ViVidかと思ったら無印でした……   作:カガヤ

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お待たせしました!
イノセントも終わってとある魔術も終わって、モバゲーでやるゲームがほぼ無くなった。


第38話「めでたしめでた……し?(涙」

「いやぁ~平和だなぁ」

「うん、みんないいストレス発散になってるようだね」

 

そういって俺とユーノが目を向けた先では。

 

「いくよ、ヴィヴィオ、アインハルトさん!」

「こっちだってなのはママとフェイトママには負けないんだから!」

「あの、これでこのピンポン玉を破壊すればいいんですか?」

「違うよ!? そんな物騒な競技じゃないよ! ちゃんと打ち返して!?」

 

なのはとヴィヴィオ、フェイトにアインハルトが4人で卓球を楽しんでいたり。

 

「よしっ、もう少しでゴー……って今赤甲羅ぶつけてきたのだれ!?」

「ごめんなさぁ~い。でも、せっかく取ったのに使わないのもったいないでしょ?」

「え、えげつねぇ~……」

「うちの姉がご迷惑をおかけしてます……」

 

トーマとドゥーエ、それにヴィータとディエチがアーケード版のマリオカートで遊んでいたり。

 

「あーもっと右もっと右!」

「うるさいぞシャマル。集中できん!」

「セ……シックスちゃーん? ディープダイバーでズルはダメですよー?」

「ひっ!? いや、その……ちょっとあそこのぬいぐるみの位置を直そうかなーって思っただけ、だよ?」

 

シャマルがザフィーラにクレーンゲームでぬいぐるみをねだり、セインがディープダイバーでこっそり景品を取ろうとするのをクアットロが諌めたりしている。

要するに、スカさんの別荘の奥にあったレジャー施設で、みんなそれぞれ思い思いに遊んでいるというわけだ。

ちなみに、クアットロ達は服装こそ普段着だけど、バイザーだけはしっかりとつけているので正体はばれていない。

なんでバレてないのか超不思議だけど。

 

「こんな事してていいのかな」

「ドクターブライトの調査が終わるまでまだ時間かかるんだし、いいんじゃない?」

 

あれからドクターブライトこと、スカさんから色々聞いた話によると。

スカさん達がここへ来た理由がユーリの完全復活の他に、ユーリの核であるエグザミアを調査して、アミタとキリエの故郷、エルトリアに蔓延している死病を治す手順を調査する為だった。

他に、病に倒れ余命わずかなアミタ達の父、グランツ博士もエグザミアの力で治せるらしい。

この準備の為に、俺への接触が遅れて……というのが、ボコボコにしたスカさんの言い分だった。

まぁ、一応は納得した。

 

「でも、まさかユーリ達があんなに協力的になってくれるとはねぇ」

「君がお願いしたのが効いたんじゃない?」

 

エルトリアの死病とグランツ博士の病を完全に治すには、エグザミアが必要。

つまり、ユーリがエルトリアに行くことが絶対であり、ユーリとシステムを同じくして支援をするプログラムであるディアーチェ達も同行しなければならい。

しかも、エルトリアに一度行けばもう2度と会えない可能性もあるという。

というもの、エルトリアはこことは全くの別次元に存在して、しかも、アミタ達は時間軸的には未来から来たことになるので、俺達のいる現代へまた来れるかは不明。

もし、来れたとしてもヴィヴィオ達みたく別の時間軸への影響も出てしまう恐れがあり、管理局としても見過ごせないというわけだ。

当然、それを聞いたユーリ達の反応は。

 

「「「「(健人様・健人・けんちゃん・健人さん)と離ればなれは嫌!」」」」

 

と、4人揃って見事に猛反対。

てかエルトリアに来るのはキリエが最初に言ったのではないか、と思った所。

 

「まさか、人型プログラムだと思わなかったから、言いそびれたわ……」

 

とテヘペロをして、ユーリ達にボコボコにされた。

困ったアミタは、超申し訳なさそうに俺へと説得をお願いしてきた。

正直、ユーリ達へはこのままエルトリアに行って欲しかったので、喜んで説得役をすることにした。

 

「ユーリ、ディアーチェ、シュテル、レヴィ。エルトリアでは皆の力が必要なんだ。だから、エルトリア(俺の平和)の為に協力してあげてくれないか?」

 

と上目遣いでお願いすると。

 

「「「「おk!」」」」

 

と即答してくれた。

なぜか顔が赤くなっていたけど、気にしない気にしない。

 

<……マスター、そこまでして……>

 

と、シェルブリットの呆れたような声がしたが、気にしない気にしない。

 

で、今に至るというわけだ。

 

「あ、いたいた。健人君、そんなところにいないで、一緒に遊ぼ?」

 

ユーノと談話していると、ジークが水着姿でやってきた。

どうやらはやてやリリィ達とプールに行くようだ。

 

「あ、あぁ、分かった。今いく!」

「モテる男は辛いね、健人?」

「う、うるさいっての」

 

ジークの水着という極めてレアな姿をシェルブリットと心のアルバムに十二分に収めた。

ジークは楽しそうな顔をしているけど、どこか悲しそうな顔もしていた。

それは、ヴィヴィオやトーマ達も一緒だ。

 

もうすぐ、お別れの時がやってくるからだ。

 

 

それから数時間、俺達はプールにゲーム、はたまた模擬戦まで十二分に楽しんだ。

そして、とうとうその時がやってきた。

 

「うーん、最後に健人君と温泉も入れたし、満足やなぁ」

「ふふっ、健人君とっても恥ずかしがって、可愛かったわよ?」

「勘弁してくれ……」

 

ジークとクアットロが面白そうにからかってきたけど、俺は内心それどころじゃなかった。

思う存分遊んだ後、全員で温泉に入った。

男湯と女湯で分かれてはいたけど、最初はかなり抵抗したが、これが最後だからと俺とトーマは女湯に連行された。

当然、女性陣も俺達も水着姿だ。

クロノとユーノとザフィーラは男湯だった。

ちなみに、ナンバーズ達は温泉でもプールでもバイザーだけは外さなかった。

 

「さて、最終調整も済んだ。これで君たちはそれぞれの世界の時間軸、それも向こうを立ってから数秒後の時間軸にたどり着けるよ」

 

スカさんは施設にあった転送装置を改良して、ちょっとしたタイムマシーンを作ってしまった。

と言っても、ジーク達時間渡航者が元にいた時間軸へと戻る為だけの装置で、俺達では時を超えられないそうだ。

改めてスカさんが天才だという事を思い知らされた。

 

「ちなみにこれをくぐれば、トーマ君達のここに来てからの記憶は消える。と、同時に私達の君たちに関する記憶は全て消えるようにした」

 

何というご都合主義、流石は天才!

ではなくて……スカさんから改めてそう聞かされて、俺やなのは達はすごく哀しくなった。

これは、早くからスカさんやアミタから言われていた事だ。

別世界の時間軸とはいえ、未来の人との記憶は残してはいけない。

SFではよくある話だけど、実際に自分がそうなってしまうと、喪失感が半端ない。

最も、この喪失感も記憶が消えれば多分無くなるのだろうけど。

 

「健人君も、はやてちゃんもそんな悲しい顔せんで、笑顔でお別れしよ?」

「そんな事言ったって、ジークさんだって泣きそうやないですか」

「あ、あははは。うん、ヴィヴィオちゃん達と話していた、はずなんやけど、ね」

 

ジーク達はこうなるって事は最初から覚悟していたようだ。

けど、それでも皆泣きそうだ。

 

「なのはママ、ううん、なのは、フェイト! この数日間、すごくすごーーく楽しかったよ!」

「こっちこそ、楽しかったよ。ヴィヴィオちゃん」

「未来に帰っても、元気でね」

「はい、アリシアさんにも改めてお礼とよろしく伝えてください」

 

なのはとフェイト、ヴィヴィオとアインハルトは目に涙を浮かべているけど、それでもしっかりと別れの挨拶をした。

ついさっき、海鳴市で留守番をしているアリシアとも通信で別れを済ませている。

アリシアは終始笑顔だったが、最後の最後で大泣きしてしまい、プレシアとアルフが急いで戻ったほどだ。

 

「健人、こっちのスゥちゃんやティア姉達の事、頼んだよ」

「任せとけって、俺はスバルとギンガの兄貴だしな。ティアナは、これから、だけど」

「それと、なのはさん達との事もね。誰が彼女になるか、楽しみにしてるよ、健人君」

「リ、リリィさん!?」

 

まさかリリィから恋仲の事で言われるとは思わなかった。

幸い、なのは達には聞かれていない……聞かれてないよな?

なんか冷たい視線をユーリ達から感じるけど、気のせいだよな?

 

「あー私はばっちり聞いとったよ?」

「私もや~♪」

「……2人共、離して」

 

ジークとはやてがわざとらしく俺に胸を押し付けるように抱き着いてきた。

あ、ユーリ達の方からの視線が絶対零度級になった気がする。

心なしか、ナンバーズ達の方からも同じ視線を感じる。

何か、俺身体能力の他に第六感もめちゃくちゃ鍛えられてる気がする。

 

「コホン。名残惜しいのは分かるけど、そろそろ時間だよ」

「はい……それじゃ、元気でね健人君」

「うん、さようならジー(チュッ♪)……クさ、ん?」

 

今、俺何をされましたかー!?

 

「「「あぁぁ~~!!?」」」

「ふふっ、どうせ記憶無くなるんやったらこれくらいええやろー?♪ ほんなら、皆さん。本当にお世話になりました!」

 

気恥ずかしいようで、ジークの顔はリンゴよりも赤い。

 

「ジ、ジークさん、ものすごく大胆」

「何だかこちらに来てから、意外な一面ばかりを見てきました。記憶が無くなるのが別の意味で惜しいです」

「うぅ~忘れて! ほんまに忘れて! あ、これ入ったら忘れるんやったね。2人共早く入って~!」

 

ヴィヴィオとアインハルトはくすくす笑いながら、2人揃ってこちらに向き直った。

 

「それでは、皆さん色々お世話になりました!」

「記憶はなくなるでしょうけど……それでも、この数日間は、とても楽しかったです。ありがとうございました!」

 

続いてトーマとリリィが装置の前に立った。

 

「えっと、俺達は短い間だったけど、それでもたくさんお世話になりました! 特に、リリィの事でキリエさんには!」

「キリエさんには本当にたくさんご迷惑をおかけしました! それと健人くんにも!」

「あはは、俺は気にしてないから大丈夫ですよ」

「私も気にしてないわ。というか、元はと言えば、あなた達を巻き込んじゃって、あれくらいじゃ謝罪にもならないわ。本当に、ごめんなさい」

「私からも、本当にご迷惑をおかけしました!」

 

キリエとアミタが心底申し訳なさそうに頭を下げる。

けど、2人のどたばたのおかげで、ジーク達と出会えて一緒に過ごせたんだから、俺としてはお礼しかない。

それは、ジーク達も同じだ。

 

「では、行くよ。5人共。君たちの未来に希望が満ちるように祈っているよ」

「さようなら~!」

「元気でね!」

「体に気を付けてね!」

 

みんな名残惜しそうに別れを言い、ジーク達はそれぞれ涙を流しながら手を振り、そして、消えた。

もうジークもヴィヴィオもアインハルトもトーマもリリィも、この世界のどこにもいない。

てか、結局変態丸達がスカリエッティやナンバーズだとヴィヴィオ達にはバレなかったな。

もし、バレてたらどうなっていたか、ちょっと気になる。

 

「ではでは、次は私達の番ですね」

「これで私達もエルトリアに戻れば、自動的にヴィヴィオちゃん達の記憶は改竄が完了するわ」

「確認しますが、本当に私達の事は?」

「大丈夫だ。君たちの事は忘れないようにしてある、してあるからその杭をしまってくれないかね、ユーリ君?」

 

そう。実は記憶が改竄されるのは、ジーク達異世界未来組のみだ。

ユーリ達とアミタとキリエに関する記憶は改竄されない。

多少なりとも記憶の祖語や矛盾が生まれるが、それはすぐに脳内で補完されるらしい。

実は、ユーリ達がエルトリアへ行くにあたっての絶対条件だった。

これが呑まれないようなら、最悪エルトリアへ行かされても破壊するとまで言った。

厳密に言えば、キリエとアミタも未来の人だが、ヴィヴィオ達と違い、なのは達とのつながりはない。

ユーリ達も本来こちらの世界の存在なので、記憶を無くす事は絶対ではないのだが、それでも多少の問題は残る。

が、それはスカさんとリンディ艦長達でどうにかするらしい。

最後の最後まで頭痛が残る事件だ。とクロノは頭を抱えていたな。

 

いや、頭を抱えたいのは俺もなんだけどね?

 

「健人様、しばしのお別れですね。お勤めに行ってまいります」

「あ、あぁ、しっかり、ね?」

 

さっきまで笑顔だった4人は、ずずいっと俺の側によると、小声でこう宣言してきた。

 

「健人、我らが次に会う時が、すなわち婚姻の時だ!」

「ボン・キュッ・ボーンになって戻ってくるから、楽しみにしててね!」

「ですが、もし再会の時までに好きな女性が出来たとしても、私達は怒りませんのでご安心を……」

「そこまで健人様を束縛する気はありません。ただ……」

「「「「改めて、決着をつけるだけ(だ・だよ・ですので)」」」」

「あ、あははは……」

 

うわぁ~皆さん瞳のハイライトがオフになってますよー?

なのは達は何やら勘違いをしているようで、3人共妙に燃えている。

 

「うん、私達だって負けないよ!」

「私達ももっと強くなってるからね!」

「う~ん? 決着というのが何か違う意味合いがありそうやけど、負けへんよ!」

 

どうやら決着云々の部分だけ聞こえてたのね。

うん、今この場面で最終戦争が勃発しなくてよかったよ、ホント。

 

「健人、がんばれ」

「骨は拾おう」

「致命傷でも治せるように私も治癒魔法や医学をもっともっと勉強するわね」

「わが主の為にも、我らも全力を尽くす」

「だから、死んだ魚のような目はやめてくれ、正直怖いぞ」

「うん、ありがとう」

 

ばっちり会話が聞こえていたっぽい守護騎士達のありがたい激励を受けた。

ははっ、ありがてぇ~

 

「装置の再調整は完了した。これでエルトリアに繋がった。ただし、この転送が済めばこの装置は壊れて使い物にならなくなるだろうけどね」

「それで構いません。今はまだ、エルトリアとこちらの星系の交流は早いと思いますし」

 

いよいよ、その時が来た。

アミタ、キリエ、ユーリ、ディアーチェ、レヴィ、シュテルの6人が装置に入っていく。

 

「キリエさん、アミタさん、故郷とお父さんよくなるといいですね」

「ありがとう、健人君。たくさん迷惑かけてごめんね」

「では、皆さん、またお会いしましょう」

「うん、ユーリちゃん達もエルトリアで頑張ってね!」

「ふはははっ、さらばだ!」

「王様は最後まで王様やなぁ。向こうでも迷惑かけんようになぁ」

「へいと! 次にあったら覚えてろよ!」

「うん、何か挨拶おかしいね。それに私の名前はフェイト! 次に会う時までそれは覚えてよ!」

「あ、最後に健人さんへの置き土産に私達の下着でも残して……」

「ドクター! 転送速くして!!!」

「りょ、了解!」

「……最後までいけずです」

 

アミタ達は装置の向こうへ消えていった。

最後の最後にとんでもない爆弾を投下しそうになった。

なんだかんだ色々あったけど、楽しかった事は楽しかった。

それ以上の恐怖も散々味わったけどね……

 

次に再会するのが100年後くらいになりますように!

フラグじゃないからな!?

 

 

続く

 




はい、これにてGOD編やっと終了です!
長かったぁ~それに今まで一番はっちゃけたぁ~
書いててキャラの暴走ここに極まれりって感じでした(笑)

次回からはナカジマ家+ティアナの話。
今度は健人の癒しになるのかなー?

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