ViVidかと思ったら無印でした……   作:カガヤ

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久々に更新です。
今回のタイトル、某パンマンのタイトルコールが頭の中で再生されています(笑)


第26話 「あんこく侍とマジカル☆ナース」

恐怖のバレンタインデーから数日後、俺は海鳴市でなのはとフェイト、それにはやてと共にとある場所へ向けて飛んでいた。

今日ははやての家で、お泊まり会に誘われてやってきていたのだがクロノから、以前なのは達が倒した闇の書の欠片が再び出現したと連絡が入った。

反応が複数の場所に出たので、手分けして探すと決めた途端に3人共俺と一緒に行くと言い出した。

シグナム達もそれに賛成したけど、みんな苦笑いや同情的な視線を送ってきてがんばってと声をかけてきた。

未だに以前の闇の書の欠片事件で何があったか教えてくれないけど、大体何があったか想像出来るんだよな、この前のバレンタインデーのアレで……

うぅ~思い出しただけで鳥肌立ってきた。

ちなみに念の為、クロノとプレシア、それにユーノとアルフがアースラで待機している。

 

「………」

「なぁ、3人共、さっきから顔怖いぞ?」

 

なのは達はクロノから連絡があってからずっと顔が怖い。

何と言うか、顔が劇画ちっくになっている。

 

「えっ? そんな事ないよ?」

「いや、その表情でこっち見ないで、ってほらほらいつもみたいな笑顔笑顔」

「うにゅにゅにゅ~!?」

 

未だに劇画ななのはの頬を引っ張り無理やり笑顔にすると、どうにか元に戻った。

 

「い、いたひ……」

「よしっ、これで元に戻った。さてと?」

「「も、戻しました戻しました!」」

 

フェイトとはやての方を向くと、2人共首をブンブンと振って自力で顔を元に戻していた。

うん、これでよし。

 

「やっぱり3人共笑顔が1番だもんな」

「えへへっ。あ、あそこに誰かいるよ」

 

なのはが指さした方を見ると、確かに遠くに誰かがいた。

空中でぼんやりと浮かんでいるので、一般人なんかじゃない。

近付いて行くと向こうも気付いたのかこっちへ飛んで来ていた。

 

「あれ、シグナムじゃない?」

「そやねぇ。でも、おかしいな。シグナムはリイン達と向こうに行っとるはずやし、それにあのシグナムとはパスが繋がっとらんよ?」

 

シグナム達守護騎士とはやてはリンカーコアがリンクしているんだっけ。

だから、近づいてくるシグナムが俺達の知っているシグナムとは別人と気付いた。

 

「と言う事は、あれが闇の書の欠片か」

「うん!」

 

なのは達も警戒し、デバイスを構えた。

近付いてきたシグナムは更に速度をあげ、レヴァンティンを抜いてきた。

あれ? 俺達のシグナムよりもなんか全体的に黒っぽいぞ?

 

「来たっ!」

「リア充、しねーーー!!」

「って、えぇ~!?」

 

闇の欠片のシグナム、闇シグナムはいきなり俺に向かって斬りかかってきた。

どうにか避けれたけど、闇シグナムは何度も斬りつけてきた。

で、リア充って何だよ!?

 

「こんな状況でもいちゃつくリア充しねー!」

「だから何なんだー!?」

 

あまりに鬼気迫る闇シグナムになのは達はポカーンとしていたけど、すぐに攻撃をしかけた。

 

「健人君から離れて、アクセルシューター!」

「プラズマランサー!」

「バルムンク!」

 

なのはとフェイトの射撃も簡単にかわし、追撃とばかりに放たれたはやての砲撃もかわされた。

けど、おかげで闇シグナムから離れる事が出来た。

 

「いきなり斬りかかってくる事はないだろ! しかも、なんだよリア充って!」

「ふっ、ふふふっ、お前はいいよな。両手に華どころか周りが一面のお花畑で」

「えっ? ちょっ、何言うてるん?」

 

闇シグナムは突然、暗いオーラを撒き散らして俯きながらブツブツと呟きだした。

いきなり襲われるのは想定内だったけど、この闇シグナム様子がおかしすぎる。

 

「子供の頃も大人になっても需要があって、仕事も出番もある。その点私はずっとこのままの姿で、やれニート侍だの仕事してないだの出番がないだの……」

 

何を言っているか大体わかる。

分かる、けど。

 

「このシグナムめんどくさい!」

「い、言っちゃったの!」

「でも、確かに面倒やなぁ。このシグナムをうちらのシグナムと会わせたら……」

「それはやめてあげて!」

 

はやてが物騒な事を言ってフェイトが全力で止めている。

けど、俺もこの闇シグナムは俺らのシグナムに会わせてみたい。

と言うか対応丸投げしたい。

 

「で、このシグナムどうするんだ? ぶっ飛ばすのか?」

「何か悪い事してるわけじゃないし、いきなりそういうのはちょっと……」

「いやいや、フェイトさんや。俺さっき思いっきり殺す気満々で斬りかかられたぞ?」

 

このままスル―したいけどそうはいかないのが、管理局員の辛い所だな。

 

「まーちーなーさーいー!」

 

まだブツブツ呟く闇シグナムをどうするか、あーだこーだと言っているとどこからか声が聞こえてきた。

あぁ、また面倒な展開になりそうな予感。

 

「シャッキーン! マジカル☆ナース、ズバッと華麗に参上!」

「「「「………」」」」

 

――シーン

 

突然現れたシャマル……っぽい人。

顔と声はシャマルなんだけど、見た目が、その……控え目に言ってただのコスプレイヤーだ。

闇シグナムは全体的に黒っぽい色になってるだけで、見た目は何も変わってない。

けど、このシャマルっぽい人は、ナースの白衣と天使の羽と悪魔の尻尾と鬼の角、と言うコスプレが混ざり合った変な服を着ている。

コスプレってのが良く分かってないなのは達も、あまりの奇抜さに固まって何も言えないでいる。

はやてなんて白目剥いてるし。

 

「あれ? みんなどうしたのかな? もう一度自己紹介した方がいいかしら? あ、ほら、今度はシグナむーんも一緒にやるわよ」

「いたっ!? むっ、あぁ、シャマるんか、分かった」

 

今、ブツブツ言ってる闇シグナムの頭にフォーク刺して正気に戻したぞ、あのシャマルもどき。

って、えっ? シグナむーんにシャマるんって今言わなかったか? 空耳?

 

「コホン。我こそは闇に生まれ、闇に生きる、闇の剣士、あんこく侍シグナむーん!」

「愛に生まれ、愛に生きる、愛の堕天使マジカル☆ナース、シャマるん!」

「「「「………」」」」

 

――ひゅ~るり~らら~

 

ビシッとポーズを決めるシグナむーん、シャマるん。

対する俺達4人は、今度は全員白目をむいて固まった。

あ、はやてが真っ白になって砕け散った。

 

「はは、はははっ、あんなのシグナムとシャマルやない……」

「はやてー!?」

「剣士なのか侍なのかはっきりしろよ。そっちは色々混ざり過ぎだ」

「そう言う問題なの!?」

「最初はミス・ブシドーにするつもりだったが、英語が分からない子供の為に日本語にした」

「最初はデビルエンジェルナースにするつもりだったけど、長いからマジカル☆ナースにしたの」

「……もうどこからつっこめばいいか分からないの」

 

なのはが頭を抱え込んでいるけど、確かにとんでもなくカオスだな。

とにかく、あの2人をどうにかするか。

 

「なのは、仕方ないから俺達でやろうぜ。フェイトは、はやてを頼む」

「う、うん」

「2人共、気を付けて」

 

壊れたままのはやてをフェイトに任せて、俺となのはの2人でイロモノ退治だ。

 

 

「スターライトブレイカー!」

「ふっ、またつまらぬ物を斬れなかったか」

「やっぱり、ナースよりティーチャーの方がよかったかしら……」

 

意外なほどにあっさりと戦闘は終わった。

高機動接近戦が得意な俺が2人を撹乱して、なのはがドッカーンと一発でかいのをぶっ放して、シグナムもどきとシャマルもどきは光の粒子となって消えた。

ま、超近接戦闘向けの俺と、人型移動要塞なのはのコンビは結構相性いいんだよな。

 

「誰が移動要塞なのかな!?」

「あはは、それにしてもさっきの2人、本物よりも弱くて助かった。本物のシグナムとシャマルだったら結構苦戦してたよな」

 

シグナムとはよく模擬戦をやったからな。

最初は手加減してくれていたけど、段々俺が強いからと言って本気になって来るようになって結構あれも面倒だったなぁ。

 

「お疲れ様2人共。シグナムとシャマルがどうかしたん?」

「やっと戻ったかはやて。いや、さっきのシグナムとシャマルもどきが本物より弱くて良かったなって話」

「シグナムとシャマルもどき? そんなんどこにおったの? さっき2人が戦ったのは、ただのイロモノやんか」

「あー……いや、なんでもない」

 

はやての能面のような笑みが、怖かった。

なのはとフェイトも首を横に振っている。

これは、あれだな。少し前の闇の欠片事件同様に今回の件は、はやてにとってトラウマになったようだ。

 

「とにかく、一度アースラの所へ戻ろう。向こうの様子も気になるし」

「そうだな。なんだかんだで結構疲れたし」

 

主に精神的に。

 

 

「みんな、お疲れ様。その、色々な意味で……」

 

アースラに戻った俺達を、クロノ達は微妙な表情を浮かべ出迎えてくれた。

当然俺達の様子をモニターしていたんだから、何があったか知ってるよな。

 

「ありがとう、クロノ君。でも、健人君となのはちゃんが戦ってくれたおかげで、私らは特に疲れるような事はなかったで?」

「そ、そうか。さっきの闇の欠片はプレシア達が今解析している所だ」

 

またもや能面のような笑みを浮かべるはやてに、クロノも冷や汗を浮かべた。

そこへアルフとユーノが飲み物を持ってやってきた。

 

「フェイト~みんなお帰り~」

「シグナム達ももうすぐ戻ってくるよ。」

「ありがとう、アルフ、ユーノ」

「向こうは逃げられたのか、どんなのがいたか分かる?」

 

あのシグナムもどき達みたく、俺らの誰かがイロモノ化した奴じゃなきゃいいけど。

俺がそう聞くと、ユーノとアルフは困ったような表情を浮かべて、フェイトとクロノを見た。

クロノは少し考えた後、首を縦に振って話しだした。

 

「フェイト、落ちついて聞いてくれ。シグナム達が追っていた反応は、どうやら青い髪をした君の姿をしていた。つまり」

「……分かったよ、クロノ。彼女が、ううん、彼女達がまた来たんだね」

 

クロノとフェイトの会話で何かを悟ったのか、なのはとはやても深刻な表情を浮かべた。

で、俺は何の話かさっぱり分からなかった。

いや、青い髪したフェイト似の子って、大体の見当はついてるんだけどね?

 

「心配しないで、健人。私達がついてるから」

「うんうん、絶対に渡さないの!」

「健人君は、私らが絶対に守るからね」

「あ、ありがとう……」

 

超シリアスな空気でフェイト達が頼もしい事を言ってくれてるけど、絶対にシリアスな展開にはなりそうにないんだよなぁ……

 

 

 

続く




今回の犠牲者はシグナムとシャマルとはやてでした(笑)
なのは達が恐れる(?)彼女達の出番はもうすぐそこへ……

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