いないいないばぁ。   作:Gasshow

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『きゅうけつ鬼ごっこ』の後に書いた話です。簡単過ぎるなというのと、ちょっと他の話と系統が違うという事で、投稿するの止めたんですけど、せっかくなのでもう全部出しちゃおうと思いました。
難易度はeasyです。文章表現も、余計なものは一切載せていません(フェイクはちょっとだけ入れました)。

あと感想まだ返せてません。返信に凄く時間が掛かるので、落ち着いたらまとめて返そうと思います。申しわけありません。


後ろの正面だぁれ?

ネタが無い。

 

射命丸文がそう思い始めて既に数週間が経過していた。自身が執筆している『文々。(ぶんぶんまる)新聞』の購読者を増やすためには何か衝撃的なネタが欲しい。彼女は焦っていた。だからだろう。彼女は新鮮なネタをを探すのを止めて、過去の事件を掘り起こすことにした。そして彼女は、過去の中でも幻想郷に少なからず衝撃を与えた、ある事件に目を付けた。

 

それが『霧雨魔理沙殺人事件』である。

この事件は謎が多く、未だ犯人も判明していない。死因は喉を刃物で掻っ切られたことによる斬殺死。発見場所は彼女の自宅にある地下実験室。第一発見者は被害者の友人であるアリス・マーガトロイドで長期間、姿を見せないことを心配して彼女の家を訪ねた所、地下室に内側から鍵が掛かっており、慌てて強引にこじ開けた先に、血だらけで腐敗した死体が見つかったらしい。これは当時、射命丸が彼女から直接聞いた話だ。

 

今はこれだけしか分からない。分からないからこそ、もしこの事件を解き明かせば大きな注目を得られる。この事件が起こった当初、多くの同僚が調査をしたが、結果がこの情報だけなのだ。だから絶対、何かを掴んでやると意気込んで、射命丸文はとある屋敷へと歩みを進めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あやや、申しわけありません阿求さん。突然お邪魔しちゃって」

 

「いえ。ちょうど私も暇してましたし、大丈夫ですよ」

 

二人で使うにはあまりに大きな部屋。そこで彼女たちはそれぞれの湯呑を挟み。対面していた。

 

「それで、今回はどういったご用件でしょうか?」

 

「ええ実は、十年程前に起きた『霧雨魔理沙殺人事件』について、再調査してるんですよ。なのでもし、阿求さんが何かご存じでならばそれを教えていただけないでしょうか?」

 

稗田家には自然と多くの情報が集まる。それは彼女たち『阿礼乙女』が、幻想郷で起きた事柄を記録する使命があるからだ。それ故に、射命丸は真っ先にここを訪ねたのだ。天狗(同僚)たちが知りえない情報でも、彼女なら知っているかもしれないと期待して。

 

「また懐かしい事件を……何でまた?」

 

「お恥ずかしながら、最近は記事にできるような事件がありませんでしたので、こうやって過去の事件でも調べようかなと」

 

射命丸はいや~と唸りながら後ろ髪を掻く。

 

「なるほど。最近の幻想郷は平和ですからね」

 

阿求は納得したように頷いた。

 

「そうですね。射命丸さんならある程度の事はご存知でしょうし、あまり公になってない出来事を話しましょうか」

 

「おお!そんなものがあるんですね!」

 

「ええ。それでも犯人は判明していないので、大した情報ではないかもしれませんが」

 

「いえ!どんな些細な事でも教えてもらえるとありがたいです!」

 

そう言って、射命丸は阿求に食ってかかった。

 

「……分かりました」

 

阿求は一つ、咳ばらいをして話し始めた。

 

「魔理沙さんは殺されるほんの少し前、あることについて調べていました。今のあなたのように」

 

「あること……ですか?」

 

「はい。それは『博麗霊夢が死んだ』と言う事実について」

 

阿求が言っているそれは『霧雨魔理沙殺人事件』のほんの少し前に起きたものだ。ある日、突然に妖怪の賢者がこう言ったのだ。『今代の博麗の巫女が死んだ』と。当然、幻想郷は混乱した。しかしそれは、当然のことだ。博麗の巫女が死んだと言うだけでも一大事なのに、妖怪の賢者がそのことについての詳細を話さないのだから。

 

「魔理沙さんは霊夢さんの不自然な突然死に疑問を持ちました。それはあなたもでしょう?」

 

「……はい。博麗の巫女の死については、天魔様からも不干渉を命じられましたからね」

 

それはそうだ。こないだまで元気だった娘がいきなり死んだと一方的に告げられる。更には詳細も話してはくれない。怪しい。明らかに怪しかった。何かあると、そう推測するのが自然だ。

 

「だから魔理沙さんは幻想郷中を駆け回って霊夢さんの死について調べました。そして最後に、私と出会い、共に考えをまとめたんです」

 

「…………何か分かったんですか?」

 

「いえ、何も。しかし魔理沙さんは何かに気付いたようで、少し思い当たることがあると言って、この屋敷を飛び出していったんです。そして次に私が彼女と再会した時は、もう死体へと姿を変えていました」

 

阿求はしゃべり終えると、手元にある湯呑を持って、自身の口へと運んだ。

 

「私から言える事はこのくらいしかありませんが、為になったでしょうか?」

 

どうやら阿求はこれ以上の事は知らないらしい。

 

「はい!貴重な情報をありがとうございました!」

 

「それは良かったです」

 

そう言って互いに笑顔を見せる。そうしてそれから二人は取りとめない会話をしていった。射命丸が屋敷を訪ねて二時間ほどたったそこで、彼女はゆっくりと足を伸ばし、立ち上がった。

 

「長い事お邪魔をしてすみませんでした。私はそろそろ帰ります」

 

「こちらこそ長く引き留めてしまってすみません。ところで射命丸さん」

 

「はい、何でしょうか?」

 

「この事件の事は、本当に記事にするのですか?」

 

阿求の問いに、射命丸は少し考えはしたものの、次の瞬間には大きく頷いた。

 

「まだ何とも言えませんが、恐らくそうします。別に真相が分からなくてもいいんです。少しでも事実が浮き彫りになれば、読者は目を通してくれますからね」

 

「なるほど。確かにそうですね」

 

その言葉に射命丸は嬉しそうに笑みを溢し、一つ礼をして部屋の外に出ようとする。

 

「…………ねえ、射命丸さん」

 

しかし、阿求は射命丸が部屋を出る直前に再び声をかけた。ここでお別れだと思っていた射命丸は、キョトンとした顔で阿求の顔を見る。そんな中、ゆっくりとした口調で阿求は呟いた。

 

「魔理沙さんは死ぬ直前に一体、何に気が付いたんでしょうね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

射命丸は自室の執務机に座って今日、手に入れた情報の整理をしていた。

 

「はぁ~。やっぱり、魔理沙さんの事件と霊夢さんの死は繋がっていると考えるのが妥当よね」

 

そうなると、少し面倒ねと愚痴を溢し、今一度として自分の手帳へと目を落とした。

 

 

ーーーーん?

 

 

 

そして察する。

ある事に。

そこで気が付く。

ある事に。

 

 

 

 

 

「…………間違えた」

 

そう一言呟いて、射命丸は後ろを振り向いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




簡単なんで、ヒントはなしで(笑)。というか、ほとんど全てが重要です。
一つ勘違いしてほしくないのは、この話で全ての真相が分かるはずがないという事です。ぶっちゃけちゃうと、題名がまんま問題です。それだけ答えてもらえればもう正解です。なので、回答が分かってもモヤモヤして、すっきりはしないかもしれませんね。

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