ViVidかと思ったら無印でした……   作:カガヤ

24 / 69
一か月遅れのバレンタインネタ。
でも、その前にあるフラグをたてます。


第24話 「えっ、まさかの遭遇!?」

2月14日

 

今日俺は、地上本部の訓練施設にいる。

シェルブリットを手に入れてから魔力の制御がやりやすくなって、色々な魔法を覚えた。

と言っても、なのは達みたくポンポンと気軽に出来るわけでもなく、闇の書の件で覚えた集束魔法共々実践で使えるようになるまで時間がかかった。

今日はその最終調整と成果のちょっとした披露会だ。

 

「グレンマグナム!」

 

拳に回転する魔力を籠めてターゲットの人形を殴る。

人形は胸元に大穴をあけながら吹き飛ばされた。

やばっ、やりすぎた。

 

『はぁ……次!』

 

スピーカーから聞こえるクイントさんの呆れた声。

そして、目の前に新しいターゲットが十数体現れた。

 

「今度はもっと加減しないと、マッハボンバー!」

 

再度拳に魔力を溜めて打つ。

いくつもの火球が拳から放たれて、ターゲットを次々と撃ち落としていく。

さっきのが個人向けの必殺技なら、これは複数の敵を攻撃できる射撃魔法。

いよいよ念願の射撃魔法をゲットしたぜぃ!(感涙)

 

『これは問題なし。次!』

 

次に現れたターゲットはこれまた複数。

しかも、俺を囲むように配置されている。

 

「じゃあ、これだトルネードクラッシュ!」

 

足に魔力を集めて、その場で高速回転しながらの回し蹴り。

これは周囲の敵を攻撃する範囲攻撃だ。

 

『それじゃ、ラスト!』

「おっ、おぉ~」

 

いよいよラストのターゲット、なんだが。

 

「コイツはまた、デカっ!」

 

今まではターゲットは動かないただの人形だったのだが、今回は巨大なゴーレムがターゲットだった。

あれ? これって模擬戦とかだっけ?

 

『さぁ、がんばってぶっとばそう♪』

「さっきまでと難易度違い過ぎませんかぁ!?」

 

岩のような剛腕を避けながら叫ぶ。

しかも、結構動きが機敏で避けるのも大変だ。

一発でも食らったらタダじゃすまなそうなんだけど?

 

『大丈夫大丈夫、冷静に動きを見極めてアレをぶつければ余裕余裕♪』

『ちょっと、クイント!? あれって確かSSランククラスの訓練用じゃなかったかしら!?』

『あれ? あ、間違えちゃった♪』

『クイントー!?』

 

テヘペロをして誤魔化すクイントさんにメガーヌさんのツッコミが炸裂。

ぶっちゃけ、テヘペロが非常に可愛かったですあの若奥様は!

はぁ、ゲンヤさんが心底パルパルだぁ。

 

「なんて言ってる暇はなし。行くぞ、シェルブリット」

<おぉ、こっちはいつでもいいぜ>

 

ゴーレムの攻撃をかわしながらも、シェルブリットに魔力を集束させていた。

前までは動きながらではうまく集束させられなかったけど、今じゃ動きながら出来るようになった。

ゴーレムから逃げると見せかけて、壁を蹴り反転しそのまま突っ込む。

両脚の脚甲からブーストを点火させて更に加速する。

 

「行くぞ、シャインナックルブレイカー!」

 

全身を輝かせ、巨大な光球となりゴーレムの巨体へと両手を叩きこむ。

ぶつかった瞬間、全身を覆っていた光はそのままゴーレムへと注ぎ込まれ、大爆発を起こした。

 

――ドドォーン!

 

「いよっしゃー! 撃破―!」

 

カメラの前でわーいわーいと喜んでいるけど、別室でモニターしていたレジアス中将やゼスト隊長達は唖然としていた。

あ、クイントさんだけはよしっ、と言った表情で頷いてる。

それもそのはず……

 

<マスター、現実逃避してないで後ろ向こうぜ?>

「……ですよね」

 

恐る恐る後ろを振り向くと、確かにゴーレムは撃破出来ていた。

だが、実際には撃破はなく消滅していて、訓練室の壁にはゴーレムよりも大きな穴が空いていた。

確か以前も似たような事した気がするけど、今回はあの時よりも明らかに穴がデカイ。

 

「あ、まぁ……これは、アレだな。想定よりも高レベルなターゲット設定をしたクイントが悪いな」

「えっ?」

「だな、レジアス。これの修繕費はクイントの給料から天引きしよう」

「え“っ!?」

「大丈夫ですよ、クイント准陸尉。全額を一気に天引きはしません、とても足りませんから。ボーナスと合わせて分割払いになります」

「え“ぇ”~~!?」

 

レジアス中将、ゼスト隊長と立て続けに言われ、トドメとばかりにオーリスさんから処分を言い渡されクイントさんはムンクの叫びのような顔になった。

 

「いや、これ悪いの俺ですから。俺が……」

「はいはーい、健人君は気にしないでいいのよ。ささっ、午後からなのはちゃん達に呼ばれているんでしょ? 一緒にお昼食べたら送ってあげるわ」

 

真っ白になったクイントさんを置いて、メガーヌさんに食堂へと連れ出された。

一応金ならスカさんにもらった分も合わせて結構あるから俺が弁償しようと思ったのだが、あんな高レベルを用意したクイントが悪い、とメガーヌさんに強く言われ、今回は甘える事にした。

 

「なんでよぉ~~!!」

 

クイントさんの絶叫を聞きながら、俺達は訓練ルームを後にした。

ホントにいいのかな。

 

 

「健人君ってすごく強くなったわね。私でももう勝てないかも」

「そんな事ないですよ。遠距離から攻撃されたらキツイです」

「あはは、今の健人君なら私程度の射撃は回避しながら接近出来るでしょ」

 

俺は、食堂でメガーヌさんと昼食を食べつつ、先程の俺の新技披露会について話していた。

披露会と言っても見ていたのはゼスト隊以外、レジアス中将とオーリスさんと言うある意味いつものメンバーだったけどね。

それにしても、俺って結構な過大評価をされている気がする。

メガーヌさんって遠距離支援型に見えて、接近戦も出来るからなぁ、俺じゃ無理かも。

 

「すみません。ここ、いいですか? 今日は混んでて席が空いてなくて」

 

と、そこへ元の俺と同い年くらいの男性局員が話しかけてきた。

確かに今日は食堂が混んでいる。

俺とメガーヌさんも空いていた4人掛けのテーブルを使っていた。

 

「あ、別に構わないわよ。ねぇ、健人君?」

 

クイントさん達はまだ来る気配ないし、いいよな。

 

「はい、どうぞ」

「ありがとうございます。あ、僕はティーダ・ランスターと言います」

「んぐっ!?」

 

俺の隣に座った男性局員が自己紹介をしてくれた。

礼儀正しいなぁ……ん? ティ、ティーダ・ランスター!?

このいかにも普通にモブでいそうな好青年な彼が、ティアナ・ランスターの兄貴―!?

Stsでももちろんだけど、イノセントでも名前しか出てなくてどんな人か全く知らなかった。

思わぬ所で思わぬキャラと遭遇して、思わず喉を詰まらせてしまった。

 

「私はメガーヌ・アルピーノよ。ってどうしたの健人君!?」

「だ、大丈夫!?」

 

ティーダ・ランスターが慌てて俺の背中をさすってくれたおかげで、どうにか治った。

ふー、危うく三途の河を渡る所だった。

 

「げほげほっ、あ、ありがとう、ございます」

「もう、いくらなのはちゃんに呼ばれているからって慌てて食べる事ないわよ。あ、この子は、草薙健人君。まだ幼いけど、ちょっと訳ありでうちの部隊にいるのよ」

「はい、噂は聞いています。まだ幼いのにここでもトップクラスの魔力の持ち主だって。何でも訓練ルームの壁を破壊する程の実力者と聞いていますよ。あと、管理外世界で本局の人達と共に第一級ロストロギア殲滅に貢献したとか!」

「あ、あはは……どうも」

 

そんな噂が立っているのか。

どうりで物珍しい視線だったのが、ここ最近は驚きの視線に変わっていると思ってた。

なんか天然記念物を見るような歓喜の表情も浮かべる人いたしな。

 

「あら、あなたの事も知ってるわよ? 地上本部でも類を見ない射撃の名手って言われてるじゃない」

「僕にはそれしか特技がありませんから。それにこんなに幼いのに頑張ってる健人君には遠く及びませんよ」

 

いやいやいや、俺のはただの神様チートですから。

って、ティーダって原作だと確か、事故か事件かで亡くなるんだっけ。

うーん、マズイ。ゼスト隊よりも情報がなさすぎていつどうして亡くなるか分からない……

ティアナのトラウマにも関係するって話だったし、どうにかしたいんだけど、現時点じゃどうしようもない。

 

「健人君? 今度は難しい顔しちゃってどうしたの?」

「えっ? いや、なんでもありませんよ。俺ってそこまで有名人だとは思ってなくて」

「あはは、そうだよね。ティアナとあまり歳変わらないのに有名人って言われてもピンとこないよね」

 

今のティアナって確か、元々ギンガの1つ下だから、今の俺と3歳差。

結構差が空いてる気がするんだけど、子供なら6歳でも9歳でも一緒の括りにされるのか?

 

「ティアナってひょっとして妹さん?」

「はい。今6歳なんですよ。まだ幼いのに僕の射撃魔法に興味湧いてて教えて教えてってせがまれますよ」

「あら、可愛いじゃない。6歳ね。うん、これからますます色々と興味持つようになるわよ」

「ですよね。あ、そうだ。よければ健人君、ティアナと友達になってくれないかな?」

「えっ? 俺が、ですか?」

 

いきなり見ず知らずの男を友達にって、それでいいのかお兄さん。

 

「うん。まだティアナが幼い頃に両親が亡くなって、それから周りの人達に助けられて何とか面倒を見てきたんだけど、やっぱり友達がいた方がいいと思ってね」

「ご両親が、そうだったの。それじゃあ健人君はピッタリね。彼、この歳でもう結構な女の子のお友達が多いのよ? 午後からも地球って言う管理外世界出身の子達に呼ばれてるのよ?」

「ちょっ、メガーヌさん!?」

 

ここでそういう話題持ってくる!?

なんかややこしい事になりそうなんだけど!?

 

「おぉ~それはますますティアナと友達になってほしいな」

「えっ、なんでそうなりますか?」

 

てっきり警戒するものと思ってたけど、なんかこの兄、ノリノリである。

 

「うふふっ、これは早速クイントにも教えないとね」

「僕もティアナに良い話が出来そうですよ」

 

それからも2人は俺とティアナ、それにギンガとスバルまで話題に引っ張り出して盛り上がっていた。

余計なお世話と叫びたいところだけど、実の所ティアナってSts時代まで接点ないだろうから知り合えないなって思ってたから、結構楽しみでワクワクしている。

なんか修羅場になりそうな予感がしないでもないけど、まさかそんな漫画みたいな展開俺に起きるわけないよなー

 

<十二分に漫画っぽい波乱万丈な人生送ってると思うぞ、マスター>

 

黙ってろシェルブリット。

そう言えば、なのは達に呼ばれてるけど、何の用だろうか?

まさか、模擬戦の誘いじゃないだろうな。

正月に会った時も模擬戦したがってそうだったしな。

あの時は、忙しいからって断ったけど、すごく残念そうだったな。

しょうがない。次に誘われたら断らずにちゃんとしよう。

 

<いや、まぁ、戦と言えば戦になるのかな……マスター、日本人なのに知らないのかよ>

 

シェルブリットが何か言ったけど、気にしないでおこう。

 

 

 

続く

 




出して出したくてしょうがなかったティアナ登場フラグ!
実は、ティアナはジーク、ナカジマ姉妹(ナンバーズ含む)マテリアルズ並に好きなキャラです!
でも出すにはどうしようか迷っていましたが、どうにかなりそうです。
あ、ジークはどうがんばってもまだ無理です……

次回こそはバレンタイン突入です。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。