ViVidかと思ったら無印でした……   作:カガヤ

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サブタイの元ネタ知っている人がいれば、感激です(笑)


第17話 「姐さん、事件です!」

突然ですが、事件です。

 

「お前ら、騒ぐんじゃねーぞ!」

「大人しく金をだせ!」

 

ただいま俺の目の前でイカつい覆面マン達がファンシーな武器を片手に暴れまくってます。

そう、銀行強盗です!

 

「……こわいよぉ」

「大丈夫だから、俺の側を離れるなよ?」

「うん」

 

背後には涙を浮かべながら恐怖に震えるスバルが、俺の服をギュッと握りしめている。

思わず可愛いと思った俺にそっちの趣味はないと叫びたい。

 

さて、なんでこうなったのか……

 

クイントさん、俺、スバルの3人でお買い物(ゲンヤさんとギンガの2人はお留守番)

スーパーで買い物をするクイントさんに、スバルが疲れたと訴えた。

スーパー内に座れる場所はなく、向かいに銀行。

俺の給料口座を作る為に行く予定があったので、銀行で休憩。

銀行強盗さんいらっしゃーい! ←今ここ

 

運が悪かったなぁ。と、妙に落ちついている自分に驚く。

いや、落ちついているどころか妙にわくわくしているな。

ドラマでしか見た事ないテンプレな銀行強盗シーンを、まさか生で観れるとは思わなかった。

って、そんな事思っている場合じゃない。

これは現実で犯人達は武装していて命が危ない。

俺一人人質ならいいけどスバルもいるし、他にも何人もの人質がいる。

これがドラマなら、警察に言われて女子供は解放するかもしれないが、それはさっき犯人達が拒否してしまった。

うーん、ちょっと困った。

と、ここで外にいるであろうクイントさんから念話が届いた。

 

『健人君大丈夫!? スバルも一緒?』

『あ、クイントさん。大丈夫です、スバルも俺と一緒にいますよ』

『そう、良かった。申し訳ないんだけど、犯人達や人質の状況、分かる範囲で教えてもらえるかな?』

『分かりました。結構人数いますね。えっと、映像送りますね』

 

やはり、クイントさんは他の局員達と一緒に外で犯人達と対峙しているようだ。

俺達人質がいるので突入はできず、シャッターも締められ監視カメラもシャットダウンされて状況が分からないらしい。

幸い、シェルブリットは持ってきていたので、通信は問題ないし、映像も送れる。

早速シェルブリットから店内の映像を送った。

 

『これは、まずいわね。犯人達は質量兵器を持っているわ。犯人を刺激しちゃダメよ?』

『分かったよ』

 

質量兵器、魔力を使わないただの拳銃やミサイルなど物理兵器の事を言うんだったよな。

ミッドでは禁止されていて入手は困難なのに、たまにテロとかで使われる物騒な代物だ。

たかが銀行強盗が持っているには分不相応だな。

ともかく、クイントさん達に魔法とか色々教わってまだ数日の俺では、危ない橋は渡れないな。

それに後ろにはスバルがいる。

彼女だけでも守らなきゃ。

 

『大丈夫。こっちで犯人と交渉しながら突入の機会うかがっているわ』

『気を付けて、こいつらあまり気が長い方じゃないみたい』

 

銀行強盗犯は携帯片手に怒鳴り散らしている。

とても円滑に交渉が進んでいるとは思えないんだよな。

 

「こわいよ、おにいちゃん」

「っ!?」

 

い、今スバルが……俺の事おにいちゃんって言ってくれた!?

あの、いつもクイントさんやゲンヤさんの後ろに隠れて、黙って俺をジッと見るだけだったスバルが!?

あー……感激だぁ。

これがこの状況下で極度の緊張に置かれての行動だとしても……銀行強盗GJ!

なんて、感動に浸ってる場合じゃない。

下手に犯人達を刺激したら、こっちの身が危ない。

 

「大丈夫だ、スバル。怖いなら目を瞑ってじっとしてるんだ。すぐに終わるよ」

「……うん」

 

そう言ってスバルは俺に抱きつきジッと目を閉じ縮こまった。

あっ、ヤバい……これは父性本能って奴か!(多分違)

 

「おいそこ! さっきからなにコソコソしてるんだ!」

 

俺のリアクションがオーバー過ぎたのか、犯人の1人がこっちに気付いてしまった。

 

「あ、いや、別に……」

「怪しいな。おい、こっちにこい!」

「ひっ!」

 

ハイテクっぽい拳銃を向けてながら、犯人が俺の手を掴んだ。

途端にスバルが怯えながらギュッと抱き締める力を強く……ってイタタッ!?

 

「ちょっ、ちょっと待って、タイム!」

「あ? どうした?」

 

スバルはこう見えて戦闘機人。

並の人間より筋力や腕力が上だ。

しかも、幼いのでうまく制御出来ていない。

日常生活を送る分には問題ないけど、こういう状況では無理な話。

つまり、何が言いたいかと言うと……現在、スバルが全力で俺に鯖折りをかけてきています!

 

「スバル、痛い。痛いからすこーしだけ力弱めてくれないかな?」

「~~~っ!!」

 

パニクってるスバルが更に力を加えてきてる!?

シェ、シェルブリットへるぷー!

 

<しょうがねぇな。一応強化はかけたぜ。でもこれからどうするんだよ?>

『ど、どうしようか……』

 

肉体強化魔法をかけてくれたおかげで、どうにか背骨がやられるのは避けられたけど、これからホントどうしよう。

すっかり銀行強盗達の注目を浴びちゃってますなー。

これはヤバい。マジで命の危機を感じる。

 

「おい、こいつら本当にただのガキか?」

「最近じゃ9歳の管理外世界のガキが、急に魔法に目覚めて大活躍したって聞いたぜ。こいつらもその口かもしれねぇな」

 

なのはさーん!? またあんたのせいで俺がピンチなんだけどー!?

ってかその情報どっから得たの!? アレ、結構機密事項何じゃなかったっけ!?

最悪の場合、シェルブリットを起動させて大暴れするしかないかなーと考えていると、ふと奇妙な光景が目に映った。

地面から、何か生えている。指か?

その指の先端には小型カメラのようなレンズが付いていて、アレ? これ見覚えあるな。

 

「な、なんだ!?」

 

突然銀行内の電気が落ち、辺りは真っ暗になった。

 

「そこまでだ!」

 

暗闇に威勢のいい掛け声が響き渡る。

ついにクイントさん達が突入してきたのか!? と思ったら、声が違う。

しかも、この声すごーく聞き覚えがある。

 

「ひと~つ 人の世、生き血をすすり」

 

続けて、別の女性の声が辺りにこだました。

 

「ふた~つ 不埒な悪行三昧」

 

あ、これ俺知ってる! 銀○でやってた!

 

「みぃ~つ 醜い浮き世の鬼を……」

 

あれ? なんか違うな。

みだらな○○を~じゃなかったっけ?

じゃなくって、この声明らかにあの3人だ!

と、なぜかスポットライトが付き、3人の女性の姿が照らし出された。

 

「「「退治してくれよう、ナンバーズ!」」」

「何やってんだ―おまえらー!?」

 

予想通り、そこにいたのは真っ白いスーツに身を包み、目元を覆う程度のマスクを被ったトーレ、チンク、ディエチの3人。

更に、地面からまるで魚のように飛び上がった水色の影がもう1つ。

 

「さぁ、お前の罪を数えろ!」

 

ビシッと某半熟卵探偵のポーズを決めた同じくマスクを被ったセイン。

 

「ってお前ら、決め台詞丸パクリかよ!!」

「いや、つっこむ所はそこじゃねぇーだろ!」

 

なぜか銀行強盗にツッコミを入れられてしまった。解せぬ。

そんな俺達のツッコミを無視しつつ、トーレ達は4人固まりポーズを取った。

 

「我ら正義の使者……機人戦隊ナンバーズ!」

 

真っ白いボディースーツに身を包んだ美女&美幼女4人組。

戦隊かよ。ってか名前ナンバーズってそのままかよ!

それよりなによりも……

 

「名乗りを2回もするなー!」

 

あれれ? おかしいなーさっきまでの殺伐とした空気がどこかに吹き飛んだぞ?

 

『どうしたの健人君! 何かあったの!?』

『クイントさん、目の前に……正義のヒーローがいます』

『はぁ?』

 

クイントさんが口を大きく開けてる絵が頭に浮かんだ。

けど、その反応はものすごく正しいです。

 

「「………」」

 

あ、チンクとディエチが俺をジッと見つめてきた。

その無言の瞳がこう叫んでいる。

 

『『見るな 聞くな 忘れろ』』

 

つまり、自分達の事には一切触れず他人のフリをしろって事ね。

いやまぁ確かに正義の味方になれ、とか散々戦隊ヒーローや仮面ライダーとか教えたけどさー

何もここまで露骨に丸パクリしなくてもいいような。

しかも、トーレとセインはやる気満々だけど、チンクとディエチは若干恥かしそうにしてるぞ。

他にもツッコミ所は満載だけど、ここは黙っておこう。

いずれまたスカさんと出会う事があったら、一発ブン殴ろう。そう心に誓った。

 

「ナ、ナンバーズだかパンパースだかしらねぇが、俺達の邪魔はさせねぇーぞ!」

「ふん、セリフが三流小悪党だな。とう!」

 

軽く挑発してトーレ達は散開して戦闘を開始した。

だが、戦闘はあっけなく終了。

この犯人達、人数は有利だったのに何も出来ずに一発KO。

その後、シャッターが開き、クイントさん達が突入すると同時に、トーレ達は姿を消した。

 

「また会おう、少年!」

 

最後に、俺に向けて爽やかスマイルを浮かべたせいでクイントさんから知り合い? と聞かれたので、迷うことなく。

 

「いいえ、他人です」

 

と答えた。

事情聴取があったが、俺もスバルも子供と言う事もあり、簡単な質問だけで終わった。

それからクイントさんに連れられて帰宅し、ニュースで強盗の事を知っていたゲンヤさんとギンガに激しく心配された。

スバルはトーレ達が現れてから終始ぽかーんと口を開けたままトーレ達を見ていたが、バッタバッタと強盗達を薙ぎ払う姿を目をキラキラと輝かせて魅入っていた。

この一件で、スバルは特撮ヒーロー好きな事が判明した。

ついでに、スバルも俺に慣れたのか、普通に話す事が出来るようになったのは嬉しかった。

 

のだけど……

 

「なんで、いるの2人共?」

「「おにいちゃんといっしょにねるー!」」

 

と、風呂に突入するだけじゃ飽き足らず、ギンガもスバルも俺の布団に潜り込むようになった。

流石にゲンヤさんの表情に哀愁が漂い、影が出来始めたので。

 

「じゃあ、みんなで一緒に寝ましょうか」

 

クイントさんとゲンヤさんを両端に、さらにスバルとギンガに挟まれる形で寝る事がしばらく続いた。

 

 

また、後日スカさんからのメールによれば、あの日たまたま4人が近くにいたので、急遽かけつけた。

なので、まだ名乗りポーズも新スーツも未完成品で、もうしばらく待っていて欲しいとの事。

俺はとりあえず、丸パクリだけはやめておけとだけ返事をした。

 

 

続く

 




はい、機人戦隊ナンバーズ爆誕!
ただし、今回のは未完成品で、完成品はもうしばらく後になります(笑)

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