ViVidかと思ったら無印でした……   作:カガヤ

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お待たせしましたー!

書いてていろいろ暴走してR18的な話になってしまい、何度か書き直しました・・・


第33話 「襲来(レベル99)」

「ぅ、うぅ~ん……」

 

暖かくて柔らかいものに包まれている感じに目が覚めた。

腰に手を回して、背中に誰かが抱き着いている?

こんな事しそうな人は……クイントさんくらい?

でも、背中に当たる柔らかい感触が小さい。一体誰だ?

起こさないように慎重に抱き着いている手を離し、ゆっくりと振り向く。

そこにいたのは……

 

「……けんと、さん」

 

パッと見なのはっぽいけど、よく見ると別人な、シュテルだった。

幸せそうな寝顔で気持ちよさそうに寝ているなぁ……全裸で。

 

「………」

 

俺はシュテルを起こさないようにベッドから降りて着替えを持って部屋を出て、1階のリビングへと降りた。

そして、着替えをして冷蔵庫から牛乳ビンを取り出して一飲みして、ソファに腰かけ天を仰いで一言。

 

「(なんでさーーーーーーー!!!!)」

 

全力全開で叫びたかったけど、みんなを起こしちゃうから心の中だけで叫ぶ。

なんでシュテルがすっぽんぽんで俺のベッドにいるんだ!?

いや、実際に見たわけじゃないですよ?

たださっきまで足にまで絡みつかれるほど、密着して抱き着かれていたからわかるんですよ?

今も目に見えているのはシュテルの肩から上だけで、そこから下は誓ってみていませんでしたよ?

 

<ふわぁ~、朝からうるさいなぁ>

「デバイスが熟睡してんじゃねぇよ。大体なんで警告してくれなかったんだよ」

<ん? 別にジークやプレシアじゃあるまいし朝から幼女が全裸で侵入したからって問題ないだろ?>

「判断基準がおかしいが、朝からジークがいたら鼻血で出血死する自信があるぞ」

<自信満々に言うことかよ>

 

シェルブリットと漫才していると、突然背後から抱きしめられる形で目隠しされた。

 

「だ~れだ?」

「その綺麗でかわいい声はジークお姉ちゃん!」

 

ついでに言うと後頭部に当たっている、程よい柔らいものもうちでいる中じゃジークしかいないね。

 

「はうっ!? そ、そそそそんな事ないよ? 私の声なんて……ってもう、健人君ったら!」

 

悪戯してきたのでこっちは意地悪っぽく言ってみた。

 

「うぅ~……」

「あははっ、おはよう、ジークさん。早起きですね」

 

ジークはよくヴィヴィオ達と早朝にマラソンやトレーニングをしているけど、夜明けにはまだまだなこんな時間に起きているのは珍しい。

ま、俺が言えたことじゃないけど。

 

「む~ちょっと喉が渇いて何か飲もう思うたら、電気もついてないリビングに誰かいるからてっきり泥棒かと思ったんよ。そしたら健人君が何か考え込んでるから驚かそう思うたのに、逆にこっちが驚かされたわ。健人君はこんな時間にどうしたん?」

「えっと……何だか目が覚めちゃって?」

 

まさか、ベッドに全裸の幼女が侵入したから起きた。なんて言えるわけない。

それがシュテルだとわかればなおさらだ。

最悪、この家消し飛ぶかもだ。

 

「ふ~ん、せやったら……私と一緒に寝る?」

 

暗がり+パジャマ姿+前屈み+上目使い=超天使!

って、ジークこんなキャラだっけ?

いや、こっちに来てからたまに変なテンションになってる事あるけど、ここまでじゃなかったぞ?

 

「ぶふっ!? ちょっ!? な、何を言ってるんですか!? てか誰の入れ知恵ですかそれ!?」

「あ、あははは。やっぱりわかる、かな?」

「わかりますよ。ものすごーく恥ずかしそうに言ってるんですもん」

「うぅ~……せやなぁ。私も今更やけど、ものすっごい恥ずかしいわぁ。クイントさんやメガーヌさんに教わったんやけどなぁ」

「何してんだよ、あの2人は!?」

 

俺がジークをお気に入りだって事バレたからな。

だからってここまでさせるなんて。

まさかギンガやスバルにまで変な事吹き込んでないだろうな……ありえるから怖い。

 

と、その時だった。

 

――ゾクリッ

 

「っ!?」

 

突然物凄い寒気がして、辺りを見渡した。

けれども特に異常はない。

ジークは何も感じなかったようで、平然としている。

 

「ど、どうしたん? 急にキョロキョロして。誰か起きてきた?」

「いや、なんでもないよ。気のせい、だと思う」

 

まさか、ね。

と、その時は思い……たかった。

 

 

 

それからジークと他愛無い話をして、そのうちヴィヴィオやフェイト達も起きてきて皆で早朝トレーニングをした。

そして、なのは達と合流してリリィの案内でマテリアルズとキリエがいた次元世界を探す事にしたのだが、これがなかなか難しい。

リリィは自分のいた次元世界の事をまるっきり覚えていないので、地球付近の次元世界を片っ端に訪れてリリィが見覚えある景色があるかどうかの確認をするという方法しかなかった。

で、そんな方法ですぐ見つかるわけもなく、無駄に次元世界を移動するだけになり、収穫のないままへとへとになって帰ってきた。

 

「あー……これじゃいつになったら解決するのかわかんないな」

 

風呂に入りながらこれからどうしようかと考える。

解決するってことは、ジーク達は未来に帰るって事なんだよな。

それはそれでかなり寂しい。

 

「ま、俺なんかが考えても仕方ないか」

「そうです。あなたはただ私達に身をゆだねてくれればいいんですよ」

 

ハイ?

今誰かの声が背後から聞こえてきたぞ?

何だかなのはっぽい声が聞こえたけど、なのはがいるわけない。

というか、ここは風呂場なんだぞ?

誰もくるわけないじゃん。

ははっ、空耳だろう。

 

「では、お背中流しますね」

 

背後にいる誰かがそういうと、背中にスポンジが当たった感触があった。

これ、幻聴でも幻覚でもないや。

俺の背後に誰かいるー!?

ヘルプー! と言いたいけど、シェルブリットは当然持ってない。

持ってたとしても、この家にいるのは女性ばっかり、風呂場へ助けを呼んで来てもらうわけにはいかない。

いや、プレシアかアルフなら……2人共今日いないんだった。

 

「力加減はいかがですか?」

 

こうなったら腹を括って……スルーしよう。

俺の背後には誰もいない。

背中を洗われてる気がするけど、気のせいだ。

俺は前を洗っていればいいんだ。

 

「あ、前も洗いたかったのですが……」

 

スルーして、シャワーで泡を流して風呂に入る。

 

「失礼します。ふぅ、いい湯加減ですね」

 

隣に誰か入った気がするけど、俺には何も見えない。

さっきからずっと目を瞑っているからね!

 

「ふふっ、こうしていると夫婦みたいですね」

 

スルースルー

 

「触ってもいいんですよ?」

「さーって、のぼせる前に上がるか!」

 

スルースルースルー

 

「……やはり、小さいとダメですか」

 

――ドテッ

 

目を瞑りながらだったからこけちゃった……けど、スルー!

 

念のため風呂場を出てもずっと目を瞑り、手探りで着替えてシェルブリットを装着。

 

「なぁ、もう、いない?」

<いないって、なんの事だマスター?>

「いや、風呂場に誰もいない?」

<誰もいないぜ? そもそも、風呂はマスター以外入っていないぜ?>

「…………」

 

ス、スルー……

 

「ど、どうしたの健人、顔色悪いよ!?」

「平気、のぼせただけだから」

 

リビングへ行くと、フェイトが驚いた顔をして駆け寄ってきた。

 

「はい、お水。でも、健人そんなに長い時間入ってたっけ? むしろいつもより短くなかった?」

「のぼせ、たんだ」

「は、はい。そうですか……」

 

水を持ってきてくれたアリシアは不思議そうな顔をしたけど、他に言いようがないんだよね。

まさか風呂場にシュテルがこっそり侵入してきた。なんて言えるわけない。

ってかどうやってきたんだよ、シュテル。

 

――愛です。

 

ゾクッ!!

 

「っ!?」

「今度はどうしたの健人!? いきなり立ち上がって」

「あー……いや、なんでもない」

 

今のは幻聴だ、幻聴!

 

 

思いっきり疲れた俺は早めに寝る事にして部屋に戻った……のだが。

 

「………」

 

ドアノブに手をかけて、そこで俺は猛烈に嫌な予感がした。

蟲の知らせというか、NT的キュピーン! というか、スパイダーセンス的な何かが働いた。

音を立てずにソーッと少しだけドアを開け、隙間から中を覗き込む。

特に変わった様子は……あった。

 

ベッドが妙に膨らんでいる。

というか誰か入ってる。

しかも、茶色の髪の毛が見える。

 

それだけ確認して、また静かにドアを閉めた。

そして、気づかれないようソーッと部屋を離れて……

 

「健人君、何しとるの?」

「~~~っ!!?」

 

突然声をかけられ思わず声にならない叫びをあげて、飛び跳ねてしまった。

 

「そ、そんな驚かすつもりやなかったんよ? ごめんな~」

「あ、ジークさんだったのか、びっくりしたぁ」

 

俺に声をかけてきたのは、ジークだった。

もう見慣れたけど、パジャマ姿が可愛い。

 

「アリシアちゃんから健人君調子悪そうって聞いて、様子を見にきたんやけど、大丈夫?」

「う、うん。大丈夫だよ」

「強がるのはよくないよ? 顔色悪いし、今だってフラフラやったし」

「大丈夫大丈夫。少し疲れただけだよ。寝たら直るって」

 

まともに寝れるか心配だけど。

 

「ん~……あ、せや! 今日一緒に寝よか。2人共なのはちゃんの所に泊まるから1人で寂しかったんよ」

「なぬ!?」

 

ヴィヴィオとアインハルトはなのはの所に泊まりに行ってるから、ジーク達の部屋はジーク1人だけど……マジか。

 

「私と一緒は、嫌やの?」

 

そこでそんな寂しそうな顔をするのは、卑怯だー!

で、ジークってまさかショタ……いやいやいや、そんな事ない! と思いたい!

あぁ~なんで今の俺9歳なんだよ!

でもこれで元の年齢だったら……うん、理性が天元突破して何するか分からないかもしれないな、うん。

 

「じゃ、じゃあ……お邪魔しまーっす」

「ふふっ、不束者ですが、よろしゅうね」

「ブッ!?」

 

ジーク、ひょっとして俺で遊んでないか?

 

 

それからジークの部屋で一緒に寝て、朝起きたらジークの抱き枕状態だった。

昨日と同じ抱き枕状態でもシュテルとジークじゃ体格差がありすぎて、色々な意味でやばかった。

さらに、アリシアとフェイトに運悪く抱き枕状態を目撃された。

アリシアにはかーーなり弄られ、フェイトはしばらく不機嫌で、プレシアにプレッシャーをかけられて1日中ご機嫌取りとしてフェイトと街へ出かけた。

で、それを知ったなのはとはやても不機嫌になった。

……どうしてこうなった?

 

 

それにしても、ジークは色々と柔らかかったなぁ(現実逃避)

 

 

 

「やはり……私達では、ダメなようですね」

 

 

続く

 




はい、ついに彼女襲来です!

GOD編も佳境です。
ジーク達、というかジークとの話ももっと書きたいんですけどねぇ。
これから少しバトルも予定してます。

で、GOD編が終わったら、ナカジマ家+ティアナ編!
ティアナとジークって同じくらい好きなので今から燃えてます(笑)

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