ViVidかと思ったら無印でした……   作:カガヤ

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お待たせしました―!
vivisストライクフリーダムが少し気になる今日この頃・・・・…


第18話 「ひっさつわざってたのしいね」

アッ! と言う間に数カ月が経った。

その間、ゼスト隊のみんなに色々鍛えられたり教え込まれたり、とだいぶ管理局の仕事も分かってきた。

また、訓練だけではなく実際に任務についたりもした。

迷子の捜索、害虫駆除、交通整理、駐車違反の回収……etc

正直、地味すぎて魔法の出番が全くなかったのが不満。

地上本部ではこれくらいの仕事が多いのかーと思っていたけど、ただ単に俺がやる仕事を選んでいただけだったと言われたネ。

それにしても、俺が地上本部に入ってもう12月も半ばかー……何かひっかかるけど、気にしないでおこう。

そんなある日、今日もギンガとスバルに見送られて地上本部にやってきた。

あの2人からお兄ちゃん、行ってらっしゃいと笑顔で送られるのはかなりくるものがある。

いや、ロリコンじゃないよ? 風呂とか一緒に寝たりするけど、それだけダヨ?

さて、今日はなにやら重要な話があるようだ。

 

「健人君も結構仕事に慣れてきたし、そろそろ任務ランクを上げても良いって事になったのよ」

「えっ!? ホント!? やったー!」

 

と、クイントさんから言われて、気分は波の国編のNARUTOだってばよ!

 

「ただ、一つだけ不安材料があるのよね。健人君、必殺技とかないでしょ? それがあった方がいいと思うのよね」

「必殺技、ですか?」

 

クイントさんから特訓を受けたこの数カ月で思う事、この人脳筋な所ある。

トーレもそれっぽい所結構あったけど、クイントさんはそれ以上だ。

シェルブリットなしで魔法使おうとして燃え上がる俺を見て、かっこいいと目をキラキラさせた事もある。

そんな彼女には必殺技と呼べるものがいくつもあった。

拳に魔力を籠めて突進する技。

地面を殴って魔力を走らせる技。

ローラーブーツに魔力を籠めて弧を描くように回転カカト落としを決める技。

……どこの狼さんですかあなたは?

 

「そう。君は射撃や砲撃魔法は無理、魔力変換素質で生み出した炎を纏って殴ったり蹴ったりするのが基本でしょ? それをもっと応用させればいいと思うのよ」

 

クイントさんの言うように、俺は炎を両手両足に纏っての攻撃はなかなかのものだと、同じ炎熱の変換素質を持つゼスト隊長からのお墨付きもある。

けれども、中・遠距離攻撃は思うように伸びなかった。

炎をガスバーナーのように放出するだけならできるけど、消耗が激しい。

でも、ゼスト隊長から炎熱のコツを教わって、どうにか炎弾を作り撃ち出せ……はせず、投げつける魔法なら覚えた。

しかし、致命的なのは見た目が派手だけど、威力が低い。

それならば、とシェルブリットのオリジナルを模倣して、シェルブリットバーストを使えないかと試行錯誤したが、これも無理。

で、分かったのは、俺は地上本部でも上位に入るほどの膨大な魔力量を持つけど、生粋の近距離専用魔導師だと言う事。

空を飛ぶなど、機動力はシェルブリットのおかげもあって、ゼスト隊長よりも速く動けるので敵に素早く接近してぶん殴る、が基本戦術だ。

 

「でも、クイントさんのシューティングアーツ結構使えるようになりましたよ?」

「それは私も驚いたわ。でも、君だけの特別な必殺技があると良いと思わない?」

「確かに……オリジナル必殺技っていいですよね」

 

パワーウェイブやバーンナックルもどきなら俺も使えるようになった。

空を飛べない陸戦魔導師のクイントさんのシューティングアーツは、ローラーブーツとリボルバーナックルあってのアーツ。

ちなみに俺は空を飛べるけど、シェルブリットの脚甲にローラーを付ける事で疑似ローラーブーツに出来る。

広い場所ならともかく、狭い建物内とかなら空を飛ぶより速く動ける。

それにしても、オリジナル必殺技か……パワーゲイザーとかトリプルゲイザー?

いや、テリー・ボガードから離れよう。

 

「と言うわけで、今から考えて使ってみよう!」

「はい!……はい? いや、そんな急に出来るものじゃないでしょ?」

 

3分クッキングくらいのお手軽感覚で言われても、すぐに出来るわけない。

 

「そんな事ないわよ? 私のシューティングアーツだって結構短時間で作ったの多いし」

 

曰く、適当にそこら辺を殴ったり蹴ったりしたら頭にビビっときたものらしい。

だから俺もそこら辺を殴ったりしていたら頭に思い浮かぶんじゃないかとの事。

それなら、この数カ月に思い浮かぶと思うんだけどなー。

 

「と言うわけで、トレーニングルームは今日1日貸し切ったから思う存分やっちゃっていいわよ」

 

うーん、そう言われても必殺技なんて思い浮かばないな……なーんて、実は何度か試した必殺技ならあるんだよね。

射撃や砲撃適正がなく、格闘のみと言われて真っ先に練習したのが、二重の極み。

でも、普通に殴った方が負担もないし破壊力もあるからって事で断念。

それからも釘パンチとか、流星拳とか色々考えたけど、どれもしっくりこなかった。

 

「こういうのは難しく考えず、単純なものの方が効果高いわよ」

 

と言うアドバイスを受けて、一先ず俺の得意な事をやってみる事にした。

両手両足に炎を纏わせて適当に動いてみる。

次に、バーンナックルもどきをしてみる。

この時、拳に魔力と炎を集中させるんだけど、ここで頭にピーンときた。

今まで拳や足に魔力を集中させたが、ある一定の量以上は集中させなかった。

それはこれくらい魔力が溜まれば良いだろうと言う無意識での調整だ。

これを、わざと限界まで溜めこめばどうなるだろう。

単純な事だけど、一撃必殺としては効果的なものに思えてきたぞ。

 

「なぁ、シェルブリット。今から俺が思いっきり魔力を溜めこむから、限界が来たら教えてくれ」

<何するのか大体予想付くけどよ。俺を壊すんじゃねぇぞ?>

「分かってるって。行くぞ、はあぁぁぁ~~!!!」

 

拳を握りしめ思いっきり全力で魔力を溜めこむ。

 

「お、何か思いついたみたいね」

「クイントさん、危ないから離れてて!」

 

こういう技の特徴って大体爆発オチって決まってるからな。

万が一の為にクイントさんには離れてもらわないと。

 

「まだ、まだまだぁ!」

 

右手が今までにないくらい熱く燃え上がるのを感じる。

と、同時に何か高揚感のようなものが胸の中でくすぶっている。

間違いない。これは、いける!

 

<お、おいマスター。そろそろ止めた方がいいんじゃねぇか?>

「いやもっと、もっとだ! もっとかがやけぇ~!」

 

拳が真っ赤に輝きスパークまで出てきた。

うん、これだ! これを待っていた!

後は的へ思いっきり拳を突き出すのみ!

 

「ここだ! いっけぇ~!!」

 

 

――ドガァーン!

 

 

この日、地上本部を中心に中規模な地震が発生した。

地震が起きる地層ではなく、またその予兆も観測されなかったにも関わらず起きたこの地震。

ミッドの気象庁は揃って首を傾げたが、幸いこの地震によって被害が皆無だったのが不幸中の幸いだ。

なお、余震は観測されず、謎の地震としてミッド市民の間ではしばらく話題になったそうだ。

 

「……で、どうしてこうなったんだ?」

「どうやったらこうなるのか教えて欲しいですね」

 

怒りを通り越して呆れ顔のゼスト隊長とオーリスさん。

2人が目を向けた先には、トレーニングルームの壁にぽっかりと開いた巨大な穴。

 

「さぁ? なんででしょうかねぇ?」

「不思議よねぇ?」

 

SEIZAさせられている俺とクイントさんは揃って不思議そうな顔をした。

 

「この部屋は耐魔力防壁など完璧にしていたはずなのに」

「見事に貫通しているな」

 

メガーヌさんとゲンヤさんも苦笑いを浮かべるしかなかった。

 

<そりゃあれだけ魔力を溜めこんだ一撃を放てばこうなるぞ>

「でもシェルブリットだってあれだけド派手にぶっ放せればスカッとしないか?」

<否定はできねぇな、うん>

「だろ?」

 

流石はスカさん特製の俺の相棒だ。

この後、俺とクイントさんはゼスト隊長達からみっちりと絞られた。

でも、俺は念願の必殺技が出来て大喜びだったので特に気にしなかったが。

 

 

それから更に数日後、なのはから通信が入った。

なのはやフェイト達とは直接会う事はなかったが、たまにこうやって通話をしていた。

なのはは地球と言う管理外世界にいるし、フェイトやアリシアは裁判があるので会う事が出来なかった。

なので、久々になのはと話せて嬉しい。

 

『ごめんね。最近ずっと忙しくて連絡出来なかったんだよ』

「あーなんかそうみたいだな。こっちも色々忙しかったし」

 

詳しい話は聞いてないけど、なのはもフェイトもある事件の為に多忙だったそうだ。

それを聞いて、また頭の隅に引っ掛かるものがあったけど、それが何かは分からなかった。

 

「本当は俺も手伝えればいいんだけど……」

『リンディさんから聞いてるから大丈夫だよ。健人君、地上本部でがんばってるんだってね』

 

数週間前、なのは達が事件に巻き込まれてると知り、俺も地球へ向かおうと思ったがゼスト隊長に止められた。

最初、仮とは言え今の俺は地上本部所属だから、本局が絡む事件に首を突っ込むなって話かと思ったが、そうではなかった。

俺の訓練はまだ済んでいないので、中途半端にして増援に行っても足手まといになるだけだと。

実は先日の必殺技云々の話は、地球へ増援に行くことを踏まえての事だったらしい。

まぁ、やりすぎてしまったけど……

 

『それでね。健人君ってこっちには来られたりするのかな?』

「海鳴市に? 多分もうすぐ行ける事になると思うけど?」

 

先日のアレでどう判断されるか分からないよなー

 

『ホント!? 良かったー! あのね、もうすぐクリスマスだから一緒にパーティー出来ないかなと思って』

「クリスマス? あ、あぁ~! そうか、そんな時期か!」

 

ミッドにはクリスマスって概念ないからすっかり忘れていた。

生前でも入院したりで、クリスマスのお祝いやパーティーとは無縁だったからなぁ。

母さんや看護婦さん達がケーキを御馳走したり、プレゼントをくれたりはしたけどね。

俺のここ数日の胸のモヤモヤはクリスマスが近いのに、ミッドの市内ではそれらしい気配が全くないから違和感を覚えてたんだな、多分。

 

「で、俺も行っていいのか?」

『勿論だよ! 健人君の事アリサちゃんとすずかちゃんに紹介したいし。勿論フェイトちゃんやアリシアちゃんも一緒だよ』

 

フェイトとアリシアは、今海鳴市にいてなのはと同じ小学校に通っているんだったな。

魔導師としてはダメダメだけど、それ以外の勉学でフェイトやお母さんの役に立てるようになりたい。

アリシアはそう言っていたな。

 

「俺がそっちに行ける詳しい日時をゼスト隊長に聞いてみるよ。あ、そうだ。リンディさんは俺がそっちに行く事何も言っていないの?」

『健人君が来てくれるのは嬉しいけど、ゼスト隊長に任せてあるって言ってたよ』

「じゃあ全てはゼスト隊長次第か……これはなんとしても認めてもらわないと」

『にゃははは、私もフェイトちゃん達もこっちで健人君に会えるの楽しみにしているの!』

「あぁ、俺も今から楽しみだよ」

 

そう言って俺達は通信を終わらせた。

さーって、こうしちゃいられない。

ゼスト隊長に早く地球行きの許可をもらわなくちゃ!

 

「あ、そう言えば。またなのは達が巻き込まれてる事件の事、聞きそびれたな……」

 

ま、いいか。全ては俺に地球行きの許可が出るかどうかだ。

事件の詳細はその時に教えてくれるだろう。

 

 

続く




はい、次回からはA's編です。
と言っても、もうA'sは終盤なんですけどねー
健人にA'sの知識がほとんどない弊害が出ました(笑)

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