生徒会の会議   作:東條九音

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至らない点や誤字脱字が多いですが、それでも良ければどうぞ。


第23話 修羅場の解決

「会長!一体何事ですか」

 

現場に到着し、柑條へと声を掛ける。

ほかの生徒の前だから呼び方はあえて、会長と呼ぶ事にした。

 

「あっ!ミー君!ナイスタイミングだよ!」

 

声を掛けると柑條は笑顔で出迎える。

…嫌な予感がするが、取り敢えず現状の把握をしよう。

 

「自分からしたら、バットタイミングな気もしますが……で、会長?これは一体?」

 

「んっとねぇ、痴話ゲンカ?なのかな?たぶん?」

 

改めて訪ねてみるが、どうも柑條自身も判断に困る案件の様だ。

取り敢えず分かった事は、相当面倒な事に首を突っ込んでしまった事。さらに、それを解決せねばならないという事。

 

……正直言って、面倒だ。

巻き込まれるのは御免だ。

しかし、首を突っ込んでしまった以上、最善を尽くさないと……

 

「はぁ…取り敢えず説明、お願いします」

 

「オッケー。期待しているよ、生徒会の相談役」

 

いつの間に相談役なんかになったんだ?

確かに、相談箱に届く内容の整理・処理はしている。

 

あとたまに昼休憩の間、生徒会室に悩み相談に来る生徒の相手をしたりもしたが……

用事が無ければ昼休憩の間、俺以外の役員が生徒会室に居る事は無い。

 

まぁ、最近(夏休みに入る前)だとなぜか、俺以外の役員もよく居たけど。

…今考えると、初めはのんびり出来るからと思って使っていたのに、いつの間にか教室に居る時と同じぐらいの、出入りがあるな……

 

いや、それよりこう考えてみると、確かに相談役だな……

いつの間に自分で、自由を捨てていたんだろ……

 

「ミー君?どうしたの、急に落ち込んだりして?」

 

「いや、今は気にしなくていい。それより説明」

 

柑條が心配そうに尋ねてきた。

今の考えが、顔に出ていたのか。

取り敢えず自分の事は後だ。

 

「分かった。けど、あとで聞かせてもらうからね?」

 

「あぁ、分かってる」

 

「それじゃあ、説明するね?シックな藍色の甚平を着ている彼と桃色の浴衣の彼女は、カップルなの。それでもってこっちのショートポニーの子は、二人の関係を認めないって言って、喧嘩していたところなの」

 

……何がどうなってそうなる?

 

「二人の関係って……確か赤穂さんと早乙女さんは、姉妹じゃないよね。なぜそうなった?」

 

「そうだよね~、そこがよく分からないの。取り敢えずミー君も、本人たちに聞いてみて判断してよ」

 

そう言って現場を指差す。

つられて見てみるとそこには、手を繋ぐカップルの男の方を睨んで、今にも飛び掛かって行きそうなポニーテールがいた。

こりゃあ、早く如何にかした方が良さそうだ。

 

「あ~、そこの人たち、会長から話は聞いたがいっちょ分からんから、改めて聞かせてくれんかね。現状の、睨み合いを含めて」

 

「分かりました。と言っても、自分も何が何だか……めぐみん、どう言う事?」

 

当事者たちに説明を求めると、まず彼氏の更識が応じた。

が彼も現状、置いてきぼりで話について行けていないらしく、彼女へ説明を求めた。

 

「神楽ちゃんは私の可愛い後輩なの。前に演技指導を担当したことがあって、その時に懐かれちゃって『萌未お姉様』呼ばれるようになったの」

 

それだけ聞くとまぁ、可愛い後輩が出来ただけで、問題なさそうだが……

 

「それが何で、こうなっているんだ?慕っている先輩の幸せを邪魔するようなことに」

 

それを訪ねると今度は、今まで黙って更識を睨み続けていた、早乙女さんが口を開いた。

 

「それはもちろん、萌未お姉様のためです!こんなどこの馬の骨とも知れない男と、お姉様が付き合うなんて、認められません!萌未お姉様は私のものです、お姉様の貞操は私が守ります!」

 

………どうしよう、これ

柑條がただのトラブルか、痴話ゲンカか、悩んだ訳が分かった気がする。

単純に慕っているからこその行動なのか、はたまた百合の子なのか……

 

希望的には、前者であってほしい。

けど、ちょくちょくと百合っぽい発言が聞える気がする。

 

こうなりゃ、出たとこ勝負の解決しかない。

 

「ン、話は大体わかった。つまり早乙女さんは、尊敬する大切な先輩が他の人にとられるのが嫌だ、って事だね」

 

「な、なに言ってんの!そんなんじゃない!」

 

そう言うが、若干の照れが見える。

良かった、百合じゃなくて……

これなら何とかなるかも。

 

「そっか…神楽ちゃん、ひーくんに私をとられちゃうと思ったんだね…」

 

「ち、違います!私は萌未お姉様が心配で…もう!あなたのせいで」

 

「うん、分かってるよ。神楽ちゃん、優しいもんね。私が悪い男に引っかからないか、心配だったんだよね」

 

赤穂さんが納得したように述べると、早乙女さんはさらにアタフタし始める。

 

「っ~~~」

 

「あ、逃げた」

 

しまいには逃げてしまった。

取り敢えず解決かな?

 

「神楽ちゃん……」

 

「まぁ取り敢えず、日を改めて三人でゆっくり話すと良い」

 

「でも、追い駆けないと。ほっておく訳には……」

 

逃げて行った早乙女さんを心配して、彼氏をおいて追い駆けて行こうとする。

早乙女さんの事、本当に大切に思っているんだな。

 

けどまぁ、心配ないだろう。

こういう時は決まって柑條が手を打っている。

 

「大丈夫!あとは生徒会に任せて、デートを楽しんできなよ。あなた達、初デートでしょ?」

 

ほら、予想通り。

伊達に長い付き合いじゃないからな。

っしかし、二人からしたら初デートと言う事を当てられた方が、驚きだったんだろう。

更識は柑條にたずねる。

 

「な、何でそれを」

 

「ん~、それはヒ・ミ・ツ♪ま、とにかく神楽ちゃんは任せて」

 

「ン、まぁそう言う事だ。せっかくのデートの時に、気にするのは野暮だよ?」

 

そう言ってやるとようやく納得し、手を繋いでこの場を離れて行った。

 

 

 

 

 

「ふぅ~、終った~」

 

「お疲れ、ミー君♪さすがだね~」

 

一息つき、無事に終わった事に安堵する。

一方柑條は、労いの言葉を掛けてくる。

がその労いの言葉を、素直に受け取る事は出来ない。

 

「流石じゃあるか!何で面倒事に首突っ込んでいるんだよ」

 

返ってくる言葉に予想がつくが、どうしても言っておかないと気が済まない。

 

「そりゃあ、生徒会長だもん。生徒間の問題を見つけたら、解決してあげるべきでしょ?」

 

あ~、分かっていたよ。

こいつがこう言う事も、そして……

 

「それにミー君だって、私が首を突っ込んだら、ほっておかないでしょ?」

 

こちらの考えも分かっているって事を。

 

「……そーだな」

 

これ以上この事を言うのは、分が悪いか。

話を変えよう。

 

「でだ、早乙女さんはどうなった?」

 

「莉桜の案内で、月乃ちゃんが向かったらしいよ?無事合流して、今は落ち着いているみたい」

 

よし、取り敢えずは解決だ。

にしても、この携帯端末を持っている限り、赤城に居場所は筒抜けだな。

と言ってもこれは、生徒証明書を兼ねているから、生徒全員に言える事だが。

 

「さてっと、それじゃあ私たちも行こうか?」

 

「……マジで言っての?」

 

「もちろん♪それに……お互い話したいことがあるでしょ?」

 

「……そーだな」

 

 


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