「♪~~~」
二人のプレイヤーがステージ上で、音楽に合わせて踊っている。
学園都市ヴィヴィドの野外ステージ周辺には、プレイヤーたちが集まっていた。集まったプレイヤー達の目当ては、主に二つに分けられる。
一つは、このステージでパフォーマンスをしているアイドルを見に来ているもの。
もう一つは、そのアイドルに勝負を仕掛けるの。
「~~~♪」
曲が終わりステージの二人は、ポーズを決めて止まる。
「さぁ、パフォーマンスが終了しました!では審査に入りたいと思います!」
舞台袖から出てきた司会者が、さっそく投票を募り始める。
「挑戦者が良かった人は青!
そう言うと集まっている人たちの前に、二択選択のウインドが表示される。人々は思い想いに投票をする。
投票は数分も経たないうちに終了し、司会者が結果発表を行う。
「結果がでました~。結果は……μの勝ちです!挑戦者さん、残念でした~。ちなみに投票率は9対1となっています」
結果を聞き終え、敗北したプレイヤーとμは握手をする。そして敗者がステージを降り、司会者が一礼をして舞台袖に引っ込むと、μはトークを始める。
「みんな~、こんにちは―!改めて自己紹介するね!私は、
えーっと、私たちのギルド主催のイベントが行われているのは、みんな知っているかな?まぁ、知っているよね。開始日からずっと、ここでライブしていたから、アイテム目当ての人は居場所の分からない人を探すよりも、私の方に来ているから♪
それは置いておいて、ライブは楽しんで貰えているかな?明日は最終日だし、今日は次で最後にしようと思うんだけど、挑戦したい人は居るかなー?」
μが呼び掛けるが、手を挙げる者がいない。それもそのはず。μは今まで一度も負けていないのだ。
そもそもμの出す課題は『自身とダンスor歌又は両方から選んで、勝負する。判定は観客が行う』と言うものだった。
始めの頃は『簡単だ』と息巻いていた挑戦者が大勢いたが、μの圧倒的なまでの実力に敗れて行った。
そんな訳で、最近の挑戦者はリベンジの人かその事実を知らない人なのだ。その他は純粋に、μのライブが目当ての人が集まっている。
「うぅーん。今日はもういないかな?だったら、今日最後の曲に行くね!」
それを合図に舞台袖に控えたルーネは、今日最後の音楽を流す。
会場のテンションが徐々に盛り上がり始める。
そしてμが今まさに歌い出そうとした瞬間に、ステージが煙に包まれた。突然の事に会場全体が静かになる。
「あらあら、煙が多すぎたわね。それにコレ、ベタな展開よね」
その沈黙を破った人物は、ベタ過ぎる展開にしたことを後悔していた。