王都郊外の平原で、ジーク・レイアはある人物と再会していた。
「残念でした~、出直してくるにゃ」
その人物は初めてあった時同様に、黒い着物を派手に着崩しながら戦っている。
いやちょうど挑戦者に、止めを刺したとこだった。
今の彼女は「エロそう」から、「妖艶」な女性にみえる。
「次の相手はキミかにゃ?」
「アンタには、恥じらいってもんは無いのか!まぁ、眼福だから良いけど……」
「私はこの着方が気に入っているの。それに、眼福ならあなたも嬉しいって事でしょ」
うぐ、確かにその通り……痛い所をついて来るなぁ。
しっかし、この着方が好きって、流石に崩し過ぎな気がするぞ。あれ、あと少し崩したら、痴女だろ。いやそもそも、着崩しのギリギリラインをいっているから、単純にエロいじゃなくて、妖艶に見えてくるのか………
ジークが黒音の着崩しについて悶々と考えていると、黒音が確認の質問をしてくる。
「で、何か悩んでいるところ悪いけど、キミはどっちにゃ?」
黒音の質問で我に返る。そうだ、今回の目的を忘れるとこだった。
「もちろん、挑戦者だ」
「そう、分かったにゃ」
いまジークは、イベントに挑戦しようとしていたのだ。イベントを利用した、リベンジを……
今回ゲット出来るのは、普通に手に入れようとしたら高価スキルアイテム。
イベントで手に入れる事が出来なくても、普通に買うことが出来る。けれど、高すぎて買えない。ジークはマキナに友人割りにしてくれと頼んだが、断られた。
つまるところ、条件さえクリアしてしまえばタダで手に入る今回は、チャンスと言うことだ。
手に入るアイテムの効果とランクは、挑戦する相手によって違うらしい。運営からの情報では、ギルマスが最上級まで、席付きが中級まで、普通のギルド員は低級らしい。
取り合えずマキナを抑えようと思って、連絡を取ろうとしたが、マキナを含め神秘の図書館関連の相手や場所には、連絡が取れなくなっていた。
「確か…ジークだっけにゃ?」
「ジーク・レイア。初イベントの時に、アンタに武器を壊された、獣人だよ」
「あぁ~あの時の。って事は、リベンジを含んだ挑戦かにゃ?ま、私は戦えれば何でもいいけどにゃ」
その後捜しに捜してようやく、黒音を王都郊外の平原で見かけた、と言う情報を得たのだった。
黒音が出す条件は、「
挑戦者の多くは、黒音の多彩な技か、着崩され衣装から覗き見えるモノに釘付けになって負けるらしい。確かに戦闘になるとチラチラと見えるだろう。しかも本人がそれを気にしないのだから、男とくに童貞プレイヤーには、刺激が強いだろう……
とにかく、前は負けたが今回はそうはいかない。なんたって、相棒がいるからな。俺だって前より先頭の幅は広いんだ。
「相変らず、って言ったところか」
「そうれはどうかにゃ~?」
情報通りなら、既に試合は始まっている。そう、視覚的な心理戦が……
そんな事を考えていると、黒音が条件を提示してきた。
「ん~そうね~。じゃあジークへ出す条件は、「わたしを楽しませること」にゃ」
「楽しませる?」
「そうにゃ。さあ、キミはどう応えるにゃ」
楽しませるって……デートでもするのか?いや、黒音は基本戦闘狂なはず……
それなら最善手は……
そこまで考えると俺は、腰に下げていた相棒を引き抜き構える。
「なるほどにゃ。じゃあ始めましょうか」
そう言うと黒音も拳をかまえた。