「……私はここで待っているから、アインズたちで図書館の中へ行って来て」
「?それは構いませんが、ここまで来て一体どうしたのですか?」
図書館を目前にして、急に外で待っていると言い出したリリスに、不思議そうに聞き返したアインズ。
聞き返されたリリスはと言うと、要領を得ない回答をしており、その様子は何か隠しているようだった。
そんなやり取りを見かねた、訳知りのシャロが口を開いた。
「リリスちゃんと私は、アイシルク王国のスヱリア出身なんだけど」
「ちょ、ちょっとシャロ!」
「よく二人で王都まで遊びに来ていたの。その時ね、図書館で知り会った人たちがいるんだけど、何て言うか…そう!個性的すぎる人が居てね……」
「なるほどッス」
「しかし、今更ではないか?」
マニーズの言う通り、既に目的地の前。
図書館の入口、扉の前に居るのである。
ここまで来たのなら外で待つも、中に入るも大して変わらない気もするが、リリスには大きく違う事らしい。
「あのー、皆さんー!扉が勝手に開いたんですけど……」
そう言ってクロウは扉を指差す。見ると確かに先程まで閉まっていたはずの扉が開いていた。
「これって、『入れ』って言う事じゃないですか?」
「そう言う事だろう。リリス、覚悟を決めて案内したらどうだろう?」
「うぅ~、分かったわよ…。…みんな、猫の人には気を付けてね」
そう言うとリリスは、その人物がいませんようにと祈りつつ、中に入って行った。そんなリリスの後にシャロが続き、アインズ、マニーズ、クロウ、エイマル、セツキの順に入って行く。
中に入るとそこは普通の図書館だった。
本を読むためのスペース、棚にはギッシリと本が収められ、建物の中心には二階へと続く螺旋階段がある。
そして図書館独自の静けさもある。がそれは当然だろう。何せ部屋を見回しても、人が見当たらないのだから。
「なんで、人が居ないのかしら?」
「お父さんが言うには、先生みたいな『プレイヤー』って言う人たちの所有物になっていて、依頼がある人しか来ないらしいの」
アインズのつぶやきにリリスが答える。
それを聞いてアインズたちは納得するが、セツキは新たな疑問を口にした。
「リリス、図書館の所有者の名前は分かるかしら?」
「えーっと、確か」
「ギルド『
「そうそう、神秘の図書館………って誰?」
リリスが答えようとすると、図書館の奥から現れた人物が答えた。
「ようこそ、インテリジェント研究会の皆様。話は、先輩から、聞いています。そして、お久しぶりです……姉さま」
「あの人、姉さまって言ったッス」
「リリスさんかシャロさんの妹さんですか?」
「けど、二人とも似てないね?」
「と、なるとまさか……」
視線はその人物に向けられる。向けられた人物は肯定するように、そして生徒たちからすれば衝撃的な事を言い放った。
「えぇ久しぶりね、シン。もしかして……とは思っていたのだけど、マキナったら本当に図書館をホームにしていたのね」