生徒会の会議   作:東條九音

32 / 38
至らない点や誤字脱字が多いですが、それでも良ければどうぞ。


第27話 お泊り会~包囲網編~

「それじゃあお待ちかね、恋バナを始めようか!」

 

晩ご飯を食べ終え、就寝の準備が終わったところで美玖が張り切って声を上げる。

 

「でも美玖先輩、恋愛話をしようと言われて、素直に話すとは思えませんけど……」

 

「フフフ…そこは我に秘策あり、だよ!」

 

美音がおずおずと意見を述べると、美玖は不敵な笑みを浮かべて、自信満々に答える。

 

「議題に使うのはズバリ、ミー君をどう思っているか、だよ!」

 

「そんなことだろうとは、思っていたわよ。美玖、あなた最初から……

 

「言うんじゃないよ?遅かれ早かれ、可愛い後輩のために手を貸すつもりだったしね?

 

夜海をどう思っているか、それを議題にすると美玖が言うと、美音が動揺しているのが窺える。

その表情を盗み見た美玖、雪乃、月乃、莉桜の四人は、お互いに目を合わせ、頷き合う。

 

「それじゃあ、始めようか!まずは、天音から…って天音?」

 

美玖は天音に声をかけるが、返事がない。

肩を揺すってみると、天音が仰向けに倒れる。

 

「も、もしかして……」

 

「はい、天音先輩は、寝てます…」

 

「……気を取り直して、月ちゃんいってみよ!」

 

天音の早々の離脱に、美玖は戸惑いつつも月乃に話を振る。

 

「私、ですか?……そうですね…夜海先輩は、大好きな、先輩です」

 

「そ、そうなの⁉」

 

「美音?どうしたの?そんなに、焦って?」

 

「えっ!そ、そんなことないよ!それより、す、好きなの?夜海先輩のこと」

 

「うん。夜海先輩は、姉さまみたい」

 

「つまり、遊んでくれるお兄さん?」

 

「…はい。たぶん、それが、一番、近いです」

 

美玖が月乃の述べたい事の確認をすると、月乃はそれを肯定する。

それを聞いた美音は、胸を撫で下ろしていた。

 

「うーん、そっかそっか。なら雪乃は?」

 

「私?そうね……一緒にいて飽きない人、かしら?」

 

「ほうほぅ、その心は?」

 

「深い意味はないわよ。けど、彼を見ているとなんだか、癒されるのよね」

 

ウットリとした表情を浮かべつつ、話す雪乃。雪乃の話を聴いた美音は、共感したように頷いている。

その様子を美玖は横目に見て、美音にバレないようにニヤついていた。

 

「うん、うん。それじゃぁ、莉桜はどう?」

 

「私は…そう、初めての友達、かな?私って、現実でもゲームの世界でも、友達っていなかったんだよね」

 

「あれ?でも、リオは、ネットゲームでは、有名プレイヤーで、信者も、いますよね?」

 

月乃の言う通り、莉桜のネットゲーム界隈でのキャラ・リオは、卓越したセンスで様々な伝説を打ち立てた事によって、伝説級のゲーマーとして崇められていた。

そして現実の彼女は、学生とは思えない頭脳を以てして、既に企業からの仕事を受けている。

 

「アレはただの信者。リオを崇めるだけで、対等に接してくれる人は居なかったよ。唯一、古詠だけが違った。まぁ、単純にリオの事を知らない、初心者だった訳だけど……でも現実とゲーム、どちらにおいても初めて友達になった人だよ」

 

「でも、友達は増えたでしょ?」

 

「そうだね。本当にそうだよ。柑條たちはかけがえのない友人だね」

 

「…臆する事無く言われると、なんか恥ずかしいね///」

 

照れ顔を浮かべ、頬をかく美玖。

 

「えーっと、よし、最後に風ちゃん!」

 

「わ、私ですか…そうですね」

 

美玖の振られると、考えるそぶりを見せる美音。

しかしこの場にいる者には、美音が古詠に恋している事は、バレている。

 

「ま、聞くまでもなく、ミー君の事が好きでしょ?」

 

「な、なな、ッンン。ち、違います。そ、そそんな事、ありません」

 

「違うの?なら、夜海先輩の事、嫌い?」

 

そんなわけありません‼

 

明らかに動揺している美音。

その様子が、好きであると言う事は如実に表していた。

 

「うーん、見てたら分かるかな?」

 

「そうね。私たちの中では、隠さずに話した方が良いくらいかしら?」

 

「………そんなに分かりやすかったですか?私…」

 

「大丈夫。夜海先輩は、気付いて、無い。……でも、それが、逆に、可愛そうだから…」

 

「だから私たちも、協力するからね。歌風の恋が実る様に、サポートするから」

 

『お任せください』

 

美音が思いを述べるまでもなく、周りが協力を申し出る。その中には、AIのナナまで居た。

 

「いくらアプローチを掛けても、ミー君から告白して来る事は、無いと思うよ?ミー君が好きなら、自分から伝えなきゃ、一生伝わらないと思う」

 

少し戸惑いを見せる美音に、美玖は優しく述べた。

やがて美音は一同を見渡し、覚悟を決めた。

 

「…分かりました。皆さん、よろしくお願いします。…私、夜海先輩の卒業式までに、告白してみせます‼」

 

 

 

 




最終話まで、あと4話。
ここから月2で更新していきます。

次回の更新は、23日です。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。