「正解。って事で、二人ともよろしく!」
「「了解!」」
指示を聞き届けて二人はすぐに動き出す。
「磁気結界、発動!」
「原初の旋律よ、磁気の結界を模倣せよ」
まずヴァンが磁気結界を発動させた。続いてフィオナが原初の旋律を発動させ、ヴァンの磁気結界をコピーした。
フィオナの原初の旋律は、単体では意味を成さないスキル。相手が放ってきたスキルに反応して発動する事によって、そのスキルをコピーしたスキルを得ることが出来る。そのさいスキルの名前が、原初の旋律から~~(色名)の旋律に一時的に変化する。しかしコピーしたスキルは使えない物もある。しかもその戦闘が終わったらコピーしたスキルは消滅。つまり元の、原初の旋律に戻ると言うこと。さらに制限が存在し、一度にコピーすることが出来るのは、1つの制限付き。
「黄檗(きはだ)の旋律、発動‼」
フィオナが予定通りコピーした旋律を発動させた。
ここからは僕の仕事。今使用できる旗槍のスキルの中で、一番正確さが高い技の祝詞を口ずさむ。
「我掲げる旗槍が導くは、勝利の一閃」
「戦旗一閃」
旗槍より放たれた一撃は、光の線を残しながら、機械龍の胴と前脚の付け根部分に突き刺さる。
「よし、二人とも結界を解いて!」
指示すると二人は同時に結界を解く。
「さぁて、上手く挟まってくれていると良いんだけど」
様子を見ているとやがて空回るような音がしてから、機械龍からしていた駆動音は完全に停まった。
「よっし、攻略完了!」
「まったく、フィオナがやらかした時はどうなる事かと思ったぞ」
「そう言えば、戦利品は何かな?って言うかレスト、あなた旗槍刺したままだけど良いの?」
心配そうにフィオナが指差す先には、機械龍に刺さったままの愛旗槍があった。武器としての旗槍は珍しく、ドロップ品が武器でオーダーメイドは殆ど装飾品のアイテムと言われている。
僕が使用している旗槍もドロップ品で、名はシャンディア。特徴は軽く扱い易い、ただし消耗が激しいためメンテナンスが重要。
その事を知っていたため、フィオナは心配そうにしているのだろう。
けれど問題ない。いつの間にか手に入れていたアビリティのおかげでシャンディアのデメリットは解決した。
「うん大丈夫。正確な効果は解らないけど、武器に破壊不可能属性が付いているんだよ」
「は?お前いつそんなスキル取ったんだ」
「いや、取った憶えないし、スキルじゃなくてアビリティらしい」
「へぇ、どんな名前なの?」
「それが……神の右腕って言うんだ」