ViVidかと思ったら無印でした……   作:カガヤ

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なのはとの本格対面話です。
ネタに走るのは楽しい~♪(笑)


第14話 「そう言えば原作主人公でしたね……」

はやて達と別れ、翠屋に向かっていた俺は運よくなのはに出会えた。

そして、なのはの案内で翠屋へとやってきたのだが……

 

「な、なのはが男の子を連れてきたー!?」

「どこで拾って来たのその子!?」

「まぁ、大きなおでん種」

「明日は槍(ゲイ・ボウ)が降ってくるか……」

 

何このカオスな高町家……

どうやらなのはが男友達を連れてくるのが生まれて初めてで、かなりテンパってるみたいだ。

 

「あ、あはははは……」

 

流石のなのはも笑うしかない。

ツッコミ所が満載だけど、とりあえず俺はオレンジツインテール髪した狐の化身じゃないし!

後、その槍降らせたら危ないどころじゃないぞ緑川ボイス!!

 

「本当に見苦しい所を見せちゃって申し訳ないね、草薙君」

「い、いえ、こちらこそ突然お邪魔してしまってすみません」

「あら、礼儀正しい子ね~」

 

その後、どうにか皆落ちつき、高町家のリビングで翠屋特製ケーキと紅茶を堪能している所だ。

ところで一家勢ぞろいでここにいるけど、店は大丈夫なのか?

 

「細かい事は気にしないでいいよ」

「そうそう、何せなのはが初めて男の子を連れてきたんだもの。店は少しの間閉じてても問題ないって」

 

それでいいのか高町兄妹、今お昼前でかき入れ時だぞ!?

 

「にゃ、にゃはははは……」

 

なのはは自分の家だと言うのに、戻って来てからずっと苦笑いを浮かべたまま固まってるし。

 

 

「な、何だか疲れたよぉ~」

 

お昼を御馳走になり、ただ今なのはの部屋。

ぐったりとしたなのはを目の前にして、俺は部屋の中を隅々まで凝視。

正直、女の子の部屋って入ったの初めてだからちょっとワクワクしてる。

妹の部屋には入った事あるけど、アレはノーカンで。

スカさん家では部屋には行ってない。

多分行ったとしてもぶっきらぼうな何もない部屋ばかりだっただろうし。

行かなくても皆俺の部屋に遊びに来てた。

八神家でもはやての部屋には行ってない。

 

「そ、そんなにジロジロ見ても面白いもの何もないよ?」

「そんな事ないって、可愛らしい部屋だなって思ってさ」

「そ、そうかな。ありがとう」

 

なのははモジモジと照れくさそうにしている。

悪いけど、そんなドキドキな展開じゃないと思うんだ。

何せ……なのはは、10歳近く年下の女の子だもん!

俺に少女趣味はないし守備範囲もそこまで広くはない。

来た当初はアリシアの裸とか目撃しちゃって動揺したけど、今はもう平気。

これがジークリンデやミカヤとか、大人ななのはやフェイトだったら、もうヤバかったね。

忘れてはいけない、俺は18俺は18俺は18……

 

「?? 健人君顔赤いけど、暑いの? エアコンいれるね」

「あーうん、そうして、ちょっと緊張してる……」

 

はい、無理でしたー!

だってなんか部屋の匂いとか女の子らしい雰囲気とか、色々な物に飲みこまれてます!

 

「そうなんだ。私もちょっと緊張、してるかな。あのね、アースラにいた時はお話し出来なかったから、こうしてまた会えてうれしいの!」

「お、おう」

 

目をキラキラさせて身を乗り出してくるなのはの迫力に、面喰ってしまった。

考えてみれば、なのはとは本当に会話してなかったな。

俺が来てからすぐになのははここに戻ってきたし。

何だか今更ながらすごく勿体ない事をしてる気がしてきた。

この世界に来てから俺は何をしてたんだ!?

主にした事って、クロノの髪を燃やしたりフェイトに魔法教わったりスカさん達の手伝い……うん、充実はしてるな。

フェイトとアリシアと友達になった。

スカさん達とも仲良くなった。

八神はやてやシグナム達とも親しくなった。

けど、肝心の主人公兼ヒロインのなのはとは全く関わってなかった!

すごーく勿体ない!

 

「よしっ、じゃあ今まで話せなかった分、沢山話そうぜ!」

「うん! あ、そうだ。ブライトさんに作ってもらったデバイス、もっとよく見せてほしいの」

「あーほら、これだ」

 

手首からシェルブリットを離して、なのはに手渡した。

なのはは、それを物珍しそうにじーっと眺めていた。

 

<なんだ嬢ちゃん。そんなに俺が珍しいのか?>

「うん。私もフェイトちゃんもアクセサリー型だから、腕時計みたいだなーって」

<おっと、ただの腕時計じゃないぜ。気温に湿度、風速に風向き、その他何でも計測して表示出来るぜ>

 

シェルブリットは機嫌よく色々な情報を画面に表示させ、なのははその度に驚いている。

普通の腕時計でも気温とかって表示されると思うんだけどな。

 

「それでそれで、どんな形なの? 杖!? それとも剣!?」

「なんでそこまでテンション高くなるのか分からないけど、えーっとどう言えば良いのかな。融合装着型?」

 

ってそれは元ネタだ!

 

「うわぁ~なんだか凄くてカッコ良さそうだね!」

「あれだけで理解しちゃうなのはも凄いな。実際に見せてもいいんだけど」

<一般人が間近にいる中ではオススメしないぜ。一応俺達の会話までは漏れてないけどな>

 

なのはが魔法少女なのは確か家族には秘密にしてるんだよな。

なら、今ここで俺が変身するわけにはいかないか。

 

「そうだね。お父さん達が見ちゃったら驚くだろうし」

「驚く程度じゃすまないだろうけどな」

「あ、そうだ。今度、健人君に会ったら聞きたい事があったんだ」

「ん? 何を聞きたいんだ?」

 

なのはは急に神妙な顔つきになったかと思うと、不安そうな表情を浮かべたりした。

 

「あのね……健人君は、元の世界に戻りたくないないのかなって」

 

申し訳なさそうに尋ねてきた内容に、目をパチクリさせた。

 

「えっとね、アースラにいる時の健人君の事フェイトちゃんやエイミィさん達から聞いたけど、元の世界に帰る事なんて全く考えていないようだって言ってたから、その気になっちゃって」

 

初めて会った時もなのははその事を気にしていた。

多分、俺が家族と離れ離れなのが気になっていたんだな。

優しい子だ。

 

「考えないようにしていたと言うか、何と言うか……気にするの止めた」

「なんで!? 家族や友達に会えなくなって寂しくないの!?」

 

なのははまるで自分の事のように声を荒げた。

目には涙まで浮かべている。

 

「……ありがとう、なのはは優しいな」

 

目尻に溜まった涙をそっと拭いて、優しく微笑んだ。

こんなんじゃ、実は死んでる。なんてとても言えないな、なのは達には。

あれははやて達とだけの秘密だ。

 

「でも、俺はさ寂しくないんだ。いきなり別世界に来て、魔法って言うわけ分からない力目覚めて驚いたけど、おかげでなのはやフェイト達に出会えた」

「健人君……」

「それにドクターブライトとか変な知り合いも出来たし。この世界に来て結構経ったけど毎日が楽しくて仕方ないから、寂しいなんて思った事ないよ」

 

これは本心だ。

死んだのは誰のせいでもない。

そりゃ死んだ後、駄神のせいで中途半端にリリカルなのはの世界来ちゃったけど、おかげで毎日が結構楽しい。

生前、と言うか元いた世界じゃ、朝から晩まで検査やベッドの上で何も出来ずに寝てるだけなんてしょっちゅうあった。

だから、俺はこの世界に来た事は後悔していない。

 

「そっか、うん、健人君がそう言うなら分かったの」

 

それで納得したのか、ようやくなのはは笑顔を浮かべてくれた。

俺なんかの為に泣いて欲しくない。

 

「ところで、健人君この3ヶ月間ブライドさんの所で何をしていたの?」

 

ブライト、スカさんのお世話になったとは言ったが、具体的に何をしていたかはまだ言ってなかった。

 

「うーん、そうだなぁ……一言で言うなら、男の浪漫?」

「ほへ?」

 

それからスカさんの所で何をしていたかをなのはに話した。

変な実験に付き合わされたとか、ドクターが作ろうとしているロボットのデザインを担当したとか、あまり料理がした事ないお姉さんの味見に付き合わされたとかとか。

 

「な、なかなか大変だったんだね……」

「そう? 結構楽しかったんだけど?」

 

変態なお姉さんに追いかけ回されたりは何度もあったけどね。

 

それからなのはの友達、アリサやすずかの事や、アースラにいた時のフェイトやアリシアの事などを色々話した。

外を見るともう夕方で、そろそろ帰ろうか、と思っている時だった。

 

<マスター、通信です>

「えっ? 誰からだろ?」

 

レイジングハートが突然喋り出した。

今思ったけど、シェルブリットってレイジングハートやバルディッシュに比べるとやけに饒舌だな。

 

<そりゃあの変態ドクターの自信作だからな!>

「生みの親をそこまで言うなんて……って、あぁー!? アースラ!!」

「あぁ~!」

 

レイジングハートを手に取ったなのはと俺は同時に叫び声を上げた。

そうだった。ここへ来た理由はアースラに通信取ってもらう為だったんだ。

すっかり忘れてた。

なのはを見ると、口に手をあて苦笑いを浮かべていた。

 

「え、えっと、なのは、その通信相手って誰なのかな?」

「い、今出すね!」

『あ、やっと繋がった。もしもし、なのはちゃん? 出るの遅かったけど、何かあった……って健人君!?』

「ど、どうも~」

『ちょ、ちょっと待っててね!』

 

通信モニターの向こうでエイミィが慌てて席を離れて行った。

多分、リンディ艦長かクロノを呼びに行ったんだろうな。

あ、この場面見覚えるんだが、これがデジャブか。

しばらくすると、リンディ艦長が走ってきた。

 

『健人君! 良かった、無事だったのね』

「ご心配おかけしました、リンディさん」

『全くよ。ドクターブライトには私からキツく抗議したわ。彼もあなたの事とても心配していたし、わざとじゃなく本当に事故だったみたいだけど。それで今はなのはさんと一緒にいるのね?』

「はい。今健人君と一緒に私の家にいます」

『分かりました。そちらにクロノを迎えに行かせるわ。場所は、前にお別れしたあの公園ね。あなた達が着く頃にはクロノを行かせられると思うから、よろしくね、なのはさん』

「分かりました! しっかり、健人君を送り届けますね」

「あははは、それじゃまた後で」

 

何だかなのはがお姉さんで、迷子の子である俺を送り届けるみたいだな。

ってまさにその通りか。

 

「それじゃあ行こうか、健人君」

「うん、案内よろしく」

 

こうして俺となのはは、以前フェイトとの感動の別れシーンの舞台となった臨海公園へと向かった。

帰り際に、高町家総出で盛大に見送りをされて、なのはと2人すごく恥ずかしい思いをした……

 

 

公園に着くと、既にクロノが待っていた。

周囲には人払いの結界が張ってあるようだ。

 

「全く、君はどこまでアクシデントに見舞われれば気が済むんだ?」

「あははは……俺に聞くな」

「ま、君のせいじゃないか。なのは、こちらの不手際で迷惑をかけたね」

「そんな事ないです。おかげで健人君とゆっくりお話出来ました」

「うん。美味しい料理やケーキも沢山御馳走になれたし」

「ふっ、そうか。それは良かったな」

 

あぁ、こっちも予想外のアクシデント続きだったけど、おかげではやてやシグナム、ヴィータ、シャマルとも知り合って仲良くなれた。

ザフィーラは、多分仲良くなれたはず。

普通の犬として過ごしていたから喋ったりはしなかったけどね。

それに、なのはの言う通りゆっくり話す事も出来た。

 

「では、行こうか。今度は迷子にならないでくれよ。手をつないだ方がいいかい?」

「リンディ艦長と手を繋いでも迷子になったんだけどな。まぁ、今回は遠慮するよ」

 

今回は、と言うか次回も何も野郎と手を繋ぐ気は毛頭ない。

 

「健人君、クロノ君、また会おうね! フェイトちゃん達に会ったら元気でって伝えてね!」

「あぁ、必ず伝えるよ。色々ありがとうなのは!」

 

元気いっぱいに手を振るなのはに負けじと、こちらも手を振った。

 

いやぁ~本当に色々あったなぁ。

あ、そうだ。デバイスの事を言わないとダメだな。

さて、これで俺も管理局入り出来るかな?

なんかこうワクワクしてきたぞ!

 

「顔が緩みまくってるぞ。そんなんじゃまた迷子になるかもな」

「2度も迷子になったんだ。そう何度も迷子になってたまるかい! 今度こそ俺はアースラに帰るんだ!」

「……いや、それが逆にフラグになってないか? まぁ、いい。行くよ」

 

クロノが杖を掲げて転送ポートを開いた。

今回こそちゃんと目的地まで転送されそうだ。

 

 

しかし、現実は非情である。

 

 

続く

 




はい、なのはの出番終了!
A'sまでさようなら~

次回はまたもや、トンでもない事になります(笑)

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