今日行われるエキシビジョンマッチにおける僕の対戦相手が元龍王の最上級悪魔である「
「お前が今代の赤龍帝にして、歴代の赤龍帝を統べるという
この方が元龍王であるタンニーン様か。そう思っていると、タンニーン様は僕を通してドライグに呼びかけ始めた。
「久しいな、ドライグ。聞こえているのだろう?」
しかし、ここはドライグに代わってグイベルさんが返事をする。
『ごめんなさい、タンニーン。ドライグはオーフィスとの戦いで魂の力を使い果たした影響でまだ眠っているのよ』
すると、僕の左手から聞こえてきた声がドライグの物でなかったのが予想外だったのか、タンニーン様は驚きを露わにした。
「ドライグではない、だと……! それにその声。まさか、ドライグの奥方のグイベル殿か!」
『えぇ、その通りよ。この子、一誠にはドライグだけでなく私の魂も宿っているの。……いいえ。正確には、私が意識を取り戻した事で
グイベルさんが事情を説明し終えると、タンニーン様は理解を示してきた。
「成る程。俺の知る赤龍帝と比べてもドライグの魂の波動が強く感じられるのは、ドライグの魂が赤龍帝の籠手の封印から解放された状態になっているからか。……それにしては、余り騒ぎになっていない様だが」
確かに、
『一誠の知らない所で緘口令でも敷いていたのかしら? そうなると、サーゼクスやアザゼル、ミカエルにはちょっと悪い事をしてしまったわね。でも、これまでに一誠がやってきた事が色々と常識の斜め上な事ばかりなのだし、実はドライグ達が封印から解放されていたと言われても、私としては「何を今更」って感じなのよ』
「……グイベル殿。流石にそれはないと俺は思うぞ」
頭痛を堪える様に手を額に当てる素振りを見せるタンニーン様に、グイベルさんは同情的な言葉をかけると共に随分と酷い言葉を言い始めた。
『私だって最初はそう思ったの。でもね、ドライグから二ヶ月程の眠りから覚めるまでの代役を頼まれてから実際に一誠と接していく内に自然と慣れてしまったわ。何というか、一誠自身もそうだけど周りもまた色々とおかしいから、慣れてしまわないとやっていけないのよ』
「……今代の赤龍帝は既に俺の理解を超えているのだな。つまり、無理に理解しようとして頭を悩ませるよりは「そういうものだ」と諦めて受け入れてしまった方が遥かに利口という事か」
タンニーン様はそう仰ると、諦めた様にグイベルさんの言葉を受け入れてしまった。
「さて。立ち話もこれくらいにして、そろそろ始めるか」
タンニーン様はここで話を打ち切って、本題であるエキシビジョンマッチを始める事を持ち掛けてきた。しかし、その前にやる事が僕にはあった。
「申し訳ありませんが、今からこの戦いの立会人を呼び出しますのでもう少しだけお待ち下さい」
「立会人? その様な話は聞いていないが?」
僕の口から立会人という言葉が突然出てきた事で、タンニーン様は首を傾げている。その為、僕は事情を説明する事にした。
「それも無理はありません。呼べるという確信が持てる様になったのは、今日ですから」
「解った。では立会人を呼ぶといい。それまでは待っていてやる」
「タンニーン様、ありがとうございます」
立会人を呼び出すまで待ってくれるというタンニーン様のご厚意に甘える事にした僕は、早速立会人に声をかけ始める。
「僕は知っているぞ。グイベルさんが毎日少しずつ、本当に少しずつ自分の魂の力を分け与えていた事を。そのお陰で当初は二ヶ月という見込みだったのが既に半分程で済む様になっていた事もな。だから、いい加減に狸寝入りをやめたらどうなんだ?」
そして、僕は確信を持って立会人の名前を呼んだ。
「なぁ、ドライグ?」
『……フン。やはり気付いていたか。付き合いが長いというのも考えものだな』
僕の呼び掛けにあっさりと応じてきたドライグに驚いたのは、グイベルさんだ。
『ドライグ。貴方、既に起きていたの?』
『あぁ。……と言っても、つい二日程前に一誠がケルトの連中と接触を持った時だがな。ただ目覚めたのはいいものの、以前には感じられなかった息苦しさを感じてな。それでどうも様子がおかしいと思っていた所に、俺が意識を取り戻した事に気付いた
ドライグからの意外な言葉に僕は少し驚いたが、グイベルさんの方はむしろ面白そうな反応を見せた。
『あら、意外ね。アルの反応から見て、貴方も「奴が
『フン。これでも一誠とは親二人とイリナに次いで長い付き合いなんだ。今お前が言った様な気持ちもけしてない訳ではないが、コイツを長年見ていれば心境の一つや二つは変わりもするさ』
明らかにそっぽを向きながら言っていそうなドライグの台詞に、今度は僕が笑い出しそうになった。何とも素直でない親友である。その一方で、グイベルさんはドライグの心境の変化に理解を示した。
『その気持ち、私も解るわ。付き合いが一月程しかない私だって同じだもの』
『そうか。……いや、それもそうだろう。一誠の感性は明らかに俺よりもお前の方が近い。ならば、感化されるのが俺より早いのも当然だな』
『流石はドライグね。私の事も一誠の事も良く解っているじゃない』
……完全に夫婦の会話を始めてしまったドライグとグイベルさんに割って入る勇気は僕にはなかった。だが、タンニーン様は違った。
「ドライグ、グイベル殿。夫婦で楽しく話をしているところを申し訳ないが、これだけは確認させてくれ。赤龍帝の小僧、立会人というのは今目覚めたばかりのドライグという事でいいのか?」
タンニーン様がドライグとグイベルさんの会話にあえて割って入ってくれた事に内心感謝しながら、僕はタンニーン様に答えを返す。
「はい、その通りです。ですが、もう暫くお待ちを。これから
「……どういう事だ?」
タンニーン様が訝しげにしているのをあえて無視した僕は、神器を赤龍帝の籠手として発現すると同時に倍加発動のカウントダウンを開始した。その上でドライグに最終確認をする。
「ドライグ、いけるな?」
『あぁ。既に呪文は完成している。それに今からやろうとしている事には
「ドライグの姿を
『Maximum Boost!!!!!!』
「では、始めようか。ドライグ」
『あぁ、始めよう。一誠』
そして、僕達は今後における最大の切り札となる筈の新たな能力を発動し始めた。
Side:アザゼル
「……始まりますね」
VIP席でイッセーとタンニーンのエキシビジョンマッチを観戦している俺の隣に座っているミカエルからの言葉には、軽い溜息が混じっていた。確かに、今から始まる事を思えば溜息の一つや二つは吐きたくもなるか。ただ、今ここに来ている奴等の事を思えば、軽く笑い飛ばせる様な事にはならないんだよなぁ。実際、「なんでお前まで来ているんだよ?」って奴がかなりの数に及んでいる。
……高天原から
……だがな、ハーデス。テメェは駄目だ。何だって所属神話の主神の兄貴がわざわざこんな所に来てるんだよ。しかもイッセーと初めて接触を持ったのは、それこそ昨日の今日だろうが。一体、何を考えてやがる? 俺はハーデスの様子を伺っていたが、どうやらハーデスは今回ここに来た意図を隠す気がないらしく、俺と同等の力量を持つであろう最上級死神を相手に堂々とイッセーについて語っていた。
《ハーデス様、よろしいのですか。一応、あの者はコウモリの要素を持っているのですが》
《確かに私はカラスとコウモリを認めてはいない。死者の魂を冥府に誘い安息を与えるという我等の管轄を侵害し、更には悪魔としての生を強要する様なコウモリ共は特にな。だが、死者に対する礼儀を知っている者についてはその限りではない。何より、あの赤龍帝はあのヘラクレスが人としての生を終えた後にケルトの地へと流れたマルミアドワーズを我等の元へと返す様にケルトの神々に働きかけ、その上でオリュンポスに話を持ち掛ける為の伝手として冥府の神たる私を頼り、更にはオリュンポスへの返還の話が纏まればマルミアドワーズを私に託すと断言した。あの者は、これらの事を通して我等に対する敬意と信頼を示してみせたのだ。ならば、偽りなき赤心に対しては神の一柱としてしっかりと応えてやらねばなるまい? 我等は他人の領地に平然と踏み入り、そこに住まう者達を食い物にする様な恥知らずのコウモリ共とは違うのだからな》
《確かに。死したる者を安息の地たる冥府へと案内する務めを担う我等死神に対して嫌悪するどころか敬意を示す者など、それなりに永く生きてはきましたが数える程しかおりませぬ。あの者はその数少ない者の一人。そこらの恥知らずなコウモリ共と同列に並べるなど、あの者に対して無礼にも程がございました》
あの骸骨神、部下と一緒になってイッセーを褒め称える振りして俺達にケンカを売ってやがる。そもそもイッセーに対する称賛自体が余りにやり過ぎで本気とは到底思えねぇ。だが、だからと言って売られたケンカをこっちが買った場合、待っていましたとばかりに「己が過ちを認めぬ様な野蛮なコウモリ共に赤龍帝は預けておけぬ」と言い放ってイッセーを自分達の陣営に掻っ攫うつもりだ。それに、向こうの言っている事の内容自体は至って正論であるだけに、こっちからはそう簡単に反論できねぇ。……堪えろ。そして貴族共にも堪えさせろよ、サーゼクス。連中の言い分に一言でも反論した瞬間、こっちの負けだからな。
政治的には火花がバチバチ散る様な熱い駆け引きが続いている中、イッセー達が遂に行動を開始した。
『我、目覚めるは』
覇龍と思しき呪文を唱え始めたのがドライグであると知って、観客はどよめき始めた。……そりゃ、そうだよな。初めてコイツを見た時には、俺はおろかミカエルやサーゼクス、果てはアリスやヴァーリ、アルビオンですら完全に言葉を失っていたからな。
『未だ知られざる天へと挑む赤き龍の帝王なり』
……それだけに、ドライグ自らがこの呪文を唱えている事に大きな意味がある。
『無限の和を
このVIP席に集まっている観客の中でも特に永い刻を生きている連中はこの呪文の一節を聞いて唖然としている。まぁ無理もないか。アレだけ覇に拘って
『我、王覇を超えし新たな赤を纏う天の龍帝と成りて』
そして、
『汝に無窮なる静謐へと続く真道を授けよう』
……でなきゃ、「与える」でもなく「導く」でもなく「授ける」なんて言葉は出て来ねぇ。真道を押し付けるのではなく、真道まで手を引っ張っていくのでもなく、ただ真道があるって事を教えるだけなんだからな。
『Juggernaut Drive!!!!!!!!!!!!』
そして、極大倍加で小さな世界を形成する程に増幅された膨大なオーラがイッセーの周りに集まってドライグの姿を形作る新型覇龍が完成したところで、今まで高速神言で呪文を唱え続けていたイッセーが初めて通常の呪文詠唱を始めた。
「故に、我が声に応え現れ出でよ! 汝、
呪文詠唱と同時に両手を横に広げると、イッセーの頭上に巨大な魔方陣が展開される。中央に描かれた紋章の意匠は、ドライグのものだ。そしてイッセーの体から六個の
「ア・ドライグ・ゴッホ!」
イッセーはドライグの真名を呼びながら、右手を大きく天に掲げた。それに合わせて、イッセーを覆っていたオーラがドライグの姿を模ったまま、円を描く様に動く六個の兵士の駒と共にイッセーから離れていく。そして、オーラと兵士の駒は次第に上昇スピードを上げていき、イッセーの頭上に展開された魔方陣へと勢い良く飛び込んだ、その次の瞬間。
「オォォォォォォォッッッ!!!!!!」
イッセーの呼び掛けに応じる様に、魔方陣を通り抜けたドライグの生の雄叫びが響き渡る。……そう、生の雄叫びだ。神器越しじゃねぇ、正真正銘その肉体から発せられた雄叫びだ。生前の姿を模ったオーラと六個の兵士の駒と共に魔方陣を通り抜けた事で、その魂を実体化させたドライグが天に向かって雄々しく叫ぶ様は正に威風堂々。龍王と龍神の狭間にあるドラゴンとして特別視される天龍の名に相応しいものだった。そして、ドライグはここで改めて名乗りを上げる。
「我が名はア・ドライグ・ゴッホ! 天を背負いし
……そう。これこそがイッセーとドライグ、そしてグイベルが切り拓いたドラゴン系神器の新たなステージ。覇龍で神器から引き出す対象を封印されているドラゴンの力でなく魂そのものとし、生前の姿を模った膨大なオーラと媒体(イッセーの場合は自分に使用されている
第二話
神器に封印されたドラゴンの魂から力の一部だけなんてケチ臭い事は言わずに、ドラゴンの魂そのものを直接引き出す。だから、覇龍を超えた真なる覇龍。また、ドラゴンという圧倒的な破壊を齎す力の権化を降臨させる。だから、
それだけに、あの二天龍の片割れが実体を伴って復活したとも取れる今の光景に多くの奴は完全に絶句している。……グイベルを対象として全く同じ事を目の前でやられた俺達の様にな。そんな中、ハーデスだけはむしろ面白がっているとしか思えない様な反応を見せていた。
《ハーデス様。これは……!》
《ファファファ。いくら本来の器から解き放たれているとはいえ、あの赤い龍の魂を神器による束縛から解放した上で実体化させるとなぁ。自ら神器を手掛けた聖書の神も今頃は臍を噛んで悔しがっていよう。その様な無様な姿を想像すれば、長年の溜飲も幾らかは下がるというものだ。しかも神器に封印されていた魂を実体化させただけであって生き返らせた訳ではないのだから、我々の管轄を侵害するものでもない。私を不快にする事しかせぬカラスやコウモリ共とは違い、死の在り様と死者を尊重するあの者は私を何度も喜ばせてくれる。いや、実に愉快だ》
ハーデスはそう言い終わっても、なお笑い続けている。あの骸骨ジジィ、どうやらイッセーを完全に引き抜き対象としてロックオンした様だ。ひょっとして、俺達に対する当てつけも兼ねていただけでイッセーの事を本気で褒めていたのか? だとすれば、ただでさえオーフィスから狙われている所に大王家も加わってかなりゴタゴタしてるってのに、これからは別の外部勢力からも狙われる事になるのか、イッセーの奴は。モテる男は辛いってのは世界共通の真理ではあるが、いくら何でも限度ってのがあるだろう。
……それに加えて、例のブツを超特急で仕上げねぇといけなくなった。俺の隣で真覇龍によるドライグ降臨の一部始終を見たヴァーリの奴が、かなりヤバい気配を発し始めたからな。
「……これで、一誠の名は一つの伝説となったな。それに引き換え、俺は何だ? ようやく新型覇龍に目途が立っただけじゃないか。
『ヴァーリ。言っておくが』
「解っているさ、アルビオン。新型覇龍と真覇龍に至るまでに掛けた時間と苦労は、完全にゼロから始めて手探りでここまで切り拓いてきた一誠の方が圧倒的に多いんだ。これくらいの差が出るのはむしろ当然で、俺は二天龍の先駆者である一誠に対して敬意すら抱いているよ」
密かに新型覇龍に目途が立っていると聞いて俺は驚いたものの、アルビオンとのやり取りを聞いているとヴァーリが比較的に冷静である事に気付いた。
「……真なる覇龍に至るにはどうすればいいのか。それがかなりの部分で解っていて、それでもなお思い通りに行かない。そんな俺自身の不甲斐無さが余りにも腹立たしい。ただそれだけの事さ」
ただ、イッセーのライバルと公言しておきながら、実情が全く追い付いていない自分に苛立っていたのだ。……あるいは今ここに来ている閻魔大王に後で相談しないといけないかもしれねぇな。
どうか俺の息子みたいな奴を鬼の流儀で鍛えてやってはもらえないか。……ってな。
Side end
真覇龍によってドライグを実体化させた僕は、タンニーン様に立会人の呼び出しが終わった事を伝える。
「お待たせしました。それでは始めましょう」
しかし、タンニーン様はなかなか返事をしようとしない。その様子を訝しく思っていると、タンニーン様はやがて大声で笑い始めた。
「ハッハッハッハッハッ! まさか、覇龍を今までとは異なる形で発動させた上で、更に別の術式を上乗せする事でドライグの魂を実体化させるとはな! 長年生きてきたが、流石にこの様な事は初めてだ!」
そう言って暫く笑い続けた後で、タンニーン様はドライグに話しかける。
「それにしてもドライグ。「無限の和を選り、夢幻の覇を廃す」とはよく言ったものだ。アレだけ覇に拘っていたお前がそこまで変わるか。……いや、そうではないな。グイベル殿を一度喪ったからこそ、覇に拘ったという事か」
「俺がグイベルを殺した事になっている、あのふざけた伝承を貴様は知らないのか?」
ドライグがケルトの建国伝承について尋ねると、タンニーン様からは少々意外な答えが返ってきた。
「知っているさ。それで本当にグイベル殿を殺したのか、一度お前に直接確認しようと思ってウェールズの地を訪ねたのだがな。ただ呆然と夕陽を眺めているお前の姿を遠目で確認した時に悟ったよ。お前はグイベル殿を殺したのではなく、喪ったのだとな」
……そして、グイベルさんを喪った悲しみに沈むドライグと顔を合わせる事なく、そのまま立ち去ったのだろう。それを察したドライグは短いながらも感謝の言葉を伝える。
「……礼を言っておくぞ。タンニーン」
「何、それには及ばんさ。ドライグ」
永い時間を生きてきた漢だけにできる短いながらも濃密なやり取りを終えたところで、タンニーン様は改めて僕に話しかけてきた。
「本当の事を言えばな、サーゼクスからは全力で戦ってくれと頼まれていた。しかし俺とお前とは体躯の差が余りに大き過ぎる事を踏まえて、俺はお遊び程度で終わらせるつもりだった。だがな……」
ここで一旦言葉を切ると、タンニーン様はオーラを一気に開放する。
「小僧、お前とは全力で戦ってやる。それが一度は死に別れたこの夫婦を喜びの内に再会させてくれた事への返礼となるからな」
そして、重みすら感じられる程の濃密な殺気をぶつけてきた。
「一誠、あんな事を言われているが?」
ドライグは僕を煽る様に語りかけて来る。だが、それに僕はあえて乗った。
「確かにお前を立会人にした事で、今の僕には赤龍帝の籠手の能力が使えない。だが、僕はお前を含めた赤き龍の帝王達の意志と期待を背負ってここに立っている。それなのに見縊られたままではお前や皆に申し訳ないよ」
そう言いながら、ドライグを対象として真覇龍を発動させた事で黎龍后の籠手に戻った神器に右手を添える。
「まして、僕にはグイベルさんという心強い相棒もいる。だから、相手が誰であろうとも負ける気がしない」
『そういう事よ。だから、ドライグ』
グイベルさんがドライグに呼び掛けると、ドライグは立会人としての務めを果たす事を伝えてきた。
「あぁ。タンニーンに勝利してお前と一誠が名を上げるところをしっかりと見届けさせてもらうぞ」
そうして僕達の戦闘準備が整ったところで、グレイフィアさんの声が聞こえてきた。
「本日のエキシビジョンマッチの
戦闘開始の最終確認に対して、タンニーン様と僕は揃って承諾の返事をする。
「あぁ、もちろんだ」
「大丈夫です。いつでもいけます」
……そして。
「それでは、始め!」
グレイフィアさんによる戦闘開始の合図で、僕とタンニーン様のエキシビジョンマッチが始まった。
いかがだったでしょうか?
兵藤一誠の進化はまだまだ続きます。
では、また次の話でお会いしましょう。