ViVidかと思ったら無印でした……   作:カガヤ

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もうどこからつっこめばいいやら……


第35話 「襲来(レベル∞)」

ついに、ついにこの時がやってきた。

リリィの案内でやってきました、マテリアルズのアジト。

メンバーは俺、なのは、フェイト、はやて、ジークリンデ、ヴィヴィオ、アインハルト、プレシア、ユーノ、アルフ、シグナム、リインフォース、ヴィータ、ザフィーラ、シャマル、トーマ、リリィ、クロノ。

ちょっとした戦争でも起こせるくらいの超豪華メンバーだ。

これでギンガやスバル達も加われば完璧なんだけど、それは10年後に期待だな。

で、俺達はアジトの前に到着したわけだ。

リリィの話では結界が張られていて、合言葉を言わなければ入れないらしいのだが……

 

「何、これ」

 

俺達の眼前にあるのは、巨大な扉だ。

どうやらアジトは、岩山をくり抜いて作ったようで岩肌に、超大型巨人でも入れそうな程の巨大な扉がある。

 

「目立ちすぎだろう」

 

うん、どうみても隠れアジトには見えないな。目立ちすぎている。

ここへはクロノが局員引き連れて何度か来てると言ってたけど……

あ、クロノが凹んでる。

 

「ここには調査に来たことあるのに、なんで気づかなかったんだ」

「ぎゃ、逆にここまで堂々としてるから、気づかなかったんじゃない、かな?」

「うん、うんうん。きっとそうですよ!」

 

高町母娘(予定)が励ましてるけど、こんなに堂々と目立つ場所にあるのに気付かなかったのはねぇ。

 

「じゃ、リリィ早速合言葉言って」

「はい! 任せてください!」

 

今更だけど、リリィが出てから合言葉変えたりしてないだろうな。

ま、そうなったらなったでトリプルブレイカーでぶっ飛ばそう。

 

「では、行きます……お姉ちゃんの、馬鹿ぁ! 分からず屋! 頭でっかちー!」

 

――でっかちぃ~……ちぃ~…

 

「「「……」」」

 

えっ? 今のが合言葉なのか?

 

「リリィ? 本当にそれでいいの?」

「はい。キリエさんがこれを言っていました。キリエさんが言うとなぜか私の心にグサっと来るんですけど」

 

キリエってよっぽどお姉ちゃん嫌いなのか。

あれ? キリエのお姉ちゃんって、誰だっけ?

イノセントと一緒なら、いたのは覚えてるけど、うーん?

と、考えていると、地鳴りのような音があたり一面に響き渡った。

 

――ゴゴゴッ!

 

「いよいよか。みんな気を付けるんだ!」

 

クロノに言われるまでもなく、みんな臨戦態勢だ。

すでに俺達が来ている事は向こうもわかっているはず。

こんな巨大な扉が開くんだ。いきなり大群が押し寄せてきても不思議じゃない。

さぁ、巨大な扉が音を立てて……開いた!

 

――パカッ!

 

開いたことは開いたのだが、巨大扉……の横の壁が小さくパカッと開いた。

 

「「「へっ!?」」」

「あ、開きました開きました!」

 

俺達全員ポカーンとしている中、リリィだけスタスタと中へ入ろうとしていく。

 

「あれ? どうしたんですか? 入らないんですか?」

「えっ? いや、いやいやいや。これは? この巨大扉が開くんじゃないの!?」

「この扉、ただ壁に彫っているだけみたいだよ?」

「えぇ~……」

 

ユーノの言う通り、巨大扉は壁をただ彫っただけのアートだった。

ご丁寧に塗装もちゃんとしてあって、汚れもつけたりと結構凝って作られている。

 

「あ、これはあまりにドアが地味すぎると見栄をを張るために、王様が魔法も使わず1人で彫った偽装扉ですよ。」

「リリィ、そういうことは早く言って……ってディアーチェが1人で彫ったんかい!」

「い、意外すぎる才能やね」

 

ディアーチェの意外な才能に思いっきり出鼻をくじかれた俺達は、若干脱力しながらもドアから中へと入った。

無骨な外見とは裏腹に中は、どこかの研究施設かのような広場といくつもの通路が伸びていた。

電気は普通についているが、壁にあるモニターらしきものは完全に落ちていて何も映し出していない。

入り口の側には、リリィが使ったと言っていた転送装置もあった。

 

「これは、何かの研究施設か?」

「どうやらそうみたいね。これをあの子達が1から全部作ったとは思えないわ。恐らく廃棄された施設を根城にしたんじゃないかしら? 詳しくは施設を再起動させて調べてみないと分からないけど」

「再起動できそうか?」

「やってみるわ。アルフ、手伝いなさい」

「僕も手伝います」

 

プレシア、それにユーノとアルフが反応しないコンソールの起動を試みて、俺達は奥へと進むことになった。

 

「しかし、ここはかなり広そうだ。手分けするか?」

「人数も多いし、あまり大人数で動いていたら身動き取れなくなるぞ」

 

シグナムとヴィータの言う通り、この施設はかなり広そうだ。

広間からも通路がいくつも分かれている。

各々デバイスで魔力反応や生体反応をスキャンしたが、施設自体が妨害装置と化していて探知できなかった。

 

「そうだな。3つのグループで分かれよう」

 

戦力的に分散させて俺、なのは、フェイト、クロノのAチーム。

はやてとヴォルケンリッターのBチーム。

異世界未来組のCチームに分かれる事になった。

 

「リリィ、がんばろうな」

「うん! ところで、奥に行って何を探すの?」

 

と、ここでリリィのポンコ……天然が爆発した。

 

「あ、あのなぁ……マテリアルズやキリエ達を探すんだよ!」

「えっ? それならみんな部屋にいるんじゃないかな? ほら、あそこ」

「「「え“っ!?」」」

 

リリィが指差した先にはいくつかの部屋があって、それぞれネームプレートがかかっていた。

思わず全員の視線が集中した。

そこは、入り口からほんのすぐ近くにあった。

 

「こんな近くに部屋があるんかい!」

「ここの施設広すぎて、キリエさん達も隅々まで探索したわけじゃないんだって。だから奥まで行った事はないって言ってたよ」

「そうか……リリィ、そういう事は早く言ってくれ!」

 

頭痛がしてきたのか、頭を押さえるクロノ。

俺も頭痛くなってきた。

 

「あ、あはは、とにかく入ってみる?」

「うーん、こんなに騒いでも出てこないってことはいない可能性が高いけど」

 

とりあえず一番近くの部屋を開けてみる。

幸い鍵はかかってないようだ。

プレートの名前は、シュテルか。

 

「あ、うかつすぎる! もし何か罠があったらどうするんだ!」

 

クロノが注意したが、一足遅かった。

シュテルの部屋って事で用心すべきだったんだ。

 

「うん……確かにうかつだった」

 

部屋を開けた事を心底後悔した。

一緒に部屋を覗き込んだはやてとヴィータが白目をむいて固まっている。

 

「あ、主はやて!?」

「健人、ヴィータも一体どうし……っ!?」

 

俺達を心配してかけよってきたリインとシグナムも、部屋の中を見て息をのんだ。

部屋の中には、壁一面に色々なポーズをした俺のポスターが貼られていて、ベッドには俺の人形がいくつも置いてあった。

さらにどこでいつ隠しどったのか分からないけど、俺の着替えや食事の姿もポスターや抱き枕にされていた。

 

「健人君? それにみんな、どうしちゃったの…… 「「見るな!」」 は、はい!」

 

なのは達もかけよってきたが、急いで止めた。

そして、ゆっくりと部屋のドアを閉めて、俺達は頷きあった。

 

「マテリアルズの部屋は厳重に封印!」

「「「(はい!・あぁ!)」」」

 

それから素早く部屋のドアを溶接し、更に叩いて歪ませて、リインが凍結させて、はやてが厳重に封印を施した。

それと同じ事をディアーチェとレヴィの部屋にも行った。

この間わずか数十秒。

 

「クロノ、この部屋は壊れていて中を探知できなかった。おk?」

「わ、分かった。分かったからそのハイライトが消えた目はやめてくれ!」

 

みんなも俺達の尋常じゃない様子を見て、何かを察したのか同情と憐みの籠った目で俺達、いや、俺を見ている。

それを見て、さっきの部屋の中の惨状が頭の中によぎり……

 

「……おうちかえる!!」

「わわっ、お、落ち着いて~」

「健人さん、しっかりして下さい!」

 

入り口までダッシュしようとした俺だったが、ジークとアインハルトに止められた。

 

「健人君、気持ちは分かるから!」

「大丈夫だ! 何があっても我らが守る!」

 

2人を引きずって外に出ようとする俺を止めようと、シグナムとリインも加わった。

その際、体に柔らかいものがいくつも押し当てられたのだが、その時の俺はそれどころじゃなかった。

 

数分後。

 

「健人、落ち着いたか?」

「ウン、ゴ心配ヲオカケシマシタ。モウ大丈夫」

「全然大丈夫そうに見えないの!?」

 

また数分後。

 

「えっと、俺、何をしてたんだっけ?」

 

おかしい。ここ10分間程の記憶が曖昧だ。

 

「げ、現実逃避で記憶も抹消しちゃったの……」

「よっぽどつらいものを見たんだね」

 

なのはとフェイトが心配そうな顔をしているけど、ハテ?

 

「無理もない。あれは、ヒドイ」

「あ、あははは……正直、私も記憶を消したいくらいや」

 

シグナムとはやては何の話をしてるんだ?

 

「コホン。ともかく、残るはこの部屋のみだが、どうする?」

 

えっと、クロノが言う部屋って、キリエルームってプレートがかかってるこの部屋か?

 

「この部屋は厳重にロックされていて、どうやっても開けられないんだ。今、プレシア達がロックを解除しようとしている」

 

あ、向こうのコンソールでプレシア達が色々弄ってるね。

まだ時間かかりそうだな。

 

「面倒だ。あたしがぶち抜いてやるよ」

「私が斬った方が早いだろう」

「なら、私がガイストで削り取るよ?」

「断空拳で打ち貫きます」

「ブレイカーでぶち抜く!」

「物騒な発想しかできないのか、君たちは!?」

 

だって、時間かかりそうなんだもん。

と、その時、突然部屋のドアが開いた。

 

「何よ、さっきから騒がしいわね~こっちは昼寝……えっ?」

 

部屋から出てきたのは、寝起きなのか少しぼさついたピンクの髪をして可愛いクマを着た女の子、キリエだった。

寝ぼけ眼をこすりながら、俺達を見たキリエは、目をパチクリさせて、固まった。

 

「………」

 

沈黙が5秒ほど続き……

 

「えっ? えええぇぇぇぇ~~~!!!? なんで!? なんであなた達がここにいるの~~!?」

「キリエさん、お久しぶりです! あ、おはようございます?」

 

あまりの出来事に俺達もフリーズしていた中、リリィだけは笑顔でキリエに挨拶した。

 

「あぁ、おはようございま……リリィ!? なんであんたまでここにいるのよ!?」

「えっと、健人さんをお連れしました!」

「お連れしました。じゃないわよ! なんでこんな大人数なの!? えっ? 待って待って、あれ? 王様は? シュテルは? レヴィは? みんなどこ!? まさかもう倒しちゃった!?」

「?? いえ、私達が来た時は誰もいませんでしたよ? みなさんお部屋にもいないようでしたし」

 

うーん、どうやらキリエはディアーチェ達がいないことを知らないようだな。

 

「えええ~!? よりにもよってこんな時にみんな揃って外出!?」

「あー、色々混乱してる所悪いんだが、時空管理局の者だ。色々と話を聞かせてもらいたいのだが?」

 

クロノがデバイスを構えて尋問をしようとすごむと、やっとキリエも落ち着きを取り戻したようだ。

 

「……そっか。ここがバレちゃったか。なら、仕方ないわね。こうなったら私1人でも健人君を」

「その恰好で?」

 

パジャマ姿で身構えるキリエに思わず突っ込んでしまった。

 

「えっ? ……あっ、あああぁぁ~~~!!?」

 

すると、キリエは自分がパジャマであることをようやく思い出したようで、顔を真っ赤にして勢いよくドアを閉めた。

 

「………」

「ま、待ってあげよう、クロノ」

 

色々我慢の限界だったのか、無言でデバイスをドアに向けるクロノをフェイトが止めた。

うん、その気持ちはよくわかるぞ。

部屋の中からはドタバタと物音と 「あれ? パンツどこー?」 や 「いたっ!? もうなんでこんな所にザッパー転がってるのよ!」

とかいう声が聞こえてきた。

 

「「「………」」」

 

その間、俺達には誰も何も言えないすごく微妙な空気が流れていた。

 

「これは、全員で来ることなかったんじゃないかしら?」

「言わないでくれ、頼むから」

 

作業をしながらプレシアがぼそりと呟き、クロノがとうとう蹲ってしまった。

更に待つこと数分。

 

「はぁ、はぁ……っ、お、お待たせ! さぁ~! どっからでもまとめてかかってらっしゃい!」

 

かなり息を乱したキリエが部屋から出てきた。

両手に拳銃を構え、かっこつけているけど、色々と手遅れだ。

まぁ、ともかく、かかってこいと言われたのだから……

 

「じゃあ」

「お望み通り」

「全力で」

「全開で」

「……無理無理無理! 無理すぎる~!! こんな大人数相手にどうしろっていうのよぉ~!!」

 

ですよねー。

 

「大人しく投降してくれるなら、こちらは何もしない」

「そういうあんた! 目が一番血走ってて、説得力皆無!」

 

確かに、今のクロノは鬼気迫る表情を浮かべている。

無理もないか。

一応みんなデバイスを向けているけど、流石にこの状況は可哀想すぎて、シグナムやリインも困惑の表情を浮かべている。

ヴィヴィオやアインハルトに至っては、構えを解いている。

その時だった。

突然、入り口のドアが開いて何かが飛び込んできた。

 

「けーーんーーとーーさーーまーーー!!!」

「くぎゅっっ!?」

「「「健人君!?」」」

「「「健人!」」」

 

猛スピードで飛んできた物体をよけきれず、一緒にぶっ飛んでしまった。

一体何が起こった?

 

「いたたっ、一体何ご……と?」

 

何かが俺の胸に飛びついてきて、最初は子猫か子犬かと思ったけど、言葉を喋っている。

胸元に飛びついてきた物体に目を向けると……

 

「ケントサマーケントサマーケントサマー」

「なに、これ?」

 

何か小さい人間、のような物体が頬ずりしてた。

あ、これINNOCENTで見たことある。

確か、チヴィットのめ~ちゅ!

あれ? って事は……まさか!?

 

「ユーリ! 1人で抜け駆けはずるいぞ!」

「そうです! 第一さっきまで私にしがみついていたじゃないですか!」

「おーい、けんと~~!」

 

更にそこに新しい声が3つ聞こえてきた。

 

「誰……え?」

「その声、それにその姿」

「ま、まさか……」

 

なのは達が声のする方へ向いたまま、驚きの表情を浮かべた。

うん、俺も聞こえた声に聞き覚えあるぞー。

って、それよりも、今、なんて言った?

ユーリ? 誰がユーリ? このチヴィットの事かなー? そうですよねー

 

「お前……ユーリ?」

「ケントサマー」

 

め~ちゅは嬉しそうに何度も頷いている。

おめでとう。ユーリはめ~ちゅに進化した。

あれ? みんなが固まるのはわかるけど、キリエも白目をむいて固まってる?

 

「いや、健人。あっちも見た方がいいぞ」

「……わざわざありがと、クロノ」

 

いやだなぁ、後ろを振り向くの怖いなー

でも、振り向かない方がもっと怖い事になりそうだ……

だってさっき聞こえた3人の声って、どう考えてもディアーチェにシュテルにレヴィだもん。

 

「い、いやぁ~3人共、ひさしぶ……りぃ~!?」

 

恐る恐る振り向いた先には、予想通りマテリアルズの3人がいた。

 

「健人!」

「健人さん♪」

「けんとー」

 

が、予想と違ったのは、3人共、それぞれウェディングドレス姿で、なぜか色々と大きくなっていた事だった。

 

大人モード!?

 

 

続く




はい、カオスです(爆)
今回の襲来はキリエにとっても襲来でした(笑)
これでも最終決戦……のはずです。
次回でバトルが……あるはずです。

FGO、武蔵は正月に引いているので、軽い気持ちで引いたらアサシンパライソが2人きました
やったー!

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