ViVidかと思ったら無印でした……   作:カガヤ

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お待たせしました!
ナカジマ家登場!


第15話 「二度ある事は……ってもういいよ!」

「………」

「「「………」」」

「え、えーっと……」

「「「………」」」

 

皆さん、俺はただ今武装したいかついおっさんと綺麗な美女2人に武器を突き付けられ、両手を上げております。

足元にはもっといかついおっさんを踏んづけたまま。

 

「おかしい。なんでこうなったんだ?」

 

本当なら俺はクロノに連れられてアースラにいるはずだった。

だが、運命のいたずらか、はたまたあの駄神のせいか。

またしても俺は転送事故で変な所へと飛ばされてしまった。

しかし! 3度目ともなれば慣れると言うモノ!

万が一に備えて、バリアジャケットを展開し、転送直後に頭から落ちないように受け身を取った。

そして、見事に両足揃えて着地!

うん、審査員がいたら皆10点満点をくれただろう、芸術的着地だ!

 

「うごっ!?」

 

と、足に妙な手ごたえを感じた。

例えるなら、ライダーキックがクリティカルヒットした感覚。

もっと言うなら、こんな感覚3カ月前にもあった。

恐る恐る足元を見ていると……

 

(-ノ-)/Ωチーン

 

とSEが鳴りそうな程見事に大の字で伸びているおっさんが1人。

その後頭部にはシェルブリットで武装した俺の両足が突き刺さっている。

あーこれはあれだ。

俺が転送直後に受け身を取ったから、今回は頭からではなく足からぶつかってしまったと。

で、両脚を踏み込むタイミングが飛び蹴りとしてジャストヒットしてしまったと。

おまけに今回はシェルブリット装着してるから、ただ頭突きするようにも攻撃力が倍増していると。

つまり……

 

<見事に決まったな。こりゃ死んでるなこのおっさん>

「死んでない死んでない! この人は二日酔いで倒れて眠ってただけだ! 俺がたまたまふんわりと踏んじゃっただけだ! ごめんねおっちゃん!」

<と言うか、足元よりも周りを見た方がいいぜ?>

「まわ、り?」

 

おっさんから目を上げ、周りを見渡してみると、あらいやだ綺麗なお姉さんが2人もいる。

隣には渋いおにーさんもいて、みんなでデバイスなんて物騒な物を構えながら怖い顔で俺を睨んでるじゃないですか♪

 

<現実逃避はやめようぜ?>

 

現実は、いつだって……こんなはずじゃないことばっかりだよ!!

これはクロノのセリフか。少しだけ変えたけど。

 

「ひとまず、レジアスからどいてもらおうか」

「あ、はい。すみません」

 

静々とおっさんから降りて、両手をあげる。

 

「で、お前は一体どこの誰だ?」

「見るからに高性能なデバイスを持っていて、おまけに高い魔力も持っているんだもの。一般人じゃないわよね?」

「不意打ちとは言え、地上本部の総括を単独で仕留めるなんて大胆な暗殺者さんね?」

 

わーお、俺暗殺者にされちまったぜ。

俺、ツバメなんて切れないし、他愛無しダンスも踊れないし!

あ、毒娘ちゃんは可愛いよね?

じゃなくって!

 

「え、えっと、アースラに連絡してもらえれば俺の事分かると思いますけど?」

「アースラ? 海の船か。メガーヌ、すぐに連絡を。クイント、すぐに医者を呼べ」

「「分かりました!」」

 

メガーヌ? クイント??

あ、思い出した!

どっかで見た事あると思ったら、綺麗なお姉さん2人はメガーヌとクイントだ!

メガーヌはティアナと同じ声でViVidアニメで見た事あるし、クイントもチラリと出たな。

って、クイントはイノセントに普通に出てる!

漫画やゲームで見て思ったけど、やっぱり2人共若いしめっちゃ美人!

あ、そうか。この時代なら2人共まだ20代前半なのか、そりゃ若い!

くそぉ~こんな美人と結婚して沢山の可愛い娘をもって、ゲンヤが羨ましいぞ!

うっわぁ~、なのは達よりもレアな感じがしてなんか感動だぁ。

 

「な、何だかこの子目がキラキラしてない?」

「う、うむ……」

 

 

その後アースラと連絡を取って身分照会などをして、俺の冤罪?が証明された。

で、俺が今いるのはミッドチルダの首都、グレンラガン……クラナガンの管理局地上本部らしい。

なんで俺こんな所にまで飛ばされたんだろうか。

やはり駄神のせいか。

 

『なんで君、そんな所に行っちゃってるの!? しかも、よりにもよって中将の真上におちるって、もはやわざとじゃない!?』

「それは俺が知りたいですよ。クロノが何かしたんじゃないの? 陸との関係愚痴ってたじゃん」

『僕に責任転嫁しないでくれないか!? いや、確かに今回の件では責任を感じているけど、だからってそんな嫌がらせはしないぞ!?』

 

わーわーぎゃーぎゃー騒ぐ俺達を見かねたクイントさんとメガーヌさんが間に入った。

 

「まぁまぁ、とにかく事情は分かりましたよ。彼が次元漂流者のほんとうにタダの子供だったのは驚きましたけど。ごめんね、怖い顔したおじさんがデバイス向けちゃって、怖かった?」

「怖い顔……」

「ク、クイント! 隊長が気にしてるホントの事言ったらダメよ!」

「ホントの事……」

 

怖い顔のおじさんが凹んでる。意外に気にしてたんだな。

ところで、このおじさん誰だろ?

さっき踏みつぶしたおっさんはレジアス中将って言うみたいだけど、知らない人だ。

 

「彼は本当に一般人で今回の件は完全な事故のようですし、中将も検査で異常はないですから、隊長?」

「そうだな。デバイスを所持している件も説明がついた。中将次第だろうが、恐らく大丈夫だろう」

 

ちなみにレジアス中将は頭を強く打ったが、検査に異常は出ずすぐに意識を回復したようだ。

念の為検査入院中だ。

無傷とは言え、中将を踏みつぶしてそんな楽観できないんだけど……

 

『デバイスねぇ。私達は知らなかった事なのよね』

 

リンディ艦長が困った顔をしている。

事前に言っておけばよかったかな。

 

「ブライトさんからもらったんです。アースラで驚かそうと思って黙ってたんですよ」

『まぁ、その件はこちらに戻ってからね。今回の件は中将が復帰してから改めて検討する事にして、健人君はしばらくそちらに預けた方がいいでしょうね』

 

仮にも地上本部に次元転送して中将の頭にライダーキックしちゃったんだもんなぁ。

逮捕は免れても事情聴取はしなければいけないだろうし。

あぁ、ここにきて犯罪者一歩手前か。

スカさん達に協力してる時点で犯罪者だけどね。

 

「なら、ここにいる間は私が預かります」

 

俺がこれからどうなるのかと思っていると、クイントさんが名乗りをあげた。

 

「大丈夫か、クイント?」

「えぇ、ちょうどあの娘達も近い年の子が身近にいた方がいいでしょうし。あの人もきっと良いと言うでしょう」

「そうね。まだ子供だから、地上本部の寮や施設よりもクイントの所がいいかもしれないわね」

 

クイントさんとメガーヌさんに言われ、隊長と呼ばれた怖い顔のおじさんは少し考えるそぶりを見せたが、すぐに顔をあげ俺をまっすぐに見つめてきた。

 

「悪い子には見えないな。うむ、いいだろう」

『では、健人君、何度も変な所に飛ばしちゃってごめんなさい。転送方法に問題がなかったかちゃんと調査するわね。それじゃあ、皆さん、健人君の事よろしくお願いします』

「あぁ、責任を持って俺達があずかろう」

 

リンディ艦長と隊長達は敬礼し合って、通信を終えた。

クロノ達の話じゃ、地上本部と本局は仲悪いって聞いたけど、今の会話では嫌悪感とかそう言うのはなく、普通にふんわりとしたやり取り出来ていた。

組織同士のいざこざは個人レベルじゃ特に問題ないって事か。

 

「クイント、今日はもうあがってこの子の事を頼む。明日は一緒に出てきてくれ。詳しい事はその時に決めよう」

「分かりました。では、お先に失礼します。ささっ、行こうか健人君」

「また明日ね健人君」

「クイントは面倒見がいいから、心配しなくても大丈夫だぞ」

「はい、ありがとうございます。メガーヌさん……えっと、隊長さん」

「……ゼストだ」

 

名前を呼ばれずに地味にショックを受けたゼスト隊長だった。

でも、やっぱりゼストとレジアスって誰か分かんないや。

 

 

クイントさんに連れられてやってきたのは、郊外のとある一軒家。

ミッドチルダはどんな家なのかと思ったが、地球にもありそうな一般的な家だ。

ここに来る途中に見たビルもそこまで変わった外観じゃなくて、行き交う車も地球にありそうな車だった。

こういうのがカルチャーショックと言うのか、違ったか。

 

「はい、到着。ここが私の家で、あなたの家よ」

「??」

 

クイントさんの家ってのは分かるけど、俺のってどう言う意味だろ?

 

「あなたを預かる少しの間とは言え、毎日にここに帰ってきて生活をするの。ほら、あなたの家でもあるでしょ?」

 

そう言われたのが、凄くうれしかった。

クイントさんはとて暖かい笑顔で、俺を迎えてくれた。

あぁ、これは母さんと同じ笑顔なんだ。

そう思うと涙がこみあげて来て、気付かれないように拭った。

 

「ふふっ、よしよし」

 

でも、クイントさんにはバレバレだったようだ。

優しく抱きしめられ頭を撫でられた。

 

「ゲンヤ、あぁ、私の旦那なんだけど、あの人にはもう伝えてあるから、後はあの娘達ね。2人共、きっと喜ぶわよ」

 

今更ながら気付いたけど、今この家にはあの2人がいるのか!

俺が知っているのは結構大人になっている時代だ。

あ、そうか。イノセントだと思えばいいのか。

 

「ただいま、今日は早く戻ったよー」

「おかえりなさい! おかあさんはやーい!」「おかえりー!」

 

ドアを開けると、元気のいい掛け声と共に、奥から2人の女の子が走ってきた。

あれがスバルとギンガか……ってちっさ!?

イノセントだと思ってたけど、あれより幼い。

確か、スバルが小2でギンガが中1だったけど、今目の前にいる2人はその頃よりもはるかに幼い。

 

「あれ? だれ?」

 

クイントさんに抱きついたギンガが、見慣れない俺をキョトンとした顔で見つめている。

結構可愛い仕草だ。

スバルは俺に気付くと、そそくさと柱の影に隠れてしまった。

見慣れない俺が怖いのかな。

 

「大丈夫よ、スバル。この子は草薙健人君。少しの間、ここで暮らす事になったの。仲良くしてあげてね」

「うん! わたし、ギンガ、よろしくね!」

 

ギンガは興味津々といった満面の笑顔で俺に手を差し出した。

この歳で握手を知ってるとは、なかなかやるな。

 

「はじめまして、俺は草薙健人。健人でいいよ」

「健人おにいちゃん!」

「お、おにいちゃん?」

 

なぜにいきなりおにいちゃん呼び?

 

「健人おにいちゃん、ダメ?」

「いや、ダメと言うか……」

 

どう応えればいいか分からず、クイントさんに目でSOSを送ったが。

 

「あら、良かったわねギンガ。お兄ちゃんが出来て」

 

もう俺がお兄ちゃん確定ですか!?

ギンガは少しシュンとした哀しげな表情になった。

あぁ、もうしょうがない、腹をくくろう。

 

「ギンガの好きに呼んでいいよ」

 

俺がそう言うと、表情を一変させ笑顔になり、全身からキラキラオーラが溢れかえってきた。

 

「健人おにいちゃん健人おにいちゃん!」

 

何が嬉しいのか、ギンガははしゃぎまくって俺の周りをグルグル回り出した。

 

「ありがと、健人君。ほら、スバルもそんな所にいないでこっち来て挨拶しなさい」

 

クイントさんがまだ柱に隠れているスバルに手招きすると、少しだけ身を乗り出してきた。

 

「……スバル、よろしく」

「よろしく、ってあれー!?」

 

それだけ言ってスバルは奥へと走って行ってしまった。

 

「?? どうしたのスバル?」

「きっと恥ずかしがっているだけよ。あの子、少し人見知りな所あるから」

「俺は気にしていませんよ。いきなり変な人来たらびっくりするのが普通ですし」

「まぁ、そうかもしれないわね。それより時々妙に大人っぽいもの言いするわよね、健人君って」

 

本当は18歳です。それでも、子供か。

 

「おっ、君が健人君だな。俺はゲンヤだ。よろしくな」

「はい、お世話になります!」

 

あれからすぐにゲンヤさんも戻ってきた。

何でも、レジアス中将が直々に今日は早くあがれと言って来たらしい。

そして、俺が今までどうしていたかや、スバルやギンガは事件の関係で引き取った養子だなどと身の上話をしつつ、夕食となった。

はやての所やなのはの所でも賑やかな食事になったけど、ナカジマ家でもそれは同じでギンガが特にテンションが高かった。

それから風呂に入る事になったのだが、なぜかクイントさんとギンガ、スバルと一緒に入る事になり、ゲンヤさんが何だか寂しそうにしていた。

ギンガはよく話しかけたり、遊んでくれたりしたけど、スバルは俺と目を合わせようとせず、会話もあまりせず終始距離を取っていた。

スバルと言えば、どの作品でも超元気娘だったんだけど、まだ幼いから人見知りが激しいのは仕方ない、のかな?

 

 

 

続く

 




地上本部に飛ばされてしまいました―次はどこへ跳ぶのでしょうか?(笑)

で、しばらくは地上本部とナカジマ家の話になります。
キャラのイノセント化が激しくなってきているような??

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