ViVidかと思ったら無印でした……   作:カガヤ

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お待たせしました!1カ月以上遅れてバレンタイン話です(笑)


第25話 「ばれんたいんこわい」

意外な所でティーダ・ランスターと知り合い昼食を共にして、俺は海鳴市へとやってきた。

クリスマス前にこなた神に出会ってから、次元転送で変な場所に行く事はなかった。

だから油断していた……

「や、やっほー」

「健人君!? なんでうちの風呂場から出てくるの!?」

 

そう。俺はなぜか八神家の風呂場に転送された。

本当ならプレシアとフェイト、アリシア、アルフが住んでいる一軒家に着くはずだった。

最初はリンディさんが借りたマンションだったのだけど、4月から俺が住むと言う事で、プレシアが広い一軒家を買った。

プレシアって意外に金持ちだったんだな。

で、これが夜だったら、誰か入っていてキャー! 健人君のエッチ! 的なイベントが起こったのだろうけど、今は真っ昼間なので誰も入っていない。

 

「どうやら久々に事故ったみたい」

「難儀やなぁ。まだ直ってなかったん?」

「そうみたい」

 

はやては心底心配そうな顔をしてくれる。

どうやら今ははやて以外の面々は留守のようだ。

思えば、スカさんの所からの転送事故ではやてと出会うきっかけが出来たんだよな。

人生、何が転機になるか分からないな、うんうん。

 

「せや、はようフェイトちゃん達に連絡した方がええんちゃう? きっと心配しとるで?」

「あぁ、そうだな」

 

早速フェイトに連絡を取ると、転送ポートの前でアリシアと待っていたそうで、俺が八神家に着いたと知り驚いていた。

どうやらプレシアとアルフは本局に行っていて、なのははもう到着していて、また事故ったのかと言った顔をしていた。

またって……

ついでにアリシアは、俺が転送したと同時にクラッカーで驚かそうとしていたらしい。

後でシェルブリットデコピンの刑だ。

それからはやてと2人でテスタロッサ家の所に行く事になった。

ちょうどはやてが出かけようとした所に、俺が風呂場から現れた。

 

「ほんなら、行こっか健人君」

「あぁ……なんでナチュラルに手を握って来る?」

 

はやては、もう車椅子じゃない。

足も完全に直って、普通に歩いたり走ったりも出来るようになった。

どこかへ出かける時に自分の足で自由に動けるのが嬉しくて、今も上機嫌なんだろうな。

だからつい俺の手を握ってきてるのだろう。

これくらいならもう慣れっこだ。

 

「ええやん。こんな可愛い子に手を握ってもらえて本当は嬉しいんとちゃう? 健人さん」

「だからさんはやめろっての」

 

はやては2人きりか、シグナム達身内しかいない時に俺をさん付で呼ぶ事が多い。

一応中身は年上だけど、今は同い年なんだからそういうのはなんか妙に照れくさい。

 

「む~……あ、ひょっとして、話に聞くギンガちゃんやスバルちゃんにいつも手を繋がれてて、慣れっことか?」

「そうだな。クイントさんやゲンヤさんもだし」

 

みんなで出かける時は誰かしら手を繋いでくる。

最初は慣れない事に恥ずかしがったり、離したりしたけど、その度にギンガとスバルには悲しい顔をされて手を繋ぎ直したりした。

 

「健人さんって……ロリコン?」

「なんでそういう話になる!? それにもしそうなら、ちょっとややこしい話にならないか?」

「あっ! そう言えばそうやね。うん、健人さんはロリコンやない! シスコンや!」

「なんでそうなる!?」

 

と言うか、まだはやては小学生なのにそういう知識があるのに驚きだ。

 

「それでも、女の子に手を握られて少し無反応すぎやない? 私の事どう思ってるんや?」

「話が変な方向に行ってるぞー。はやての事か……ませすぎな子供?」

「ま、ませすぎって。それに自分だって子供やないの!」

「残念、中身は18だ。車の免許も取れる大人だぞー」

「それでも微妙やし、今はそこからマイナス9やな」

 

そんなこんなで2人で漫才のような会話をしていると、あっという間に目的地に到着。

テスタロッサ家はなのはの住む翠屋と八神家のちょうど中間にある。

なのはもはやても遊びに来やすく行きやすい場所を選んだようだ。

 

「ここに来る度に思うんやけど。立派な家を買おうたな、プレシアさんは」

 

2人で目の前の一軒家を見上げる。

いや、これはもう豪邸だな。

親子3人+ペット+居候が住むには十二分過ぎるほどの豪邸だ。

八神家よりもデカい。

 

「あぁ、すっかり親馬鹿になっちゃったからなぁ」

「フェイトちゃんに厳しかったって言う、昔のプレシアさんが想像でけへん」

 

元のプレシアを知らないはやてには、今の

プレシアはただの親馬鹿だもんな。

 

「あ、きたきた! 待ってたよ2人共!」

「健人、はやて、いらっしゃい」

「こんにちは、健人君、はやてちゃん」

 

2人でテスタロッサ邸を見上げていると、中からアリシア達が出てきた。

アリシアはそのまま走ってきたので、カウンターぎみにデコピン。

 

――ビシッ!

 

あ、良い音した♪

 

「あいたー!? い、いきなり何するの!?」

「クラッカーでお出迎えしようとしてくれたアリシアに、俺からの意趣返し。本当はシェルブリットつけてやりたかったけど、人目を考えて素手にした俺の優しさプライスレス」

「あ、あははは。私は止めたんだけど、ね?」

「アリシアちゃん、健人君に久々に会うからびっくりさせようってはりきっちゃって」

「フェイト、せめてネズミ花火にしようって言ったじゃん。なのはちゃんはヘビ花火にしようって言ってたし」

 

ネズミ花火の方が驚くっての。

で、ヘビ花火って……どう反応すればいいんだよ。

 

「そもそも室内で花火しようとするなよ! てかよくあったな!」

「去年の夏に母さんやクロノ達とやった残りがあったんだよ」

「何してんだよクロノ……」

 

何気にクロノが日本の花火に一番興味津々だったらしい。

 

「それでみんなして呼んだりして、何かあった? 模擬戦の誘い?」

「ううん、そういうのじゃなくて……やっぱり気付いてなかったんだね、健人君」

 

なのは達が苦笑いを浮かべている。

気付いていない? ハテナ?

 

「あ、そう言えばこの前のマテリアルズの事件でまだ何かあったの?」

 

実は、少し前ある事件があった。

闇の書の闇、ナハトヴァールの残骸がなのは、フェイト、はやての構成情報を元にマテリアルと言う存在を作り、密かに復活しようとしていた事件だ。

なのは達が解決したけど、俺はちょうどその時、研修中でちょっと遠い所に行っていた。

で、戻ってきて事件の事を知った。

戦闘記録を見せてもらったけど、それを見て俺は事件に関われなかったのを非情に後悔していた。

そのマテリアルというなのは達に似た存在と言うのが、思いっきりイノセントに出てくるシュテル達だった。

微妙に差異はあったけど、口調やら見た目は思いっきりシュテル達だ。

なのは達からはマテリアルSとか呼ばれていたし、本人達もそう名乗っていたのが驚いた。

でも、イノセントのシュテル達の元ネタって確かリリカルなのはのゲームネタだったのを今思い出した。

思い出すの遅すぎだろ俺。

 

「「「それは聞かないでくれるかな?」」」

 

マテリアルズと言った途端、なのはとフェイトとはやての表情に陰が差し、ズーンと疲れた表情を浮かべた。

 

「ダメだよ、健人。フェイト達あの事件の事ちょっとトラウマになりかけてるんだから」

「ご、ごめん」

 

何があったのか不明だけど、マテリアルズ事件でなのは達3人がとーーーっても疲れる事があったらしい。

何度か本人やクロノ達に聞いたけど、みんな苦笑いを浮かべるだけで応えてくれなかった。

クロノやユーノはお気の毒様と言った表情を浮かべていたけど、あれはなんだったんだろ?

 

「ほ、ほら! 3人共、そんな事よりせっかく健人が来たのだから早く用件済ませちゃいましょ! 健人は居間でテレビでも見て待ってて。あ、ゲームしててもいいよ?」」

「う、うん、そうだね!」

「お、おう……」

 

あれよあれよと言う間に、居間に1人取り残されてしまった。

フェイト達は台所で何かやっているみたいだけど、ここからじゃ何も見えないし聞こえない。

休日の昼間じゃ面白い番組もやってないので、1人寂しくゲームでもやってますか。

 

「よっし! 2時間半でクリア! これでロケランゲットだぜ! ……ってまだかな?」

 

で、なんで俺はゾンビゲームなんてやっているのかな。

てかなんでこんなゲームがここにあるのかな?

確かアリシアは幽霊とかホラーダメだったはず……自分が幽霊やゾンビっぽい存在なのにな。

あれ? どこからか甘い匂いがしてくるぞ?

 

「健人、お待たせ~……ってなんでそれやってるの!?」

 

台所から出てきたアリシアがテレビを見た途端、涙目になって台所に引っ込んだ。

これ、そこまでする程怖いかな。

 

「なんでって、ゲームやってろって言ったのアリシアじゃん」

「そうじゃなくて! なんでそのゲームがうちにあるの!」

「あ、それはやてから借りたんだよ。すごく面白かったよ。他にも映画とか沢山あるから後で一緒に見ようね、姉さん」

「は~や~て~!? 何フェイトを悪の道に落とそうとしてるのぉ~!!」

「あ~アリシアちゃん、ホラー全般ダメなんやね。ヴィータやシャマルと一緒や。シグナムは大好きなんやけどな」

 

悪の道=ホラー好き、か。

で、ヴィータとシャマルはホラー嫌いか。

……なんで守護騎士がホラーダメなんだよ。

お前ら幽霊とかゾンビ以上にグロテスクな怪物相手にしてきてるだろ。

 

「にゃはは。向こうは無視して、こっちに来て健人君」

 

ぎゃーぎゃー喚くアリシアを無視して、なのはに連れられてダイニングに行くと、そこには立派なケーキやクッキーなどのお菓子が沢山並んでいた。

 

「俺を今日呼んだのってコレの為? でもなんで? 別に今日誕生日ってわけでもないし」

 

何かの記念日か? でもまるっきり心当たりがない。

そう言うと、なのはは今まで一番大きな溜息を吐いて、呆れるような目で俺を見た。

 

「健人君、今日はバレンタインデーだよ? あ、もしかして、バレンタインデーって元いた世界じゃなかったのかな?」

「ん? バレンタインデー? あ、あぁ~! そっか、そうだったのか! うんうん、分かった分かった。大丈夫、俺のいた所でもバレンタインは今日だった!」

 

バレンタインデー、確かに今日は2月14日だ。

あー……俺、生前チョコとか甘いもの制限されていたからそういうのもらった事なかったんだよな。

こっちに転生して甘いもの食べれるようになって喜んだ時、何か引っかかる事あったけど、そうかそうか!

 

「って事は、これはなのは達からの? うわっ、嬉しい……」

「うん! せっかくだから皆でチョコケーキやお菓子作って渡そうって事になったの!」

「ほへ~それで4人でこれだけの量を」

 

テーブルの上にある特大チョコケーキだけで満腹になりそうなのに、チョコサンドとかチョコ系のお菓子がたくさんある。

 

「えへへっ、ちょっと楽しくなって作り過ぎちゃった。あ、ギンガちゃんとスバルちゃんの分も用意してあるから渡してあげて」

「あぁ、ギンガ達の分までありがとな。それじゃ早速食べますか」

「あーなのはちゃん1人で抜け駆けはずるいで~!」

「そーだそーだ! 私だって手伝ったのに。ねぇ、フェイト?」

「う、うん……私は、あまり手伝ってないけど、ね」

 

そこでズズーンと沈むフェイト。

一体どうした?

 

「あわわ、大丈夫だよフェイト! 生地のスポンジと普通のスポンジを間違えたり、砂糖と洗剤を間違える事なんてよくあるから!」

「あってたまるかい! ま、まぁ、フェイトちゃんはこれからじっくりと、な?」

「…………」

 

何その漫画に出てくる料理音痴でもやらないような間違い。

フェイトは料理苦手だったのか。

 

「大丈夫だよ! ちゃんと全部味見したから!」

「そうだよ。私は盛り付けや飾り付けしかやってないから……うん、それ以外には手をつけてないから」

 

どっかの海賊漫画に出てくる狐のおやびん並に地面にめり込む程沈んでるよ、フェイト……

 

「あぁ~もう! とにかく健人さっさと食べちゃって!」

 

実の姉が匙投げちゃったよ!

 

「ご、ごちそうさま……ウプッ…でした」

 

な、何とか食べきったぜ。

途中何度かやめようかと思ったけど、なのはのキラキラした目とフェイトの半分死んだような目を見てると全部食べなきゃと言う使命感ががが……

はやてとアリシアは胃薬を用意してました。

 

「大丈夫、健人君?」

「だいじょうぶだいじょうぶ~」

「そんなテンションの低い芸人見たいな返しされると、とても大丈夫に見えないよ」

「うん、本当に大丈夫。それにどれも美味しかったから」

 

生れてはじめてのバレンタインの贈り物。

それも、リリカルキャラからのなんて……あぁ、転生して良かった。

 

「そうそう。これな、シグナムやリイン達からのバレンタインチョコや。本当は直接渡したかったんやけど、皆今日どうしても外せない用事があるから渡してくれって頼まれたんよ」

「これは母さんとアルフからね」

 

そう言ってはやてとアリシアは、大小様々色取り取りの箱が入ったバッグを渡してくれた。

うん、これだけあればしばらくはチョコいらないな。

 

「本当にありがとう。今度、みんなにお礼を言わないとな。じゃあ、そろそろ帰るよ」

 

今から帰って夕食か、少なめにしないとな。

 

「いいっていいって、来月のお返しが楽しみだから♪」

「ん? お返し……御礼参り?」

「なんでやねん! 3月14日のホワイトデーや!」

「あはは、分かってるって。えっと、確かお返しは3%だっけ」

「少なすぎや! 3倍返しや! ついでに言っておくけど、赤く塗ってこれで3倍! って言うのはナシやで?」

 

ちっ、ネタを潰された。流石は関西系女子。

4人に改めてお礼を言って、転送ポートでミッド地上本部に戻って、ナカジマ家へと帰った。

行きがアレだったから心配だったけど、帰りは何の問題もなく帰る事が出来て良かったぁ。

 

 

 

「ただいま~」

 

家に戻ると、ゲンヤさんが1人でいた。

クイントさんは地上本部で壁を吹き飛ばした後始末中で、ギンガとスバルはお昼寝中だった。

 

「おかえり健人。久々に高町の嬢ちゃん達に会って来たんだってな。で、随分と土産が多そうだな」

「バレンタインデーのチョコをもらったんだよ」

「バレンタインデー?」

 

ゲンヤさんは俺の言ってる事が分からないらしく、不思議そうに首を傾げた。

あ、そうか。バレンタインデーって地球独自の文化だったか。

俺がバレンタインデーの説明をすると、途端にゲンヤさんはニヤニヤした顔つきになった。

 

「ほほう。じゃあチョコを沢山もらった健人はモテモテってわけだな」

「そんなわけないでしょ。義理チョコって言って親しい友達に渡すチョコもあるんだし。あ、これギンガとスバルの分ね」

<……はぁ~>

 

シェルブリットが小さく溜息を吐いた気がしたが気のせいだろう。

 

「ほう、あの子達の分まで用意してくれたのか、こりゃあ今度何かしないとな。あぁ、そうだ。健人、荷物が届いているぞ」

「荷物? 誰から?」

 

見ると玄関にはちょっと大きいダンボールが置かれていて、送り状を見ると確かに俺宛だ。

そして、差出人の名前は……

 

「ドクターブライト?」

「ほれ、お前さんのシェルブリットを作ってもらった博士だろ?」

「あ、あぁ~そうかそうかそうだった」

 

ドクターブライトってスカさんの偽名だった。

その偽名全く使わないから、すっかり忘れてた。

そりゃそうだよな。流石に本名で管理局員の家に荷物なんか送って来ないよな。

なんか他にもツッコミ所はあるけど、スル―しておこう。

 

「なんだ。ひょっとしてそれもチョコか? 本当にモテモテだな、健人は」

「んなわけないでしょ」

 

そう言って荷物を持って部屋に向かったが、背後から小さな声で。

 

「……俺の分はなしか」

 

と呟くゲンヤさんの声は聞かなかった事にした。

 

 

部屋に戻って早速荷物を空けてみると、ゲンヤさんの予想通り中にはチョコらしき箱が沢山入っていた。

どれも丁寧にラッピングされていて、それぞれメッセージカード付きと言う気合の入りようだ。

 

「ほ、本格的すぎる。どれどれ?」

≪健人君へ、バレンタインデーと言う文化がおもしそうなので乗ってみたよ。私のデバイスを有効利用してくれているささやかなお礼だ。変な意味はないので安心してくれたまえ≫

 

すっかり日本の文化に感化されてるな。

とても元・悪の科学者とは思えない。

それにしても、まさか男から友チョコを受け取るとは思わなかった。

……毒でも入ってるんじゃないだろうな?

そう思い、慎重に箱を開けたが、中にあったのは普通の四角いチョコだ。

これでハート型だったらアジトに乗りこんでブレイカーぶちかます所だった。

 

「あれ、これにもメッセージ書いてあるぞ。なお、このチョコレートは5秒後に自動的に消去される……ってうぉい!」

 

――ビィー!

 

突然チョコが音を出して光だし……何も起こらなかった。

 

<落ちつけマスター。別に危険物の反応はないぜ>

「そうみたいだな。あ、裏にも何か書いてある。あっはっはっ、引っ掛かったかな、健人君? ってあのアホドクター! l今度会ったら即ブレイカーだ!」

 

良く見ると板チョコの下に光って音が鳴るだけの小さな装置が置いてあった。

他の箱もこんな調子じゃないだろうな、とげんなりしつつメッセージカードを読み上げて行った。

 

≪お久しぶり健人君。ドクターが怪しげな笑みを浮かべてあなたへのプレゼント作っていたから10回程ぶっとばしておいたわ ウーノ≫

「ありがとう。ウーノ!」

 

チョコレートもシンプルながらとても美味しそうだ、流石はウーノ。

 

≪ハッピーバレンタイン! いつも陰からあなたをしか……げふん、見守っているわよ♪ ドゥーエ≫

「こえぇ~よ! たまに視線感じる事あるけどお前かよ!」

 

微妙にひびわれたハート型なのがまた怖い!

ドゥーエはISを使って変装して管理局に潜入してるんだっけ。

それにしても怖いっての!

 

≪新しいアジトが完成したから遊びにきてね。それとウーノが最近胃の調子が悪いそうよ。 クアットロ≫

「アジトの住所が書いてある。って住所だけ書かれても場所わかんねぇ! てかアジトに住所があるのかよ!」

 

良く見ると板チョコに地図が彫られている。これじゃたべられねぇっての!

この住所宛にウーノへの胃薬送っておこう。

 

≪謹賀新年。今年もよろしくな トーレ≫

「年賀状かよ!」

 

チョコレートはビターチョコでした。

 

≪バレンタインチョコ。初めて作ったけど、美味しく出来たと思う。味わって食べてくれると嬉しい チンク≫

「あぁ~……癒されるぅ」

<泣くほどの事かよ>

 

チョコはチンクらしい可愛いリボンに包まれていた。

と思っていたら、肝心のチョコは度数の高いウイスキーボンボンだったので、ゲンヤさんにあげた。

9歳児に何渡してるかな?

 

≪砲撃手らしいチョコを作ってみたよ ディエチ≫

 

箱の中には、長い砲身の両側に球体状の物体が付いた簡素な形状をしたチョコが……

 

「ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲じゃねぇか、完成度高ーな、オイ。ってうぉい~~!!」

 

何トンデモナイ形のチョコ作ってるんだよ!

確かに砲撃手らしいと言えばらしいけどさ!

 

≪か、勘違いすんなよ。他の皆がお前にチョコ作ってるから私も一緒になって作っただけだからな! セイン≫

<なんか、一番手間暇かけて丹精に作られたチョコの様に見えるんだが>

「言うな、シェルブリット。何も言うな」

 

スカさん達の中にで一番美味しかったのはセインのチョコだった。

 

「これで全部か、なんだかんだでチンク以外のは全部食べれたな……ん? あれ? あんな物机の上にあったっけ?」

 

スカさん達のチョコを開けて一通り食べて一息ついた所で、ふと机の上に箱が4つ置いてあるのに気付いた。

変だな。部屋に入った時はあんな箱なかったと思うけど。

 

「宛先は全部俺宛か、健人さんへ、けんちゃんへ、健人へ、健人様へ、なんだこりゃ」

<また誰かからのチョコなんじゃねぇか?>

「うーん、俺をこんな呼び方する知り合いはいないと思うんだけどな。開けてみるか」

 

箱を開けてみると、スカさん達と同じくそれぞれメッセージカードとチョコが入っていた。

 

≪健人さんへ、あなたを思って濡らしながら作りました。私だと思って食べてください Sより≫

「………」

 

≪けんちゃんへ、むてきにさいきょーなチョコを作ったよ! 感想を聞きに行くから逃げないでネ☆ Lより≫

「………」

 

≪健人へ、近々我直々に貴様へ貰われに行くので、今はこれで我慢しろ Dより≫

「………」

 

≪健人様健人様健人様健人様健人様健人様健人様健人様健人様健人様 Uより≫

「………」

 

無言でメッセージカードとチョコを丁寧に箱に戻して燃えるゴミの袋に入れて、外のゴミ捨て場にシュート!

 

「ふぅ、これでよし」

 

と、部屋に戻ると……また机の上にカード付きの箱が4つ。

 

≪捨てないで≫

≪逃げないで≫

≪食べよ≫

≪健人様健人様健人様健人様健人様健人様≫

 

あまりの恐さに泣きながらチョコを食べました。

もう味なんて気にしてられねェ・・・

バレンタイン、こわい・・・

 

 

 

続く

 




はい、そういうわけで健人初のバレンタイン回でしたー
はやてのヒロイン力が高くなってる気がしますけど、メインヒロインは未定のままです。
さて、次回からはGOD編。
今回見て分かると思いますが……色々な意味でとんでもなくぶっ壊れております(笑)

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