ViVidかと思ったら無印でした……   作:カガヤ

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俺は確かにエミヤが欲しかったさ……
メルトもレベル2になってリップは来なかったけど、BBはマックス。
イベントもあらかた終えて、あとはボブを引くだけだった。
でもさ、なんで来たのさ、キリツグーーー!

いや、まぁ、普通に嬉しかったですけどね?


第27話 「襲来(レベル1)」

アースラでクロノに今日の一件を報告して、なのはとはやてもそれぞれの家に帰宅して、俺とフェイトはテスタロッサ邸へと戻った。

しばらく地球にいるのは、クイントさん達には伝えてある。

まぁ、ギンガとスバルには間接的に伝言をお願いしたけど、帰ったら何かありそうで不安だ。

ちなみに、アルフは解析作業を進めているプレシアの手伝いをする為にアースラに残っている。

テスタロッサ邸ではアリシアが1人で留守番しているから、きっと退屈してるだろうな。

家の前にオロオロと辺りを見渡すアリシアの姿。

どうやら俺達が帰って来るのを待っているようだ。

1人で寂しかった……わけではなさそうだ。

 

「フェイト、健人おかえりー! 健人にお客さん来てるよ?」

「客? 誰だろ?」

 

ミッドならともかく地球に知り合いはまだ多くないのに。

 

「まさか!」

 

首を傾げていると、フェイトが冷や汗を流しながら家の中へと走って行った。

それを見てアリシアもまた冷や汗を流す。

またまたそれをみて俺が冷や汗を流す。

だって、この後の展開読めるんだもん。

 

「な、なんでここにいるのー!?」

 

家の中からフェイトの絶叫が聞こえてきた。

あ、やっぱりね。

 

「健人も入ったら?」

「さーって、そろそろ俺も帰るか。ギンガもスバルも待ってるだろうし。今日の夕食何かな~」

「入れ」

「はい」

 

アリシアにドス声で、真顔で言われちゃ素直に従うしかありませんな。

 

「あ、やっと来たね! けんちゃん、やっほー! つよくてかっこいいレヴィ・ザ・スラッシャー参上!」

「……やっぱお前かぁ」

 

家の中にいたのは予想通り、アイスを食べながらポーズを取るフェイトちゃんブルーこと、レヴィ。

なのは達から聞いた話で、彼女達だと確信はあったけど、直に見るとまんまINNOCENTのレヴィ・ラッセルだな。

確か、彼女達の元ネタはPSPに出たゲームだっけ。

俺はそのゲームはやった事ないけどな。

俺を【けんちゃん】呼びしたり、頭文字が【L】だって事は考えないようにしよう。

 

「ねぇねぇねぇ! チョコ食べてくれた? あれ、王様やシュテルん達と頑張って作ったんだよ!」

 

か、かんがえないようにしてたのに・・・

 

「チョコ? まさか、健人、彼女達からもチョコもらってたの!?」

「あ、あぁ、うん……でも、それには触れないでくれるかな」

「分かった。もう、聞かないよ。ごめんね」

 

フェイトが驚いた顔で俺を見てきて詳しく聞こうとしたけど、俺の顔を見て何かを察してくれたようだ。

 

「で、何しにここに来たんだ? まさかチョコの感想を聞く為だけに?」

「そうだよ? カードにも書いたでしょ。感想聞きに行くって」

 

あぁ、確かに書いてあったけどさ。

まさかこんなにすぐに来るとは思わなかった。

ナカジマ家に来られるよりは100倍マシだけど。

 

「姉さん、なんで彼女を家にあげたりしたの!?」

「だ、だって鎌で脅してくるんだもん。私魔力のまの字くらいしかない一般ピーポーだよ!?」

 

叱るフェイトに涙目で抗議するアリシア。

あ、うん。そうだったね。アリシアって魔力ほぼゼロだったね。

ゼロじゃないけど、1か2程度。

そりゃ、レヴィには勝てない。

 

「むー! 脅してなんかいないよ!」

 

レヴィが頬を膨らませて抗議するけど、彼女がどうやってアリシアに頼んだか聞いてみると。

 

「ちゃんと頼んだでしょ! こう、けんちゃん来るまで待たせてくれる? って」

「「うわぁ~……」」

 

フェイトを元にしているだけに可愛く眩しい笑顔……なんだけど、後ろ手に持ったバルディッシュに似た鎌を、こうチラチラ見させながらなので完璧に脅し文句になっている。

正直、怖い。フェイトもドン引きだ。

これじゃ、アリシアも従うしかないね。

 

「えぇ~なんでけんちゃんまでそんな顔するの!? ちゃんとシュテルんに教わった通り、丁寧にやったのにぃ~|」

 

元凶はシュテルかよ!

 

「だって、こうやってお願いすると大丈夫って言ってたんだもん。ここに来るまでだって色々な人にお願いしたら聞いてくれたよ? けんちゃんへのお土産にって、はい」

 

そう言って、レヴィは林檎や苺が入った袋を出した。

 

「ここに来るまで?」

「色々な人にお願い?」

 

レヴィの言葉に嫌な予感がして冷や汗を流しながらフェイトと顔を見合わせると、ドアが勢いよく開かれプレシアが飛びこんできた。

 

「フェイト! 商店街の人からあなたに脅されて……って、あら?」

 

よほど急いできたのか、プレシアは息を切らせながらフェイトに詰め寄ろうとして、呑気にアイスを食べているレヴィに気付いた。

そして、フェイトとレヴィを交互に見てから、安心したように息を吐きだし、ソファに座りこんだ。

 

「……あぁ、そう言う事。紛らわしいわね」

「えっ? 母さん、一体何がどうしたの? 」

「商店街の人から電話があったのよ。お宅の娘さんに脅されて物を盗られたって、それでアルフに後を押しつけて帰ってきたのよ」

 

アルフ哀れ……

 

「えええぇ~~!? 私そんな事してないよ!?」

「あぁ~それってこの子とフェイトを見間違えたか、フェイトに似てるから家族に間違えられたって事ね」

「ふえっ?」

 

アリシアが呆れ顔で、まだアイスを食べている真犯人の頭を小突くけど、レヴィは何の事かわかっていないみたいだ。

プレシアさん、アースラにいたのに携帯通じるのか。

ってか、商店街の人達から連絡取れるとは、それにレヴィを見て一瞬で全てを理解したプレシアお母さん、流石です。

 

「つまり、お前のせいでフェイトに強盗の濡れ衣を着せられたって事だっての!」

「うぎぎっ、い、いたひ~!」

 

レヴィは呑気に3本目のアイスを口にしようとしたので、思いっきり頬を引っ張ってやる。

 

「でも、このマテリアルの話や映像は見たけど、実際に目にすると本当にフェイトにそっくりね。このまま三女として迎え入れようかしら」

「「「それはやめて!」」」

 

アリシアはともかく、俺とフェイトのストレスがマッハになる。

 

 

あれからすぐに商店街に行こうとしたが、当の本人であるレヴィが何も悪くないと言って聞かなかった。

それに怒ったプレシアが、額に青筋を浮かべてレヴィと2人きりで話すと別室に籠ったのだ。

てっきりフェイト顔のレヴィには甘甘になると思っていたので、これには俺もフェイトもアリシアも驚いた。

結界でも張られているのか、中で何が行われているのかは全く分からなかった。

それからしばらくOHANASHIは続き、出てきたときにはレヴィは泣きながら俺達にまず土下座した。

正直やりすぎじゃないかと思うくらい、レヴィは打ちのめされていた。

 

「この子達には叱る親がいなかったから、私がそれをしただけよ……柄じゃないのは百も承知よ」

 

うーん、これが無印でフェイトに拷問や虐待を繰り返していたプレシア・テスタロッサなのだろうか。

フェイトもアリシアもこれでもかってくらい口を開けて唖然としてるし。

ともかく、レヴィが脅して奪い取った品々のお金を払う為に商店街へ行った。

 

「ず、ずみまぜんでしだ……」

「いやいや、こうして謝罪してくれてお金も払ってくれるんならいいんだよ。それにしてもホントにフェイトちゃんにそっくりだね」

「ふふっ、やんちゃな所は違いますけどね」

 

商店街の人達にはレヴィは、外国に住むフェイトの遠い親戚で、こっちに遊びに来ている事にした。

こっちで悪い友達達に騙されて、ついうっかりとやっちゃった。と言うわけだ。

まぁ、フェイトに似ているから親戚と言うのはうまく誤魔化せたけど、脅した動機についてはかなり苦しい言い訳だな。

それで許してくれる商店街の皆さんもおおらかと言うか何と言うか。

 

「はぁ、結構な数の店に出入りしてたなんて」

「ごめんなさい……」

「うっ、まぁ、反省してるならいいわよ」

 

アリシアが皮肉を言うと、涙目のレヴィはしょんぼりとうなだれてしまった。

それをアリシアも流石に強くは言えなくなった。

最初は能天気で底抜けに明るかったレヴィが、今はまるで小動物のように縮こまっている。

 

「プレシアさん、一体レヴィに何をしたんですか?」

「何って、お説教しただけよ?」

 

プレシア・テスタロッサ、恐るべし。

 

「これで全部ね。額は微々たるものだったけど、みんなすぐに許してくれて助かったわ」

 

いや、プレシアさんや。

多分、商店街の皆さんが簡単に許してくれたのは、あんさんに説教されまくって打ちひしがれているレヴィの姿を見て許す気になったんだと思うぞ。

若干、引いてた人もいたし。

プレシアは、クイントさんとはまた違った母親なんだなぁ。

 

「レヴィ、大丈夫?」

「うん。でも、悪い事したの僕だし。ごめんね、ヘイト」

「だから私はフェイトだよ……」

 

流石のフェイトもレヴィが心配のようだ。

 

「今度からはちゃんとお金を払って物を買うようにしなさい。お金がないなら働いて稼ぐ事」

「はい、分かりました」

 

いやいや、お金を稼ぐって、普通の子供って自分でお金稼げないからね。

俺やフェイト達が特別というか変わってるだけだからね?

 

「じゃあ、これをあげるわ」

 

そう言ってプレシアはレヴィに紙袋を渡した。

中には林檎が入っていた。

 

「これは?」

「八百屋の御主人がくれたのよ。ホント、お人好しが多い街ねここは」

「わぁ~、ありがとう! それじゃ僕そろそろ行くね。今日は本当に、ごめんなさい」

 

ペコリとお辞儀して飛び立とうとするレヴィだったが、急に反転し俺の所へかけよってきた。

 

「けんちゃん、今日は出直すけど、絶対にまた来るからね。ん~…」

 

と、レヴィは俺に抱きついて唇を合わせ……

 

「ちょっと待った!」

 

られなかった。

フェイトが間一髪間に手を挟み、レヴィにキスされるのを防いでくれた……のだけど、俺の唇がフェイトの手の甲に当たっちゃってるんですけど!?

それはスルーですか、そうですか。

 

「フェ、フェイト?」

 

フェイトは今まで見た事もないくらい冷たい笑みを浮かべていた。

さっきのレヴィが脅し文句と共に見せた笑みとは比べ物にならないほど、怖い。

アリシアとプレシアですら、怯えながら一歩引いているくらいだ。

あ、もう片方の帯電した手でレヴィの頭にアイアンクローをかまして持ち上げた。

うわぁ~フェイトさん力持ちー

 

「レヴィ、今健人に何をしようとしたのかな?」

「い、いたたたっ!? なんでもないなんでもない!」

「本当かな? もし、今度健人に何かしようとしたら……ワカッテル?」

「は、はい! ご、ごめんなさ~い!!」

 

顔面蒼白のまま、レヴィは逃げるように飛び去って行った。

少し前はLが怖かったけど、今はテスタロッサ母娘が怖いよ。

そんなフェイトを間近で見ている俺の顔も、きっとレヴィと同じくらい真っ白だっただろうな。

 

「さっ、帰ろうか」

 

何事もなかったかのように振る舞うフェイトだったが、ふとさっきまで俺の唇に当てていた手の甲を見て、何をしたのか気付いた。

 

――ポンッ!

 

「あわ、あわわわわっ……」

「フェイト!?」

 

顔がレヴィに渡した林檎よりも真っ赤になって、顔面が爆発して煙を吹いて倒れてしまった。

 

「しっかりして、フェイト!」

「あー、こりゃ完全にフリーズどころかオーバーヒートだよ。全く、フェイトにしては大胆な事してるなーと思ったらこれだよ。健人もいい思い出来て良かったんじゃない? 今になって顔赤いよ?」

「ノーコメント」

 

ホントにノーコメント。

 

 

「あ、今思ったんだけど。レヴィ、あのまま帰しちゃって良かったの?」

「「「あっ」」」

 

今頃言っても遅いよ、アリシア!

 

 

続く

 




と言うわけで襲来レベル1です。
レヴィは1人だとただのアホの子です、1人だと(ニヤソ
トラウマの元になったはずだったレヴィに逆にトラウマを植え付けるフェイトさんにプレシアさん。

ところで、あの姉妹出てきませんねー……ってか出番あるのかな(白目

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