ブランクワールド・オンライン   作:東條九音

79 / 79
お前が……

第三世界のとある場所で、ジーク・レイアはマキナの前に立っていた。

 

「よう。何かボロボロだな、マキナ」

 

「いや~、ちょっと、ね。さっきまで、凄腕の、プレイヤーと、殺りやって、いたから」

 

息を切らし石の上に座り込むマキナに、ジークは刀に手を添えながら言葉を続ける。

 

「ほぉ~。で、勝ったのか?」

 

マキナはポーションを飲みながら、首を横に振る。

 

「実質負け、かな?護衛対象を護りきれなかった」

 

「トリッキー戦法で相手を翻弄するのが得意なお前さんが?」

 

「うん。奥の手まで使ったのに……」

 

その言葉を聞いた瞬間、ジークは抜刀し頸に刃を添える。

 

「……どういうつもり?これは」

 

「なぁ、マキナ。俺たちこの世界に来てまだ、戦ったこと、無かったよなぁ」

 

「そうだけど?なに?これから戦おうってこと?」

 

「その気はない。けど場合によってはな」

 

それを聞いてマキナは、続きを促す。

ジークはまっすぐマキナを見据え訊ねた。

 

「お前はいや、お前がこのゲームの制作者なのか」

 

ジークの問いに、マキナは否定し問いで返す。

 

「……なわけないでしょ?って言うか何でそう思うわけ?」

 

「初めは気付かなかった。けど、ここまで進んできて確信した」

 

ジークが気付いた事、それは……

 

「このゲームは俺が、いや俺たちが学生時代に考えていたアイデアノートが基だ」

 

「………」

 

無言のマキナに対して、ジークは己が立てた仮説を述べる。

 

「お前はあの時のアイデアを基にして、このゲームを創った。そうだろ?」

 

「……」

 

「アイデアノートに書いたときと、違う点もそれなりにあるが、基本はあの時のモノと変わりはない」

 

「…ちなみに違う点って?」

 

「それは、私も気になるわね」

 

無言だったマキナがジークに質問したところで、金髪巨乳のプレイヤーが現れた。

 

「誰だ、お前は?」

 

ジークはマキナに刀を向けつつ、新に現れた人物を警戒する。

 

「あなたとは、初めましてよね。私はセリア。マキちゃんの知り合いで、まあ因縁があるってところかしら?」

 

「…そうか。で、口を挟むって事はセリアも、何か気付いたって事か?」

 

セリアはジークの問いに頷き肯定する。

 

「多分あなたが言おうとした事と同じ……いえ、少し違うのかしら。どうもあなたの方が、詳しい事を知っているみたいだから」

 

「神シリーズ…か」

 

ジークの言葉に頷くセリア。それを見たマキナは両手を挙げて、降参のポーズをとる。

 

「ははっ、なーるほどねぇ」

 

「何がおかしい。運営からのヒントで、特別な何かしらを持っている人物。それが制作者であることは、分かっている。お前も神々の書庫を所持しているのだから、条件に当てはまる。」

 

笑い出したマキナを問いただすジーク。

マキナは自分を制作者だと言う二人に、笑うのを止め答える。

 

「いや~、まぁいいか。うん。答えて上げよう。自分は制作者ではない。けど」

 

「マスター!」

 

マキナが何か言おうとした瞬間、虚空から女性飛び出し言葉を遮る。

 

「ルルとキキが対象を発見しました。そして世界崩壊まで猶予は、それほど無いようです!!」

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。