほら、ティアナ。健人君にちゃんと挨拶しないと」

 

ティーダに言われ、ティアナは意を決したような表情を浮かべ一歩前に出た。

いや、近いから!

ちなみに、ナカジマ夫妻はさっきからニヤニヤと意味ありげな笑み浮かべて、黙って見守ってる。

 

「は、ははじめまして! えっと、あの……サイン、ください!」

「……へっ?」

 

ティアナは顔を真っ赤にしながら、どこからか取り出した色紙を俺に突き出してきた。

これにはティーダもびっくりしている。

それ以上に俺がびっくりしているけど、なんでサイン?

 

「あっ、間違えちゃった。えっと、サインは欲しいけど、そうじゃなくってえっとえっと……」

「お、落ち着いて。ゆっくりでいいから。ほら、深呼吸」

「は、はい! すーはー、すーはー」

 

数分かけて何度も深呼吸を繰り返して、ティアナはやっと落ち着いたようだ。

なんでこんなにテンパってるんだろ?

 

「わ、我が名は、ティアナ・ランスター。問おう。あ、あなたが私の許嫁ですか?」

「……え”っ?」

 

な、なんですとーー!?

 

 

続く

 




FGO2部、思ってたより早く始まりますねー(笑)

これからナカジマ家とランスター家の休暇編。
なのは達の出番なし!
学園生活とかやりたいけど、それやるとStsがかーなり先になりそう。
でも、ネタはいろいろあるんですよねー

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