ブランクワールド・オンライン   作:東條九音

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はじめに……
小説家になろうで、ハーメルン未公開話を更新しました。
興味があれば、見てみてくださいね。

https://ncode.syosetu.com/n8230de/64/


ジークvs黒音 再び ~後編~

チョイチョイと黒音が手招きをする。どうやら先手は譲るつもりらしい。

自分の強さに自信があるからこその挑発。

 

けれど先手をくれるのなら、ありがたくいただくと

 

「ハッ!」

 

ジークは構えていた刀を黒音に向かって打ち放つ。

 

「っでもって、獣人化‼」

 

放つと同時に獣人化を使用。獣人化を使用したことで、ジークは人型から狐の耳に尾を生やした、獣人型に変化する。

そして強化した脚力を使い、黒音に接近する。

 

「いきなりやけを起こしたかにゃ」

 

黒音はジークが放った刀を避けると、紫色の光りを纏った右手で、近付くジークに邀撃しようとする。

一方ジークは両手に白焔を発生させ、それを手に纏わせる。

 

「それはどうかな!」

 

接近して来たジークに、黒音はパンチを繰り出す。ジークは黒音の足元の地面を、左手で殴りつける。

黒音の出したパンチは空を切り、ジークの一撃は、黒音の足元に白い焔の円陣を書き上げていた。

 

「白焔牢、発動‼」

 

「にゃンと!分身したにゃ⁉」

 

ジークが技名を発すると即座に、黒音の足元の円陣が火柱を上げ、黒音を囲う。

ジークの『白焔』は幻惑を見せるスキル。今の黒音にはジークが分身した、幻惑を見せられているようだ。

 

「レヴィ、白焔の制御は任せた!」

 

「はい!任されたのです!」

 

ジークは、刀から人型になった相棒に指示を出す。

ジークの愛刀「レヴィアタン」

 

通称レヴィは、インテリジェントウエポンである。レヴィ自身の能力は人化と刀変更。そこにジークが『刻印』を利用して付与した、『白焔』が加わる。

ジークとレヴィは紅き宝玉(スカーレット・ジュエル)組んだ修行を行った結果、多くのスキルなどの活用法を学び、格段と成長を遂げていたのだ。

 

「じゃあま、コイツで止めかな?」

 

そう言うとジークはストレージを開き、一本の試験官を取り出す。

その試験管の中には、奇妙な色をした液体が入っていた。

 

ジークが取り出したものを見たレヴィは、顔をしかめ意見する。

 

「マスターさん、爆裂ポーションじゃなくて、ランダムポーションを使う気ですか?」

 

「使う気だよ?こういう時じゃないと、何が起こるか分からない代物を、試せないじゃないか」

 

そう言ってジークは、ランダムポーションを黒音に向かって投げつけた。

 

「あ~ぁ、使っちゃた……確実に勝つなら、爆裂ポーションなのに。もう、どうなっても知りませんよ?」

 

投げられたポーションは、白焔の檻を越え中に居るであろう、黒音の影にあたる。

 

「あれ?」

 

当たったはずなのだが、何の変化も起こらなかった。

 

「外れを引いたって事か?仕方ない、レヴィ!」

 

ジークはレヴィに声を掛ける。するとレヴィは、人型から刀の形態へ変化する。

 

「じゃあ改めて……」

 

変化した相棒を掴み、抜刀の構えを取ろうとするジークだったが、違和感を感じ取った。

 

「レヴィって、こんなに…おも…かったっけ?って……言うより、力が…入ら…ない?」

 

体に力が入らなくなっており、思うように動けなくなっていたのだ。

しまいには刀から手を離し、地面に倒れてしまった。

 

「こ…これは、霧…か?」

 

ジークは倒れて初めて、足元一帯に霧のようなものが発生している事に気付く。

そのジークの口にした疑問に答えたのは、白焔の檻に囚われているはずの黒音だった。

 

「正解にゃん♪」

 

「黒…音…」

 

「ありゃりゃ、これはもう動けそうにないわね。じゃあ勝負ありにゃ」

 

そう言って黒音は、指をパチン‼と鳴らし、霧を消した。

 

「動ける……ハァ、また負けか」

 

動けるようになったジークは起き上がり、悔しそうに呟いた。

 

一方黒音は、満足そうに頷く。そして胸元から、スクロールを一つ引っ張り出し、ジークに向かって投げる。

 

「にゃはは、お姉さんに勝とうなんて10年早いにゃ。まぁでも、十分楽しめたから、プレゼントにゃ」

 

「ぉっと。ありがとさん。え~っと『魔法紙:火球連弾(ファイアーボール)』か……ん?連弾?ちょっと黒音さん?これは」

 

受け取った魔法紙を広げて、中身を確認したジークだったが、技名がおかしい事に気付く。すぐさま黒音に確認を取ろうとするが、姿が見当たらない。辺りを見回すが、人影すらない。

 

「結局、勝ち逃げか……」

 

 




~キキのスキル紹介コーナー~

キキ:今回はジークが使用したスキルとアビリティについて、解説するよ!

   まずはアビリティの「獣人化」
   一定の能力値に達すれば、獣人種プレイヤーなら誰でも使用できるものだよ!
   
   さらにこの獣人化、元が人型か獣人型かで、変化する見た目も違ってくるの。
   
   例えば見た目が人の狼の獣人と、耳や尻尾などがある人型の狼の獣人
   前者が獣人化を使うと、耳や尻尾などがある姿に変化するんだ。
   一方後者は、完全な獣。つまり狼になるんだよ。

   この違いには意味がちゃんとあって、ベースになっている獣によって、強化内容が違ってくるの。
   

   次にスキル「白焔」だね!
   これは焔の揺らめきを相手に見せる事で、幻惑をかけるスキルだよ。
   ただし、命中率は物凄く低いのが難点だね!
   
   どうやらジークは、修行を積んで面白い使い方をマスターしたみたい。
   「白焔牢」は「白焔」で相手を囲んで、確実に相手に幻惑をかける応用技だね。

   
   今回はこれくらいかな?
   最後に私から一つ。元が強力なスキルだと、弱点は多い。
   けど、弱いスキルは応用がききやすい。
   ジークがやって見せたみたいに、どんな弱いスキルであっても、使い方次第で強くなるんだよ!
   

   



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