ViVidかと思ったら無印でした……   作:カガヤ

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第30話 「襲来(レベル50)」

それからヴィヴィオやアインハルトとも軽く打ち合い、4人でゲームをして遊んだ。

マリ○カートやゴー○デンアイなど、少し古く俺からすれば結構昔の対戦ゲームで盛り上がった。

打ち合いでは手も足も出なかったけど、ゲームだとフェイトやアリシア達とやりこんでいるのでかなり優位に立てた。

まぁ、ジークに涙目で睨まれてからは手加減した。

ジークの涙目上目使いはずるい。

午後になりフェイトとアリシアが学校から帰ってきて、俺たちはジーク達の服や日用品を買いに街へとやってきた。

なのはとはやて達はそれぞれ家の用事や、アースラに向かったりとして一緒ではない。

女の子だらけの買い物はワイワイキャッキャッと賑やかで、しかも全員美少女だらけとくれば、周りの注目を浴びるのは当然だ。

でも……

 

「で、なんでこうなるわけ?」

「ねぇねぇ、健人君。これなんかどうやろ?」

「健人、こっちも見て」

「あ、次私~!」

 

俺の目の前では、ジークやフェイト達が目まぐるしく衣装チェンジをしてミニファッションショーを行っている。

 

「あら、不満でもあるの? フェイトやアリシアだけでも十分なのに、あなたのお気に入りのジーク達の色々な衣装をタダで見学できるなんて。本来ならがっぽりお金取るわよ」

「色々ツッコミたい事あるけど、とりあえずカメラしまいなさいな。店員さん困ってるから!」

「大丈夫よ。どうせ全部買うつもりなんだし」

「あ、そうですか……」

 

プレシアはさっきからフェイトやアリシアが着替える度、シャッターをきりまくっている。

デジカメに娘達の姿を収めるのがマイブームらしい。

後で俺もジークやアインハルト達のをもらおう。

フェイトとアリシアは、これから嫌でも見られるからね。

ってか、プレシアが素直に愛娘の写真譲ってくれると思えないけどね。

 

<マスター、安心しろ。俺がさっきからしっかり動画と画像で抑えてあるからよ>

『ありがとう、シェルブリット! 今日ほどお前が相棒でよかったと思った日はない!』

<おい! そりゃどういう意味だ!?>

 

正確にはトーレやクアットロに感謝だな。

スカさん? あー一応、感謝してるぞ、たぶん。

そんな夢のようなミニファッションショーを眺めていた時だった。

突然、フロアの電気が消えた。

 

「っ、なんだ?」

「きゃっ!? な、何? 停電?」

「わわっ、どうしたの!?」

「みんな、大丈夫?」

 

着替え途中だったジーク達は突然の暗闇に、危うく転倒しそうになっていた。

何事かと周りを見渡したら、館内スピーカーからどっかで聞いたことがあるBGMが流れ出した。

 

――パパパパーン パパパパーン♪

――パパパパン パパパパン パパパパン♪

――パーパーンパパーンパーンパ パンパンパンパンパ ♪

 

そして、スポットライトが点灯し、フロアの一角を照らし出した。

そこには、なんと……

 

「迎えに来たぞ、健人~!!」

 

黒と青紫色のウェディングドレスを着た、はやてっぽいナニカがいた。

 

「「「………」」」

 

あまりの出来事に呆然とする俺たち。

周りにいた他のお客たちも呆然としていて、店員達だけが微笑ましそうに俺とはやてもどきを交互に見ていた。

あれ? どうしてあなた達は驚かないの?

まさか、この演出って店の許可得てるの?

 

「……えっ、八神司令? グレてしまったんですか!?」

「いや、アインハルトさん。その反応はおかしい! 確かにアレははやてを基にしてるけど、中身は全く別人! 本人にそれ言ったら泣くよ!?」

 

髪の毛の色とかだいぶ違うところあるでしょ。

 

「そうだ。我はあんな子鴉とは違う! 我こそは、健人に貰われるためにやってきた、黒天に座す闇総べる王! その名も、ロード・ディアーチェ・ブライド!」

 

……ちょっと待て。

 

「お前、それ絶対、名前に変なのくっついてるだろ!」

 

原作ゲームをやってなくてもそれはわかる。

 

「むむっ、流石は健人。よくぞ気が付いた! 我は闇を総べる王にして、貴様の嫁! なれば、ブライドと名乗るは必然であろう! あーっはっはっはっは!」

 

どこの薔薇皇帝だお前は!

そんなことよりもそれを聞いて、フェイト達は心底同情の目で俺を見てくるが、ジーク達は驚きとちょっと悲しそうな目で俺を見てきた。

 

「あ、あれが健人のお嫁さん!?」

「健人さん、大人ですね」

「健人君、婚約者がいたん?」

「いやいやいやいや、待って。ちょっと待って。もう色々ありすぎて俺の頭が爆発しそうだ!」

 

ヴィヴィオ、そんなキャーって若干嬉しそうな顔しないでくれ!

アインハルト、大人ですねって、お前は天然か!

そして、ジーク、そんな目で見られるとこっちまで悲しくなる!

 

「ともかく、騒ぎになる前にここを出ましょう。もうかなり手遅れな気がするけど」

「それもそうだな。では、行くぞ、健人!」

「えっ? ちょっ、待て! ええぇぇ~~!?」

 

ディアーチェはウェディングドレス姿のまま、俺をお姫様抱っこしてそのまま階段を駆け降りた。

 

「ここの後始末は私がするわ。フェイト、あなた達は早く追いなさい!」

「……う、うん。分かった。待って! 健人を連れて行かないで!」

 

後に残されたフェイト達は少しの間ポカーンとした顔をしていたが、フェイト、ジーク、ヴィヴィオ、アインハルトは俺たちを追いかけてきた。

あとで、聞いたがプレシアはアリシアと残って店員や客達への説明(暗示)を行ったらしい。

当分、このデパートには来たくないなーとお姫様だっこされながら思った。

 

 

デパートを出たところで、突然周りの景色の色が変わった。

プレシアが辺り一面に結界を張ったようだ。

 

「健人君!」

「健人~!」

「ちっ、もう追ってきたか」

 

結界が張られたことで周りの目を気にせずよくなり、フェイト達はそれぞれバリアジャケットを着て追ってきた。

ヴィヴィオとアインハルトも大人モードで戦闘態勢だ。

 

「ディアーチェ、悪いことは言わないから、俺を置いて大人しく投降してくれないか?」

<お姫様抱っこされた状態で言ってもかっこ悪いだけだぞ>

 

結構しっかり抱っこされていて、抜け出ようとしたら……その、色々体にあたるんだよ。

 

「心配する事はないぞ、健人。これしきの障害で、我らのバージンロードは止められぬ。すぐに蹴散らして新婚初夜を迎えようぞ!」

「お前は何を言ってるんだ。言ってる事がアウトすぎる!」

「しょ、初夜!?」

 

フェイトやヴィヴィオ、アインハルトはディアーチェの言っている意味がよくわかってないようだ。

だけど、ジークは新婚初夜に反応して顔が赤くなった。

力づくで抜け出してどうにかしないと、もっとややこしいことになりそうだ。

 

「ええい、もういい加減下ろせー!」

「むっ? そうか、よしっ、健人。一緒にお邪魔虫を蹴散らすぞ!」

 

ディアーチェはやっと俺を下すと、ウェディングドレスの上からさらに甲冑を身にまとった。

何を勘違いしたのか、俺が一緒に戦ってくれると思っている。

 

「いや、なんで俺が一緒に戦うのさ!? 逆だから逆!」

「逆? そうか、そういう事だったのか。ならば早く言えばよかろうに。それっ!」

「えっ? えっ??」

 

今度はどこをどう勘違いしたのか、ディアーチェは俺の首に手を伸ばしそのまま飛び込んできた。

思わず抱き留めてしまったが、自然と俺がディアーチェをお姫様だっこする形になってしまった。

 

「健人? さっきから何をしてるのかな?」

「たのしんどるなぁ」

「俺に言われても困るんだけど!?」

 

何だかフェイトの様子が……ってジークも様子がおかしい。

2人共目からハイライトが消えてるよ?

こわいよ?

ヴィヴィオとアインハルトも若干引いてるぞ?

 

「ジークさん、もう2人纏めて……が一番早いですよね」

「せやね。もうそれでいこか」

「よくないよくない! ディアーチェ、降りろ!」

「ダメだ! 我はこれが気に入った! このまま戦おうぞ!」

 

ディアーチェは片手で俺の首に手を回して、もう片方の手に杖を持ってバリバリやる気だ。

どっかに放り投げるか振り落としたいけど、それはそれで抵抗感がぁ~

 

「プラズマザンバー……」

「わわっ、フェイトママそれはダメー!!」

「鉄腕解放、ガイスト……」

「落ち着いてください! エレミアの神髄まで!?」

 

あ、これ、俺もまとめてO☆HA☆NA☆SIされるパターンかな。

今すぐディアーチェを遠くに放り投げてもたぶん、無理だ。

覚悟を決めて、空を仰いだその時、結界の一角で何かが光った。

 

「えっ?」

 

――シュッ!

 

「あだっ!?」

 

光はそのまま器用に俺にカスりもせずに、ディアーチェの額に当たり彼女は吹き飛ばされた

 

「健人!」

 

突然の出来事に驚いたフェイト達だったが、すぐに俺の側へとかけより、辺りを警戒した。

 

「大丈夫、健人君?」

「うん、大丈夫だけど、いったい何が??」

 

そこへどこからか、一枚の紙切れがヒラヒラと舞い降りてきた。

その紙を手に取ると、こう書かれていた。

 

【レヴィに続いて、王様がご迷惑をおかけしました。この不始末の謝罪はまた後日お伺いいたします あなたのUより】

「「「………」」」

 

なんだろ。丁寧な謝罪文なのに寒気がしてきた。

 

「あたたっ、今のはまさか、ん? なんだこの紙は」

 

ディアーチェの方にも紙が降りてきたみたいだ。

 

「何々? 【抜け駆け禁止法違反。お仕置きです ユーリ】……な、ななななぜバレたのだ!? え、ええい、致し方ない! 健人、また来るぞー!!」

 

そう言い残してディアーチェは、結界をまるで紙のように簡単にぶち破って空の彼方へと消えていった。

 

「助かった、のかな。俺」

「そう、みたいやね」

 

何が起きたのか、分からないが、どうやらこの騒動はひとまず終わったようだ。

 

「また来るって言っていましたね」

「ユーリ、という方も健人さんのお嫁さんなのですか?」

「全力全開で否定します」

 

ぽつりとヴィヴィオとアインハルトが呟いた言葉に、鳥肌が立ってきた。

 

「ジークさん、ヴィヴィオ、アインハルトさん。俺そっちの世界へ逃げてもいいですか?」

「うん。ええで、テント暮らしやけどな」

「住むところなら私の家で、なのはママも大歓迎してくれますよ」

「私のところでもいいですよ。少々狭いマンションですが」

「私もその方が健人の為になる気がしてきたよ」

 

冗談抜きでそう思ってしまった。

 

 

 

続く




はい、ディアーチェ回です。
レベル50は高いか低いか……それはまた次の襲来でご判断を(笑)

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