【解】を書いてて思いましたが、今回は綺麗に話を作れました。真相もこれ以外はあり得ないと思います。
少し文章表現に違和感がありますけど、許してね。エヘヘッ。
雲一つ無く、月が真ん丸と浮かぶ、今日はそんな夜空が広がる。星々が輝き、暗闇を照らし、宙を彩る。それらを見上げながら一人、酒を煽る化け狸が一匹。そしてそんな狸に声をかける、一人の幽霊がいた。
「こんな所で一人酒なんて、何とも寂しいじゃない、マミゾウ」
普段から清掃され、綺麗に磨かれた縁側に座るマミゾウへ向けて、幽霊である村紗はそう言う。
「一人で飲む酒も悪くないものじゃぞ」
マミゾウは口角を少し上げてそう返す。それに村紗は呆れたような笑みを浮かべ、マミゾウの隣へと腰を下ろした。
「お主もどうじゃ?」
マミゾウはどこから取り出したのか、自分の持っている物とは別の杯を持って、村紗へと突き出した。
「ん、ありがと」
村紗はそれを受け取り、マミゾウはその中に酒を注ぐ。 そして杯が酒で満たされたと同時に、村紗はそれを口へと運んだ。少量の酒が流し込まれる。それから杯から口を離し、そのまま村紗は一つの話題を切り出した。
「小傘が来て、聖はやっぱり嬉しそうだったね」
「そうじゃな。聖は何かと小傘に気を掛けておるからの」
二人の話題はつい先日、半年ぶりに命蓮寺へと来た小傘についてのものだった。
「小傘も小傘だよね。聖の事が好きなくせに、素直になれない。見ているこっちがやきもきするよ」
「まるで互いの距離感が測れない親子のようじゃな」
からからとマミゾウは笑う。
「それでどうじゃ?小傘の餓えは解消されたのか?」
「多分もう当分は大丈夫なんじゃないかな?夕食にちゃんと
私はあんまり良い感じはしないけどね、と村紗は付け加えた。
「まぁお主は元人間で、今は幽霊じゃからな」
マミゾウは苦笑しながらそう言う。
「でも改めて思ったけど、マミゾウの変化は凄いよね」
「まぁ化け狸じゃからの。と言ってもお主が思っとるほど、便利なものじゃないぞ。ある程度、物が似ている物でなければ化かすことはできん」
例えば、とそう言って空になった自身の杯を指差した。
「これを石ころに変化させる事はできるが、花束にと言われれば流石に無理じゃ。材質から素質まで似通っているものは何一つとしてないからの」
それを聞いて村紗は何か納得したのか、あぁと唸って両手をぽんと叩いた。
「だから今までずっと、わざわざ鹿とか鶏とかを使ってたんだね。なんでもっと安上がりな物を使わないんだろうって思ってたから、妙に納得しちゃったよ」
曇が晴れたような、すっきりとした顔でそう言う村紗を尻目に、マミゾウはあくまでも自分のペースを崩さず、ただ酒を扇ぎ続けた。そんなマミゾウは、ふと思い付いたように村紗に一つの提案をした。
「実はこれから、明日に支障をきたさない程度に呑もうと思うのじゃが、お主もどうじゃ?」
「いいね!あっ、じゃあさ明日もやろうよ。小傘も呼んでさ」
「おお、それはよいな」
二人は月を見上げながら、更ける夜の中で酒を呑み、話を続けた。明日の夜はきっと、今日よりも楽しくなると、そう期待しながら。