やっとかけましたー
マテリアルズのせいで、当初の予定よりも長く海鳴市へ滞在となってしまった。
なので、こうしてミッドのナカジマ家に通信をつなげ近況報告をすることにした。
どうやらクイントさん達は出かけているようで、ゲンヤさんが出た。
『よぉ、健人。話は聞いてるが、お前さんモテモテなんだってな。あっはっはっはっ』
「笑いごとじゃないですよ。こっちは精神的に色々大変だったんですから!」
ここ数日あった出来事をシェルブリットが保管していた映像と共に詳しく話すと、段々ゲンヤさんの表情が険しくなりついには額に手をあて天を仰いだ。
『……すまん。俺が悪かった』
「わかってもらえてよかったです。ホント……」
2人揃って深く、ふかーくため息をついた。
その時、通信モニターの向こうでドアの開く音がして、クイントさん達の声が聞こえてきた。
『ただいま~あら、誰かから通信? って健人じゃない!』
『けんにぃ!?』
『おにいちゃん!?』
『おぉ、戻ったか……グヴォッ!?』
ギンガとスバルの声も聞こえたかと思ったら、モニターからゲンヤさんの姿が消えて変わりに2人が現れた。
うん、俺は、何も、見て、いない。
「スバル、ギンガ、元気にしてるかー?」
『うん、元気だよ! けんにぃは元気だった!?』
それから、ギンガがストライクアーツをクイントさんから習い始めて、スバルも興味を持ち始めたとか、色々な話をした
ふと、ギンガが急に悲しそうな顔をしてこんなことを訪ねてきた。
『おにいちゃん、いつこっちに戻ってこれるの?』
そんな目で見られると、色々とこみあげてくるものがあるな。
「今回ちょーっと面倒な事が起きててさ。終わったらすぐにそっちに戻るよ」
『……それって、いつ?』
ギンガにつられてスバルも悲しそうな目で俺を見てきてる。
うわっ、これ今にも泣きだしそうなパターンだ。
どうしよう。
「えっと、だな……そうだ。さっきまでお父さんとその話していたから、お父さんに聞くといいよ、うん!」
『えっ? おい! こっちを巻き込むな!』
『『お父さん!!』』
2人はゲンヤさんに突撃して、代わりにクイントさんがモニターに現れた。
ゲンヤさん、ごめん。
『あははっ、健人も随分と強かになったわね。で、そっちは大変そうだけど、大丈夫?』
「えぇ、まぁ、なんとか大丈夫ですよ」
今の所は、だけど。
『早く解決するといいね。おいしい御飯たくさん作って待ってるからね』
「はい!」
『よしっ、じゃあ、健人に1つアドバイスを送るわ』
クイントさんのアドバイスって何だろ? ストライクアーツに関する事かな?
『一夫多妻制もいいじゃない。レジアス中将の力で可能よ♪』
――ドテッ!
「な、何を言ってるんですかー!?」
爽やか笑顔で何を言ってるんだこの人は。
『あはは~じゃ、元気でね~♪』
そういって通信は切れた。
「全く、あの人は軽いというかなんというか……あっ」
「「「あっ」」」
苦笑いを浮かべつつ部屋を出ようとして、ドアの隙間からこっちを覗き込むなのは達と目が合った。
ドアを開けると、そこにはなのはとジークとアリシアがいた。
「……いつからそこに?」
「えっと、ゲンヤさんと2人で落ち込む前あたり?」
「めっちゃ最初からじゃねぇーかー!」
「いやぁ、健人君の意外な一面見れたわ。ふふっ、いいお兄ちゃんしとるんやなぁ」
なのはやアリシアはともかく、ジークに見られたのが恥ずかしい。
クロノから連絡があり、時空の歪みの形跡が発見されたらしい。
それによるとジークやヴィヴィオ達以外にも、誰かがこっちの世界にやってきた可能性があるそうだ。
ただ、どこの次元世界にいつ飛んできたかまでが分からないようで、地球を中心にみんなで捜索する事になった。
俺はジークとなのはと一緒に海鳴市で待機となり、ヴィヴィオとアインハルトは念のため未来からやってきたかもしれない人物が知り合いである可能性を考慮してフェイト達と出ている。
そして、アリシアは普通にお留守番だ。
「見られた。ジークさんにまで見られた」
「あ、あはは、そこまで落ち込む事はないんじゃない?」
以前、クイントさんが来た時も後で色々弄られたからな、特にはやてとアリシアに。
もうすっかり慣れちゃったけど、ジークには見られたくなかったなぁ。
ナカジマ家を前にすると色々と昔を思い出して素が出るというか、あまり人に見られたくない状態になる。
まぁ、家族と思ってるからだろうけど。
―ピンポーン
その時、チャイムが鳴った。
今日はなのは以外お客が来る予定はないけど、誰だろうか。
「はーい、どちらさまですかー?」
―ガチャ
「あっ♪ あなたは運命を信じますか?」
「……いえ」
―ガチャ
はて? 今のはいったいなんだったんだ?
ドアを開けたら淡いクリーム色の長髪なお姉さんが宗教勧誘してきた。
しかも、俺を見るなりとても嬉しそうに眼をキラキラ輝かせていた。
少なくとも俺の知り合いにはいないな。
何だったのかと考えていると、2階からアリシアも降りてきた。
「健人? 誰だったの?」
「なんかの宗教勧誘な人だから気にしないでいいよ」
―ピンポーンピンポーン
「……チャイム、鳴ってるよ?」
「無視で」
―ピンポンピンポンピンポン
「連射してるよ?」
「16連射までまだまだだね」
―ポポポポ~ン!
「まほうのことばで♪」
「あーもう出るよ! 出ればいいんだろ!」
チャイムが壊れそうだったので、チェーンをかけて開けた。
そこにはさっきのお姉さんが今にも泣きそうな顔をしていた。
「ぐすっ、あなたは、うんめいを、しんじますか?」
「なんでしょうか?」
流石に罪悪感が出たので、しょうがなく話を聞くことにした。
俺が話を聞く気があるのが分かると、お姉さんは涙目ながらも嬉しそうに顔を輝かせた。
さっきからコロコロよく表情変わるなぁ。
「えっと、ですね。あなたにぞっこんラブな運命のお相手をご紹介に来ました!」
「はぁ……」
宗教勧誘だと思ったら結婚相談所の人か?
「まだ小さくて幼いんですけど、その子とっても一途であなたの事をすごーく大切に思ってるんですよ! だからぜひぜひ会ってあげてください!」
「え、えっと?」
「分かります分かります。健人さんもまだ幼いですし、いきなりこんな事言われてもピンときませんよね?」
「あ、はい。というか、俺名乗ってませんよね? なんで俺の名前知ってるんですか?」
「でも、大丈夫です! きっと絶対にいい夫婦になれますから!」
「いや、こっちの話を聞いて」
「あ、ごめんなさい。夫婦って気が早いですよね。まずはいいカップル、ですよね♪」
「それも気が早いから。というかあなた誰ですか!?」
「不安になるのはわかります。こういうのをマリッジブルーっていうんですよね? キリエさんに教わりました♪」
「それ違う、全く違う、キリエっていう人会った事もないけど、絶対にろくでもない人って事はわかる」
「とりあえず、チェーンを外してもらっていいですか? 自分でこわ……外せますけど、無理やりの力づくは最終手段でって言われてますから」
「サラリと怖いこと言わないでくれますか!?」
もうなんなんだこのお姉さん!
あれ? ちょっと待て、今このお姉さん、キリエって言ったよね?
キリエってまさか……ヤバいかも。
「………」
後ろでアリシアも唖然としてるし、どうしたらいいんだこれ。
「健人君、どうしたの?」
「お客さん?」
と、そこへジークとなのはも降りてきた。
「ひっ!? た、高町教導官!?」
その時、チェーン越しになのはの姿を見たお姉さんから変な声が出た。
「えっ、どなたですか?」
「あ、あの、また来ます!」
なのはがキョトンとしながら玄関に近寄ると、お姉さんは踵を返して帰ろうとした。
「あ、待って!」
不本意だけど、このまま帰すのはまずい。
そう思い急いでドアを開け、追いかけようとした。
―カッ、ゴンッ!
「ブギュッ!?」
「「あっ」」
今何が起こったのかというと、お姉さんが走って逃げようとして、玄関で躓いて転んで柱に思いっきり頭をぶつけて気絶した。
「だ、大丈夫ですか?」
「むきゅ~……」
とりあえず中へと運んで寝かせたが、頭に大きなタンコブを作った以外に、大きな怪我はしていないようだ。
念の為、ジークにお姉さんを見たことがないか聞いてみたが、知らない人だと言われた。
色々と聞きたいことが山積みだが、まずはアースラに連絡してクロノに報告すると、向こうでも動きがあったようだ。
それによると、フェイト達が未来から来たという少年を保護した。
その少年の名前は、トーマ・アヴェニール。
トーマは、フェイトやシグナムだけではなく、ヴィヴィオとアインハルトの事も知っていた。
話を聞くと、ヴィヴィオ達よりも数年先の未来から来たらしく、気が付いたらこの時代にいた。
そして、一緒に来たはずのリリィという女の子を探してこの数日管理外世界でサバイバルをしていたようだ。
見た目は華奢な現代っ子なのに、随分とワイルドな子だな。
で、一緒に来たはずのリリィというのが、どうやらこのお姉さんという事だ。
『今トーマは別室でエイミィやヴィヴィオ達が話を聞いている。一旦その子を連れてこちらに来てくれないか?』
「了解。それにしてもジークさん達と同じく未来からとは。話を聞く限りこの世界ではなく、ジークさん達のいた世界の未来からって事でいいのかな?」
『あぁ、彼はヴィヴィオとアインハルトの事は知っていたが、君やリインフォースの事は知らなかったよ』
なんだかずいぶんとややこしい事になってるなぁ。
「私、高町教導官って呼ばれてましたけど」
『あぁ、その事だが、向こうの世界では君はヴィータと一緒に、トーマやリリィ達をかなりしごいでいたからだろうな』
なのはがヴィヴィオ達の世界では教導官をやっているというのは前に聞いたが、鬼教導官だったか。
「流石は未来の管理局の白い魔王。トラウマを植え付けるほどとはね」
「そんな事ないの! ね、ねぇ、ジークリンデさん? そちらの私は魔王とか鬼教導官とかじゃないですよね!?」
「……え、えっと~」
思わずジークに助け舟を出したなのはだったが、視線をそらされた事でショックを受けた。
「わ、私の未来って……」
「わわっ、勘違いしないで。私は未来の高町なのはさんと話した事ないからよく分からないって意味やで!?」
その後、ヴィヴィオからフォローされるまで、なのははずっと体育座りで凹んでいた。
続く
やっとやっとあの2人が登場!
なんか、相変わらずぶっ壊れてますが……
リリィにいったい何があったのか!?(笑)
魔装少女リリカルなのはForce Reflection?
初日に観に行きましたよ?
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