今回からまた新展開です!
スカさんファミリーに仮入部(?)して早3ヶ月。
その間にも色々な事があった。
クアットロやドゥーエに魔法やミッドチルダなどの事について教わったり……
「じゃあ、今日は年下の後輩キャラと年上のお姉さんキャラの口説き方を教えてあげるわ。と言うわけで、私達を口説いてね健人君♪」
「何変な事教えてるのよ、ドゥーエ!!」
「むぅ、見た目で年下扱いは腑に落ちないが、健人を先輩と呼ぶのも悪くないな」
「チンクちゃーん? ドゥーエ姉様の戯言につき合わなくていいんですよ?」
トーレやディエチ達相手にデバイスの使い方や戦い方を教わったり……
「じゃあ復習するぜ。左腕を伸ばして次に右腕を伸ばして交差させて、変身! と叫んでからベルトの両脇のスイッチを押すこの動作は……」
「仮面ラ○ダーアギト、バーニングフォーム!」
「惜しい! これは最終回でのシャイニングフォームへの変身ポーズだ!」
「セイン! 何を教えているんだ! まずはウ○トラマンの変身ポーズが先だろう!」
「えぇ~だってあっちは変身アイテム掲げるだけで終わりじゃん、トーレ姉」
「ここは戦隊物で行こうよ、2人共。ほら、5人分のレ○ジャーキー持ってきたからさ」
「あんた達まで何変な事教えてるのよ! ってかディエチまでどこからそれ持ってきたの!?」
も、勿論ちゃんと勉強したし、訓練も受けたぞ?
まーそういうわけで、今日はアースラに戻る日。
このアジトにある転送装置でアースラに一度戻り、そこからクロノ達と管理局本局へ行く予定だ。
スカさんやウーノ、クアットロ達ナンバーズ総出でお見送り。
本当はノーヴェとかまだ生まれていないナンバーズにも会いたかったんだけど、どうにもまだ時間かかるみたいだ。
機会があれば、会ってみたいな。
スカさん達の性格変更を受けてどんな風になったかちょっと興味あるし。
「健人君、この3カ月は実に有意義だったよ。君の意見でガジェットドローンも更に進化するだろうしね」
「スカさん、何事にも程々にして下さいね。ウーノが胃薬を主食にする前に」
ホント、スカさんの暴走は止まらなかった。
ガジェットにAIを搭載したら、ウーノをママ呼ばわりしてキレさせたり。
ディエチの武装を改造して、腕が変形してバスターになると言う風にしたらキレてハチの巣にされかけたり……
これらのほとんどは俺がこそっと言った事がきっかけだったりするのだが、これは俺とスカさんだけの秘密だ。
本当は皆にバレバレだけど、なぜかスカさんが被害に合っているのは俺だけの秘密だ。
「ウーノも色々ありがとう。料理、うまかったよ」
「はぁ~慣れない事はするもんじゃないわね。ノーヴェ達には料理の仕方から教える事にしましょう」
この3カ月掃除洗濯はともかく、料理を作っていたのはウーノだ。
俺が来るまではカプセル栄養剤だのインスタントばっかりだったが、スカさんが育ち盛りの男の子にそれはいけない! とウーノが作る事になった。
ドゥーエやクアットロ、ディエチも料理は作れるんだけど作りたがらず、チンクやトーレが作ったらダークマターが出来あがると言う始末。
最初はいやいや作っていたウーノもいつの間にか料理にはまってしまったと言うわけだ。
俺? 料理途中で誤って魔力使ってファイアーーー!! になってから台所出禁になりました。
「うぅーん、あなたがいないと寂しくなるわねぇ。またいつでも会いに来てね」
「あんたの場合、例えアースラにいても侵入してきそうだな……」
ドゥーエはなぜか俺に色目を使うようになってからと言うもの、毎晩ベットに侵入されるようになった。
怖いので一度トーレに身代わりをしてもらったら、部屋が爆発した。
でも、それ以外ではこの世界の事とか魔法の事もウーノやクアットロ達と教えてくれたので、結構世話にはなったよな。
エイミィ達が教えてくれた事よりもっと深くて黒い事も教えてくれたけど……
「健人は筋がいい。もっと身体を鍛えてキチンと学べばもっともっと強くなる。次に会うのを楽しみにしてるぞ」
「うん、色々ありがとうトーレ。おかげで結構強くなれたよ」
<結局避けるのに精一杯だったな、マスター>
「うるさい! 避けるだけじゃなく受けれるようにもなっただろ!」
<だったら今度は反撃もしてくれよ>
トーレのシェルブリットもある程度使いこなせるようになったし、攻撃もまともに避けれるようにはなった。
でも、攻撃も反撃も俺にはまだ無理!
何度も言うけど、俺は喧嘩のケの字もしらないし、人を殴った事すらないんだもん。
そんな俺がわずか3カ月でスーパー戦闘機人トーレ相手にほぼ無傷で終わらせられるって奇跡だよ?
「ふふっ、楽しい3カ月だったわ。また遊びにいらっしゃいね。歓迎するわよ」
「こちらこそ、クアットロ達との生活楽しかったよ。色々ありがとう、クアットロ」
何気に一番お世話になったのはクアットロだな。
魔法に関する知識を教えてくれたり、ドゥーエの暴走をウーノと止めてくれたり、身の周りの世話をチンクとしてくれたり、結構俺に付きっきりだった。
なんかこう。お姉さんって感じだった。
クアットロも以前、弟が出来たみたいで嬉しいって言ってくれたっけな。
「と言ってもこのアジトは近々放棄するのだけどな。今度は新しいアジトで新しい妹達と歓迎するよ、健人」
「あぁ、今度会う時を楽しみにしているよチンク」
チンクは、何だろうなある意味一番謎なキャラだったな。
一番まともかと期待してたんだけど、ドゥーエ達のボケに乗っかったりして天然なのかそういうキャラなのか分からない。
何かと世話を焼きたがってはクアットロに役目を取られて軽くすねたりもしたし、うん、お姉さんキャラになりたい妹キャラって感じだ。
「ドクターやドゥーエが散々迷惑かけてごめんね。後……私も迷惑かけちゃったね」
「気にしないでいいよ、ディエチが悪いわけじゃないし。ちゃんとその都度制裁加えてたしね」
ディエチが申し訳なさそうな顔をして謝ったけど、本当に俺は気にしてない。
以前いきなりドゥーエとトーレに向けてブン投げられたりは驚いたけど。
それからもスカさんの思いつきの実験に、ディエチがいやいやながら協力させられ俺が巻き込まれたりもした。
ディエチにはその度に謝られるので返ってこっちが恐縮してしまう。
「じゃあ、そろそろアースラに戻るよ」
と、ここでスカさん達に手を振りながら転送装置に入ろうとした。
が、突然グイっと肩を掴まれた。
「ちょーっと、私! 私を忘れるなー!」
「あ、セインいたんだ」
「いたよ! 最初からいたよ!!」
ウガーとなっているセインをドウドウと諫める。
セインも戦闘面で世話になったけど、それ以上に貴重なツッコミ要員として役に立ったな。
初日に初対面で胸を揉んでしまったのがセインの運のつきだと思っておこう、うん。
「全く、健人が来てから疲れる事多くなったっての!」
「いや、ウーノよりはマシだろ?」
「……そうだね」
「そんな目で私を見るのをやめてくれないかしら2人共!?」
こんなやりとりも新鮮で心地よかったな。
うん、ありがとうセイン。と心の中だけで礼を言っておこう。
<ちゃんと言えよ、マスター>
そんなツッコミはいらん、シェルブリット。
「名残り惜しいが、そろそろ約束の時間だ。健人君、本当にありがとう。いずれ新しいアジトが落ちついてノーヴェやセッテ達が覚醒したら連絡するよ」
「その時は、私が迎えに行くからね」
「ははっ、なるべく穏便によろしく……」
ドゥーエはこれから管理局にスパイとして潜入する予定らしい。
前から管理局への潜入は予定にはなっていたが、色々あって先伸ばしになっていたようだ。
俺はデバイスも手に入れて魔力も制御できるようになったので、これから管理局入りは確実になるだろうからドゥーエとの接触もあるかもしれない。
なんだろ……急に不安になってきた。
「はいはーい。アースラとのゲート開いたわよ」
「お、それじゃあ行くよ。スカさんも皆も本当にありがとう! またなー!」
「元気でねー!」
「また遊ぼうねー!」
みんなに手を振りつつ、俺は転送装置へと入った。
アースラからここに来る時同様、フッと浮き上がる感覚がした。
「あてっ!? えっ!? うわぁ~~!?」
そして、次の瞬間、俺は草の上を転がり落ちていた。
「うわわわっ、なんだなんだ!?」
しばらく坂らしき所をゴロンゴロンと転がり、ようやく止まった。
「はぁはぁ、止まったぁ……で、ここ……どこ?」
辺りを見渡してみると、どうやらここは河原の堤防のようだ。
「なんでアースラじゃないんだよ。ってかまたこの展開かぁ!」
今回は誰かの頭に当たる事なかったからいいようなものの、俺はまた目的地に転送されなかったようだ。
「見た感じここは地球っぽいけど、シェルブリット?」
<あぁ、どうやらここは地球の日本、海鳴市って所だな>
「海鳴市……ってマジか!?」
確か海鳴市ってなのはが住んでる街じゃん。
なんでこんな所に転送されたのかは知らないけど、砂漠とか北極とかに飛ばされなかっただけましか。
「ともかく、アースラに連絡取ろうか、シェルブリット通信開いて」
<ん? 出来ねえぞ?>
「はっ!? なんでだよ!?」
デバイスなら通信で他と連絡取れるんじゃなかったのか!?
<いや、俺まだそういう設定してないから。アースラとも接続されてないぞ?>
「接続って何!? ネットワーク設定とかそんなのかよ!?」
<そもそも通信機能のテストしてなかったんだよなー、今気付いたけどよ。と言うわけでドクターの所にも連絡できねえ>
「……なんだよそれぇ」
思わずorz体勢になってしまった。
デバイスの一通りのテストはしたつもりだったけど、肝心の通信に関しては誰も何も言ってなかったなそう言えば。
「……仕方ない。なのはの家まで行ってそこから連絡取ってもらおうか」
確かなのはのレイジングハートならアースラとも連絡取れるはず。
地球に戻った後も何度かなのはと指令室で話した事あるし。
<んで、マスター。そのなのはってのはどこに住んでるのか分かるのか?>
「翠屋って喫茶店がなのはの家だから、それを目指して後は人に聞いたりして行くしかないな」
気付けばもう夕方だ。綺麗な夕日を背に受けて、ひとまず堤防を降りる。
幸いここらへんは住宅街のようで、少し歩けばコンビニもありそうだ。
スカさんの所で働いた分の給料は貰ってきちんと鞄に入れてある。
けど、そのお金はミッドで使える通貨なので、日本じゃ使えない。
「早い所なのはの所に行って、金借りよう」
<子供に金借りに行く子供がどこにいるんだよ>
「少なくともここに1名いる」
付近を歩いてる人はいないので、俺とシェルブリットの会話が聞かれないのは良い事だな。
出ないとブツブツ独りごとを呟く不審な子供になっちゃうからな。
「ここら辺に店も人も見えずか。ひとまず、大通まで出てみるか」
と適当にぶらぶら歩いて大通を目指したのだが、ふと立ち止まって周囲をぐるりと見渡した。
なんて事ない住宅街だが、何かが引っ掛かる風景だ。
<ん? どうしたんだマスター?>
「いや、気のせい……かな?」
少し歩いて車も通る道まで出てきて、改めて周囲を見渡す。
「あ、あれ?」
やはり変な感じがして、思わず走り出す。
<お、おい。どうしたんだよ!>
あてもなく走り出したわけじゃない。
俺の記憶にある風景と、今見ている風景が似ているんだ。
「ここ知ってる」
俺が元いた世界で住んでいた街に、ここはそっくりだった。
いや、そっくりなんてもんじゃない。
家の色も並びも道路も公園も、その先にある自動販売機も、小さな商店も何もかもが同じだった。
「ここは、俺が住んでいた、街?」
続く
もっとスカさん達との騒動を書きたかったけど、それはまたいずれ……
いい加減次の展開に行きたかったので。
さて、次回はシリアスな予感??