ViVidかと思ったら無印でした……   作:カガヤ

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スカさん家の日々。はもうすぐ終わります。
ってか終わらせないと長々と続きそう(笑)


第10話 「無理でした……」

輝けませんでしたorz

完敗も完敗、瞬殺されました♪

……トーレに殴りかかった、までは多分良かったと思う。

でも、それからすぐに一撃を入れられぶっ飛ばされてKO。

 

「あ、あれ?」

 

拳を突き出したままトーレが呆気に取られている。

他のみんなも目をパチクリさせている。

うん、そうだろうね。俺もビックリの瞬殺だよ!

 

<な、情けなさすぎるぜマスター>

「……うるさい。ほっといてくれ」

 

床に大の字になりながら、出来たてホヤホヤな相棒の呆れ声が聞こえる。

流石に勝てるとは思ってたなかった。

ひょっとしたら、一撃くらいいれれるワンチャンくらいないかなーとは思ってたけど、現実は非情である。

 

「だ、大丈夫か?」

「あ、うん。大丈夫」

 

納得がいかない顔をして気まずそうにするトーレの手を借りて起き上がり、自分の身体を再確認。

トーレの一撃は結構な強さのはずだったけど、傷らしい傷もなく痛みすらない。

 

<それは俺の防御が優秀だからだぜ、マスター!>

「あーはいはい。ありがとなシェルブリット」

 

分かってたけど、スカさんやウーノ達ががんばったおかげで、めっちゃ高性能だコイツは。

 

「しかし、予想外にも程があるな。少しは善戦すると思っていたのだが」

「それは同感ね。まさか数秒で負けるなんて」

 

チンクとドゥーエに同調するように、他のナンバーズからも意外だと言う声があがる。

ただ、スカさんだけは納得がいったような顔をしている。

 

「あのさー忘れてるかもしれないけど、俺ほんの数日前にこの世界にやってきた一般人! ホンットに魔法のマの字も分からない9歳児なんだよ!?」

「「「あーそう言えばそうだ」」」

 

トーレ達がポンと手を打ち、納得した顔をした。

全く……いくら神様に転生させられて、高い魔力と身体能力と高性能デバイス手に入れたからってさ……

元の世界ですら喧嘩のケの字もしたことない元18歳、現9歳児が、戦闘機人でもトップクラスに強いトーレに勝てるわけあるかぁ~!!

 

<でもよぉ、マスター。日本って管理外世界じゃ、マスターの同じく喧嘩もした事ない魔法も使った事ない9歳の女の子が大活躍したってデータにあるぜ?>

「……おのれ、高町なのはぁーー! 分かった。何かが決定的にズレてるのは、全部高町なのはって奴の仕業なんだ!」

「いや、その高町と言うのが誰の事か知らないが、関係ないんじゃないか?」

 

冷静にチンクがツッコミを入れるけど、知った事じゃない。

うん、俺に過度な期待がよせられるのは、なのはのせいって事にしよう。

よしっ、決めた!

 

――や、八つ当たりにも程があるんじゃないかなー!?

 

なんか幻聴聞こえたようだけど、無視。

 

「では健人君にはデバイスや魔法の使い方を教えるとして……しかし、困ったな」

 

ここでスカさんが珍しく困った顔をした。

 

「ドクター、どうしたんですか?」

「いや、今思ったのだが、デバイスはともかく、誰が彼に魔法を教えられるのかと思ってね。君達は魔導師ではないし」

「「「あっ……」」」

 

ちょっと待て待て、今更それはないでしょ!?

結局みんなで話し合った結果、デバイスの使い方や制御の仕方はウーノやクアットロ達が、戦い方に関してはトーレやチンク達が教えくれる事になった。

しかし、魔法その物に関してはアースラに戻ったらクロノ達に教えてもらえと言われた。

それまでに制御の仕方を覚えなきゃな……せっかく爆発しないデバイス手に入れたんだし。

 

 

 

それから、午前中はウーノ達の講義、午後はトーレ達の訓練やスカさんの研究の手伝いになった。

ひとまず今日は研究手伝いをする事になり、訓練や講義は明日からだ。

研究の手伝いと言っても、科学者でも何でもない俺が出来る事は限られている。

それは、スカさんが開発しようとしている機械兵器についての意見だ。

カプセルを巨大化したようなボディに数本の触手がウネウネとしていて、とても見た目が気色悪い。

 

「これを見てどう思う?」

「とても、気色悪いです」

 

スカさんに感想を聞かれたので、素直に答えるとやっぱりなという表情で顎に手をあてた。

 

「で、これはなんて名前?」

「名前? そう言えば……付けてなかった」

 

おい、なんか細かい所いい加減だな。

 

「元々戦力としてはあまり考えず、AMFを搭載した量で攻めるタイプの兵器だったからね。まだ起動実験すらしてないよ」

「じゃあまずは名前を付ける所から、ですねドクター。健人君にかっこいい名前を付けてもらいましょう」

「うん、私もそう思っていた所だよ、クアットロ」

 

そう言ってスカさん達の視線が俺に集中する。

えっ? ここでの初仕事がこんな触手マシーンの名付け親になる事!?

 

「何でもいいわよ? 私達じゃそういうセンスないし」

「あー……えーっと、じゃあ……ガジェットでどう?」

「「「よしっ、採用!」」」

 

もうちょいマシな名前思いつかなかったのか俺!?

仕方ないだろ! 土壇場で思いつかばないし、それならなのはStsのかっこいいOPで見た丸っこい変な奴の名前そのまんま言っちゃっただけなんだし!

原作通りで素敵な名前だネ!

 

「ではこのガジェットの見た目を改良していくとしようか」

「健人の言う通り、よく見ると確かに気色悪い。こんなのと一緒に仕事は御免だな」

「チンク姉に同意~やっぱり見た目が気持ち悪いよー」

 

いかにも悪の組織が使いそうな兵器だなーとは思うけど、正義の組織(笑)に生まれ変わるにはこの見た目はダメらしい。

 

「ならばまずはこれを見てもらおうか」

 

そう言ったスカさんの背後にはいくつもの空間モニターが開かれ、ガジェットの外観修正案が陳列していた。

ウーノやドゥーエはあきれ顔でそれを端から眺めたが、クアットロやチンクまでも目を星のように輝かせて魅入っていた。

 

「あらぁ~! このカエルのようなロボットかっこいいじゃないですか、5体で変形合体も出来ますよ?」

「顔がそのままロボットになったようなのもいい。特にこの頭に砲塔が載っているタイプがいいな!」

 

お前ら、わざと言っているな?

 

「なぁ、スカさん? 自分でデザイン考えるの面倒だから、アニメや特撮のメカを参考にして日本人である俺に選んでもらえば手っとり速く済む……と思ってない?」

「ナンノコトカナー?」

「こっち向けよ、おい!」

「ふむ、概ねその通りだが、作業時間の短縮は重要な事なのだよ? 他のナンバーズが揃う前に準備万端にしたいからね」

 

理には叶っている……のかなー?

ともかく、口でああ言ったけど、俺も内心実はワクワクしてる。

リリカルなのはと言うアニメの世界にやってきて、更にスクライドのシェルブリットをデバイスと言う形で手に入れて、更に更に他のアニメのロボを実際に見れるかもしれない……これは幸運だ!

 

「よーっし、なんか燃えてきた―!」

「健人君、健人君、実際燃えてるから!?」

「あ、ごめん。ウーノ」

 

テンションあがりすぎてうっかり炎出しちゃったようだ。

でも、すぐに抑える事が出来たのもデバイスのおかげだな。

 

「では、健人君。一緒に考案して行こうじゃないか。新しい正義の使者を!」

「おぉー!」

 

こうして、新型ガジェットの開発が始まったのだが、そう簡単に行くわけがなかった。

ガジェットにはAMFという魔力結合を遮断する防御フィールドを張れる機能がある。

それを最大限に生かすには複雑な形状では不具合が起きやすいらしい。

だから、単純に丸い形をして触手……アームケーブルで複雑な動作を行うようにしたようだ。

単純な形状、ねぇ。

1つ思い浮かんだけど、あれは戦闘用には向かないな。

でも待てよ? 戦闘用でなければいいのか?

 

「スカさんスカさん、これって全部戦闘用にする必要あるの?」

「それはどう言う意味かね?」

「いや、ガジェットの目的って運搬とかそういう目的で作るのもありかなーと」

「そうだね。チンクやディエチなど空戦用ではない子もいるから、彼女達の運搬兼援護としての目的で作ろうとしたタイプもあるよ」

 

そう言って見せてくれた設計図には、小型の全翼機のような形状のタイプがあり、Ⅱ型と名前が付いていた。

これなら上にチンク達を乗せて飛行する事も出来そうだ。

形状もさっき見た奴よりはマシだ。

機体の下には攻撃用の砲塔が付いていて、小型戦闘機としても十分にかっこいい。

 

「それで、どうかしたのかい?」

「いや、1つ思いついた形状のがあるんだけど、こっちの方がかっこいいからいいや」

「ふむふむ、一応見せてくれるかな? 今後の参考になるかもしれない」

「えっ、うーん、分かったよ」

 

ウーノからまた描く物をもらい、描いて行く。

シェルブリットよりは構造が単純なので、すぐに描き終えた。

 

「これだよ。単に移動や運搬用に特化してて、AMFは乗せないけどその代わり物凄く速くなると思うんだ」

 

スカさんやウーノ、クアットロに見せたのはロ○クマンに出てくるアイテム2号だ。

 

「ほほう、これはなかなかシンプルだがいいんじゃないかな?」

「そうですね。戦闘能力を付けるのは難しいですけど」

「1人で乗る移動用としてはかえって戦闘力ない方がいいでしょう。この形状なら安上がりで組み立てられそうですし」

 

意外にも好評だった。

ガジェットⅡ型よりも小型だが、飛行速度は倍以上出せるとの事。

さらにこれだけ小型ならば他のガジェットに搭載して、いざという時の逃走手段にも出来るらしい。

 

「Ⅱ型の底にはこれを1機搭載する事にしよう。元々誘導ミサイルを付ける予定だったが、正義の味方が質量兵器を使うのはよくないな、うん」

 

なんか物騒な事言ってる。質量兵器ってこの世界じゃ禁止されてる実弾とかミサイルとかあんなタイプの事だよな。

 

「それと、ガジェットのカラーリングを変えてみませんか? 改めてみると気色悪い理由の1つに色が悪いように見えますわ」

「それだクアットロ! こんな地味な色じゃ目立たないな!」

 

クアットロとスカさんの意見が微妙に食い違ってる気がする。

あと、カラーリングってガンプラかよ!

 

「では、このようなカラーはいかがですか?」

 

クアットロがコンソールを操作すると、ガジェットⅡ型は全身が金色になった。

派手は派手だけどさー、なぜに全部金ぴか!?

 

「おぉ~! これは派手だね!」

「でも目立ちすぎないかしら?」

「それでしたら、こうしましょう」

 

ちょちょいっとクアットロが操作すると、金一色だったⅡ型に赤が加えられた。

さしずめ……アイアンマンガジェット?

 

「まぁ、これなら目立ち過ぎず地味すぎずいいんじゃないでしょうか?」

「ふむふむ、どうだい健人君? このガジェットⅡ型改は?」

 

スカさんは描いた絵を渡した後、邪魔にならないように部屋の隅で座っていた俺に声をかけた。

専門的な話には関わらない方がいい。どんな事に関してもね。

 

「いいんじゃない? いっそのこと、みんなが着てるそのビッチビチのスーツも色合い変えてみたら?」

「えぇーこれ結構気に入ってる色なんですけどね。地味ですか?」

「我々は心機一転したんだ。色々変えてみるのもいいんじゃない?」

「それもそうですね。でもそれに関してはチンクちゃん達も交えて話した方が良さそうです。呼んできますねー」

 

こうしてナンバーズ&ガジェットの改造計画は着々と進んで行った。

しかし、最初はガジェットⅠ型の外観を変える話が、脱線しまくっている気がするのは気のせいか?

って、それは俺のせいだったな……

明日からは本格的な訓練に入る。

別に強くなってどうするって言う目的は今はないけど、せっかくの力を腐らせるのは勿体ないよね。

空も自由に飛びたいし。

 

 

あれ? でも待てよ? アースラに格闘型の魔導師っていたっけ?

クロノは完全に典型的な中遠距離型、アルフは一応格闘型だけど、使い魔でサポートタイプと言っていた。

フェイトは鎌使いだし、そもそも裁判でそれどころじゃないだろうし。

うーん、どっかに格闘型魔導師いないかな。

出来れば美人さんがいいけど、そんなうまい話ないよなー

 

「クシュンッ!」

「あら、クイント風邪?」

「うーん、どこかで誰かが私の噂してるのかも?」

 

とある場所で青紫色の髪をした女性がくしゃみをしたとかしなかったとか……

 

 

続く

 




最後に出てきた彼女、もうちょい後で本格的に出てきます。

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