ViVidかと思ったら無印でした……   作:カガヤ

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主人公にバトらせるかどうか悩み中。


第4話 「チートだぁ!……と思ってました」

「全く君は……才能があるのか、ないのかさっぱりわからない!」

 

前髪を更に焦がし、ちょっとアフロっぽくなったクロノが吠えるが俺に言われても仕方がない。

 

「俺をなのはと一緒にするなよ。少なくともここに来るまでは魔法とかそういうのは一切無縁だったんだから」

 

こいつら管理外世界である地球生まれのなのはが高い魔力と才能持ってたからって、俺にまでそれを期待してたんじゃないだろうな?

俺は駄神様から高い魔力やら色々もらったからこうなってるんだ!

と、そう考えると……高町なのはは、化け物か!

白い魔王は伊達じゃない! って事だな、うん。

 

「何を考えているか分からないけど、話を戻すわね。あなたには高い魔力素質があるようですが、うまく使いこなせていないようです。ですので、しばらくはこちらで身柄を預かりたいのだけど、いいかしら?」

 

リンディ艦長の言う通り、俺はどうやら魔力値は高いけど、宝の持ち腐れになっている。

 

① 俺が魔力を発動すると自動的に体が炎に包まれる。

② 火力調節が出来ず、俺以外を燃やしてしまう。

③ その炎は射撃や砲撃すらも弾くほど攻防一体の強いもの。

④ 一度出すと魔力が無くなるか、俺が気絶するまでずっと火達磨。

 

さっきは消火と俺を落ちつかせる為、水圧の高い放水をしてくれたおかげで気絶して止まった。

だけど、次に出した時はどうやっても止められず、止めようとしたクロノの魔法を全て弾き前髪を燃やしてしまった。

結局、俺の魔力がきれてダウンして鎮火。

 

「本来、デバイスを使って制御するものだけど……」

「無理ですね」

 

リンディ艦長とクロノの視線の先には、壊れて使いものにならなくなった杖や銃が散らばっている。

どれもがこの船にあった予備のデバイス。

コレを使えば大抵制御できるはず……だったけど、俺が使おうとするとすぐに壊れた。

並のデバイスじゃ扱えないほど強大な力って……こんな強い力、いらなかったんだけどなぁ。

 

「ともかく、食事にしましょうか。魔力を使いきってお腹空いてるでしょ?」

 

そう言われて急に空腹感に襲われた。

俺さっきから魔力空っぽだったな。

魔力なんて持った事ないから分からないけど、魔力が無くなるとこんな感じになるのか。

 

 

あれから食堂に案内され、ちょうどそこにいたなのはとユーノを交えて食事となった。

2人共食事を終えたばかりでは? と思ったけど、時計を見るとさっき廊下で会ってからかなり時間が過ぎていた。

どうやら俺が気絶している間に夕食の時間になったみたいだ。

 

「じゃあ、健人君って別の世界の日本に住んでたの!?」

「あぁ、こっちの地球には俺が住んでた街はなかったよ」

 

なのはは興味津々に俺の事を聞いてきた。

俺の事をどこまで話せばいいかと困ったが、クロノが全部言っていいと許可してくれたので遠慮なくはなしている。

 

「クロノ、なんでそんな奇抜な髪型になってるんだ?」

「聞くな、ユーノ」

 

クロノは幼馴染のエイミィにブラッシングを受けていた。

くっそぉ、幼馴染とか羨ましい奴。

リア充、爆発しろ! あ、さっき燃えたか。ならよし!

 

「ところでフェイトとかアリシアは?」

 

やっと原作キャラのなのはと話せたんだ。

フェイトやついでに生き返ったアリシアとも話したいんだけどな。

特にアリシアは、誤解を解きたい……でないと俺の将来が、というかプレシアから何されるか分からない。

 

「フェイトとアルフはプレシアと一緒だ。アリシアは仮死から目覚めてまだ身体がまともに動かせない。君には分からないだろうけど、プレシア同様フェイトとアルフも犯罪者なんだ」

 

ちょっと残念だけど、仕方ないか。

原作でもプレシア事件後もなのはと会話できたの、別れの時だけだったし。

 

「えっ、それじゃあ……」

「ただし、プレシア自身がフェイトに何も詳細を話さずただジュエルシードを探すよう指示していただけ。と言っている。ちょっと時間はかかるかもしれないけど、どうにか出来そうだ」

 

あーここら辺の会話も駄神に教えられたとおりの展開になってるな。

下手に口出すとボロ出そうだし、ここは何言わず食べよう。

うん、うまい。

 

「健人君、さっきから黙々と食べてるね。よっぽどお腹空いてたんだ?」

「あれだけの魔力を無尽蔵に放出し続けていれば、お腹も空く」

 

クロノはかなり髪の件を根に持っている様子。

エイミィに髪を整えてもらったけど、焦げた前髪を切ったせいでデコが広く見える。

 

「気にするなってクロノ。毛根が死滅したわけじゃないんだしさ」

「君がそれを言うか!? いや、君自身が悪いわけじゃないのはわかっているが……」

 

あークロノ思ってたよりええ子や。高い魔力は俺のせいじゃないし、それを制御出来ないのも俺のせいじゃないもんな。

強いて言うならあの駄神のせいだし。

 

「???」

 

頭にハテナマークを浮かべるなのはとユーノにエイミィがさっきあった事を説明した。

すると、なのはが目をキラキラさせて俺に迫ってきた。

 

「健人君も魔法少女なの!?」

「いや、俺どうみても男だろ!?」

 

どっからそういう話になるんだ!?

 

「管理局のデバイスでも制御しきれない程、特殊で強力な魔力を持った次元漂流者か。聞いた事ないな」

「僕も初めて聞くケースだ」

「管理局のデータでもないね」

 

ユーノは別の事に興味を持ったみたいだ。

この声が未来でヴィヴィオやセインと同じになるんだよな、中の人ってすごい!

と俺もまた別の事で感心していた。

 

「ところで、明日には君の世界へ送り届ける事が出来そうだと、さっき艦長が言っていたよ」

 

クロノに言われ、なのはの顔が明るくなった。

プレシアが引き起こした次元震の影響でミッドチルダ方面には戻れないけど、地球へは明日には戻れるらしい。

そこでユーノも一先ずはフェレットとして、今まで通りなのはの家にお世話になる事になった。

羨ましい……なんて思わなくもなかったりする。

 

「健人君も一緒にうちに来ない?」

「いや、フェレットになれるユーノはともかく。生の男の俺が女の子の家にお世話になるわけにもいかないだろ」

 

なのはの提案は非常に受けたい気持ちいっぱいだけど、下手すればお巡りさんのお世話にもなりそう……

いや、今の俺はなのはと同い年だから大丈夫か?

大丈夫じゃない、大問題だ……

 

「な、生って……それじゃあこれから健人君はどうするの?」

 

さてと……俺はこれから一体どうしようかな。

金がないどころか、家も、戸籍も何もない。

地球で暮らそうにも家なし子、学校にも通えず、年齢的に働けもしない。

管理局で働こうにも、ただ魔力高いだけでデバイスも満足に扱えないポンコツ。

こんな事であと10年生きのびて、ジークリンデやミカヤ達に出会えるのかなー(超遠い目)

せめて戸籍があればどうとでもなった……はずなのに。おのれ駄神め!

と、何でもかんでも悪い事はアイツのせいにしておこう。

 

――ちょっ! それはあんまりだよ!

 

キコエナーイキコエナーイ。

 

「健人君? 難しい顔したり突然どこかを睨んだりどうしたの?」

「今更ながら、これからの人生設計について真剣に考えてた所」

「わ、私と同い年なのにもうそこまで考えてるの!?」

 

いやいや、なのはちゃんや、そんな尊敬のまなざしは止めてくれ。

 

「俺は次元漂流者。当然こっちの地球にも、ミッドにも家も戸籍もない。このままじゃ学校にも通えないし、働く事もできない。それでどうしようかと悩んでるんだよ」

「あ、そっか。健人君、家族の人や友達が心配してるよね。元の世界に戻れないの?」

 

さっきまで明るく元気だったなのはが、急に沈み込んでしまった。

俺の問題なのに、まるで自分の事ように思ってくれてる。心底良い子なんだな。

 

「……今のところは無理だな。どこからどうやって来たのか全く分からない」

 

クロノの言葉にますます沈み込んでしまった。

それを見て、エイミィがクロノの脇腹を小突く。

 

「か、彼の今後は艦長が色々と考えてくれているから大丈夫だ。彼は膨大な魔力を持っているから、管理局で働いてもらう手もある」

 

なのはが落ち込んだ事に気付き、クロノは慌ててフォローした。

 

「えっ、健人君そんなに強いんですか?」

「さっきも言ったが、彼の魔力は強大だ。魔力値だけなら君やフェイト以上だよ」

「えっ!? そうなの!?」

「なんで君がそこまで驚くの?」

 

俺が一番驚いてる事に、ユーノが苦笑いを浮かべた。

 

「強い強い言われてても、どれだけ強いかイマイチよくわからなかったし……」

 

プレシアはフェイトと同じくらいと言ってたけど、まさかそれ以上とは。

てか主人公とヒロインよりも強いのはやりすぎだろ、駄神。

 

「しかしだ。君はその強大な魔力を全く、使いこなせていない!」

「あ、あはは、クロノ君。そこまで強くいわなくてもいいんじゃない?」

 

エイミィがフォローしてくれるけど、クロノは不機嫌なままだ。

俺の火の玉で髪が燃えた事がそこまで恨めしいのか。

いや、恨めしいだろうな。

 

「それを使いこなせない以上、管理局で働く事も自由に行動する事も難しいな。外で下手に魔力を使ったらそのまま野たれ死ぬ可能性もある」

「一度発動させたら、気絶するか魔力からになるまで永遠と燃え続けるんだもんな……」

 

魔力尽きても結局気絶するし。

 

「というわけで申し訳ないが、君はしばらくアースラにいてもらう事になる。本局への航路が安定したら、向こうで君に合ったデバイスを用意しよう」

「でないとクロノ君の髪が無くなっちゃいそうだもんね。健人君が魔法使う度に髪燃えちゃってるし」

「あぁ、そうだな。なぜだろうな、全く。なんで僕の髪が毎回犠牲になっているんだろう、な!」

 

またここで蒸し返してきた!? エイミィ、わざと言ってるだろ!

ともかく、しばらく衣食住には困らなさそうだな。

 

「健人君が魔力をちゃんと制御できるようになるのと、クロノ君の髪が全部焼失するのどっちか先になるか楽しみだね」

「「楽しみなわけあるかぁ!」」

 

 

 

続く

 




高い魔力もまだ使い道のない宝の持ち腐れ状態です(笑)
本格的に魔法が使えるようになるのはまだ先の話~
そもそも、そんなに高い魔力を使う事があるのかどうかすら謎です(笑)

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