ジークと別れ中央広場に行くと、広場の一割が埋まる程度の人が集まっていた。
「相変わらず、何処も人が多いなぁ」
ジークと合流する前に町の中を見て回ったが、どこもプレイヤーで一杯だった。その時と比べると少ないかもしれないが、それでも広場には、十分すぎる人がいた。
『やぁ、プレイヤーの諸君。私の創った世界へようこそ、楽しんでくれているかい?
貴重な時間を使って、この場へ来てくれた諸君らには感謝しよう』
声がした方を向くと、広場上空にローブを着た人物の映像が出ていた。どうやら、顔を見せるつもりはないらしい。
『改めて、大体は事前情報にあった通り、種族能力やスキル効果などは全てAIが管理している。
なので、様々なスキルを習得し効果を楽しんでくれたまえ。
それではここから先は、情報に無かった事を話そう』
先ほどまで、雑談しながら聞いていたプレイヤー達が静かになった。やはり、未公開だった情報は誰でも気になるらしい。
『このBWOには、多くのダンジョンや町が存在している。ダンジョンでスキル上げや、町で商売をするのもいいだろう。
しかしながら、今存在している町やダンジョンはほんの一部に過ぎない。
なぜなら、他にいくつもの世界が存在するからだ。
ここは第一世界、テーマは「人間の世界」だ。他には、浮遊や神話をテーマにした世界とまぁ、色々用意している。
だが今の段階では、行く事は出来ない。
他の世界に行くためには、その世界での課題がクリアされる事が条件だ。課題は、諸君らのクエストの進行具合に応じて、解放される。
今回は、少し課題のヒントを上げよう。
この始まりの町「ウォルド」はロイヤル・ガーデン州「アイシルク王国」に属する街だ。
課題の舞台となるのはこの、「アイシルク王国」と「テール共和国」そして、「メフィス帝国」だ。
王国と共和国は長い間、友好関係にあった。
だが王国の一部の者たちは、それをよく思わず、自分たちが支配しようと考えた。 そして今では、共和国は帝国となってしまった。
ヒントはこの位にしておこう。残りは、クエストを進め、知っていく方が楽しめるだろう。
話を戻そう、課題がクリアされると、新たな世界に行くためにトランスポートゲートが、解放される。これを繰り返す事で、行く事の出来る世界が増えていくわけだ。
諸君らの手で、この空白な世界を広げてくれたまえ』
どうやら『Blank World』とは、空白な世界であり、プレイヤーたちの手で広げていくことが前提らしい。
このゲ―ムマスターは、随分と変わっているな~。まぁAIに管理を任せている時点で、分かってはいた事だけども。
『最後に2つ、明確なゴールが無いのも、面白くないだろう。私自身も、プレイヤーとして参加する。
そこで、私を捜し出す事をグランドクエストとしよう。簡単に言えば、かくれんぼだな。グランドクエストと言っても、特に何かがある訳では無いから期待しないでくれたまえ。
まぁそうだな、まだ話してないこの世界を創ったわけや、このBWO内の望みぐらいなら叶えようかな。
次に、ここに集まってくれた諸君らには、ささやかな贈り物をしよう。何が起こるかはお楽しみに』
そう言うと広場にいた全員に、アイテムが配られた。アイテム名は『引換券』だが、実体化させると券ではなく、指輪だった。その場にいるもの全員が不思議そうにしていたが、製作者の話はまだ終わっていなかった。
『見ての通り、それは指輪だ。それは今から3時間後に装備していた者に対して発動する。
戦闘で負ければ、権利が移動するが、圏内では戦闘が出来ないから安心したまえ。
まぁ、このセレモニーに参加していない者が狙う事は無いだろう。それに、複数手に入れたとしても、装備できていないと無効となるから大丈夫だろう。
では、以上でセレモニーを終了とする。諸君らが楽しんでくれることを祈るよ』
今度こそ、終わったようだ。
しかし、あの説明の感じから、これから3時間何かがあるのは確実だな。
まずは、様子見としよう。ついでに、あそこにも行ってみようか。隠れるにも丁度いいしな。
「さて、セレモニーも無事終わったな。本格的に、私も参加しようかな」
プレイヤー達に混じって、セレモニーの様子を見ていたが、まぁ上出来だろう。
問題が起きたと連絡もないし、滑り出しとしては、順調だ。
「それにしても、予想より来ているものだね~。ナナの奴、上手い事のやってくれているみたいだしな。殺気も凄いしこれは、これから始める余興がますます楽しくなりそうだ」
予定では、余裕があったはずなのだが、余りなさそうだ。
まぁ余興の準備は整っている訳だし、私自身楽しんでいこうか。
三時間後の結果も楽しみだし。
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