いないいないばぁ。   作:Gasshow

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不思議の家の人形劇【解】

ゴロリと足元に首が転がる。その顔は頬を地面に寄せて、まるで異次元を覗き込んでいるかのように、部屋の一方向を見ていた。目と口は大きく見開いていて、奥に見られる光はなく、どこまでも深い闇があった。少しだけ無機質に感じる肌が、その不自然さを増倍させていた。ガラリと横にいた魔理沙が音を立てて崩れ落ちる。その目も肌も、私が切り飛ばした自分自身と全く同じものを感じさせた。

 

「……自分で自分の首をはね飛ばすなんて、やっぱり良い気分はしないわね」

 

端から見ていたら自分で自分を殺している異常性満載の光景に、今の現実を疑うだろう。夢で見たら悪夢以外の何にでもない。私ならベッドから飛び起きて、冷や汗をかいているに違いない。そしてその嫌な汗と、ネガティブな気分を洗い流す為にシャワーを浴びるところまで想定できる。

 

「……はぁ~」

 

私は大きく溜め息を吐いて、転がっている私の頭部へと歩み寄った。ちょうど頭が足元に来たところで、膝を折り曲げてその場にしゃがむ。しばらくじっと私の頭を見る。

 

「どこで間違えたのかしら?」

 

地面に転がる頭を撫でながら、誰に言うでもなく私はそう言った。ふと撫でる手を止めて、両手で頭を持ち上げる。ずっしりとした重さが私の腕へと伝わる。くるりと手に持ったそれを回転させて、切断部分を覗き込んだ。しかし、それで原因が分かるはずもない。

 

「…………あれ?」

 

そこで初めて自分が動揺していることに気がついた。そしてその事に驚きを隠せない。どうやら私は自分で思っているより落ち込んでいるらしい。まぁ確かに、これが完成した時は私も随分と浮かれていた。明日の朝が待ちきれず、夜間をそわそわとした気持ちで過ごしたのも事実だ。そう思い返してみれば、少しだけ恥ずかしい気もする。まるで翌日に誕生日を迎える小さな子供のようだ。だがしかし、それだけ今回は期待していたのだ。長年の目標と言うよりは、夢とさえ言える私の集大成。それが完成した時の達成感は計り知れなかった。今回こそは行ける。今回こそは完璧だ。私はそう思って、今日の朝を迎えたのだ。しかし結果は惨敗。これが落ち込まずにいられようか?

 

「…………いつまでも落ち込んでたって仕方がないわね」

 

今回が駄目ならまた次だ。次こそは成功させる。この結果を引きずっていても良いことはない。切り替えよう。だが切り替える前に最後、一言だけこう言おう。

 

 

 

 

 

 

ーーーー今回も失敗かぁ。

 

 

私は少し大きな声でそう言って手の中にある()()()()を指でつついた。

 

 

 

 




『きゅうけつ鬼ごっこ』からずっと、少し難しい問題が続いた思うので、次からしばらくは簡単な問題を投稿しようかなと思います。そして所々で勝負玉を投げようかと。ところで一つ、皆様に質問したいのですが……正直言ってこのままいくと、作者は全く勝てる気がいたしません(いつから勝負になった?)。今回で確信しました。これでも駄目なのかと……。なので、本当に理不尽な問題を一つ、いつか投稿してもよろしいでしょうか?今まではしっかりと辻褄を全て合わせ、それらが分かるような表現を細かな所も全て含めて、どこかに隠してきました。それはこの話を読んでくださった、読者様が答えを見て「納得できない」と感じられることが、なるべくないようにと思いそうしてきました。しかし!それでは勝てない!一度でいいから勝ちたい!せめて一日で、答えが出ないような問題を一つ!投稿して瞬殺されるのはもう懲り懲りだ!と思ったのです。なので、私の中にある良心をかなぐり捨てた問題を一つ、作ってもいいですかね?

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