ViVidかと思ったら無印でした……   作:カガヤ

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お待たせしました!
やっと原作介入です。


第19話 「はじめての……」

クリスマス・イブ

 

いよいよ、久々の地球へ行く日になった。

本当はもっと早く行けるはずだったが、俺が開発した必殺技の改良や調整に時間をとったせいだった。

そして、なのはが話していた事件はまだ続いていて、それの捜査協力も兼ねて俺が行く事になった。

そして、俺が事件の詳しい情報を聞いた時だった。

 

「闇の書と呼ばれるロストロギアの事件よ」

「えっ? 闇の書??」

 

ここで初めて事件名を聞いたのだが、闇の書と聞いてピンとこなかったが、何やら超嫌な予感がした。

 

「これが闇の書から生み出された守護騎士達、ヴォルケンリッターね」

 

そう言って見せられた資料には、シグナムやヴィータ達が載っていた。

それを見て、今まで胸の奥底で疼いていた違和感が、火山の噴火のごとく噴出したのを確かに感じた。

 

「あああぁぁぁぁ~~~!!?」

「ど、どどうしたのよ!?」

「一体何!?」

 

突然の叫びにクイントさんとメガーヌさんは驚いていたが、今は時間がない。

生前、はやて達の過去について友達から簡単に教えてもらった事を今更ながら思い出した。

なのはが小学3年のクリスマスの時、闇の書事件で敵対してそれから友達になったのがはやてとシグナム達だと言う事だ。

最初にはやて達を見た時にここまで思い出しておけばよかったのに、と激しく後悔。

 

「ゼスト隊長! 今すぐ俺を地球の日本の海鳴市へ飛ばさせて下さい!」

「落ちつけ、一体何をそんなに慌てているんだ?」

「か、彼女達なんですよ! 俺が地球で迷子になった時にお世話になった大恩人が彼女達なんです!」

「なにっ!?」

 

海鳴市へ飛ばされた時、一晩泊めてもらった現地の人の話はしていたが、シグナム達の事はヒミツにしていた。

だが、この際喋れる事は全部喋って急いで俺を飛ばしてもらう!

 

「その八神はやてと言う子が闇の書の主、と言うわけか」

「でも、俺が会った時はとてもそんな禍々しい本の主に見えなかったし。何より魔法とか関係なく平和に暮らしていたんですよ。だから、今回の事件も何か訳があると思うんです!」

「なるほど、ともかく急いでリンディ提督に連絡を取ろう!」

 

言うが早いか、ゼスト隊長はアースラに連絡を取った。

通信モニターにはエイミィとは違うスタッフが出ていた。

 

『あ、ゼスト隊長? 申し訳ありません。ちょっと今緊急事態で、こちらからまたかけ直します!』

「待て。こちらも大至急の用件だ。リンディ提督に繋いでくれないか? 今そちらが追っている闇の書に関する重大情報だ!」

『なんですって!? ちょっと代わって!』

 

スタッフに割り込む形で、リンディ提督がモニターに出てきた。

その表情は、今まで見た事ないほどの緊張感が漂っている。

 

『ゼスト隊長、手短にお願いします。闇の書がどうかしましたか?』

「リンディ提督、健人が闇の書の主とヴォルケンリッターと接触していた事が分かりました。それで、そちらの状況は?」

『なんですって!?……映像と音声がとぎれとぎれだけど、確実なのは今、こちらでは闇の書の管制融合騎が目覚めたわ』

「っ!?」

 

まずい! 何がまずいって色々マズイ気がする!

闇の書事件の詳細とか、どうやって解決したかは思い出せないけど、このままじゃダメだと直感した。

なのはやフェイト、それにはやて達が危ない!

 

「リンディ艦長、ゼスト隊長! 今すぐ俺を海鳴市へ飛ばして下さい!」

「健人、それはダメだ。闇の書が完全に目覚めた以上、危険すぎる」

「おねがいします!」

 

土下座して地面に頭突きする勢いで2人にお願いする。

 

「ゼスト隊長、健人君を行かせてあげてください。世界がどうとかではなく友達を助けたい、そうよね、健人君?」

「はい!」

「クイント、しかしだな……」

『……分かりました。すぐに転送ポートの中継を確保します。ゼスト隊長、私からもお願いします。健人君を行かせてあげてください』

 

クイントさんだけではなく、リンディ提督にも言われ、ゼスト隊長は深く息を吐いた。

 

「了解した。だが、いいのか健人? 経験しているはずだが、お前はまともに転送魔法で跳べるとは思えないのだが?」

 

あ、その事は考えてなかった……けど、今更後戻りはできない。

 

「今度は大丈夫です! ちゃんと海鳴市へ行ける気がします!」

 

ホントはどこに飛ばされるか全く分からないし、不安もある。

だけど、ここでじっとしてるよりは100倍マシだ。

 

「なら、俺はもう何も言わない。だが、無茶はするなよ、健人」

「はい! ありがとうございます!」

 

すぐに地上本部からアースラを経由して、海鳴市への転送ポートが開かれた。

ゼスト隊長達に礼を言って、シェルブリットを起動させて転送ポートへと飛びこんだ。

正直、これから行ってどうすればいいかさっぱり分からない。

だけど、まずは行ってみるしかない。

待ってろ、皆! 特訓の成果見せてやるぜ!

 

 

 

――チュッ♪(はぁと)

 

「………?」

 

跳びこんでまず最初に唇が何かに触れた感触があった。

次に柔らかい何かにぶつかり、思わず抱きついた。

……あれ? 俺、今どういった状況なんだ?

今回は今までの転送と違って変な感じはしなかったし、多分海鳴市へ飛べたんだと思うが……

ものすっごくおっそろしい程、もう何度目だよコレ! って思うほどのデジャビュゥ……

 

<マスター、ちゃんと現実を見た方がいいぜ。マスターは今、女性に抱きついて、おまけにキスまでしちゃってるぜ?>

「……MA・JI・DE?」

 

言われてみれば、唇に暖かくて柔らかい感触が、ちょっと気持ちいい。

目の前には大人の女性っぽい顔がある。

あ、かなりの美人さんだ♪

 

「んっ……」

 

女性の口から甘い声が聞こえて、ゆっくりと唇を離した。

それから自分の置かれている状況を再確認。

 

うん、確かに俺、この女性に抱きついてるネ♪

しっかりとキスしちゃってたネ☆

 

状況確認を終えた所でゆっくりと女性から離れる。

 

「スー……」

 

おおきくいきをすいこみ

 

「ハー……」

 

おもいっきりはきだすしてからの……

 

「なんでさーーーーーー!!!?」

 

えっ、何? なんで!? Why!?

なんでこうなってるの!? ラッキースケベにも程があるでしょ!?

そりゃ確かに今まで転送されて碌な事なかったけどさ、熟女に激突したりおっさんをふんだり蹴ったりでさ!

いい加減良い目に合いたいと思った事は何度もあったけどさ!

でもさ、だからってなぜに今度は綺麗な女性にダイレクト・キス!?

 

<マスター朗報だぜ。生まれて初めて転送が上手く行った。ここは地球の海鳴市で間違いないぜ!>

「何!?やった! って全然嬉しくない! あれ? 待てよ、アースラに今の状況ひょっとしてライブ中継されてたのかな……されてるよな。俺、オワッタ……」

<いやいや、そんな事気にしてるよりもまずは前見ろ前!>

「あ、なんだよ。そんな事なんかじゃないっての! えっ、前? あっ」

 

空中で回転しながら身悶えて、シェルブリットに言われ少し冷静になって前に向き直った。

そこにはプルプルと肩を震わして俯く女性。

言うまでもなく、さっき俺が突撃かましてキスした女性だ。

よくよく見ると、どっかで見た事あるなこの人。

黒いバリアジャケットに身を包み、左手にごっつい盾なのか武器なのか分からない篭手を嵌めて、大小4枚の羽を生やした銀色の髪をした女性。

頬に赤いラインが入ってるけど、間違いない。

イノセントよりも目付きが厳しいけど、彼女はリインフォース・アインスだ。

でも今は、その名は持たないはず。

確か、暴走した後ではやてから名付けられるんだったっけ。

 

「……あ、その……えっと、ごめんなさい!!」

 

色々と聞きたい事とか話す事があったけど、まずは全力全開の土下座だ。

 

「わざとじゃないんです! これは事故なんです!! 許して下さい何でもしますからぁ!!」

 

誠心誠意、行動の全てに謝罪を籠める。

これで許されるとは思わないけど、まずは謝るしかない!

 

「……ね」

 

俯く彼女が、ぼそっと何かを呟いた。

 

「えっ? 今、なんと? ひょっとして、事故ってわかってくれましたか?」

 

次にアインスはゆっくりと顔を上げて、はっきりと言った。

 

「……シネ」

「デスヨネー!?」

 

分かってくれるなんて甘い考えを木っ端みじんに打ち砕くようにアインスが両手を翳すと、黒色の魔力弾がマシンガンの如く放たれた。

ここは、闇に沈め。とか、もう眠れ。とかそういう中二病的なセリフを吐く場面じゃないかな?

なんてド直球ストレートな言葉。

良く見ると、アインスの目から思いっきり涙が零れ落ちていた。

うん、そりゃそうだよね。

そりゃ、いきなり見ず知らずの人に抱きつかれて、キスまでされたらそうなるよネ!

問答無用で案件、いや、現行犯逮捕だよネ!

是非もないよネ!

 

<なーかせたーなーかせた。せーんせーにいってやろー!>

「先生って誰!? ってそれよりも逃げるぞ!」

 

もうこうなったら逃げるしかない!

光弾をかわしながら、全速力で空へと飛び上がった。

幸い、今まで攻撃をかわす事に重点を置いた訓練をスカさんの所でも、地上本部でもイヤと言うほどやってきた。

その成果と、駄神から与えられたずば抜けた動体視力と反射神経のおかげで、どうにかアインスが放つ魔力弾マシンガンをかわせている。

 

<マスター、逃げてばっかりじゃらちあかねぇぞ。反撃しないのか?>

「そんな余裕ない!」

 

チラリと後ろを振り向くと、涙を流しながらも鬼気迫る表情で殺気と魔力弾をばらまくアインスがはっきりと見える。

はっきり言って恐怖しかない!

 

「……どうしようか」

 

このまま飛びまわっていてもいつか当たってしまうだろうに、どうしようか考えていると。

向こうからこっちに向かってくる2つの影が見えた。

 

「健人君!」

「健人!」

 

それはなのはとフェイトだった。

2人共無事だったのか、良かった……さっきのキスシーンみられてないだろうな?

そんな心配をしたが、2人共アインスに追われてる俺を心底心配した表情で見ている。

どうやら、さっきのは見られていなかったようだ。

2人を助けに来たのに、逆に助けを求めるなんて恥ずかしい事この上ないが、状況が状況だ。

 

「なのは! フェイト! たす、うわぁっ!?」

 

今、魔力弾が頬を掠った。

危なかった……こりゃ、2人に救援を求める余裕すらないな。

でも、あの2人ならこの状況を見て、助けに入ってくれるはずだ。

 

「健人君……うん、分かったの!」

 

良かった! 分かってくれた! これで少しは楽に……

 

「健人、がんばって!」

 

が、がんばって? あれ? 俺は何をがんばるの!?

そうだ、念話だ念話!

これなら逃げながらでも会話が出来る。

 

『なのは、フェイト!』

『健人君、来てくれたんだね。うん、分かってるよ!』

 

いや、だから何をわかってらっしゃるのかななのはサン?

 

『健人が囮となって彼女を引きつけている間に、私となのはで特大の一撃を準備して食らわせればいいんだよね』

 

あるぇー?(・3・)

 

『健人君が作ってくれるチャンス、絶対に逃さないの!』

 

いや、いやいやいや、なのはサンや、それはあんまりではないですかい?

 

『健人、死なないで』

 

フェイトサン、そう思ってるなら今すぐにヘルプ・ミー!

 

<もうこうなったら腹くくろうぜ、マスター。男だろ?>

「あ……あぁ~もう!」

 

こうなったらしょうがない!

情けなくてもなんでもいいから、囮になってアインスを引きつけてやるよ!

思えば、これが模擬戦以外での初めてのまともな戦闘かもしれないな。

トーレ達に追いかけられた時は一方的に逃げてただけだし、戦闘とは呼べないな。

 

『なのは、フェイト』

『『えっ?』』

『ああ。時間を稼ぐのはいいが――別に、アレを倒してしまっても構わんのだろう?』

『『それは言ったらダメ―!!?』』

 

 

これは後で知ったけど、アースラの皆にはさっきのキスシーンはノイズのせいで見られていなかったようだ……安心したぁ。

 

 

続く




はい、健人生まれて初めての●●でした(笑)
本格戦闘は次回……戦闘になるのかな?(ぇ

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