それがHALO
-オレンジ色の光が見えた……
-その光を浴びた者は皆光となって消えていった……
-俺達は、何故生きている……
-いや、調べるまでも無い
-チーフ達と共に辿り着いた場所で出会った女性……ライブラリアン
-彼女の願いが……俺達を……リベレーターチームを……
-もしかしたら、ダイダクトの船に乗り込み、行方知れずとなったブルーチームも……
「目覚めの時間だよ、イチカ」
「うぅ……ここは……一体」
「UNSCインフィニティ。君の船だ」
「お前は……神か」
「Yes。あぁ、ここではアイザック・オブライエン中佐だよ、イチカ・オリムラ大佐。いや、ここではスパルタン イチカ・オリムラと呼ぶべきかな」
目覚めた一夏を出迎えたのは、如何にもチャラそうな士官。
それが、神だと気付くにはそう時間はかからなかった。
「さて、そろそろ二人を起こしてあげるべきだと思うよ」
「……そうだな」
神が手を指示した先には水色のアーマーと青色のアーマーが倒れていた。
「起きろ、セシリア、カンザシ。倒れてる暇はないぞ」
左手首に現れた空間投影型モニターを操作し、二人を起こす一夏。
二つのアーマーが光に覆われ、そして立ち上がる。
「すみません、イチカ」
「感謝しますわ」
「気にするな、こういうのはお互い様だ。さて、復活したばかりで大変だろうが、状況確認をしたい。手伝え」
「「了解」」
UNSCインフィニティの内部は所々火花が出ているが、これといった損傷は見受けられなかった。
あくまで自分達が回った所だけは。
何せ、全長5,694.2m、全高1,041.2m、幅833.3mという巨大戦艦。
UNSCの軍事車両『ワートホグ』や戦車『スコーピオン』が走り回れるのだ。
その巨大さは推して知るべしといった所だろう。
そしてわかった事がある。
まず、前艦長『トーマス・ラスキー大佐』含む9割近いクルーが死亡した事。
その中にはUNSCインフィニティの制御を担当していたスマートAI『ローランド』も含まれる。
残ったのはスパルタンや海兵隊、ODSTといった戦闘要員999名(自身含む)、直接戦闘には関わらない支援要員1000名だけ。
そしてUNSCインフィニティは未知の星に墜落しているのだ。
「……まて、オブライエン中佐」
「なにかな、オリムラ大佐」
ブリッジで現在の状況を整理していたイチカは、気になることがあった。
それを知るべく、答えを知るオブライエン中佐に質問する。
「お前は俺を転生させる時、戦闘要員や支援要員を2000人つけると言ったが、どう見ても足りないぞ」
「あぁ、その事。残り4人は別口でくるんだ」
「別口?」
「直接あの世界から徴発できなかったからね。だから搦め手を使ったんだ」
オブライエン中佐の回答、その言葉にイチカは思い当たる節があった……
クルーの中には再建造中のHALO:04で死亡したエイブリー・J・ジョンソン上級軍曹が混ざっていたし、ファイアチーム・オシリスのメンバーであるエドワード・バックの元同僚であったルーキー兵長(本名不明)がコヴナント大戦後UNSCインフィニティ所属になってたりと不自然な点が多かったのだ。
既に死亡した面々が生き残って乗艦している。
それも、トップクラスの実力者達が。
「4人……まさか……」
「そのまさかだよ」
「あぁ、うん、その眼で誰が来るのか理解したよ」
イチカは残り4人に心当たりがあった。
そう、人類の救世主にして、コヴナント達からは『悪魔』と呼ばれた彼と彼の『家族』が、最後の4人であるとオブライエン中佐の眼は言っていたのだ。
神の力を以ってすれば、死の運命すら覆せる。
彼等が生きているのはそういう事なのだろう。
「あぁ、そうだ」
「何かな」
「シリウス中隊はどこ行った」
シリウス中隊。
スパルタンIVで構成された中隊で、隊長はダン・ゴタンダ大尉。
言うまでも無く、かつて一夏の友人である男。
部下はカズマ・ミタライ、ラン・ゴタンダ、ウツホ・ノホトケ、ダリル・ケイシー、フォルテ・サファイア、スコール・ミューゼル、オータム(本名不明)の7名。
総勢8人のスパルタンIVで構成された戦闘部隊だ。
かつてのイチカも、名前だけは知っていた。
だが、ダイダクトとの戦いにおいてシリウス中隊は別任務に当たっていたのでUNSCインフィニティには乗艦していなかった。
そのせいか、今回の『転生』において自身が指揮する部隊に属するセシリアとカンザシこそいたが、彼等はいなかったのだ。
「あぁ、彼等か。彼等も別口だよ。ちょーっとてこずっちゃってね」
「シリウス中隊もこの星に来ているのか」
「あぁ、来ているよ」
「ならいい」
かつての友人達との再会が楽しみなのか、頬を緩ませるイチカ。
すると……
「あぁ、そうだ。せっかくだから君に追加戦力の情報を渡しておくよ」
「何?」
紙の資料を何処からともなく取り出し、イチカに渡すオブライエン中佐。
怪訝そうな表情で資料を受け取り、中身に目を通したイチカは頭を抱える事になる。
「駐屯地娘?CVエクリプスクルー及び搭載機動兵器?お前は一体何を考えてる……いや、何を隠している」
イチカの目が鋭くなる。
サイドアームとして保有していたM6Dハンドガンに手をかけ、いつでも撃てるようにする。
「理由の一つは、今の人員ではこの艦を動かすには人手が足りなすぎる。であるならば、人員を何処からか補充しなければならない」
「ならば『あの戦い』で戦死したクルーで良かったはずだ」
「それは出来ない」
「何故だ」
「私の『権限』では、かの世界から徴発できるのはこれが限界だからだ」
「権限?」
「神は一人だけではないよ、イチカ・オリムラ大佐」
「なっ!?」
明かされる衝撃の事実に驚愕するイチカ。
「そうだね……これ以上隠し事すると撃たれそうだから、僕の本当の目的を話そう」
「話せ」
M6Dハンドガンの銃口をオブライエン中佐の頭に向けるイチカ。
「僕の……いや、僕達神々の総意は、あの男を始末する事だ」
「お前達の力では始末できないのか?」
「当初はそのプランだった。その為に掃除屋……クリーナーを用意した。だが、クリーナーはあの男の手に落ちてしまった。だから予定を変更し、君を強化してあの男にぶつける事にした」
「何故俺なんだ」
「君は死の間際、あの男に呪詛の言葉を残した。それに、君はあの男に色々と奪われ過ぎた。このまま奪われっぱなしは嫌だろう」
「確かに、奪われっぱなしは嫌だが……」
「だから、私が君をクリーナーに推薦し、そしてそれは承認された。私はあの男を転生させた責任を取るべく君の補佐に就く。これが、神々が出した結論だ」
「成程な……」
銃口を下すイチカ。
「神の意志で人は生まれた、けれど人の意志を神は操れない。最早あの男に我々の意志は伝わらない、だが君には伝わる。あの男や君の様に神の意志で転生した者は多い。道を外れ、神の意志に背いた者は例外なく始末された。だが、あの男はそれすら背いた、これは由々しき事態だ」
「傲慢だな。まるでフォアランナーだ」
最後のフォアランナー『ダイダクト』の事とレクイエム……『彼等』がそう呼んでいた地に残されたライブラリアンのメッセージを『神々』に重ねるイチカ。
「そうだね、君の言う通りだ。我々の傲慢さがあの男を生んだのであれば、それは改善せねばならない」
「もっと早くに改善してほしかったがな……まぁ、いい。お前達神々の目的が奴を始末する事だが、このままほっといても奴は死ぬんじゃないのか」
「確かに死ぬ、だが本当の意味では死なない」
「何?」
「彼は限定的な不老不死と世界移動能力、そして再生能力を持つ。故にあの世界が滅んでもあの男にとっては痛くも痒くもない。例え死んでも別世界で復活できてしまう」
「面倒臭い奴だなオイ……」
「力を与えた僕が言うのもアレだが、本当にそう思うよ」
ため息を吐くイチカとオブライエン中佐。
「とりあえずだ、僕達神々の意志は理解してもらえたかな」
「あぁ、理解したよ」
「では、始めよう。我々のミッションを」
今、異世界にて新たなる無限の剣が生まれた……
2552/08/30 20:00 Reach
「これが、私の罪……」
接近してきた自爆グラントをM392マークスマンライフルで射殺する一人のスパルタン。
右腕は義手に、アーマーもボロボロ。
それでも、『彼女』は戦い続ける。
己の罪を償う為に……
「……を裏切り、見捨てた」
接近してきたエリートの首を圧し折り、プラズマライフルを奪い取る。
「だから私は戦う。戦わなきゃいけないの」
前世の記憶がある。
好きだった
そして、転生した。
神の意志によって……
「私が
神は言った。
お前は咎人だと、咎人は罪を償わなければならないと。
お前の意思の有無に関わらず、成した事は罪であると。
お前が敵を殺せば、それだけ『
「だから、死ね」
迫りくるジャッカルにプラズマライフルをエネルギーが切れるまで撃ち込み、動きが止まった所を全速力で接近し、頭にナイフを突き立て、ニードラーを奪い取る。
「彼が生きるために」
レイス……コヴナントが使う戦車が砲撃しながら迫りくる。
だが、彼女は慌てず、背中にマウントしたM6スパルタンレーザーを構え、チャージし、発射。
レーザーの直撃を受けたレイスは搭乗していたエリートごと爆散し、近くにいたコヴナント達を巻き込んだ。
「私はもう、帰れない」
ただ一人、
志願=死であったが、彼女はそれを引き受けた。
自らの贖罪の為に。
「だから、一人でも多く、殺す」
いつの間にか、彼女の周りには戦死した他のスパルタン達やコヴナント達の死骸の山が出来上がっていた。
それでも彼女が戦う事を止めない。
「ぐっ……!?」
ヘルメットのバイザーに罅が入り、視認が困難になる。
彼女の判断は早かった。
ヘルメットを投げ捨て、戦闘を続行する。
茶色の、ツインテール。
本来であればUNSCの服務規程に違反する髪型。
しかし、彼女は意地と特例で無理やり認めさせた。
「まだよ……まだ終わらない!」
弾切れやエネルギー切れになった武器を投げ捨て、拾い、撃ちきり、投げ捨て、拾い、撃ちきり……それの繰り返し。
だが、それも限界に近い。
いくらスパルタンと言えど、体力は無限ではないのだ。
「ここが……この場所が、私の魂の場所よ!」
では、何が彼女を支えているのか?
それは意志。
それは後悔。
それは勇気。
様々な想いが彼女の中で交錯する。
「私は……私はっ!」
迫りくる白いエリートをMA37アサルトライフルで蜂の巣にする彼女。
背後からエナジーソードを構えて迫りくる黄色のエリートをタックルで押し倒し、M6Gマグナムでトドメを刺す。
四方八方から射撃を浴びせられ、態勢を崩しながらも攻撃の手を緩めない彼女。
しかし、遂にエリートの接近を許してしまい、押し倒されてしまう。
が、押し倒し、エナジーソードでトドメを刺そうとしたエリートを蹴り飛ばす。
「このっ!」
最早、これまでだった。
倒された時点で、勝敗は決していた。
「上出来だぞ、人間」
自らを押さえつけ、エナジーソードでトドメを刺そうとするエリートからの賞賛の言葉。
彼女には、最早抵抗する力すら失われていた。
「名を聞こう、人間」
「…ァ…、フ……・リ…イ…よ。アンタは?」
「ゼル・ヴァダムだ」
その言葉と共に彼女の心臓にエナジーソードを突き立てるエリート。
彼女が、何を思ったのか。
それを知るのは、神のみである……
????/??/?? ??:??
「起きろ、ノーブル・シックス」
懐かしい声。
「おいおい、まだ寝てるのかコイツは」
「キャット、起こしてやれ」
「起きなさい、シックス」
揺さぶられた事で目が覚める。
目に入ったのは、死んだはずの仲間達。
「ここは……それに、どうして皆生きて……」
「理由はわからん、だが我々は生きている」
立ち上がり、辺りを見渡す。
それは、不思議な光景だった。
大地の先が上へ向かい、真上の緑の惑星の上に消え、そして自分達のいる場所まで続く。
「まるで、リングの内側に立っているような感じね」
「あぁ……」
「我々は、リーチにいた筈……なのに、ここは何処だというのだ……」
ノーブル1、カーター中佐の問いに答えられる者は、何処にもいなかった……
現在のノーブル・チーム
カーター中佐-A259(ノーブル1):生存
キャサリン少佐-B320(ノーブル2):生存
エミール准尉-A239(ノーブル4):生存
ジョージ准尉長-052(ノーブル5):生存
■■■■■■■■少尉-B312(ノーブル6):生存
現在の戦力
・UNSCインフィニティ
├スパルタン60名
├ODST120名
├海兵隊819名
├医療・操艦・技術スタッフ1000名
└エンジニア30匹
主なスタッフ
・イチカ・オリムラ大佐(スパルタンIV、リベレーター中隊隊長、UNSCインフィニティ艦長)
・カンザシ・サラシキ准尉(スパルタンIV、リベレーター中隊所属)
・セシリア・オルコット准尉(スパルタンIV、リベレーター中隊所属)
・アイザック・オブライエン中佐(ONIエージェント、神)
・サラ・パーマー中佐(スパルタンIV)
・ジェームソン・ロック少佐(スパルタンIV、オシリス中隊隊長)
・エドワード・バック准尉長(スパルタンIV、オシリス中隊所属)
・ホーリー・タナカ准尉(スパルタンIV、オシリス中隊所属)
・オリンピア・ヴェイル准尉(スパルタンIV、オシリス中隊所属)
・ヴェロニカ・デア少佐(ONIエージェント)
・タイラー・マイルズ伍長(ODST)
・コージョ・アグ上等兵(ODST)
・マイケル・クレスポ上等兵(ODST)
・ルーキー兵長(ODST)
・キャサリン・エリザベス・ハルセイ博士
・エイブリー・J・ジョンソン最上級曹長
・ヴァージル(エンジニア)
他多数の海兵隊・支援スタッフが在籍