ViVidかと思ったら無印でした……   作:カガヤ

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お待たせしました!
最終決戦直前です!


第34話 「決戦前はさすがにシリアス」

――モグモグ

 

――パクパク

 

アースラ食堂で、無言で食事をする2人。

周りに誰もいなく、沈黙の時間がすぎていく。

 

――ムシャムシャ

 

――かゆ うま

 

「「………」」

 

さっきも言ったが現在、アースラの食堂には俺とトーマの2人しかいない。

なのは達はマテリアルズ達のアジト捜索で全員出ている。

本来なら俺もトーマも行くはずだったの。

しかし、前回のシュテル襲撃(?)もあって俺はアースラでお留守番。

リンディさん達にはシュテルが誰にも気づかれずに侵入してきた。としか報告していない。

それ以上の事は言えるはずもないからねぇ。

エイミィはもう1回襲来なりあれば、逆探知して居場所を突き止められると息巻いていたけど、流石に誰にも気づかれず来られちゃ逆探知も何もあったもんじゃない。

ってか、シュテルがいつの間にか来ていたのを知ってなのはやジーク達が燃えに燃えて早くマテリアルズ達を探そうと躍起になって、全員出動になった。

そして、トーマなのだが、リリィがダウンしてしまい、戦闘不能でお留守番。

その原因は、シャマルにある。探索に向かうみんなの英気を養おうと、シャマルがクッキーを焼いた。

だけど、みんな食べるのを拒み、唯一シャマルの料理の腕を知らないリリィだけは興味津々でそれを食べて、見事に撃沈。

シャマルははやて達からの説教+台所の立ち入り禁止、それに食材に触る事すらも禁止されてしまったというわけだ。

で、俺とトーマはやる事がなく、こうして2人して黙々と食事をしているわけだ。

 

「「(き、気まずい……)」」

 

今、絶対トーマも俺と同じこと考えてたな。

なんでか知らないけど、俺とトーマだと会話が続かない。

考えてみれば、トーマは生前の俺とほぼ同年代の男子だ。

同年代の子と話したことなんて、あまりない。

学校なんて数えるほどしか行ってないから友達はできなかった。

病院で入院してた時、色々話をしたのは看護婦さん達で、当然みんな年上だった。

アニメやゲームの事で盛り上がったのは、みんな俺より年下の子供達。

だからか、年下のなのは達にも年上のスカさん達にもすんなり話せたのは。

こっちきてから生前の同年代と話す機会なんてなかったよな。

ジークにアインハルト達は原作から色々知ってるから、割と普通に話せた……感激して興奮してハイテンションになったけど。

でも、トーマもトーマで俺と話す時かなりぎこちなかったんだけど、どうしてだ?

ともかく、この沈黙が耐えられない!

何を話せばいいか分からないけど、話しかけるしかない。

 

「「あ、あの! えっ?」」

 

……なんでハモるんだよ!

あーもう、なんにせよトーマが話しかけてきたのは好都合だ。

よしっ、どんな話題を振られようとものってやろうじゃん!

 

「「………」」

 

無言で見つめあう俺とトーマ……って今度は2人揃って譲り合いかい!

 

「何してるの2人共?」

「あ、エイミィさん」

 

そこへエイミィが食事の乗ったトレイ片手に苦笑いを浮かべてやってきた。

 

「みんなの捜索、何か進展あったんですか?」

「ううん、全然ダメ。だから交代で休憩を取ってるんだよ。ホントにどこにいるんだろうねぇ、闇なのはちゃん達は」

「や、闇なのはさん……」

 

確かにシュテル達はなのは達をベースにしてて、ものすごくダークサイドというかポンコツダークサイドだけど。

トーマもそれを聞いて複雑な表情を浮かべている。

多分、自分達の未来のなのは達を思い浮かべてるんだろうな。

それでなんか、納得してるような気がしないでもない。

トーマの時代のなのはってどんだけ破天荒になってるやら。

 

「ところで、2人してどうしたの? 無言で見つめあったりして……あ、そっちの趣味?」

「「違います!」」

「あははっ、健人君はともかく、トーマ君は違うよねー?」

 

おい、俺はともかくってなんだよ。

 

「だって、トーマ君にはリリィちゃんがいるし」

「えっ、あっ、いや、俺とリリィはそそそういう関係じゃなくてですね」

 

おぉ、動揺してる動揺してる。

ってかこの話題はトーマがここに来た時に散々弄られてるのになぁ、主にヴィヴィオやはやて達に。

ウブなんだよなぁ、思春期真っ盛りって感じでいいねぇ、15歳。

って、おっさんか俺は!?

 

「で、俺はともかくってどういう意味ですか、エイミィさん」

「いや、健人君って美少女に囲まれてるのに、そういう素振り見せないから女の子に興味ないのかなーって」

 

ナ、ナンデストー!?

 

「そういう素振りってどういう素振りですか!?」

「それは……ふふっ、もうお姉さんになんてこと言わせようとしてるのかなぁ、このおませちゃんは♪」

 

いや、話振ったのあんただし!

何このおばちゃん化した16歳は!?

ひょっとして、年頃の男女ってこんな感じなのかー!?

 

「言われてみれば、健人君ってフェイトさんやアリシアさんと住んでて、向こうではスゥちゃんやギンガさんのお兄さんとして慕われてるんだよね。高町教導官や八神司令とも仲良しだし」

 

何かトーマが感慨深そうに言ってるけど、明らかに一回り年下のフェイト達にさんづけってすごく違和感あるな。

確か、元いた世界ではスバルの弟みたいだし。

 

「う、うーん。やっぱりなのはちゃん達をそう呼ぶと違和感あるねぇ」

「あ、ごめんなさい。まだ小さい高、なのはさん達に慣れなくって」

 

それでもさん付けか。

まぁ、なのは達が好きに呼んでって言ってるからいいか。

と、そこへトーマにリンディさんから通信が入った。

 

『トーマ君。リリィさんが目覚めたそうだから医務室に行ってくれるかしら?』

「あ、わかりました。すぐに行きます!」

 

エイミィは食事を終えたらブリッジに戻るとのことなので、俺とトーマで医務室に向かった。

やる事なくて暇だったしね。

 

「あ、トーマトーマ!」

 

医務室に入ると、目覚めたばかりだというのにすっかり元気になったリリィがトーマに向かって走ってきた。

何だろ……今のリリィ、声は違うのに、なぜか某暴食シスターを連想してしまった。

声的には某エアロハンドの取り巻きズの1人だというのに。

 

「リリィ、もう大丈夫なのか?」

「うん! 出すものだしたからすっきりしたよ!」

「だ、だすものって……」

 

ナニを出したのかは聞かないでおこう。

てか、女の子がそういうこというんじゃありません!

 

「それでね。私、思い出したの!」

「何を思い出したんだ?」

「キリエさん達がいた世界の事だよ!」

「「ええぇ~!?」」

 

リリィが言うには、キリエ達のいた世界の名前を思い出したんだそうだ。

その名前をエイミィが調べたところ、とある次元世界がそうだと分かった。

地球のある次元世界からは割と離れていて、クロノ達も何度か調査したが、痕跡すら出てこなくて捜索対象から外れた世界だった。

リリィが言うには、その世界の山奥にある場所で結界を張ってアジトにしているらしい。

で、結界は近くにいても探知すらできず、合言葉を言わないと解除されないらしい。

 

「なるほど。それならば見つからないはずね。クロノやなのはさん達を大至急アースラに帰還させて。全員戻り次第、アースラはその次元世界へ向かいます」

 

やがて捜索に出ていたなのは達が戻り、アースラはその次元世界へ発進した。

いよいよ、マテリアルズ達のアジトへ向かう。

最終決戦を前に俺達は異様な緊張感に包まれていた。

 

「ねぇねぇ、お土産何か用意すればよかったかな?」

「僕たちは、これから敵地に乗り込むんだが?」

「だって、キリエさん達にはお世話になったお礼も満足に言えず出て行っちゃったから」

「あ、リリィの食事代、立て替えてもらったんだよな。俺も何か用意すべきだったかな」

「だから、これから向かうのは敵地なんだが!?」

 

一部には緊張感が……

 

「これから向かう所って、結構有名な温泉がたくさんある観光世界みたいですよ。私、ちょっと楽しみかも」

「ヴィヴィオさん? 私たちは観光に行くのではないのですけど?」

「温泉まんじゅうあったら、留守番してる姉さんのお土産にしようかな」

「フェイトちゃん、フェイトちゃん、それツッコミ待ちかな?」

「どうですか、リリィちゃんの記憶が戻ったのは私の料理のおかげなんですよ! だから、料理禁止令を解除してもいいですよねー?」

「「「黙ってろ!」」」

「(´・ω・`)シャマルーン」

 

い、一部緊張感が……

 

「うぷっ……酔っちゃった」

「わわっ、ジークさんしっかり!」

 

訂正、どこにも緊張感のきの字もなかった。

 

 

続く

 




シリアスとは一体・・・な、タイトル詐欺回です(爆)
次回はやーっと彼女が出ます。
バトルらしいバトルもできるかな?

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