ゲームマスターと制作者
「と言う事は、システム自体は取られていない、って事か?」
『はい。どうやら初めから、一部のAIたちに仕込んであったのだろうと、彼女は推測していました』
「運営・管理を任せるって、そう言う意味も含んでいるのか……」
『ねぇねぇ、ルル。ナナ姉とマスターは、何の話をしているのかな?』
『さぁ?ナナお姉様からは、「少し待ってなさい」って言われただけだから…』
『あの子たちに、話しておく頃合いなのではないですか?』
「……かも知れない」
『では二人を入れますね』
「ちょ、ま」
『あ、お話しは終わったの?』
『それでお姉様、何のお話しをしていたのですか?』
「…はぁ、仕方ない。二人とも、離反したAIたちは把握しているか?」
『えーっと、確か最近判明したのは、クロムウェルのおじいちゃんだっけ?』
『ほかにも数人程、でしたっけ?』
「現状の認識でそれなら、十分だ」
『遅かれ早かれ、離反する者たちが出て来るのは、仕様上解っていましたから、対策しなかったのですが……不味かったですか?』
『ルルの判断は間違っていません。元々そう言う作りですしね』
『では…』
「まず一つ、第一世界のストーリーキャラ、スフィア。本来死亡しているはずのキャラが、第二世界で目撃された。二つ、解放待ちだった第三世界が、侵略された」
『第一世界の段階から、介入されていた可能性がある訳です』
『どう言う事なの、ルル?』
『マスターとお姉様の話を合わせると、重大なバクの可能性が発見された、ってこと。でも変ですよね、お姉様?』
『流石は法の管理者。気付いたようですね。それについては、マスターから』
「ん、仕様としてこれが正しいらしい。初めから一部のAIは、ゲームマスターから離反して、製作者の指揮下につく様になっているらしい」
『あれ?マスターが作ったんじゃなかったっけ?このゲーム』
「あー、二人には言って無かったんだが、作ったのは私であって、私じゃないんだよ」
『?どう言う事?』
『このゲームの基盤となる部分、その全てはマスターの友人で、私たちの親である人が作り出したんですよ。マスターはお母さまから、このゲームの完成とサポート役として、null状態のあなたたち姉妹を託されたのです』
「託す…ってよりは、押し付けってたな。まぁ、元々一枚かんでいた案件だったから引き受けたんだ」
『衝撃のカミングアウトだね』
『言うわりには、驚いていないように聞こえるわよ、キキ?』
『だってねー、ルル?』
『『マスター、機械の扱い下手 だもん』ですもん』
『あらあら、ですってマスター』
「おぅ……まぁ、分かっていたけどね?ハッキリ言われると……はぁ、とにかく、私はその制作者から任されたのは、ストーリー性とゲームの管理だったの」
『二人とも、分かりましたね?』
『はーい』
『はい、お姉様。機密事項については、理解しました。それで今後はどうするのですか?』
「このまま進めるしかない。 の話だと、元のシナリオを基に常に制御していくって」
『『 ?』』
『番外の姉妹ですよ。彼女は、このゲームの中心、つまり核なのです。私たちの権限は、彼女の権限の一部を、移したものです』
「んっん、とにかく、これからは現場に出向く事になると思って」
『それって、私たちもマスターみたく、ゲームをしながらチューニングをしていくって事?』
「そ、ナナの指示に従ってだけどね。と言ってもキキは、スキル管理、ルルは離反者の取り締まり。二人には、この二つをやって貰う感じかな?」
『え~、今までと変わらないじゃん』
『そんな事言わないの』
『お仕事さえしっかりしていれば、後は自由ですよ』
『『はーい!』』
「ナナが言うと聞き訳が良いのね……」
『まぁまぁ。それよりもマスター、例の件、許可が取れました』
「ん、そうか!よーっし、ならプレイヤー・住民の戦力強化を兼ねた魔導書配布イベント、開始するか」
前回の後書きの補足を少し
『第二章世界のキャラかプレイヤー(ジーク以外)で』といいましたが、プレイヤーキャラに関しては未登場キャラでもOKです。
あと募集期限ですが、次の更新日から五日後、1月16日までとしたいと思います。
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